なぜ、トスカニーが牛乳?
イタリアのトスカーナにチンタセネーゼの取材に行った際、一般の畜産はこうだけど、自分は、こうして豚を育てているというイタリアの生産者の話を聞きました。ト スカニーは、イタリア人の、良いものを食べさせたい。作りたい。という気持ちが大好きで、自然な人間愛に満ちた、彼らの生き方が大好きだから、イタリアの製品を数多く紹介しています。 いつも彼らはいいます。「どうして他の人が、人に害のあるものを作るのかわからない。僕の作るものは、となりのおばあちゃんが食べてもおいしいって思えるもの。体にいいものを作りたい」スローフードインターナショナル会長カルロ・ペトリーニ氏はいいます。 「食べ物というのは愛情の表現です。愛していれば相手に美味ししいものを食べさせたい。おいしいものを食べさせてもらった子は、親から愛されていた人間です」でも、近頃感じませんか?美味しくないもの、疑わしいもの、安ければいいというものがいっぱい蔓延しています。トスカニーは、愛している人に食べさせたいものを紹介していきたい。そして、イタリア発祥の、スローフードの考えに共感しています。愛している人たちに美味しいもの、体にいいもの、自然なものをお届けしたい。スローフード発祥の地、イタリアでは、「となりのあの人のためにこれを作っている」そんな感覚でものづくりに励む生産者がいっぱいいます。だから、いいものを作りたい、美味しいものを届けたい。それは人間の愛の表現です。そんなイタリアが好きだから、日本でも同じように、頑張っている人がいたら、応援したいし、それをお客様にお届けしたい。なぜなら、それが、人間的に自然で、私たちを幸福にしてくれるものと知っているからです。 今回、中洞牧場さんとは、日本経済新聞の記事を通して知り合いました。記事に掲載されてから知り合いになるまで、時間はかかりませんでした。なぜなら、私たちの求めているものは一緒だからです。連絡をとって3日後には、福島のトスカニー事務所でお話しする機会に恵まれ、次の週には、なにかに導かれるように岩手県は、宮古市から、少し内陸に入った、中洞牧場のある田老町を訪ねていたのです。
本当の牛乳飲んだことありますか?
自然に放牧された牛乳の乳脂肪分は3.5%にならないということを御存知でしょうか? 日本の乳業では、この乳脂肪分に関する大きな誤解があります。乳脂肪は3.5以上という基準があり、乳脂肪が多ければ多いほどいいような風潮がありますが、実は自然放牧しているとこの乳脂肪分はできません。自然放牧している牛の乳脂肪分はせいぜい3.2%ほど3.5%以上の乳脂肪分を持たせるには、狭い牛舎に牛を固定し高栄養な飼料を食べさせることで、生産されているものです。最近でこそ牛舎の中を動けるようにした、形態も出てきているようですが、それでも、単に、牛舎の中を歩き回れるという程度に過ぎない話です。 そのように、牛は、狭い牛舎に縛り付けられているため、足は弱り、関節炎、しまいには立っていられないほど「の牛も出てきています。また、海外の、骨肉粉の混じった飼料(BSEで問題になった)や、高たんぱく、高カロリーな飼料を与えられて、牛は、人間の必要のために、乳量と乳脂肪を増やされるように飼育されています。
日本ではほとんどの牛が、そのよう閉じ込められ、ろくな運動もさせられず、乳量が少ないと殺されるという現実があります。そんなことを知ると、今問題となっている狂牛病も起こるべくして起こったと思わざる終えないような牧畜の現実があります。そのように、動くことも許されず、角は危険だからと切られ、尻尾は搾乳に邪魔だからと切られる牛が健康だといえるでしょうか?また、刈り取ったあとの干草に虫がわかないようにと加えられる、農薬(ポストハーベスト)、遺伝子組み換えのトウモロコシを飼料として食べさせられる牛。
お乳しぼって~~とやってくる牛たち
今回、中洞牧場を取材して感じたことは、牛たちは健康で自然そのもの。自然放牧なので、牛たちは山に沢に自由に動き回り生草を食み生活しています。丘の上にたたずむ牛の姿の美しいこと。とっても均整がとれていて、スリムそのもの。アッピも山の頂上まで上りました、足がつるような急斜面。牛たちは自力でもちろん、のぼりおりして、自然のままに、草を食み、暮らしています。
山に登ると、Y子と呼ばれる、ホルスタインとジャージーの雑種が近づいてきました。仲洞さんに首の下をなでてとおねだりしています。Y子おくびの下をなでてあげる仲洞さん。気持ちよさそうなY子。移動する間もY子はずっとついてきて、困ってしまったほど。牛は角が生えているというのに、とってもおとなしく、人間のことが大好き。なによりも驚くのは、中洞牧場はまったく臭くない、どころか、すががしい青草の香りがします。それもそのはず、50ヘクタールの敷地に、牛は38頭。1頭あたりの面積は1ヘクタール以上。通常1頭の牛を買うのに、0.5ヘクタールの土地が必要といわれるように、0.5ヘクタールの草が必要だし、糞を衛生的に分解する面積の目安です。
牛たちは、1日に2回朝6時頃、夕方6時頃、青草をいっぱい食べておなかいっぱいになると牛舎に帰ってきます。牛舎で搾ってもらいます。はおやつ程度に、国産の雑穀飼料をこのときに与えています。それを楽しみに、朝夕、われこそはと勇んで牛たちは牛舎にやってきて、「早く絞ってといわんばかり」(中洞さん談)にお乳を絞ってもらいます。お乳をそうして搾ってもらった牛は、気ままにまた、外に出て外で一夜を過ごします。
