2013年11月25日 ラ スピネッタ社 来社

2013/11/25
突撃インタビュー
 
2013年11月25日 オーナー兼エノロゴジョルジョ リヴェッティ氏、マーケティング担当ルカ チリウーティ氏

ラ スピネッタ社 来社

ラ スピネッタ社のお二人と試飲ワインを前に
偉大なピエモンテワインの造り手として知られ、最近ではトスカーナに新しいワイナリーを設立、さらにピエモンテの瓶内二次発酵の歴史的ワイナリー「コントラット」の運営に乗り出したラ スピネッタ。今回、オーナー兼エノロゴのジョルジョ リヴェッティ氏とマーケティング担当のルカ チリウーティ氏が来て下さり、ラ スピネッタのワイン造りについてお話を聞くことが出来ました。

イタリアで初めて瓶内二次発酵によるスプマンテを造ったワイナリー「コントラット」を譲り受ける

(まず、最近ラスピネッタの経営に移ったコントラットの話から始まりました)
コントラットは1867年にピエモンテのカネッリに創業したワイナリーで、瓶内二次発酵によるスプマンテをイタリアで初めて造った造り手になります。個々のセラーはとても素晴らしくて「カネッリの地下大聖堂」と呼ばれていて、現在、ユネスコ世界遺産の登録が待たれています。

コントラット社は創業以来、一貫して瓶内二次発酵にこだわっています。アスティも造り続けていますが、シャルマ方式に移行するワイナリーが多い中、今も瓶内二次発酵でアスティを造っています。

コントラットのワインはピノネーロを多く使うことが特徴です。畑はオルトレポーパヴェーゼ地区にありますが、ここはかつてピエモンテの領内でした。だからピエモンテで瓶内二次発酵を造っている造り手たちの畑はほとんどオルトレポーパヴェーゼにあります。

ユネスコ世界遺産の登録待ちのコントラット地下セラー

ネッビオーロ同様、サンジョヴェーゼはイタリアを代表する品種。そのサンジョヴェーゼの可能性を求めて2001年にトスカーナでワイン造りをスタート

私たちはピエモンテで土着品種のネッビオーロやバルベーラ、モスカートでワインを造っていますが、サンジョヴェーゼも素晴らしいブドウで、可能性を追求したいと思いました。そして2001年にピサとヴォルテッラの間のテリッチョラに畑を購入、畑のある場所の名前から「カサノーヴァ」という名前でリリースしています。

私たちのこだわりは土着品種だけでワインを造ることです。ある時期カベルネなどの国際品種を植える造り手が増えましたが、私たちは造っていません。最近は土着品種にまた目が向かれるようになってきましたので私たちにとっては嬉しい流れです。トスカーナではヴェルメンティーノ100%でワインを造っていますが、とても珍しく、ヴェルメンティーノ本来の味を知ることが出来るため多くの人に喜んでもらっています。

 

ワイン造りにとって畑が最も大切。グリーンハーベストで70%の房を落とす

私たちは「ワイン造りの90%は畑での仕事にある」と考えていて、テリトリーを表現するために土着品種を使っています。そして100%有機栽培です。良いブドウを育て、そしてさらに厳選したブドウだけを残して70%はグリーンハーベストで落とします。ここまでやらないとラスピネッタのワインはできません。

ヴィンテージシャンパーニュを好む人にオススメしたいワイン
コントラット
ミッレジマート ブリュット 2007
ミッレジマート ブリュット   2007


ピノネーロ80%とシャルドネ20%で造ります。澱とともに約3年熟成させて造ります。残糖値は4g/リットルと低いのですが、ピノネーロの厚みのおかげで甘さを感じるので数値ほどには辛いとは感じないと思います。
ゆっくりと熟成させたヴィンテージスプマンテ(ミッレジマート)で、とても骨格がしっかりしています。ヴィンテージ シャンパーニュを好まれる方にぜひお勧めしたいワインです。

