自宅で昼食を取りながら…
今回、着いてまず通して頂いたのが自宅。2人のお子さんに挨拶して、奥様に挨拶
ダイニングルームに通していただいて、マドンナ・デッロリーヴォの生産者アントニーノ・メネッラさんとお互いの自己紹介などから話し始めました。
アントニーノ「私達は、ヴェロネッリ製法で作るカンパーニャ唯一の生産者です。おかげさまで、2006年も、チンクエゴッチェ(イタリアオイルソムリエ協会のコンクール最高賞)を獲得してたちまちオリーブオイルは完全に売り切れました。」
アッピ「もうないんですね~。年間の全生産量ってどのくらいなんですか?」
|
アントニーノ「100Lほどです。単一品種で作り分けしているので、作るのは本当に大変手間がかかります。2003年にこの家と、オリーブ畑を相続したのですが、樹齢1000年の樹も結構あります。今は5種類のオリーブオイルを作りましたが、2種類は地場品種(ロトンデッラ、カッペレーゼ)あとは、40~50年前に接木した、フラントイオとモナイオーロです。今年はそこにペンドリーノを作った。」
アッピ「100Lという少ない生産量にも驚くけど、1000年の樹齢?にも驚きました。そんな樹があるんですか。」
アントニーノ「ええ、あとで畑に行って見せてあげますね。僕はそして、相続後、高い品質のオリーブオイルを作りたくて、オリーブの樹の勉強やオイルの勉強をしているうちにヴェロネッリ製法に辿り着いたんです。」
アッピ「えっ。ちょっと待ってください。じゃぁ、相続するまでは、何をしていたんですか?」
アントニーノ「僕の本業は地質学者です。妻は建築家。ご存知の通り、オリーブオイルはそれだけしかできないし、僕の副業です。」
アッピ「副業?なんですか?副業でチンクエゴッチェ?」
アントニーノ「僕はこの相続でオリーブを栽培していた祖父の気持ちまで引き継いだようなもので、とにかく、いいものを作りたかった。だから、勉強した。そして、ヴェロネッリに出会って、早速彼のところに行きました。彼は、いろいろなことを僕に教えてくれて、彼の紹介でトスカーナのワイン生産者でオリーブオイルも作っているフェルシナに行って勉強してきました。」
アッピ「ヴェッロネッリ製法の特徴に種をとるということがありますが、種を取ると収量も減りますよね?」
アントニーノ「種を取ると、酸化度は下がります。でも、種を取ると、収量は10%減ります。種が入ると、種が砕かれてオリーブのパスタの密度がさがり、オリーブオイルは抽出しやすくなるんですが、種を取ってからつぶすとパスタは、密度が高くなるで粘土のような状態なので、オリーブは抽出しにくいんです。
そこでのこだわりは水を使用しないこと。一般的なエキストラヴァージンオリーブオイルの抽出方法は、オリーブのパスタに水を加えて混ぜてオイルを抽出します。その後、遠心分離などにかけてオイルと水が混ざった状態で液体を取り出し、その後、再び水とオイルを分離させるという作業します。が、私の場合は、オリーブのパスタに水は加えません。そのまま、遠心分離にかけるだけです。このほうがポリフェノールが多くなるんです。
たくさんオリーブオイルを出そうと水を加えるとすると、ポリフェノールを失ってしまう。そして、このやり方だと、それぞれの品種の個性あふれるオイルができるんです。」
アッピ「イタリアでも、ヴェロネッリ製法でオイルを作る生産者はたったの9社ほどですよね。確かに、収量が1割変わるということは、いくら高品質オイルを作っている会社でも、中々、ヴェロネッリ製法でと言っても難しそうですね。」
アントニーノ「収穫の時期は早い品種で10月中旬。他の品種は11月末。搾ってから1.5ヶ月~2.5月ほど寝かせて落ち着かせてから出荷しています。」
アッピ「ワインみたいにオイルも寝かせるんですか?」
アントニーノ「はい。良いオリーブオイルは寝かせた方が味がなじみます。フェルシナなんかは3ヶ月寝かせています」
|
|
▲この間、奥様のおいしい手料理にくらくら。野菜たっぷりでとってもおいしい昼食となりました。 |
▲マドンナデルリーヴォ教会
|
その後、紹介頂いた友人のアグリトゥーリズモにチェックインして、木陰で涼んだあと、オリーブ畑に移動。
オリーブ畑は、マドンナデルリーヴォという名前(ちょっとスペルが違うだけ)の大変由緒ある教会のすぐ隣にありました。
