フィレンツェとシエナの間に広がる丘陵地帯をキャンティ地方と呼びます。美味しいワインが出来ると評判を呼び、その人気の高まりから生産地域は拡大されていきました。サンジョヴェーゼ主体でつくられ、チェリーやスミレの香りを持ち、フレッシュで親しみやすいワインが多い傾向です。
黒い雄鶏のマークをつけたキャンティクラシコも有名ですが、キャンティとキャンティクラシコは別のワインと言えます。キャンティクラシコは、本来の産地であるフィレンツェとシエナでつくられ、キアンティはフィレンツェとシエナを含む6県にわたる広い範囲で生産されます。キャンティは1967年にDOCに、1984年にはDOCGに昇格しました。
イタリアワインの顔となったキャンティ
キャンティの歴史は古く、700年代から記録が残っています。1716年には、トスカーナ大公コジモ3世が世界最初の原産地保護を確立。キャンティもその名を連ねました。1872年にはベッティーノ・リカーゾリ男爵がサンジョヴェーゼに白ブドウを含む他の品種を加えた混醸率を定め、より飲み易く人々に親しまれるようになりました。
キャンティは国外への輸出も急増し、イタリアワイン=キャンティと世界中で愛される存在となりました。生産量もDOC・DOCGの中で第3位となっています。
ラベルで読み解くキャンティ
キャンティは収穫量や熟成期間、アルコール度数等の規定に従って、スペリオーレ、リゼルヴァの表記が付けられます。共通条件は、サンジョヴェーゼ70%以上を条件にカナイオーロ、コロリーノなどの土着品種、カベルネ、メルローなどの国際品種、トレッビアーノ、マルヴァジアなどの白ブドウがブレンドできることです。
・ヴィーノ ダンナータ(vino d’annata)と呼ばれるタイプは、収穫の翌年3月1日から消費ができ、フレッシュでチャーミングな飲み心地の良いワインが多いです。
・スペリオーレと表記があるものは、収穫翌年の9月1日より消費ができ、アルコール度数が12%以上となり収量に制限がかかります。より味わいに厚みがでます。
・リゼルヴァは、2年以上の熟成が義務付けられ、熟成に耐えうる良質なブドウからつくられます。より複雑味をおびた味わいのものが多くなります。
・ゴヴェルノと表記されているキャンティは、ゴヴェルノ製法という独自の手法でつくられます。乾燥して干しブドウ状になったブドウを出来たばかりのワインに加え、再びゆっくりと発酵を行います。アマローネが造られるより前の1400年頃にキャンティで確立された伝統的な製法です。ワインにより深い香りと骨格を与え、魅力的な味わいをもたらします。
7つのサブゾーンで知るキャンティ
ティレニア海からアペニン山脈までの広大な生産地区をもつキャンティ。様々なテロワールを魅せてくれるその生産地区の中には、その地域名をラベルに表記することが出来る、7つのサブゾーンがあります。地域名を表記するためには、更なる細かい生産規定が課せられます。特定の地域名を冠したキャンティを飲む際に是非サブゾーンも意識してみて下さい。生産量が多く様々なスタイルを持つキャンティの中で、好みのキャンティを見つける手掛かりとなってくれることと思います。
世界中の人々の食卓に寄り添うキャンティ
キャンティの愛され続ける最大の魅力は、お料理を選ばないそのキャラクターにあるといえます。中でも、世界中で食べられているイタリア料理を代表するサラミや生ハム、トマトソースやチーズなどとの相性は抜群です。鶏肉の煮込み、ミネストローネ、カツレツ。肉じゃがや春巻きなども面白そうです。魚介を使ったお料理であればフレッシュなタイプのキャンティを合わせてみて下さい。家庭的なお料理と合わせてお楽しみ頂ければと思います。
老舗ワイナリー「メリーニ」が造る超お値打ちキャンティ「フロレジア ヴィオラ」 |
メリーニ |
フロレジア ヴィオラ キャンティ |
この価格帯ではとても良く出来ていて、老舗の実力を感じる優れたコストパフォーマンスのキャンティと言えます。軽やかな果実の心地よさと滑らかな舌触り、酸味と果実味のバランスが非常に取れていて、サンジョヴェーゼの軽やかさとしなやかさが充分に表現されています。余韻には仄かなロースト香と果実の優しい風味が広がります。飲み飽きのこないバランスのとれた秀逸な味わいが魅力的です。 |
イキイキとした酸と果実味!「カンティーナ ベリーニ」のキャンティフィアスコ。デイリーキャンティの決定版! |
カンティーナ ベリーニ |
キャンティ フィアスコ |
人気の生産者カンティーナ ベリーニの伝統的なフィアスコボトルに入ったキャンティです。心地よい果実味が口の中いっぱいに広がっていく軽快な味わい。若々しいサンジョヴェーゼのきれいな酸とやさしいタンニンとのバランスも良く、飲みやすさ満点。普段の食事に気軽に合わせて楽しむのに最適でまさにデイリーキャンティの決定版です。 |
