アブルッツォとの州境にある、マルケ州南部アスコリピチェーノのカストラーノ村に本拠地を構える自然派"ヴァルテル マットーニ"による「トレビエン」です。この地では元々糖度補充の為に植えられていた樹齢45年以上のトレビアーノを使用。9月末に収穫した完熟ブドウのみを、約10日間マセラシオンを行い12-14ヶ月一部古バリックで熟成させています。フレッシュで風味豊かな味わい。年産1,500本のみ造られる稀少なトレビアーノです。この年は『ドクターワイン』で97点獲得しています（2018ヴィンテージ）。

トレビアーノは今では非常に珍しい樹齢45年以上の古い畑からマッサルセレクションで移植したもの。場所はカストラーノ村の標高250mで南斜面、砂質と粘土が混じりあったローム層の土壌で0.8haの規模です。9月末に完璧な熟度のブドウのみ厳選して収穫。ステンレスタンク（一部入りきらなかったブドウは古バリック）で発酵。マセラシオンは約10日間行い、果皮の旨味、タンニンをワインに移します。熟成もそのままステンレスタンク（一部古バリック）で12-14ヶ月実施。ノンフィルターでボトリングしています。

「ヴァルテル マットーニ」はアブルッツォとの州境にある、マルケ州南部アスコリピチェーノのカストラーノ村に本拠地を構える自然派の造り手です。この村で代々、レンガ作りを行ってきたマットーニ家（マットーニはレンガの意）の当主ヴァルテルは大工として生計をたてています。彼のワイン造りは、お爺さんの代のワイン造りと設備的には変わりません。ポンプも無いので、全て手作業で移し替え。プレス機も主導なので電動機械はない昔の家庭と同じワイン造りを行っています。

1980年代まではマットーニ家も家でワインを造っていましたが、祖父の衰弱の為、畑は耕作放棄され、ワイン造りの伝統は途絶えました。しかし1997年、友人でワイン造りを始めていたオアジ デリ アンジェリが造る「クルニ」がガンベロロッソでトレビッキエリを獲得。世界的人気となり周囲を驚かせました。ヴァルテルと同じように伝統的に家でワインを造っていたオアジ デリ アンジェリの成功に刺激を受け、2000年に工房の一部を醸造所として登録。遂に自らのカンティーナ"ヴァルテル マットーニ"を設立し、祖父のワイン造りの再現に取り掛かりました。

ワイナリーはマルケ州の最南端、アスコリピチェーノ県にあるカストラーノ村。アブルッツォ州との州境にあり、アドリア海まで10km。トロント川に向かって、なだらかな南向き斜面になっています。西側にグランサッソ、マイエッラ山塊があり、東側にはアドリア海。南側はトロント川に囲まれ、暖かく潮を含んだ海風と冷たく乾燥した山風の両方の影響を受けます。土壌は砂と粘土が混じり合ったローム層で、ある程度の保水力があります。乾燥にも強く、ブドウの樹が焼ける事もありません。海に由来する石灰、小石を含み、マグネシウムが豊富。気候的にも土壌的にもブドウ栽培にとって優れた環境なだけに、ブドウの生育が良く、この地域の平均的収量は 100hl/ha とかなり多くなっています。ヴァルテル マットーニでは 40hl/ha と地域平均の1/2程度まで収量を制限して、表現力のあるワインを生み出しています。

収量を落とすのと同時に、ブドウが完璧な熟度になるまで収穫していません。収穫時期はブドウの種子、茎まで完熟するまで収穫を待つ必要があると考え、周囲の生産者の収穫が9月中旬なのに対して、ヴァルテル マットーニの収穫は10月中旬と1ヶ月遅いです。彼は早く収穫したブドウは要素が少ないので抑揚のないワインになってしまうと考えています。彼が造るモンテプルチャーノは、強く凝縮して色調も濃く、濃厚で重そうに見えますが、実際には酸度も高く、繊細なタンニンやスパイス、ミネラルがあるのでアルコールが高くてもテンションがあります。凝縮しているが甘くない、ミネラル、ヨード感を強く備えた、ヴァルテル マットーニ独特の世界観がここにあります。