2014年10月29日 ニッタルディ社 レオン フェムフェルト氏来社

2014/10/29
突撃インタビュー
 
2014年10月29日 ニッタルディ社 レオン フェムフェルト氏

レオン フェムフェルト氏
「マレンマの伝説的スーパートスカン」として話題をさらったネクターデイ、そしてそのネクターデイを凌ぐ評価を受けることもあるスーパーセカンド、アドアストラの造り手として知られるニッタルディ。同時にワイナリーの原点でもあるキャンティクラシコでも高い評価を受け続けていて、伝統的ワインとモダンで自由なワインの両方で成功を収めています。

あのミケランジェロが所有していた農園を購入してワイナリーがスタート。芸術的なラベルデザインはミケランジェロへのオマージュ

ワイナリー外観ニッタルディは1981年に私の両親が設立したワイナリーです。父はドイツ人、母はヴェネツィア出身のイタリア人です。フィレンツェで勉強をしていた母がトスカーナが大好きだったので父がカステッリーナ イン キャンティに土地を購入したのです。

購入したのは18世紀から続くワイナリーでしたが、実はもっと古くからワインが造られていた土地で、16世紀にはあのミケランジェロが所有していました。ニッタルディのラベルデザインは芸術的と言われますが、それはミケランジェロへのオマージュと言う意味もあります。

毎年変わるラベル

巨匠カルロ フェッリーニが独立後初めてかかわったワイナリー

畑購入したとき、もともとあった畑でキャンティクラシコを造ってはいましたが、あまり良いものではありませんでした。そこで畑を整備しなおし、植樹を行って一から始めました。1991年にはキャンティクラシコ協会の技術責任者だったカルロ フェッリーニをコンサルタントとして迎えました。実は、彼が独立する際、友人だった父に相談してきたのです。カルロ フェッリーニは現在はイタリア中の数多くのワイナリーでコンサルタントをしていますが、独立してすぐのクライアントになったのがニッタルディと、バローネ リカーゾリそしてフォンテルートリでした。

キャンティ クラシコのスペシャリストのカルロ フェッリーニはニッタルディの土地を見て「強いワインができる土地だ」と確信し、様々な品種を混醸して造ってきた今までのニッタルディのやり方を改め、白ブドウを使わず品種ごとの醸造による方法に改革しました。

 

自由な発想で理想のワインを造る!探し求めた土地マレンマで完成したネクターデイ&アドアストラ

畑キャンティクラシコとはまた別に、父は自由な発想でワインを造りたいと考え、カルロ フェッリーニと一緒にマレンマで土地を探し始めました。1年後の1999年、スカンサーノの南、モンジベッロ デッレ マンドルライエに理想の土地を見つけ、購入しました。この土地に最適なブドウを探すために、サンジョヴェーゼやカベルネソーヴィニョン、メルロー、シラー、カベルネフラン以外に、様々な品種で実験しています。

そして造ったのがネクターデイとアドアストラです。

ドイツ人のオーナーの思いがこもったトスカーナ白
ベン ヴェルメンティーノ トスカーナ 2013
ベン ヴェルメンティーノ トスカーナ  2013


ニッタルディが初めて造った白ワインです。父がドイツの出身なので白ワインにはとても思い入れがあり、いつかは造ってみたいと思っていました。マレンマではヴェルメンティーノ種からいいワインができます。果実の爽やかな美味しさを生かすため、マロラクティック発酵はやらずに造っています。
試飲コメント:最初は柑橘系の爽やかさがあり、その後南国系フルーツの芳醇さが広がる。ミネラル感もあり、しっかりとした味わいでとても美味しい。

8品種の混醸で造る新しいキャンティクラシコ
ベルカント キャンティ クラシコ
2012
ベルカント キャンティ クラシコ
 2012


出来たばかりの新しいキャンティクラシコで、8つの異なる品種で造るキャンティクラシコです。昔ながらの混醸で造っています。90%がサンジョヴェーゼ、10%が残りの7品種、カナイオーロ、コロリーノ、マルヴァジアネーラ、チリエジョーロ、フォリアトンダ、プンテッロ、マンモロになります。
(実はレオンさん、この最後のマンモロの名前がなかなか思い出せなくて、結局、後日教えてもらいました笑)。

ベルカントとは美しい歌と言う意味。たくさんの要素が揃って美しいハーモニーを造っている、と言う意味を込めました。日本でのリリースは来年になる予定です。

試飲コメント:旨みが詰まっていながらとても軽やかさもあり、飲み心地の良い美味しさ。

毎年ラベルデザインが変わるアートなキャンティクラシコ
キャンティ クラシコ カサノヴァ ディ ニッタルディ 2011
キャンティ クラシコ カサノヴァ ディ ニッタルディ  2011


