ピエモンテ州栽培面積No.1品種「バルベーラ」地元民が愛飲するフードフレンドリーな赤ワイン!その特徴とおすすめ10選

2024/07/09

乾杯
日常酒として、ピエモンテの人々に圧倒的支持を集めるのが、バルベーラ種から造られる赤ワインです。食事に寄り添い、いつ開けても楽しめるという親しみやすいワインが多くみられます。近年では、長期熟成も可能な品質に特化したワインも造られるようになり、世界的人気も高まりました。

ピエモンテ州のワインと言えば、ネッビオーロ種から造られるバローロとバルバレスコが有名ですが、バルベーラ種は、ピエモンテ州栽培面積No.1のブドウ品種で、イタリア全土でも黒ブドウ品種栽培面積No.4と非常に人気のある品種です。

バルベーラ種の魅力

バルベーラ種は、ピエモンテ州モンフェッラート地方が原産と考えられています。資料が少なく文献に登場したのは、13世紀になってからということで、比較的新しい品種ではないかと言われていますが、遺伝学的に他のピエモンテ州のブドウとの関係性が見つけられず、その起源は謎に包まれています。

収量も多く、品質も安定している為、19世紀にフィロキセラが猛威を振るった時代ネッビオーロに代わり、重宝されたと言われています。一時は、サンジョヴェーゼに次ぎ、イタリア黒ブドウNo.2まで栽培面積を伸ばしていました。

また環境適応力も高く、様々なクローンやバイオタイプが見つかっています。イタリア移民によって持ち出されたバルベーラ種は、南米を中心にカリフォルニアやオーストラリアで栽培が行われており、世界的に成功した数少ないイタリア土着品種といえます。
バルベーラ

バルベーラ種の最大の特徴は、高い酸と濃く輝くルビー色。過去には、バルバレスコやタウラージの補助品種としても使われていたことがあり、今でもブレンド用としてロンバルディア州やエミリア・ロマーニャ州などを中心に活躍しています。

バルベーラ100%のワインは、原産地モンフェッラート周辺のピエモンテ州の南東部で多く見られます。一昔前は、軽やかな微発泡性のタイプが主流とされており、酸味が強く、普段飲みの素朴なワインとして人々の生活に溶け込んでいました。あまりにも高い酸は、長年醸造家たちを悩ませる種のひとつでしたが、収量を抑えた栽培方法やバリックを用いた醸造方法などを導入することによって、飛躍的に品質を向上させました。今では、果実味と中程度のタンニンが調和を奏でる中、酸は心地良く感じられるようになりました。また品質に拘り抜かれた長期熟成も可能な偉大なワインも造られるようになり、国際市場でもその存在が認められています。地球温暖化が進む中、酸を維持できるバルベーラ種への期待は高まるばかり、今後とも注目の品種です。

ピエモンテ 3大産地の特徴とDOP

その素晴らしい景観がユネスコ世界遺産にも登録されているピエモンテ州の南東部の広い範囲で栽培が盛んなバルベーラ種には、必ず名前の上がる3つの銘柄が存在します。それぞれの特徴と各地域で造られるDOPについて簡単に説明します。

3つのOPピエモンテ州地図

バルベーラの一大生産地アスティ
バルベーラといえばアスティ。ここで育つバルベーラは昔から評判でした。バローロ・バルバレスコを生産するために良い区画にネッビオーロを植える傾向が強いアルバ周辺の地域とは異なり、アスティ県では、最良の畑に植えられたバルベーラを長年大切に守ってきました。エレガントなタイプからチャーミングな果実味が楽しめるものまで味わいはバラエティに富んでいます。総じてしなやかさや凛とした気品が感じられます。

【DOCG バルベーラ・ダスティ】
2008年にDOCGに昇格。バルベーラ90%以上。他フレイザ、グリニョリーニョ、ドルチェット10%。最低アルコール度数12%。
スーペリオーレは、最低アルコール度数12.5%。法定熟成期間は、14ヵ月うち木樽6ヵ月。
ソットゾーナ特定地域(ティネッラ、コッリ アスティアーノ)は、ラベルに地域名を表記できる。収量制限や最低アルコール度数、法定熟成期間などの規定が異なる。

バルベーラの聖地 ニッツァ・モンフェッラート
ここで育つバルベーラは異彩を放っており、バルベーラの聖地とされています。この地域のバルベーラは、繊細さが際立つものや凝縮感に抜きに出たものがあります。凝縮感に大きな影響を与える収量。DOP別の収量制限をみると、ニッツァが1ヘクタール辺り49ヘクトリットル。バルベーラ・ダスティは、63ヘクトリットル、バルベーラ・ダルバは、70ヘクトリットルとなっています。厳しい収量制限がされたニッツァでは、熟成を要するタイプも多く生産されています。

【DOCG ニッツァ】
長らくバルベーラ・ダスティのサブゾーンでしたが、2014年に新しくDOCGに制定されました。170ほどの村がバルベーラ・ダスティを名乗れますが、ニッツァの名は僅か18村に与えられています。
バルベーラ種100%。最低アルコール度数13%。法定熟成期間は、18ヵ月うち木樽6ヵ月。
リゼルヴァは、最低アルコール度数13.5%。法定熟成期間は、30ヵ月うち木樽12ヵ月です。

