マルサラワインは、シチリア島西部トラパニ県でつくられます。ワイン名にもなっているマルサラは、県内最大の人口を保有する湾岸都市です。シチリア島内でもっともワインの生産量が多い地域としても知られています。
味わいは辛口から甘口とバラエティーに富むマルサラワイン。共通して言えることはオーク樽での熟成で、豊かなアロマを堪能できるワインになります。アプリコットや柑橘果実、ドライフルーツやアーモンド、バニラ、蜂蜜、カラメル、スパイス、甘草などの香りが感じられる、魅惑のワインです。
酒精強化ワイン「マルサラワイン」の起源とその歩み
その後マルサラワインの市場は長い間、イギリス人が独占していました。今でもラベルや樽の名前に当時の名残があります。1833年にシチリアの大富豪だったヴィンチェンツォ・フローリオ氏が参入しフローリオ社を設立。マルサラワインをイタリア国内外に宣伝し、その礎を築き上げてきました。
現在フローリオ社は、イタリアのマルサラ市場で50%のシェアを誇ります。2番目に多いのがペッレグリーノ社で12%です。残りは小さなマルサラメーカーになります。1969年にマルサラはDOCに認定されました。
マルサラワインの特殊な醸造方法
①ワインから蒸留した酒精強化用のアルコール
②自然に止まるまでアルコール発酵させたワイン
③ミステッラ(アルコール発酵中のワインに①を添加して発酵を止めたもの。ブドウの甘味を残した低アルコールワイン)
④モストコット(ブドウ果汁を煮詰めたもの)
①と②のみをブレンドしてつくられるものをヴェルジネと呼びます。
酸化させて造るマルサラワイン
熟成中、酸素に触れさせるプロセスが重要とされるマルサラワインは、木樽でいかに長く寝かせるかで価値が変わります。しっかりと熟成を行ったワインは、100年ぐらいは平気で持つ特徴を持ちます。開封後もゆっくりと楽しむことが出来ます。
高級品で用いられるソレラ・システム
オーク樽に入れて熟成しますが、その際にワインを詰めた樽は下から順に古いものとなるように3~4段に積み重ねます。瓶詰するときに1番下の段の樽からワインを一部取り出します。このとき樽内のワインを3分の2以上残すようにして、減った分をすぐ上の樽から補充します。樽毎のワインを混ぜ合わせることによって品質を一定にする方法。これをソレラ・システムと呼びます。ソレラ・システムの使用義務はなく、マルサラでは高級品に用いられる手法です。
マルサラワインの種類・複雑なラベルの読み解き方
色による分類
・オーロ(黄金色)
・アンブラ(琥珀色)
・ルビーノ(ルビー色)
オーロとアンブラの原料となるブドウは、グリッロ、カタラット主体にインツォリア、シチリア土着の白葡萄品種です。黒葡萄ピニャテッロ、カラブレーゼ、ネレッロ・マスカレーゼなどを使用したルビーノと呼ばれるタイプのガーネット色のマルサラワインもあります。
熟成期間による分類
・熟成1年 フィーネ(Fine)
・熟成2年 スペリオーレ(Speriore)
・熟成4年 スペリオーレ・リゼルヴァ(Speriore Riserva)
・熟成5年 ヴェルジネ(Vergine)
・熟成10年 ヴェルジネ・ストラヴェッキオ(Vergine Stravecchio)
残糖度による分類
・辛口 (残存糖分40g/L未満) セッコ(Secco)
・甘辛口(残存糖分40 g~100g/L)セミ・セッコ(Semi Secco)
・甘口 (残存糖分100g/L以上) ドルチェ(Dolce)
マルサラワインの楽しみ方
食前酒がマルサラの辛口となるとかなりのイタリア通なのではと思います。良く冷えたものが食欲を刺激しますね。氷をいれてもいいです。
食後にはチーズやデザートとお楽しみいただけます。冷やしても常温でもOKです。お好みの温度を探してください。甘口タイプのものはデザートの代わりにもなりますし、オーク樽の風味は、焼き菓子はもちろんのことカカオやオレンジなどの柑橘系と相性が良いです。バニラアイスにかけても美味です。マルサラワインは、お菓子作りにもよく使われています。
料理酒としても万能で、風味豊かなマルサラは一振りでお皿を変身させることが出来ます。焼いたお肉の上にマルサラソースをかけて、ソースは煮詰め過ぎず香りをお楽しみください。合わせるのは、辛口のマルサラワイン、相性はお墨付きです。
最良のマルサラワインは、繊細でいて複雑まさに別格という言葉がふさわしい味わいです。時間をかけてゆっくりと楽しみたいですね。
“マルサラワインの歴史”を培ってきたフローリオ社のマルサラ スペリオーレ セッコ |
フローリオ |
マルサラ スペリオーレ セッコ |
“マルサラワイン”の歴史を培ってきたフローリオ社のマルサラ スペリオーレ セッコ。オーク樽で30ヶ月以上熟成させて造られます。黄金色を帯びた琥珀色。レーズンやバニラの香り。心地よい、ビターアーモンドとレーズンを思わせる辛口の味わいです。 |
