マンチーニ氏:今日は私のワインを飲みに来ていただいてありがとうございます。ファットリア・マンチーニは1800年代から代々続く、家族経営のワイナリーです。私たちの特徴は、1800年代の初めにフランスからもたらされたピノ・ネーロを使ったワイン造りにあります。マルケ州のどこを探してもこのブドウ品種から偉大なワインを造ることに成功した人は私たち以外にいません。それは土壌に特徴があるのです。
マンチーニ氏:マルケ州のある中部イタリアの土質は、一般的に粘土質が多いのですが、私たちの畑のあるペーザロと言う場所は砂や石灰質が多く、肥沃な土地でもありません。いわゆる、「やせた土地」です。また、畑は海岸沿いから切り立つ山の上にあり、冬には雪が降り海風のために非常に冷涼な気候となります。その結果、ほかの中部イタリアには見られない、繊細なスタイルの北イタリアっぽさも感じる引き締まったワインとなるのです。
マンチーニ氏:200年前にフランス人がこの土地にピノ・ネーロを植えたわけですが、その理由はこのペーザロの土壌がこの品種にとって最適であることを知っていたか、あるいは感じ取っていたからなんですね。
マンチーニ氏:では、ワインを飲んでいきましょう。まず最初は「ロンカリア・ビアンコ」です。
これはアルバネッラという土着品種をメインにしていて、少しだけピノ・ネーロも加えています。ピノ・ネーロは黒ブドウですので、もちろん皮の色が果汁に移らないように、白ブドウ醸造法で造っています。
これは1971年に初めて造ったワインですが、その当時は25~30%がピノ・ネーロでした。現在のDOCの規定はそれを尊重して決められていますが、実際のこのワインは、ほとんどがアルバネッラから造っています。
マンチーニ氏:次が「インペロ・ビアンコ」です。
これはピノ・ネーロを白ブドウ醸造法で造ったものです。1年間バリック(小樽)でオリと一緒に寝かせて造るのですが、その結果、長期熟成が可能な白ワインとなります。
先日、2000ヴィンテージのインペロ・ビアンコを飲みましたが、素晴らしい熟成を見せています。本当は、今飲んでいただきたいぐらいなのですが、残念ながらリリースはずっと以前になってしまうので、売るほどには残っていないんです。ぜひ、あと数年後に今のこのヴィンテージを飲んでいただきたいと思います。
マンチーニ氏:次は赤ワインの「ピノ・ネーロ」です。
非常にエレガントな印象が分かると思います。私たちのピノ・ネーロは、イタリアの中で唯一、ピノ・ネーロ本来の特徴を引き出しているワインだと言われていて、イタリア国外で評価されている数少ないものです。
特にイギリスで支持者が多いのですが、ワインをとりわけ厳しい目で判断するイギリス人たちに受け入れられていることに私は誇りと自信を持っています。
そして、リゼルヴァ。
これは素晴らしい収穫が出来た2001年のものですが、 ブドウの選別にも気を遣いました。
重厚感のある味わいは、肉料理や鴨肉、そしてハト料理と一緒にぜひ楽しんでみてください。
マンチーニ氏:続いて飲んでいただくのが 赤ワインの「サンジョヴェーゼ」です。
これはピノ・ネーロには不向きな粘土質の多い畑で造っています。
実はこの畑の所有者は日本人女性なんですよ。ちなみに、私の妻はニュージーランド出身の醸造家なんですが、だからファットリア・マンチーニは、イタリア、日本、ニュージーランドの3つの国のコラボレーションでもあるんです(笑)
と、ここで試飲会のプログラムにはなかったワイン「ブル」が登場! |
マンチーニ氏:1本だけ私が飛行機で持ってきたんです。ぜひ飲んでください。
これはアンチェロッタという土着品種で造っているのですが、このワイン名の由来「ブル(青)」はアンチェロッタの染みが青く残ることからなんですよ。
|