豊かな果実味と包容力 バルベーラ・ダルバ
バルベーラ・ダスティと対比して語られることが多い、バルベーラ・ダルバ。クーネオ県、ランゲ地方の北東部で造られています。開けたてから楽しめるものが殆どで、ふくよかさや温かみを感じさせる包容力があります。可憐な果実味から濃厚な果実味といった具合にテロワールの違いが感じられます。バローロやバルバレスコの有名生産者がつくるバルベーラには、定評があり生産者の魅力が反映されています。

【DOC バルベーラ・ダルバ】
バルベーラ85%以上。ネッビオーロ最大15%。最低アルコール度数12%。
スーペリオーレは、最低アルコール度数12.5%。法定熟成期間は、12ヶ月うち木樽4ヵ月。
ソットゾーナ(カステッリナルド)は、ラベルに地域名を表記できます。細かい規定が異なります。

ピエモンテーゼの食卓に欠かせない「ラ バルベーラ」

バーニャカウダ

バルベーラ種は、イタリアブドウの品種名に珍しい女性名詞です。皆から「ラ バルベーラ」と敬愛を込めて呼ばれています。地元ピエモンテの人々の食卓に欠かすことのできない存在で、前菜からパスタ、メインディッシュと食事を通して楽しまれています。牛肉のタルタルやバーニャカウダー、ミートソースのパスタやラビオリ、カツレツやシンプルに肉をボイルした郷土料理との相性はお墨付きです。酸の高いバルベーラは、総じてトマトやヴィネガーとの相性が良いです。魚介類は、南蛮漬けやバターソテーにしたり、香ばしくグリルしてみるのも面白そうです。バルベーラの最大の魅力は、その凡庸性です。ぜひ手に取ってみて下さい。

品種のイメージを覆す滑らかさと骨格!バルベーラの歴史を変えたブライダの「ブリッコ デル ウッチェッローネ バルベーラ ダスティ」

ブライダ

ブリッコ デル ウッチェッローネ バルベーラ ダスティ

ブリッコ デル ウッチェッローネ バルベーラ ダスティ

現在のバルベーラワインの繁栄に欠かすことのできないワインが、ブライダ社の「ブリッコ デル ウッチェッローネ」です。今では“バルベーラの父”と呼ばれる創立者の故ジャコモ ボローニャ氏は、バルベーラの大量生産の安売りワインという立場を憂い、バルベーラの可能性を信じ改革を行いました。収量制限やバリックなどあらゆる新しい技術を導入し、バルベーラから誰もが認める偉大なワインを生みだしました。豊かな果実味とコクのある味わいで、品種のイメージを覆す滑らかさと骨格を持ちます。

優良生産者ヴィッラ ジャーダの秀逸!品種の良い特徴がギュッと詰まった「スリ バルベーラ ダスティ」

ヴィッラ ジャーダ

スリ バルベーラ ダスティ

スリ バルベーラ ダスティ

知る人ぞ知るバルベーラの優良生産者「ヴィッラ ジャーダ」 「スリ」は太陽があたる場所をという意味があります。南向きの非常に良い斜面の畑のブドウを使います。ステンレスタンクのみで醸造を行いバルベーラの魅力を最大限に引き出しています。完熟ブドウから得られる質の良いタンニンをしっかりと果皮から抽出することにより、バルベーラらしい甘味のあるタンニンが心地よい円やかさを形成します。純度の高い果実感と抜群のバランスを保ち、しっかりとしたボディながら魅力的な飲み心地を実現しています。

代々長熟型のバルベーラを造り続けるトリンケーロの代表作!樹齢80年を超える古樹による「ヴィーニャデルノーチェ」

トリンケーロ

バルベーラ ダスティ ヴィーニャ デル ノーチェ カスターニョ

バルベーラ ダスティ ヴィーニャ デル ノーチェ カスターニョ

トリンケーロは、昔ながらの伝統を堅持。有機栽培を行い、酸化防止剤の使用を極力抑えた自然なワイン造りを行っています。また熟成に拘りを持っており、この「ヴィーニャデルノーチェ」は、樹齢80年を超える古樹の力により、20年以上の熟成にも耐えうる酒躯を持つとされています。まろやかで程よい力強さと複雑さを持つボリュームのある味わいを感じます。果実味、酸味、旨味、全ての調和が取れ、余韻も長く、充実感のある風味です。飲み頃に入ってからリリースされる貴重なバルバーラでもあります。

聖地ニッツァDOCGの第一人者「ミケーレ キアルロ」が造るバルベーラ最高峰「ラ コルト ニッツァ リゼルヴァ」

ミケーレ キアルロ

ラ コルト ニッツァ リゼルヴァ

ラ コルト ニッツァ リゼルヴァ

ピエモンテを代表する生産者のひとりでもあり、ニッツァDOCG認定に大きく貢献したといわれるミケーレ・キアルロ社の「ラ コルト ニッツァ リゼルヴァ」。モンフェラートでも最も重要な畑といわれるラ コルトで厳しい品質管理をされ育ったブドウが持つ、上質な酸ときめの細かさが、このワインの特徴です。長期能力にも長けており、10年以上待っても楽しめますが、若いうちからも気品に溢れる姿は、バルベーラのワインの最高峰といえます。