イギリス王室のみに納められていた歴史的逸品
コントラット
フォー イングランド パ ドゼ 2007
フォー イングランド パ ドゼ  2007


このワインはかつてイギリス王室だけに納められていましたのでこの名前が付いています。ラベルも1920年代から変わっていません。ドサージュ0で、シャンパーニュよりも辛口に造っていたのでイタリア国内ではほとんど売れませんでした。
2007ヴィンテージまではシャルドネも使っていましたが2008からはピノネーロ100%です。この2008ヴィンテージはまだできたばかりなのでこれから7~8年寝かせておくとさらによくなっていきます。

スピネッタのフィロソフィーをトスカーナのサンジョヴェーゼで表現
ラ スピネッタ カサノーヴァ
イル ネーロ ディ カサノーヴァ トスカーナ サンジョヴェーゼ 2009
イル ネーロ ディ カサノーヴァ トスカーナ サンジョヴェーゼ  2009


樹齢が10~12年の若いサンジョヴェーゼで造っています。若いからと言っても、厳選して残した房を十分に成熟させたブドウで造るのでとても甘やかなタンニンを感じると思います。とても飲み心地が良く、あらゆる食事に合わせていただけます。
試飲コメント:味わいのバランスが取れていて、やさしくなめらかなサンジョヴェーゼ。時間とともにカカオやたばこのニュアンスが広がりより密な果実味を感じる。

偉大なブドウからは偉大なワインができることを証明するワイン
ラ スピネッタ カサノーヴァ
サッソンティーノ トスカーナ ロッソ 2004
サッソンティーノ トスカーナ ロッソ  2004


樹齢40~45年のサンジョヴェーゼ100%です。私たちのワインは3~4年後はもちろん、30年以上熟成させて楽しんでいただけます。良いワインはグラスに注いで時間が経てばたつほど香りも味わいもよくなりますが、このサッソンティーノも同じです。

2004はとてもいいヴィンテージです。来年、私たちのカンティーナで10年寝かせたリゼルヴァをリリースします。

試飲コメント:香りに熟成感としっかりとしたミネラル。旨み成分をいっぱい感じるなめらかで濃密な味わい。

ネッビオーロのフローラルなアロマとタンニン、バルベーラのやわらかさと酸。ピエモンテの2つの主要品種の特徴を併せ持つ有名なブレンドワイン
ラ スピネッタ
ピン モンフェラート ロッソ 2010
ピン モンフェラート ロッソ   2010


初ヴィンテージは1989年です。私たちの父ジュゼッペのあだ名が「ピン」だったので、そこから名付けました。ネッビオーロとバルベーラというピエモンテの主要な2つのブドウのブレンドです。ネッビオーロのフローラルなアロマとタンニン、バルベーラのやわらかさと酸が生かされています。2010ヴィンテージはこの2つの品種にとって、最高の年になりました。
試飲コメント:タンニンのまろやかな甘さと密な感じがしっかりある。でも激しすぎずエレガントなスタイルに仕上がっている。

比較的若い樹齢で今すぐ楽しめるバルバレスコ
ラ スピネッタ
ボルディーニ バルバレスコ 2007
ボルディーニ バルバレスコ  2007


ネイヴェにある単一畑ボルディーニで造るバルバレスコです。樹齢は30年ぐらいでそれほど古くはありません。スタルデリとは同じネイヴェで近い場所にありますが、土壌が違うのでやはり違うワインができます。
クリュを造る上で何が難しいかというと、毎年高品質を保ち続けることが難しいです。ブレンドすればよい畑を使う、ということもできますがクリュの場合そうはいきません。でも、私たちがクリュにこだわるのはブドウが育った背景をワインに表現したいからです。なぜこのワインはこういう味わいになっているのか、それを知ってもらいたいからです。

2007年はとてもいい年でした。暑い年だったので比較的早くから開きます。ミントやユーカリの香りを感じると思いますが、ふつうはこのニュアンスが出てくるのにもう少し時間がかかります。

試飲コメント:タンニンのまろやかな甘さと密な感じがしっかりある。でも激しすぎずエレガントなスタイルに仕上がっている。

力強くボリューム感のある男性的なバルバレスコ
ラ スピネッタ
バルバレスコ ヴィニェート スタルデリ ラ スピネッタ 2005
バルバレスコ ヴィニェート スタルデリ ラ スピネッタ 2005


