フレスコバルディ家がモンタルチーノで展開する「ルーチェ」。スーパートスカン「ルーチェ」からスタートし、その後「ルチェンテ」がリリース。そして、モンタルチーノの象徴でもある「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」の生産も開始。近年ではカベルネソーヴィニョンを使った新たなスーパートスカン「ルックス ヴィティス」も誕生しました。自然との共生がテーマのルーチェ専用のカンティーナも完成し、さらなる発展を続けています。
2022年9月12日、アジア太平洋担当輸出部長アルベルト オレンジア氏が来日。ルーチェの最新ヴィンテージ2019を始めルーチェ デッラ ヴィーテの4種類のワインをヴィンテージの特徴の説明をして頂きながら試飲しました。
ルーチェ デッラ ヴィーテはロバート モンダヴィとヴィットリオ フレスコバルディという二人のビジョナリストが出会ったことで始まりました。二人とも伝統を持ちながら、革新的な考えもする人物です。場所はモンタルチーノ。フレスコバルディが「テヌータ ディ カステルジョコンド」としてブルネッロ ディ モンタルチーノを造っている場所です。
畑の標高は230~420mで、標高の高いところはガレストロ土壌でサンジョヴェーゼを、重い粘土質は低いところに集まるため、低いところにはメルローが植えられています。
畑は有機栽培を行っています。畑には極力干渉しないことを大切にし、最近完成したカンティーナも自然に溶け込んだ設計となっていて、屋根は緑で覆われています。このおかげでワイナリーの温度が低くなり、湿度も保たれています。
ブドウは区画ごとに手摘みで収穫し、カンティーナに運ばれます。選果台でさらに良い粒だけを選別します。発酵は天然酵母で自然に発酵させています。
ルチェンテは“ルーチェのセカンド”と言われることもありますが、私たちはルーチェのセカンドとしてではなく、ルチェンテそのものを楽しんでもらうワインとして位置付けています。コンセプトはアプローチのしやすさ、飲み心地の良さで、喜ばしい心地よい果実味があるのがルチェンテの個性です。2019年は75%メルロー、25%サンジョヴェーゼです。ルーチェとは違う畑のブドウになります。
2019年はローラーコースターのように色々なことが起こったヴィンテージです。冬は寒く、乾燥していましたが、2月は非常に暖かくなり、春には例年通り集中豪雨がありました。例年よりも気温が低かったため発芽は遅れ、5月は特に雨が多く、6月は例年よりも暖かく、7~8月は何度か雹が降りました。収穫期になると天候は落ち着き、ヴィンテージへの期待が高まりました。
チャレンジングなヴィンテージでしたが、きちんとした丁寧な仕事をしたおかげで綺麗にまとまることができたヴィンテージになります。
若々しい果実のアロマ、しっかりとしたフレッシュな甘い香りが感じられます。滑らかでやわらかなタック、程よい凝縮感とタンニンがあり、サンジョヴェーゼ由来のスパイシーなニュアンスや酸などもしっかりと感じられます。アルコール度数は高いのですがそれを感じさせないのはこの果実感とタンニンのおかげです。
ルーチェ2019
ルーチェは、「モンタルチーノにはなかったワインを造る」というコンセプトから始まりました。ルチェンテには甘さやソフトさなどが感じられたと思いますが、ルーチェからは厳格さが漂います。
こちらも2019年になります。香りも味わいもルチェンテに比べて濃密感と強さがあります。旨み、酸がしっかりと舌に残ります。ヴィンテージはまだ若いのですが、深みや力強さが感じられ、果実味もフレッシュさよりは熟した果実感が感じられます。熟成は24ヶ月間樽(20%新樽)で行います。以前は3年間樽熟成をしていたこともありますが、今は2年間にしています。
2017年は平均的なヴィンテージでした。爽やかな春に続き、温暖で雲一つない晴天の多い、乾燥した夏が訪れました。メルローの畑の粘土室土壌は、ブドウ樹に適度に水を供給し、それが暑さ由来のストレスを軽減しました。9月中旬のにわか雨は、ブドウの完璧な成熟の助けとなりました。
ルチェンテやルーチェに比べ、色が明るめです。ブルネッロは単一畑「マドンニーノ」のサンジョヴェーゼ100%で造ります。凝縮感を持ち、上品な味わいです。口当たりはなめらか、サンジョヴェーゼ由来の酸がしっかりとありますが、きれいに果実味に溶け込んだバランスの良い味わいです。スラヴォニア産の大樽で熟視させています。まだ若いヴィンテージですのでこれから変わっていくと思います。
カベルネソーヴィニョン主体で造る新たなワイン「ルックスヴィティス」です。2015年が初ヴィンテージになります。カンポルンゴの畑のカベルネソーヴィニョンを使っています。先ほどもお話しした通り、2017年は平均的なヴィンテージ、2019年はローラーコースターのように変化のあったヴィンテージです。(2019年は日本未リリース)
2017年は力強く、黒系果実を思わせる香りにミントやユーカリなどのハーブのニュアンスがあります。まろやかなアタックに続き、しっかりとしたタンニンが感じられます。茶葉の風味もあり、複雑味のある綺麗な味わいになっています。
2019年はまだ若いですね。樽のミルキーっぽいニュアンスがあり、ジューシーな印象です。美しいヴィンテージなのでこれからの熟成が楽しみなヴィンテージです。
どちらも醸造方法は同じです。アルコール度数は2017年が14%、2019年が14.5%になります。