2014年4月5日 フラテッリ デガーニ社訪問

2014/04/05
突撃インタビュー
 
2014年4月5日 フラテッリ デガーニ社

記念撮影
近年、世界的に人気が高まってきているアマローネ。イタリア最大のワイン見本市「ヴィーニタリ」が開かれる街ヴェローナの北、ヴァルポリチェッラと呼ばれてきた複数の渓谷で造られています。フラテッリ デガーニの畑はアマローネ クラシコのエリア内のヴァルガターラ、サンピエトロ イン カリアーノ、フマーネの3つの村にあり、今回は醸造所と新しく植樹をした標高600mを超えるフマーネの畑を見てきました。

クラシコが造られる6つの渓谷の中に分散して畑を所有

畑(醸造所から車で山をどんどん上っていき、いよいよ周りには何もない、と言う場所にデガーニの新しい畑がありました。晴れた日にはヴェローナの街が一望できるようなすばらしいパノラマで気持ちの良い空気が流れているのを感じました。)

デガーニの畑は約10haあり、全てクラシコ地区の中にあります。ひとつの場所ではなく、いろいろな場所に分散して畑があるのですが、醸造所のある場所からだいたい10㎞内にはあります。異なる場所に畑があるので、特に雹のリスクを分散できる利点があります。私たちの畑はネグラルに比べると雹は降らない方ですけどね。

ヴァルポリチェッラに最適な伝統的な仕立て法「ペルゴラ ヴェロネーゼ」。規定の収量よりも低く抑え、品質重視の栽培を続けている

伝統的な仕立て法「ペルゴラ ヴェロネーゼ」仕立てはペルゴラヴェロネーゼと言ってこの地方の伝統的な仕立て方法を主体にしています。1年を通して日光が当たるので、ここではグヨ仕立てよりも向いています。畑は標高120~180mのところから、600~700mのところまであります。新しい畑は高い標高の場所にあって、徐々に広げていっているところです。

標高が高いほど良質なブドウができるというわけではありません。ヴィンテージよって変わるので、見極めながらワインにしていきます。そして、良いワインを造るために私たちが行っているのは収量を落として品質の良いブドウを造ることです。

 

陰干しの品質を上げるための工夫

ブドウをのせて並ぶカゴアマローネを造るためのアッパッシメントを行う醸造所に行きました。)

9月に収穫して約100~110日、ここでアッパッシメント(陰干し)を行います。乾燥日数はヴィンテージによって変わりますが、良いブドウほど短めの陰干しになります。陰干しをすることで約30~40%の水分が失われます。

アッパッシメントの品質を上げるため、陰干しのためのスペースを広げ、環境を良くしました。ブドウを広げる入れ物は、より風通しがよく、清潔な穴あきのプラスティック製のカゴを取り入れています。(訪問時は陰干し期間ではないためこの穴あきカゴが高く積まれた状態でした。)

アマローネの搾りかすを規定の2倍使用するデガーニのリパッソ
ヴァルポリチェッラ クラシコ スペリオーレ リパッソ チチリオ 2011
ヴァルポリチェッラ クラシコ スペリオーレ リパッソ チチリオ  2011


リパッソは通常の赤ワインを造った後、アマローネの搾りかすを加えて再発酵(リパッソ)させて造る、ヴァルポリチェッラの伝統的な醸造方法です。ヴァルポリチェッラDOCの規定では、1リットルのアマローネからとれた搾りかすに対して、2リットルのリパッソを造ってよいとされていますが、私たちは1リットルのアマローネから1リットルのリパッソしか造りません。
試飲コメント:乾燥ブドウの上品なニュアンスがなめらかな甘みとともに広がる。しっかりとしたボディ。

ベーシックのアマローネは旧樽バリック
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ 2009
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ  2009


ベーシックのアマローネとクリュアマローネ「ラロスタ」はどちらも熟成は2年ですが、こちらは旧樽を使用しています。
試飲コメント:ベーシックのアマローネは濃密感と甘さがとてもエレガントでバランスよく、アルコール度の高さを感じさせないやわらかな美味しさ。

クリュアマローネは長めのアッパッシメント
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ ラ ロスタ 2010
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ ラ ロスタ  2010


ラロスタは乾燥期間が少し長めで、熟成には新樽を約50%使っています。
試飲コメント:クリュ「ラロスタ」はすごく香りが華やかで複雑。過度な凝縮感はなく、上品な重厚感。
インタビューを終えて
デガーニは「クラシコ地区に根付いた造り手」と評価されている造り手ですが、素晴らしい眺望の畑で説明を聞いていて、とても自然体にブドウを造っている人だと感じました。100年以上この土地でブドウを造リ続け、この土地が体に染みついているのだなと思います。そして、隣接している別の造り手の畑が、日照のことを考えて植樹しているデガーニの畑とは全く逆の方向に列になっているのを見て、「良い品質のブドウを造ることが最も大切」というのはこういうことの積み重ねでもあると感じました。

近年、アマローネやリパッソブームでイタリア各地でアッパッシメントを取り入れたワインが造られていることについて「リパッソはヴァルポリチェッラだけの醸造法だから、他の土地で造るワインをリパッソとは呼ばないでほしい」とおっしゃっていて、確かにそうだろうなあと思うと同時にリパッソの人気の高さを改めて実感しました。

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