イタリア在住日本人ワインジャーナリスト中川原まゆみさんに聞く!古代ローマ法王にも愛された偉大な品種「チェザネーゼ」
イタリアワインを「もっと楽しく」、「さらに身近に」飲んで楽しんで頂きたく、
トスカニースタッフが都内各所に出没いたします!
こんにちは!ロッチャです。
カサーレ デッラ イオリアを日本に紹介したイタリア在住の日本人ワインジャーナリスト、中川原まゆみさんが先月来日し都内でラツィオ州土着品種「チェザネーゼ」の魅力についてお話を聞きました!
テイスティングしたワインはカサーレ デッラ イオリア社のトッレ デル ピアーノ チェザネーゼ デル ピーリオ スペリオーレ リゼルヴァ2011年。8年の熟成を経て、厚みと滑らかなさを備えた芳醇な味わいに!熟成チェザネーゼ、素晴らしい完成度です☆☆
加えて中川原さんのお話でイタリアワインの魅力である「土着品種の素晴らしさ」を改めて知る素晴らしい機会となりました!
中川原まゆみさん
「土着品種で知るイタリアワイン」(産調出版)、「はじめてのイタリアワイン 海のワイン、山のワイン」(柴田書店)の著者で、イタリア在住のワインジャーナリスト。
90年代後半、中目黒でエノテカオステリアを経営。その後イタリアに渡り、イタリアソムリエ協会(AIS)のソムリエ プロフェッショニスタの資格を取得。エミリアロマーニャ州にある「リストランテ パオロテヴェリーニ」でソムリエを務める。現在はワインに関する執筆、コンサルタント等の仕事に携わる。~「土着品種で知るイタリアワイン」(産調出版)より抜粋~
エリアのリーダー的存在 カサーレ デッラ イオリア社
カサーレ デッラ イオリア社は1921年ペリネッリ家によってチェザネーゼ デル ピーリオに設立され、約20のカンティーナが存在するこのエリアの生産者組合の会長を長年務め、同時にラツィオ州の農業組合の代表も約10年間務めているこの地のリーダーとして注目されている生産者。海から遠く、畑は山と林に囲まれ夏でも朝夕はとてもひんやりとしていて、山から吹きおろされる風がブドウの樹に付く害虫を駆除し、畑の湿度を飛ばすため、栽培にとても良い影響を与えています。このような土地柄であるため、イタリアの南部でありながら、非常に酸のしっかりとした繊細なブドウが造られる理想的な環境が整っています。
今まさに飲み頃の2011年!
古代ローマから続く偉大な土着品種「チェザネーゼ ダッフィーレ」
熟成が奏でる芳醇な風味、エキス分に富む旨み
トッレ デル ピアーノ チェザネーゼ デル ピーリオ スペリオーレ リゼルヴァ 2011 カサーレ デッラ イオリア
アクート エルニチ山の麓にある標高330メートル、石が多く鉄分を含んだ火山性粘土土壌の単一畑「トッレ デル ピアーノ」で育った土着品種「チェザネーゼダッフィーレ」を旧樽のバリックで7〜8ヶ月間熟成させた濃密なトップキュヴェです。年産僅か5000本と極めて希少なワインです。山の斜面の下に位置し、吹き降ろされる冷たい風がブドウに好影響を与えています。現在熟成によって今その密度の高い豊かな味わいが開花しています!8年の歳月を経て、素晴らしい味わいへと進化していました!