いろいろな牧場で「牛のストレスを減らすことがおいしい乳につながる」と言っていますが・・・・ いろいろな牧場で必ず、牛のストレスを減らしておいしい乳を作っていると語っていますが、実は比較の問題です。 そうはいっても牛はほとんど牛舎の中だったり、程度の差はあれ、日本の牧畜はEUに比べてはるか遅れているというのが現実です。だから、中洞牧場の幸福な牛、健康な牛たちに、注目してほしいのです。これほどまでに、牛に自由にさせて放牧している牧場は日本でも、10本の指で数えられるほど。ほとんどは牛舎の中で、牛の自由を奪って、あるいは制限して飼っているのがごくごく一般的な日本の牧畜です。
知ってま した?牛って実は自分で子供生めるんです
牛の出産を人間が手伝って引っ張り出すシーン。これって、多くのTVで取り上げられているので、私も、「牛は人間が手伝わないと子供を生めないと」思っていました。でも違うんです。中洞牧場は、自然妊娠なので、しかも、自然出産。牛は自分で子供を産みます。つまり、他の牧場の牛は自分で子供を生めない体力、体調、健康の牛ということなんです。驚いてしまいますね。でも、考えれば牛も動物。本来出産は、自分でできて当たり前。なんですよね。なぜ自分で生めない牛がいっぱいいるのか?これって不思議です。
「日本の21世紀の酪農は必ず私たちのやっている酪農になる」 中洞さんはそういいます。
「今のままで消費者が、あんな牛乳を認めるわけがない。生産者もしたくない酪農。牛もいやな酪農。消費者も求めていない酪農がそんなに続くわけがない。もうすぐ、牛も幸せ、生産者も幸せ、消費者も幸せな酪農が来るはずだ。」
そんな話をする中洞さんの話は終わりがなく。1日しか取材時間のない私たちには、最後まで聞く時間もないほどでした。 「むかしのままの牛乳がこれです」 今回、自信を持ってオススメするのがこの牛乳です。 乳脂肪が少し少ない(一般に3.5のところ3.2)のは、自然に放牧しているからです。(自然放牧でない、牛舎につながれっぱなしの牛からは、3・5の牛乳が可能です)そして、好きに1日草を食んでいる牛の乳なので、乳量は4000L(年間1頭あたり)。通常年間5000Lしか乳を出さない牛はとさつしてしまえという手引書もあるほどで牛舎内で、動かず、高カロリー飼料を与えられて育つ牛の年間生産乳量は9000Lといわれています。普通に青草を食んで、自由にすごす牛の牛乳は、中洞さんの牧場で飲むことができます。実は私は牛乳ほとんどvv飲みませんでした。なぜなら、あまり美味しいと感じたことがなかったから。作曲家の秋元康さんも、この牛乳のファンで唯一おいしい思って飲める牛乳と言っています。
ご存知でしたか?バターが黄色いのは青草を食べている牛乳だけ
バターの黄色はほとんど着色料によって黄色いのでした。表示する必要の内容で、着色しているために表示の義務がないため表示されてませんが、着色料によって黄色になっているバターがほとんどです。でも、中洞牧場のバター、クロテットクリーム(スコーンにのせる定番)は黄色です。なぜなら、自然の草を食べているからなのでした。
今回の取材を終えて。 今回の取材は対話形式ではなくさせていただきました。なぜなら、中洞さんの話に終わりはなく(汗)おっしゃっていることは、きわめて明快。すばらしい牛乳にとって必要最低条件は、「自然放牧をするということ」
日本の酪農はきわめて遅れていて、まず、健康な牛を育てるということが大事でその後に、生だ、低温殺菌が来るべきだと語られていました。考えれば最もなことで、まず健康な牛を育てること、それによる乳を得ること。それが最も大事なことです。
そして、おそらく、中洞牧場を訪ねることは相当、大変なことではありますが、幸福な牛の姿を見て、どこの牧場でも見たことのない自然な牛の生き生きとした姿に驚かされ、おとなしく、人間の友人としての、牛の姿に、感銘を受けること間違いなしです。決して濃くはないけれど、自然なおいしさが、しっくりすとる。本当の牛乳がここにあります。
ホモジナイズ牛乳は時代遅れ
これはほとんど、今回の放牧されて、健康な牛の乳であるということに比べれば余談にしか過ぎないことですが、一般に1L200円程度で売られている、高温殺菌牛乳はおよそ全てが、このホモジナイズ牛乳に相当し、今になっては大変次代遅れな飲み物といわざる終えないのではないのかと思います。(現在飲んでいる牛乳が何なのかをしると飲みたくなくなってしまう)
高温殺菌牛乳は品質的に安定しており、比較的長い賞味期限を保有することができますが、高温殺菌するため、(120度で?分)その際に、自然なままの牛乳だと熱交換器に焦げ付きができやすいため、その前に、ホモジナイズというプロセス。焦げ付かなくさせるために、衝撃を与えて、脂肪を水分と均一化させる処置をとる。 きわめて不自然な加工過程であり、鮮度の高い、より自然な商品を求める現代(それが動物として自然な欲求か)には、相容れない加工プロセスをそのままに、消費者に提供している。
21世紀の酪農を変える
牛を幸せにしてくれるのは、この方を置いて他にいないだろうなと思います。 牛と消費者を様々な軋轢を超えて幸せにしてくれようとしている。 それぞれが求めているものを提供しようとしているのが、中洞さんです。
そういうことで、今年、中洞さんは新たな一歩を踏み出しています。
同じ意志を持つ酪農家を募って、健康な牛の牛乳を生産しようという歩み 、それが、今回のブランド、「四季 むかしの牛乳」のスタートです。
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