プリミティーヴォはクロアチアのバルカン半島にあった黒ブドウが、プーリアに渡り「プリミティーヴォ」として根づきました。アメリカにあるジンファンデルと呼ばれる黒ブドウとは双子のようなもので、同一DNAと判明しています。当時アメリカのゴールドラッシュの時代にオーストリアの苗木研究所から持ち込まれています。育つ環境（気温、日照量、雨量、土壌）の違いから、本質は似ていますが、エレガントさを感じるものがプリミティーヴォには多いです。他にカンパーニア州、一部ラツィオ州でも生産しています。

プリミティーヴォはラテン語のプリマティヴィス、イタリア語のプリマティッチョの「早生」、「最初の」という言葉を語源とし、その名の通り成熟が早い品種です。また、ブドウの実が一粒毎に熟度が違うのも特徴です。病気やカビにも弱く、収穫時期を数日誤ると実が萎み急激に酸が落ちるので繊細な品種でもあります。

プリミティーヴォの主要生産地として、2つ著名な生産地があげられます。アペニン山脈を挟んでアドリア海寄りのプリミティーヴォ ディ マンドゥーリア。そして山を越えた丘陵地帯のジョイア デル コッレです。

プリミティーヴォ ディ マンドゥーリアDOC
辛口でプリミティーヴォ85％以上使用。石灰質と粘土質の赤土土壌で、保水力がある地質です。伝統的な造りをすると、濃厚で甘さを感じる赤果実のアロマが主体でアルコール感が非常に高くなります。タバコやローズマリー、黒胡椒などハーブのニュアンスもあります。

ジョイア デル コッレDOC
プリミティーヴォ ディ ジョイアDOCとしては白、赤、ロゼとあり他のブドウとのブレンドも可能ですが、プリミティーヴォと表示する場合100％使用します。海寄りのマンドゥーリアに比べ、250ｍ－500ｍの丘陵地帯で石灰質の畑で育てられ、水はけが良い土壌です。豊かなアロマを持ち繊細で酸味もしっかりある味わいになりやすく、アルコール感も控えめです。

プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア ドルチェ ナトュラーレは、プリミティーヴォ種による唯一のDOCGを名乗れる甘口ワインです。その非常に滑らかで上質な甘さを持つワインの品質が認められて2011年にDOCGに昇格しました。

自然な糖度という意味で、ブドウを乾燥させて糖度を上げる手法を用います。この手法のワインを総じてパッシートと言います。アマローネのように棚で陰干ししたりもしますが、プーリアでは樹の上に生っているまま収穫時期を遅らせて乾燥させます。そのため光合成を続けながら自然な糖度をあげつつ、水分を減らす事が出来ます。熟度が高いので種まで完熟しタンニンもまろやかで甘やかなものに変わります。

プリミティーヴォ種のワインは、フレッシュな明るい果実味と滑らかなタンニンを持ち、その親しみやすさが最大の魅力。フードフレンドリーなワインが多いです。特にトマトを使ったお料理との相性は抜群、プーリア名産であるブッラータチーズとトマトの生ハムのサラダ。カジュアルにマルゲリータピッツァ。トマトソースのパスタは、魚介でもお肉でもいいですね。メインディッシュとしてはお肉全般楽しめますが、四つ足のものがより合わせやすく、現地では仔羊のローストなどをよく食べられています。

ハーブや黒コショウのニュアンスやトマトをポイントにして、様々なお料理とともに是非お楽しみ下さい！