古代ローマ時代から愛されてきた非常に古い歴史を持つブドウ品種
中川原さんは「チェザネーゼは古代ローマ時代、当時の王族やローマ法王に愛されてきた非常に古い歴史を持つブドウ品種です。トッレ デル ピアーノ2011年は密度感があり安定した味わいで飲み頃ですね」と話してくれました。
口中を包む芳醇な風味、余韻にかけて感じられるエキス分に富む旨み
2011年は熟した果実の深みに、なめし皮やスパイスの複雑なニュアンスが見事に溶け合っています。飲むと、力強く軸のしっかりとした分厚いボディながら、タンニンと酸が見事に溶け合い堂々たる存在感。それでいて艶やかで滑らかな飲み心地。
口中を包む芳醇な風味、余韻にかけて感じられるエキス分に富む旨み。山の斜面の下に位置し吹き降ろされる冷たい風により、長期熟成も可能な酸とミネラルをしっかりと備えています。単一品種ながら様々な要素が見事に溶け合った素晴らしい調和を魅せています。古代ローマから続く単一品種「チェザネーゼ」。熟成した時の完成度の高さに驚かされました。コショウを効かせたパスタ、トマトソースを使ったお肉料理、羊肉料理と。じっくりと向き合いたい魅力的なワインです。
数千年の歴史を持つ偉大な土着品種「チェザネーゼ」
中部イタリアラツィオ州唯一の土着の黒ブドウ品種「チェザネーゼ」。その最初の記録は古代ローマにまで遡り、当時の王族やローマ法王に愛されてきた、数千年の非常に古い歴史を持つブドウ品種で、森林だった場所を開墾したことから「木を伐採した土地」を意味する「チェザエ(cease)」に由来しています。また、チェザネーゼは古代ローマの博物学者プリウニスの記録にも残されています。また、若きゲーテもチェザネーゼを愛していたとされていて、非常に高品質な赤ワインになると認識されていました。
イオリアでは高い品質を持った「チェザネーゼ ダッフィーレ」のみを栽培
「チェザネーゼ」というブドウはこのラツィオ州のみで栽培される土着品種です。このチェザネーゼには、「チェザネーゼ コムーネ」と「チェザネーゼ ダッフィーレ」という2種があります。「チェザネーゼ コムーネ」は、収量を増やすために改良された品種。一方、「チェザネーゼ ダッフィーレ」はラツィオ州の代表的土着品種です。実は非常に小さく、タンニンは豊富、高い糖度を持ち、良質のワイン造りに適したブドウです。イオリアでは、高い品質を持った「チェザネーゼ ダッフィーレ」のみを栽培しています。そして、さらにマッサールセレクションにより、畑内でのブドウの交配を進め、最高のチェザネーゼを常に探究しています。チェザネーゼは、これまで多くの地域で栽培が挑戦されてきましたが、どの産地でも上手く栽培されなかった、ラツィオだけの本物の土着品種です。
絶滅に瀕した状況から2008年DOCGに昇格
しかし、第二次世界大戦後は産業の社会的変遷によりブドウ畑は放棄され、チェザネーゼはその数千年の長い歴史にもかかわらず、ほとんど絶滅しかけてしまいました。もともと素晴らしい品質のワイン産地だったこともあり、2008年に「チェザネーゼ デル ピリオ」としてD.O.C.G.に昇格することになります。クオリティワインに高い興味を持つ世界各国からチェザネーゼへの関心が今、高まってきています。
『ワイン王国』掲載!ラツィオ初のDOCGチェザネーゼ デル ピーリオ
ジューシーでみずみずしさのある飲み心地の良さ
テヌータ デッラ イオリア チェザネーゼ デル ピーリオ スペリオーレ 2013 カサーレ デッラ イオリア
『ワイン王国』No.105の特集「すごい!イタリア全73DOCG103本」に掲載
テヌータデッライオリアのチェザネーゼデルピーリオスペリオーレ2013年が『ワイン王国』No.105の特集「すごい!イタリア全73DOCG103本」に掲載されました!
日本を代表する5名のイタリアワインのプロフェッショナルのテイスターによる試飲でイタリアワインの魅力である多様性や土着品種の個性を存分に紹介されています!
躍進目覚ましい土着品種の赤ワイン
テイスターの宮嶋勲氏は「チェザネーゼデルピーリオは、ローマ県からその南に隣接するフロジノーネ県にかけての地域を産地とし、近年躍進が目覚ましいDOCGです。私自身、チェザネーゼは好きな黒ブドウのひとつですが、残念ながら、日本で大人気になるという品種ではないようです。このワインはそれほど重たくなく、料理に寄り添って支えて食えるという印象です。」と紹介しています。
二人のテイスターがテイスターベスト10に選出
リストランテクロディーノ代表取締役黒田氏とオルトレヴィーノオーナーソムリエの古澤氏はテヌータデッライオリアのチェザネーゼデルピーリオスペリオーレをベスト10に選出!「熟したイチゴ、ドライフルーツ、白コショウ、甘草、ヴァニラ、スパイス、バルサミコの香り。豊富なタンニンとしっかりした味わい(黒田氏)。」「古代ローマ時代にまでさかのぼる土着ブドウながら長く忘れられていた。みずみずしく軽やか。チャーミングで心地いい(古澤氏)。とこのワインの魅力を語っています。
ジューシーな質感のみずみずしさのあるチャーミングな味わい
標高260メートルのアニャーニの畑のチェザネーゼダッフィーレを10月の中旬に収穫。ステンレスタンクで発酵の後、旧樽熟成。チェリーやイチゴジャム、ドライハーブ、スパイスなどの香り。赤い果実の柔らかでチャーミングな味わい。酸とタンニンはしっかりと感じられますが、みずみずしさのある美味しさ。「赤い花やしなびたスミレ、熟れたイチゴ、スパイスの香りがあり、みずみずしくアタックも柔らかくてチャーミングなワインです。合わせる料理はサルティンボッカ、またトマトをたっぷりと使ったポモドーロスパゲッティや、ラツィオの伝統食アマトリチャーナなどの食べ応えのあるパスタなどトマトと相性が良いと思います(内藤氏)。」