1963年制定されたイタリアのワイン法は、そもそも「イタリアの歴史や伝統を守ろう!」という考え方でした。そのため土着品種を使い、伝統的な醸造方法で造られるワインが主流となっていた時代が続いていました。そんな中、ワイン法にとらわれずに造られたスーパータスカンの誕生とその成功は、イタリアワイン界に革新を起こしました。スーパータスカン誕生から50年ほど、長期熟成にも耐えうることを証明し、近年更なる注目を集めています。
スーパータスカンの世界
1.DOC、DOCGを名乗らない分類(IGTまたはVINO)に属する事
※サッシカイアなど例外もある
2.国際的に成功し人気になった事
3.高価で高品質なワインにあたる事
世界に席巻することとなった大きな要因は、誰にでも理解しやすく、親しみやすい味。かつ長期熟成も可能でワインラバーを納得させるワインの構成力があったという事です。
スーパータスカンという言葉が出たのはイギリスのワイン市場でジャーナリストが「スーパー ヴィノ ダ ターボラ」(とんでもないテーブルワイン)と呼びはじめたことがきっかけとなりました。その後アメリカ人が国内市場で、トスカーナで出来たボルドータイプのワインの代名詞として「スーパータスカン」を使い始め定着しました。
スーパータスカンの始まり
スーパータスカンの元祖といえば、1968年リリースのサッシカイア。元々の所有者インチーザロケッタ伯爵は、大のボルドーワイン好きとして知られておりシャトー・ラフィット・ロートシルト家のカベルネ ソーヴィニヨンの苗木を植えたことからサッシカイアの歴史は始まりました。マリオの息子のニコロは、アンティノリより醸造家ジャコモ タキスの紹介を受けます。2人はボルゲリという土地の可能性を信じ、最新の設備と醸造技術を用い美味しさを追求したワイン造りを行いました。出来たワインがサッシカイアです。イタリアのワイン法の規定外のワインでした(当時ボルゲリDOCは白のみだった為)。
名門アンティノリも安酒の立ち位置に甘んじていたキャンティクラシコから脱却するべく手段を考えていました。その中アメリカのロバートモンダヴィと出会いがきっかけとなり、サンジョヴェーゼの熟成に小樽を使用します。かつ昔から植えられていた樹齢の高いカベルネ ソーヴィニヨンをブレンド。1971年にティニャネロ誕生させました。当時のワイン法ではDOCGキャンティクラシコは白ブドウ品種の使用が義務付けられていたので、こちらもテーブルワインとして売り出すことにしました。
1977年リリースのレ ペルゴル トルテは、また違う側面からスーパータスカンとされました。国際品種の使用ではなく、サンジョヴェーゼの可能性を信じたモンテヴェルティーネがブレンド必須であったキャンティの規定を捨てて、サンジョヴェーゼ100%のテーブルワインを販売、脚光を浴びたのです。
スーパータスカンがスーパーに成りえた理由
世界中を飛び回るワインメーカー ミッシェルロランの言葉を借りると、ボルドーで30年かかるブドウのポテンシャルをボルゲリは15年で発揮する。という程に土地のエネルギーが良いことを表しています。他の国の銘醸地が高騰してしまっている中で、比較的安価だったボルゲリには、次々と新規生産者が現れ群雄割拠する一大生産地へ転身。それはトスカーナ全土に広がり様々なスーパータスカンが生まれています。
更なる進化が続く スーパー タスカン
2000年代に入ると土着品種へ再注目・原点回帰が求められるなどの時代の流れにより、スーパータスカンに厳しい目が向けられたりと革命児として常に話題をかかない存在です。今日もスーパータスカンは、そのストレートな美味しさにより、名実ともにイタリアワインのトップとして君臨し続けています。
スーパータスカンと料理
ワインをメインで楽しむお供として、チーズをとてもお勧めします。スーパータスカン、特に国際品種のタイプのものは甘味や濃度が高いので、ペコリーノ ロマーノや、熟成したコンテ、パルミジャーノレジャーノのようなハードタイプがお勧めです。塩気と滑らかさがワインと混ざりよりグラスが進みます!
