2014年4月10日 ボアッソ ガブッティ社 オーナー フランコ氏
ボアッソ ガブッティ社訪問 |
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美しい丘陵地が広がるピエモンテのバローロ地区の東に位置するセッラルンガダルバ村にある小さなワイナリー「ボアッソ ガブッティ」。2013年のヴィーニタリで初めてそのワインを飲んで、すぐに直輸入を決めた造り手です。味わいの素晴らしさはもちろんのこと、その価格もとても良心的で「この価格でこれほどすごいワインが飲めてしまうのか」と驚きました。
今回、バローロの歴史的クリュ「ガブッティ」にあるワイナリーを訪問。セッラルンガ村の絶好の条件に広がる美しい畑に囲まれたカンティーナを見てきました。 |
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セッラルンガのクリュ「ガブッティ」の南東向きの最上の区画 |
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ワイナリーの名前の由来になっている「ガブッティ」はセッラルンガ村の中で比較的標高が高いところに位置する歴史あるクリュ。ボアッソガブッティは、その中の南東向きと言う最も恵まれた区画を所有しています。その単一畑は自宅に併設された醸造所のすぐ裏に広がっています。
バローロのクリュは波をうつように続いている丘陵地の連なりで、普通の人にはどこからどこまでが「○○のクリュ」で、どこから別のクリュになるなんてまずわかりませんが、この土地で生まれ育ったオーナーのフランコさんはバローロ中のクリュは全部わかるのだそう。 ちなみに、丘を越えたすぐ隣がフォンタナフレッダなどが所有するクリュ「ラッツァリート」だそうです。 |
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バローロの伝統的な「大樽熟成」。セッラルンガのテロワールを表現した力強いバローロ |
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所有畑7ha、年間生産本30000本と言う規模のワイナリーなので醸造所はこじんまりとしています。発酵用と熟成用のステンレスタンクが数個、そして熟成用の容量の異なる大樽が20個弱ほどしか見えません。自宅からいつでも状態をすぐに見に行ける場所に畑と醸造設備があり、自分たちだけでしっかり面倒が見られる規模のワインを造っていることを改めて感じます。
醸造にはバローロの伝統である大樽(20~30hl)だけを使います。 かつて一緒に仕事をしていたマルク デ グラツィアからバリックの使用を薦められたことがあったそうですが、かたくなに拒んだと聞きました。セッラルンガ村で造るバローロは力強さが特徴の長期熟成にふさわしいワイン。ガブッティのワインは時に「荒々しく激しい味」と評されますが、それは畑のテロワールを最大限に表現していることを意味します。何十年もここでバローロを造り続けているフランコさんが表現したい味なんだと思います。 |
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2つのクリュバローロとバローロセッラルンガ |
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ワイナリーの所在地にあるクリュ「ガブッティ」と、ガブッティから少し南の丘に位置するクリュ「マルゲリア」。ガブッティは1ha、マルゲリアは0.7haの単一畑。2つの畑の位置はほんの少ししか離れていませんが、飲み比べると畑の特徴の違いを実感できます。
ガブッティは濃密な果実やスパイシーなニュアンスのバローロらしい香りと、ダイナミックでこれぞセッラルンガ、という強いタンニンと骨格に圧倒されるし、マルゲリアは他のセッラルンガのバローロにはないと言われている華やかで複雑味のある魅惑的なアロマが特徴的。 そして、この2つのクリュ以外のセッラルンガ村のネッビオーロで造るバローロ セッラルンガ。セッラルンガならではの力強さと凝縮感をストレートに楽しめ、濃密でなめらかなタンニンとミネラル感がボリュームのある味わいにとけこんでいます。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
一番印象に残った言葉があります。
「ワインは畑で造られる。そして畑でやることと醸造所でやることを足した結果がワインになるわけではない。これをしたからこうなる、そういう算数のように単純なものじゃないよ、ワインは。」 生まれたときから畑に親しみ、セッラルンガを知り尽くしているフランコさんは、とにかく「畑仕事が一番大事」と考えています。その手はとても分厚くて、土を常に触っていることが伝わってきます。 真面目で丁寧で頑固。フランコさんの人柄とセッラルンガの持つテロワールの特徴はとても似ています。セッラルンガ村でバローロを造るために生まれてきた人だと感じました。 |
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2014年4月10日 ボアッソ ガブッティ社訪問
2014/04/10