ぽつぽつと、茂るオリーブの樹が南向きの急斜面に植えられていて、どこかいい香りがする、素敵な畑の風景。
アッピ「この教会と同じ名前なんですね。うちの取引先にやっぱり、マドンナで始まるヴェロネッリの生産者がいて、そこもオリーブ畑にマリア様の像があるんですが、教会とオリーブって関係が深いのかしら?」
アントニーノ「1516年オリーブ畑の上にマリア様が現れたと言われていて、その後教会が出来ました。僕はそういうことは信じていないんだけどね。」
アッピ「はぁ~。由緒ある畑なんですね。」
アントニーノ「70年前まで私の祖父はここでオイルを作っていました。家に飾っていたツボに保存していたんだよ。父が私に土地を残してくれてオリーブの樹があり、その気持ちも引き継いだ。その時、オリーブの樹は捨てられた状態で、これを変えようと思った。オリーブオイルをおじいさんのものより良くするとね。そして、気が付いたんだ、優れたオリーブオイルを作るには、まず優秀な農学博士に教えてもらうこと、そして、最新の設備を使うこと。この2つが必要。そして、一番大事なのは、この地で作るということ。僕は、グローカルという言葉が好きだ。この小さな町から世界に伝えていきたいんだ。」
アッピ「グローカル。私達も田舎から、インターネットで発信していますので、その気持ちよく分かります。」
アントニーノ「僕が困ったことだと思っているオリーブオイルの現状に、産地の違うものがブランド力で販売されていること。つまり、チュニジアのオリーブがトスカーナで搾ってトスカーナ産となったりしている。これには対抗できない。トスカーナ州は3%のオリーブの生産量なのに、オリーブオイルの生産量は70%もある。カンパーニャやシチリアやプーリアや外国のオリーブがトスカーナのオリーブオイルになっているんだ。同様にウンブリアもオリーブは2%の生産でオイルは10%の生産量。もともとのオリーブの生産量はカラブリア1位、プーリア2位、シチリア3位、カンパーニャが4位」
アッピ「なるほど興味深い。」
アントニーノ「人はブランドばかり信じるが、僕は、この地の僕のオリーブオイルを知ってもらいたい。」
見てくださいこの急な斜面!
|
これまで、畑の頂上にたって、夕日を見つめながら話し込んでいましたが、斜面の畑に下りて、見ることにしました。
アッピ「どれがどの品種なんですか?」
アントニーノ「外見でわかるんだよ。葉っぱや。実を見れば、樹形でもわかる。枝が垂れているがカルペレーゼで上に上がり気味なのがロトンデッラだ。」
アッピ「あぁ。カルペレーゼは柳みたいな枝ぶりだ~。」とあっちこっちを見渡して、2人で、オリーブオイルの品種当て
アッピ「アレがカルペレーゼで、こっちがロトンデッラ?」
アントニーノ「正解!わかってきたね。」
アッピ「はい。ドットーレ(博士の意味)」数少ない知ってるイタリア語の一つを言ったらうけてました。
アントニーノ「この幹がわかれているのがあるだろう。これは2本の木じゃなくて、1本だ。2000年の樹もあるよ。それは、幹は完全に地中で小さな若い樹のように見えるんだ。」
アッピ「え~。おもしろい。ところで、農薬なんかは使われますか?」
アントニーノ「状況に応じて使います。20日後には農薬は消えるようなもので、ビオとしても販売できるものなんだけど、ビオの認定にはお金がかかるからしないよ。」
オリーブの香りか、下草の香りか、とてもいい香りがして、夕焼け色に染まった畑で幸せを満喫。この時期だけというイチジクの花の実をとってくれて、むしゃむしゃ食べたり。桑のみを取って食べました。
アントニーノさんお気に入りの樹で写真を撮らせてもらい(^^ゞ
オリーブを搾る機械を見にフラントイオ(オリーブオイルをしぼるところ)に入りました。
アントニーノさんは、機械マニアか?と思うほど、嬉しそうなアントニーノさん。
とてもとても長い話をして、空はもう真っ暗。その後も一緒に夕食をともにして、次の日は、朝、地域でも有名なヨーグルト屋さんに連れて行っていただき、世界遺産の遺跡(ペストゥム)も見ていけといわれ、終日行動をともに。
オリーブオイルの品質はもちろん、アントニーノさんの暖かい人柄にもノックアウトされた次第です。 またまた、すごい生産者に会ってしまったと、実感したのでした。
(レポートが長くなりましたが、話してくれたことを出来るだけ残したいと思いあえて書かせていただきました、何かのご参考になればと思います)
|