代表格ペッレグリーノ社が造るマルサラ スーペリオーレ セッコ |
ペッレグリーノ |
マルサラ スーペリオーレ セッコ |
マルサラワインの代表格ペッレグリーノ社のマルサラ スーペリオーレ セッコ 。オーク樽で最低2年間熟成させています。明るい琥珀色です。上品な樽香とドライな味わいが心地良い辛口に仕上がっています。 |
高品質にこだわりマルサラの可能性を広げる「バッリョ バイアータ アラーニャ」のマルサラ ヴェルジネ |
バッリョ バイアータ アラーニャ |
マルサラ ヴェルジネ |
より上質なマルサラへの転換をはかり、家族経営でマルサーラの可能性を広げる為に積極的な運営を行う「バッリョ バイアータ アラーニャ」のマルサラ ヴェルジネ。輝く透明感の高い琥珀色。果物やスパイスの複雑な香り。繊細でニュアンスに富む果実味と優美な酸味を持つ、引き締まった辛口です。葡萄本来のピュアな味わいと長期熟成による複雑さを兼備えたヴェルジネの魅力が開花しています。 |
シチリアで伝説的生産者と言われるマルコ デ バルトリのマルサラ ヴェルジネ リゼルヴァ |
マルコ デ バルトリ |
マルサラ ヴェルジネ リゼルヴァ |
シチリアで伝説的生産者と言われるマルコ デ バルトリのヴェルジネ1988は、10年物のヴェッキオ サンペーリにほんの少量のアルコールを添加。以降、目減りしたワインの補てんも一切することなく樽で熟成されました。抜群の飲み心地です。故マルコが造った最初で最後の貴重なヴェルジネです。ヴェッキオ サンペーリとは、アルコールやモストの添加なしで、酸化的熟成を行った辛口ワインです。 |
1875年創立。家族経営の造り手「バーリョ クラトロ アリーニ」のマルサラ スペリオーレ リゼルヴァ |
バーリョ クラトロ アリーニ |
マルサラ スペリオーレ リゼルヴァ |
1875年創立のシチリアでは最も古い家族経営のマルサラ地区の造り手バーリョ クラトロ アリーニのマルサラ スペリオーレ リゼルヴァ。透き通った輝きのある薄い琥珀色。アルコール感を強く感じさせない柔らかい果実の風味と品が良く穏やかでしつこくない甘味と熟成によって柔かくまとまった酸味のバランスも抜群な中甘口です。 |
代表格ペッレグリーノ社が造るマルサラ フィーネ IP |
ペッレグリーノ |
マルサラ フィーネ IP (中辛口) |
代表格ペッレグリーノ社が造るマルサラ フィーネ イタリア パルティコラーレ セミセッコです 。オーク樽で12ヶ月熟成。深い琥珀色。マルサラ特有のアロマ。樽を含む心地よい風味がいつまでも続く中辛口です。繊細かつ上品な味わいでお菓子作りや料理使いとしても最適です。 |
1860年誕生のアンティキ バロナーティ社マルサラ フィーネ アンブラ セミセッコ |
アンティキ バロナーティ |
マルサラ フィーネ アンブラ セミセッコ |
1860年誕生のアンティキ バロナーティ社は、世界的にも知名度の高いマルサラの生産者です。マルサラ フィーネ アンブラ セミセッコは、最低1年間オーク樽で熟成。美しい琥珀色。マルサラ特有の香りが長く続き、ベルベットのように滑らかな飲み口に中程度のボディが感じられる中辛口です。 |
シチリアで伝説的生産者と言われる「マルコ デ バルトリ」のマルサラ スーペリオーレ リゼルヴァ |
マルコ デ バルトリ |
マルサラ スーペリオーレ リゼルヴァ |
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従来のマルサラの既成概念を超えた酸化的熟成ヴェッキオサンペーリを産み出し、シチリアで伝説的生産者と言われるマルコ デ バルトリのマルサラ スーペリオーレ リゼルヴァ。20年以上様々なサイズのオーク樽で熟成。乾燥したオレンジやナッツ、モカとチョコレートの濃厚な味わいがクリーミー混ざり合っています。高いアルコール度数を感じさせない、スタイリッシュで極めてエレガントな甘口ワインです。 |
代表格ペッレグリーノ社が造るマルサラ スーペリオーレ ガリバルディ ドルチェ |
ペッレグリーノ |
マルサラ スーペリオーレ ガリバルディ ドルチェ |
ペッレグリーノ社が造るマルサラ スーペリオーレ ガリバルディ ドルチェ。オーク樽で最低2年間熟成。彩やかな琥珀色。樽香を含むドライフルーツやプラムの強い香りが続きます。口当たりはまろやかで甘く、蜂蜜やドライイチジクのニュアンスを感じます。 |
“マルサラワインの歴史”を培ってきたフローリオ社のマルサラ スペリオーレ ドルチェ |
フローリオ |
マルサラ スペリオーレ ドルチェ |
フローリオ社のマルサラ スペリオーレ ドルチェは、オーク樽で30ヶ月以上熟成されています。黄金色を帯びた琥珀色。レーズンやバニラの香り。ふくよかな口当たりで、アーモンドとレーズンを思わせる味わいが特徴の甘口です。 |