現在のキャンティの基礎を築き上げた名門「リカーゾリ」のキャンティ |
バローネ リカーゾリ |
キャンティ デル バローネ リカーゾリ |
トスカーナの名門リカーゾリが造るコストパフォーマンス抜群のキャンティです。「ワインは芸術品ではなく、飲むもの」というポリシーから、リカーゾリのワインをもっと身近に楽しんでもらいたいと、画期的と言っていいほどのコスパに優れたキャンティを実現させました。時間が経てば経つほどバランスの良さが際立つ美味しさに仕上がっています。 |
品質とコストパフォーマンスに優れたカステッロ ディ モンサントの「キャンティ モンロッソ」 |
カステッロ ディ モンサント |
キャンティ モンロッソ |
その名「モンロッソ」は、モンサント社の「モン」とイタリア語で赤の意味の「ロッソ」を組み合わせた造語。つまりワイナリー名を冠した赤ワインです。果実感と樽の上品な風味が心地良く、優雅さと気品を備え素晴らしいキャンティです!しっかりとした骨格で飲み応えがあります。キャンティはやっぱり美味しいと実感させてくれる1本です。 |
名門アンティノリが手掛けるキャンティ スーペリオーレ |
サンタ クリスティーナ (アンティノリ) |
サンタ クリスティーナ キャンティ スペリオーレ |
名門アンティノリが手掛けるサンタクリスティーナは、イタリアのみならず世界中のワインラヴァーから70年以上愛され続けるロングセラーワインです。サンジョベーゼにメルローをブレンドすることにより、まろやかで柔らかく風味たっぷりな口当たりを実現。上品で重厚感のある味わいです。 |
世界中で親しまれる伝統的なトスカーナのキャンティ リゼルヴァ |
ヴィラ プッチーニ |
キャンティ リゼルヴァ |
世界からも人気の高い「ヴィラ プッチーニ」がつくるキャンティ リゼルヴァは、スミレの感じられるフルーティーな香りです。調和のとれた味わい、風味の良いタンニンが感じられます。20世紀初頭より彼らのワインは広く世界中に輸出されていますが、年月が流れ、世紀が変わっても、記憶に残るワイン造りをしていこうという気持ちは変わりません。消費者の好みに合う、伝統的なトスカーナワインを造り上げようと長年研究しています。 |
陰干しブドウを50%も使用したゴヴェルノ製法でつくる特別なキャンティ! |
バルバネーラ |
キャンティ ゴヴェルノ (プライベートラベル) |
バルバネーラ社のキャンティは古くからトスカーナで行われてきた「ゴヴェルノ」製法を採用しています。一般的なゴヴェルノで造られたキャンティは陰干しブドウの使用率が10~20%程ですが、バルバネーラ社の「キャンティ ゴヴェルノ」は使用するサンジョヴェーゼの約50%も陰干しています。この価格帯では信じられない程の濃密な味わいのしっかりと感じられます。出来上がったワインはバリック樽で熟成され、仄かに香ばしくバニラの香りが広がります。 |
大樽熟成の伝統的味わい「フェルシナ」のキャンティキャンティ コッリ セネージ |
フェルシナ |
キャンティ コッリ セネージ |
サンジョヴェーゼ100%にこだわり、国際的な評価誌でも高い評価を得る「フェルシナ」のデイリーキャンティ「コッリセネージ」。フォンタローロにも使う区画のサンジョベーゼが使われます。親しみやすい味わいが人気の上質キャンティです。コッリ セネージのエリアは砂質土壌で、海洋性の影響を受けている土壌です。ワインはフローラルで柔らかなスタイルで、わずかなスパイスのニュアンスがあります。 |
名家フレスコバルディが、「ルフィナ」地区から収穫されるサンジョヴェーゼを使用してつくるキャンティ リゼルヴァ |
カステッロ ディ ニポッツァーノ (フレスコバルディ) |
キャンティ ルフィナ ニポッツァーノ リゼルヴァ |
名家フレスコバルディが、キアンティDOCGの中で最も標高の高く、上質なワインを生むことで知られる「ルフィナ」を名乗れる畑から収穫されるサンジョヴェーゼ他を使用してつくるキャンティ リゼルヴァです。、テロワール由来の生き生きとしたミネラル感とニポッツァーノの特徴である涼やかでキメ細かなタンニンが印象的なエレガントで洗練された仕上がりです。 |
食事とともに楽しむワインを造りを心掛ける「グラーティ」のキャンティ |
グラーティ |
キャンティ |
グラーティは、「ワイン自体が主張するのではなく、家庭の料理と一緒に存在している」と考え、食事とともに楽しむワインを造ります。このキャンティもまさにそんな考えが表現されたワイン。サンジョヴェーゼを主体に造られていて、いきいきとした果実味が魅力の赤ワインです。豊かな酸、渋みは控えめ、滑らかな舌触りです。 |