サンジョヴェーゼ主体でカナイオーロを少しブレンドしています。4つの畑のブレンドで造っていますが、2012ヴィンテージからは単一畑で造る予定です。2011は暑い年でしたが凝縮感と酸のバランスが良くとれたいい出来になりました。ワインエンスージアストのキャンティクラシコ特集で最高評価の93点を獲得しました。

ラベルデザインは毎年違うアーティストに依頼しています。2011は韓国のキム シャン ユー氏によるものです。

試飲コメント:非常に華やかな香りと凝縮感あふれる味わい。きれいなタンニンと酸が豊かな果実味に溶け込んでいる。

栄光のための努力は惜しまない。強い思いが込めて名付けた「アド アストラ=栄光へ」
アド アストラ 2011
アド アストラ  2011


アドアストラはネクターデイとともに、自由な発想で理想のワインを造るために探した土地マレンマから生まれました。アドアストラはラテン語の格言「Per Aspera Ad Astra(苦難を乗り越えて栄光へ」からつけました。栄光のため努力は惜しまない、という想いを込めています。

マレンマはイタリアの中でも乾燥したエリアで晴天が多く、温暖で、ヴィンテージによる差があまり大きくは出ないのが特徴です。アドアストラはサンジョヴェーゼとカベルネソーヴィニョン、メルロー、シラーで造っています。以前はカベルネの比率が高く、サンジョヴェーゼは20~30%でしたが、今はヴィンテージにもよりますが40%ぐらいです。以前よりもエレガントな味わいになっているのはそれも理由かと思いますが、醸造においても以前はポンピングオーバー(タンクの下から果汁を抜いて上からかける)を多用していましたが、今はパンチダウン(発酵中、果皮を上から押す)に切り替えました。それによってよりエレガントになっています。

試飲コメント:濃密でミネラルが印象的。やわらかく、なめらかながら甘みの少ないしっかりしたフルボディ。

デキャンタ―『キャンティリゼルヴァ2009特集』で最高得点93点!単一畑で造るリゼルヴァ
キャンティ クラシコ リゼルヴァ 2009
キャンティ クラシコ リゼルヴァ 2009


単一畑ヴィーニャアルタで造るリゼルヴァです。ヴィーニャアルタとは「高いところにある畑」と言う意味で、文字通り標高約500mの位置にある、1.5haの畑です。サンジョヴェーゼがほとんどですが、メルローも少し植えています。
試飲コメント:さすがリゼルヴァ、と言う感じ。スタンダードのキャンティクラシコとはスタイルも違い、全てに複雑味と力強さが増している。口の中に次々と色々な表情が出てきて、魅せられる。

「神々の酒」という名前のスーパートスカン「ネクターデイ」
ネクターデイ 2010
ネクターデイ 2010


理想のワインを求めて見つけたマレンマで造るスーパートスカンです。ネクターデイは「神々の酒」と言う意味ですが、つまり、素晴らしいワインと言う意味です。ニッタルディに中世からある城塞は当時「Torre Nectar Dei=神々の酒の塔」と呼ばれていて、これが名前の由来です。

カベルネソーヴィニョン、メルロー、シラー、プティヴェルドー等で造っています。20ヶ月間バリックで熟成、さらに9ヶ月間ボトル熟成後、リリースします。

2003ヴィンテージが初リリースで、『ヴェロネッリ』で94点を獲得しました。それからも毎年のように高い評価を受けています。

試飲コメント:華やかなアロマ、甘みのあるこなれたタンニンがなめらかに広がり、凝縮した果実味と心地よく調和。とてもバランスの良い飲み心地で誰もが美味しいと思う味わい。
インタビューを終えて
今回、ニッタルディのワインをひと通り試飲することができました。華やかでモダンなワイナリーというイメージのニッタルディですが、もともとは古い歴史を誇るキャンティクラシコから始まり、そのキャンティクラシコをとても大切に守り続けていることがよくわかりました。

最後に「今夜飲むならリゼルヴァとネクターデイ、どっちを選ぶ?」とレオンさんに聞かれたのですが、ゆっくりワインを楽しむならリゼルヴァ、ワイン好きの気の置けない仲間同士で飲むならネクターデイ、というところでしょうか。

ボトルを眺めているだけでも気持ちが昂る素敵なラベルデザイン。プレゼントにもそしてとっておきのシーンにもお勧めです。

集合写真
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