イタリアでは唯一単独のワインとして「ボルゲリ サッシカイア」DOCに認定!唯一無二のスーパートスカン「サッシカイア」 |
テヌータ サン グイド(サッシカイア) |
サッシカイア |
イタリア最高峰と讃えられるスーパートスカン「サッシカイア」。世界中に大熱狂を巻き起こし、イタリアでは唯一単独のワインとして「ボルゲリ サッシカイア」DOCに認定。イタリアワインの歴史を大きく変えました。世界で最も有名なイタリアワインとの呼び声も高く、数十年にわたりイタリアワインの頂点として君臨し続ける偉大なワインです。 |
サンジョヴェーゼとカベルネ ソーヴィニョン、カベルネ フランのブレンドで造られる アンティノリの歴史的スーパートスカン「ティニャネロ」 |
テヌータ ティニャネロ (アンティノリ) |
ティニャネロ |
「サンジョヴェーゼの魅力を最もよく表現するため」独自の道を追求していたアンティノリが、国際品種のブレンドに踏み切った革新的なワイン「ティニャロ」。世界的にもトップクラスのワインで別格の存在感を示しています。アンティノリの飽くなき情熱と長年受け継がれてきた精神を象徴するワインです。 |
毎年変わる女性のラベル!サンジョヴェーゼ100%スーパートスカンの先駆けワイン「レ ぺルゴーレ トルテ」 |
モンテヴェルティーネ |
レ ペルゴーレ トルテ |
「サンジョヴェーゼだけでワインを造りたい」とキャンティ協会を脱退したモンテヴェルティーネが造る「レ ペルゴーレ トルテ」。サンジョヴェーゼ100%で造るスーパートスカンの先駆け的存在であり、ゆるぎない地位を確立しています。毎年変わる女性のラベルデザインは、多くのコレクターを夢中にさせています。 |
「三大ボルゲリ」と言われるオルネッライアのスーパートスカンの代表格! |
オルネッライア |
オルネッライア |
サッシカイア、グラッタマッコとともに「三大ボルゲリ」と言われ、突出した品質の国際品種を育むオルネッライア。ワイナリー名を関する「オルネッライア」は、ボルゲリには珍しく国際品種とサンジョヴェーゼをブレンドしています。1985年に誕生以来、トスカーナの最高峰に立ち続ける伝説的なワインです。 |
三大ボルゲリと称される「グラッタマッコ」のスーパータスカン「ボルゲリ ロッソ スペリオーレ」 |
グラッタマッコ |
グラッタマッコ ロッソ ボルゲリ ロッソ スペリオーレ |
サッシカイア、オルネッライアと共に3大ボルゲリと呼ばれる「グラッタマッコ」。国際品種が主流で、サンジョヴェーゼ栽培が難しいとされるボルゲリの中で、標高の高い畑を所有する強みを生かし、トップキュヴェ「グラッタマッコ」にもサンジョヴェーゼを使用。エレガントさが光るしなやかな味わいです。 |
モンタルチーノのサンジョヴェーゼとメルローで造るスーパートスカン「ルーチェ」 |
ルーチェ デッラ ヴィーテ |
ルーチェ |
名門「マルケージ デ フレスコバルディ」とアメリカ最大のワイナリー「ロバート モンダヴィ」による、最高級のスーパートスカン造りのために1992年に設立された「ルーチェ デッラ ヴィーテ 」。「ルーチェ」は、モンタルチーノで初めてサンジョヴェーゼとメルロをブレンドして造られたワインです。ファーストヴィンテージは1993年。以来、偉大なワインとして輝きを放ち続けています。 |
イタリアワインを変えた1本!「レ マッキオーレ」のカベルネフラン100%スーパートスカン「パレオロッソ」 |
レ マッキオーレ |
パレオ ロッソ |
ボルゲリではボルドー品種をブレンドする造り手が多い中「レ マッキオーレ」は、単一品種で造ることこそがテロワールとヴィンテージの個性を忠実に表現することができると信じていました。2001年に念願のカベルネフラン100%ワイン「パレオロッソ」をリリース。その魅力に世界中が絶賛!「パレオロッソ」は、ボルゲリの歴史を変えた偉大なワインです。 |
トゥア リータが造る“メルロー100%スーパートスカン”のアイコン的存在「レディガフィ」 |
トゥア リータ |
レディガフィ |
ワインガイド誌で100点満点を数多く獲得した伝説的メルロー「レディガフィ」は、イタリア最高峰メルローとしての地位を不動のものにし、常に世界中から注目を集めるスーパータスカンです。トゥア リータは、1984年に設立された新進気鋭の家族経営の生産者です。国際品種で造られたワインを輸出向けに造る!という強い信念を持ち、当時無名のトスカーナ・スヴェレート地区より少数気鋭の質にこだわり抜いたワインを世に送り出しています。 |
サンジョヴェーゼに異常なこだわりを持つ「フォントディ」が造る サンジョヴェーゼ最高峰スーパートスカン「フラッチャネッロ」 |
フォントディ |
フラッチャネッロ デッラ ピエヴェ |
キャンティクラシコの銘醸地パンツァーノ イン キャンティの造り手フォントディは、サンジョヴェーゼに異常なこだわりを持つ生産者として有名です。パンツァーノ地域のサンジョヴェーゼに精通し、その潜在性を引き出す名手。フラッグシップでサンジョヴェーゼの最高傑作と名高い「フラッチャネッロ」は、“サンジョヴェーゼの真髄”と讃えられています。 |
ブルネッロの偉大な造り手アルジャーノのスーパータスカン「ソレンゴ」 |
アルジャーノ |
ソレンゴ |
ブルネッロの偉大な造り手としても知られる「アルジャーノ」が造るスーパートスカン「ソレンゴ」。カベルネ ソーヴィニヨンを主体に4種のブレンドが絶妙な味わいを生んでいます。1995年に誕生し、イタリアのワイン史にその名を刻む革新的なワインとしての地位を確立しています。 |