ボルディーニもそうですが、4つのクリュバルバレスコの造り方は基本的に同じです。味わいの違いは土壌とミクロクリマ(局地的気候)の違いです。
スタルデリは4つの中で最も力強くて男性的。一方、ガッリーナはエレガントで上品で女性的です。そしてヴァレイラーノはトレイゾに畑があるのですが、どちらかというとバローロに近い味です。

スタルデリの2005年はエレガントな年になりました。成熟感があって、とてもやわらかな味わいです。

試飲コメント:しっかりとした果実感。骨格のしっかりとしたボリューム感。もちろんボリュームだけでなく中身がぎっしりと詰まっている。

単一区画で造る2つのバローロ (ガレッティ)
ラ スピネッタ
バローロ ヴィニェート ガッレッティ 2008
バローロ ヴィニェート ガッレッティ 2008


2000年にバローロにあるワイナリーを購入しました。8haの単一区画で「ガレッティ」と呼ばれる土地にあります。この8haの中に「カンペ」というクリュがあります。ガレッティは他の造り手でも使えますが、カンペを名乗れるのはスピネッタだけになります。
バローロの畑は全て南向き斜面の畑になりますが、もっとも標高の低い場所のネッビオーロでガレッティを造ります。真ん中から少し上でカンペを、最も高いところからはカンペリゼルヴァを造ります。

低ければ低いほど土壌としては肥沃で、上に行けばいくほどブドウの根は深く、深く地中に伸びていきます。その為、上の畑ほどよりミネラルを吸収したブドウになります。

ワインで大切なのは品種の特徴を表現する第1の香りです。そこに熟成でもたらされる第2の香りが加わるわけですが、ブドウ本来の香りがどのように出てくるかが大切です。たとえば、ヴァレイラーノやカンペは発酵後にアルバ産の白トリュフの香りがするんですよ。

試飲コメント:バローロ ガレッティは果実味や甘やかなタンニンをストレートに感じる。繊細でエレガントなスタイル。

単一区画で造る2つのバローロ (カンペ)
ラ スピネッタ
バローロ ヴィニェート カンペ 2004
バローロ ヴィニェート カンペ  2004


<説明はガレッティの欄を参照>
試飲コメント:カンペは2004ヴィンテージで成熟感は確かにあるが驚くほどにフレッシュ。タンニンの存在をしっかり感じるが全く固くなく、なめらかで上品な美味しさが次々と広がっていく。

イタリアで初めてのクリュモスカートとして誕生
ラ スピネッタ
ブリッコ クアリア モスカート ダスティ 2012
ブリッコ クアリア モスカート ダスティ 2012


1978年にイタリアで初めてのクリュモスカートとしてリリースしたワインです。モスカート特有の杏やハチミツのニュアンスに加えて、酸やミネラルがあります。食後のデザートと一緒に飲むのもいいですが、しっかりとした酸があるので食前酒としてもいいです。
試飲コメント:他のモスカートとは違う、突出した美味しさ。繊細な心地よい微発泡感が上品な甘さとともに口の中を広がって、幸せな気持ちにさせてくれる。
インタビューを終えて
社長と店長は2005年にワイナリーでリヴェッティ氏と会っているので、それ以来の久々の再会ということで和やかな雰囲気でインタビューは始まりました。スピネッタのワインが昔に比べてよりエレガントになっていたのでそれを伝えると「ワインも人間と一緒で年を重ねると味が出るんだ」とリヴェッティさん。
お話を聞いて、スピネッタがいかに畑の特徴を表現することを大切にしているかと実感しました。畑仕事でワインの90%は決まる、という言葉も印象的で、65人いる社員のうち、55人が畑仕事に携わっている事実がそれを裏付けています。

ピエモンテでワインを造ることができるのはとてもラッキー、と言うリヴェッティさん。ネッビオーロを突き詰めた今、「カサノーヴァ(トスカーナ)」や「コントラット(瓶内二次発酵ワイン)」も加わって、さらに素晴らしいワインを飲ませ続けてくれることと思います。

スピネッタのワインは抜栓して時間が経てばたつほどに味わいに深みが増してきます。1日目、2日目、3日目とその変化を楽しまれるのもお勧めです。

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