ニッツァの先駆者コッポが引き出す優れた骨格と凝縮感溢れる味わい「ポモロッソ ニッツァ」

コッポ

ポモロッソ ニッツァ

ポモロッソ ニッツァ

1892年創業の歴史的名門ワイナリー「コッポ」のフラッグシップ!最高峰バルベーラ「ポモロッソ ニッツァ」は、バルベーラ種の長期熟成能力をいち早く世界に発信したワインのひとつです。新樽で約15ヶ月間熟成させています。非常に濃い凝縮した色合いを持ち、果実感にバニラや胡椒のスパイス感を感じます。バルベーラの魅力が詰まっており、しっかりとした酸が重厚感とエレガントさを共存させています。長期熟成も楽しみなワインです。

地元で愛されるロングセラーアイテム!名門フォンタナフレッダのバルベーラ ダルバ

フォンタナフレッダ

バルベーラ ダルバ

バルベーラ ダルバ

一世紀以上トップとして君臨し続けるバローロのリダー的存在「フォンタナフレッダ」のノウハウが詰まった品質の高さと期待を裏切らない安定感が魅力のバルベーラ ダルバです。コストパフォーマンスの良さが高い指示を受け、地元ピエモンテでも愛されて続けているロングセラー商品です。アルバ地区の粘土質と石灰質の混ざった泥灰土壌の畑に栽培されているバルベーラを使用。やわらかい果実味とイキイキとした酸。毎日飲んでも飲み飽きしないバランスのとれた美味しさです。

19世代続くバローロの名門「モンテツェモロ」が造る柔らかなタンニンと凝縮果実が調和する上質な飲み心地のバルベーラ ダルバ!

コルデロ ディ モンテツェモロ

バルベーラ ダルバ

バルベーラ ダルバ

1340年から19世代の歴史を誇る名門「コルデロ ディ モンテツェモロ」のバルベーラダルバです。特徴の異なる各地の畑(バローロ、ランゲ、ロエロ)のブドウをブレンドし、熟成も新樽、旧樽、小樽、大樽、様々なタイプの樽を採用することによってバランス感に優れた味わいに仕上げています。果実味豊かでふくよかな味わい、セージ、スパイスなどボタニカルな要素も感じられます。柔らかいタンニンが綺麗に溶け込んだ飲み心地の良さが魅力です。

力強さと果実感に溢れる贅沢な味わい!ピエモンテの新星ムステラが造る、口当たりの柔らかなバルベーラ ダルバ スペリオーレ「ルビア」

ムステラ

バルベーラ ダルバ スペリオーレ ルビア

バルベーラ ダルバ スペリオーレ ルビア

熱きパッションを持つピエモンテの新星ムステラが造るバルベーラ ダルバ スペリオーレ「ルビア」です。バルバレスコにほど近いトレッツォ ティネッラ村で、洗練された畑仕事を行い完全に熟した最高品質のバルベーラを収穫。新樽の使用率にこだわった巧みな樽熟成は、開けたてから素晴らしいパフォーマンスを見せてくれます。口当たりは柔らかく、素晴らしい力強さと果実感に溢れる贅沢な味わいです。

高いコストパフォーマンスが人気のテッレ デル バローロが造るフレッシュな果実味が楽しめるバルベーラ

テッレ デル バローロ

ピエモンテ バルベーラ

ピエモンテ バルベーラ

高いコストパフォーマンスを実現させる大規模生産者協同組合「テッレ デル バローロ」のバルベーラです。DOCピエモンテになります。バルベーラの持つ典型的な果実味を抽出することに目を向けて造られています。こちらは日本向けにイタリアより約2年遅らせてリリースされており、フレッシュな果実味にまろやかさが加わり、柔らかな飲み心地に仕上がっています。バルベーラ種のストレートな美味しさが1000円台前半で楽しめるとあり、トスカニーでも大人気のアイテムとなっています。

ブライダが造り続ける伝統的な微発泡バルベーラ!ピエモンテの食卓で愛される「ラ モネッラ」 バルベーラ デル モンフェラート

ブライダ

ラ モネッラ バルベーラ デル モンフェラート

ラ モネッラ バルベーラ デル モンフェラート

バルベーラのパイオニア「ブライダ」が造るデイリーバルベーラ「ラ モネッラ」。ピエモンテの人々の生活に溶け込む昔ながらの微発泡性のバルベーラです。シンプルで飽きのこない心地よい果実味と程よい酸味、別名「ヴィーノ デッラ パンチャ(満腹にさせるワイン)」と呼ばれる抜群の飲み心地をお楽しみください。冷やして飲むのもお勧めです。こちらは、DOCバルベーラ デル モンフェッラートになります。