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2016年6月22日 ペトルッサ社 ロレーナ トセット氏
フリウリの土着品種スキオペッティーノの起源プレポットで1900年代初頭よりブドウ栽培を続ける小さくも偉大な家族経営ワイナリー
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ペトルッサは、スロヴェニアとの国境に近いフリウリ ヴェネツィア ジュリア州のプレポット村に構える家族経営ワイナリーです。プレポットはフリウリの土着品種スキオペッティーノが生まれた土地として知られ、ペトルッサはその代表的な造り手です。約10ヘクタールの畑ではスキオペッティーノを始め、メルロー、リボッラジャッラ、ピノビアンコ、フリウラーノなどを栽培、この土地ならではのテロワールを表現する高品質なワインを造り高い評価を得ています。今回、オーナーのジャンニ ペトルッサ氏の奥様のロレーナさんが来日、トスカニーに来てくださいました。 |
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土着品種と国際品種からテロワールを表現するワインを造る
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ペトルッサはプレポットに構える小さな家族経営ワイナリーです。畑は約11ヘクタールで年間の生産本数は約55000本です。白ワインはソーヴィニョン、シャルドネ、リボッラジャッラ、赤ワインはスキオペッティーノ、カベルネ、メルローを栽培しています。あとパッシートとしてヴェルドゥッツオを造っています。白と赤の比率は半々ぐらいです。
プレポットはスロヴェニアとの国境に近く、また、コッリオ地区の隣でもあります。プレポットはウーディネ県、コッリオ地区はゴリツィア県です。隣どうしなので似ているところもありますが、プレポットのほうが冷涼な傾向があります。ただ、近年は四季がはっきりしなくなっている傾向にあります。土壌の特徴としては「ポンカ」と呼ばれるミネラルを生み出す土壌と、砂質土壌になります。
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祖父の代からブドウ栽培を続けている家族。両親は息子たちが継ぐことには反対だった
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ペトルッサは現在、私の夫のジャンニと弟のパオロが中心になってワインを造っています。彼らの両親、そして祖父はずっとブドウ栽培をしていた農家でした。ブドウ以外にも牛を飼い、野菜を育てていて、自給自足的な生活を送っていたのです。その生活はとても大変だったので、息子たちには大学に行って、普通の仕事をしてもらいたいと願っていたそうです。だからジャンニとパオロが「ワイン造りをする」と彼らの決心を伝えた時、両親はとても落胆したそうです。
ジャンニとパオロは今までのような質より量のブドウ栽培をするつもりは全くなく、高品質のワインを造り、有名レストランにも使ってもらえるようなワインを目指していました。だから一生懸命にワインを造り、自分たちでレストランへ売りに行ったのです。初めは心配していた両親でしたが、周りから徐々に認められ、成功していく様子を見て喜んでくれました。
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プレポットはスキオペッティーノが生まれた土地。特にアルバーナ地区が最良
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ペトルッサのカンティーナはアルバーナ地区にあります。スキオペッティーノはプレポットで生まれたと言われ、恐らくアルバーナ地区がその起源だと考えられています。栽培がしにくい品種だったこともあり、フィロキセラの被害の後にはスキオペッティーノの代わりに国際品種を植える人がほとんどでした。だから1970年代にスロヴェニアまでスキオペッティーノの樹を探しに行ったりもしました。
スキオペッティーノは皮が厚いブドウで、カリッとしたところもあり、噛んだ時の音からこの名前がついたとも言われています(※名前の由来は諸説あります)。昔から栽培されているブドウで、1282年には重要な家族に食されていたという文献がアルバーナ城の記録に残っています。だからアルバーナ地区のスキオペッティーノは最良といわれています。 |
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平凡なリボッラジャッラは造りたくない!やっと見つけた理想の畑で造ったワイン |
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リボッラ ジャッラ 2013 |
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リボッラジャッラは最近特に人気が出てきたワインで、私たちにも以前からリクエストが来ていました。でも平凡なリボッラジャッラは造りたくなかったので、いい畑をずっと探していたのです。そして、スロヴェニア国境近くに理想的な畑を見つけ、造らせてもらっています。幸い、この土地の所有者が私たちのことを認めてくれて、自由に造らせてもらえています。
このリボッラもそうですが、私たちの白ワインはマセラシオンを行いません。クリーンでフレッシュなワイン、シンプルに食事と楽しめるワインにしたいからです。今飲んでいるヴィンテージは違いますが、2015年にいい圧搾機械を購入して、白ブドウは除梗せずにプレスするようにしました。ブドウにストレスがかからず、よりフレッシュな味わいになっています。 |
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試飲コメント:きれいなミネラルと酸が広がるピュアな味わい。果実の甘みも感じられ、ストラクチャーもしっかりあって飲みごたえもある。 |
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フリウリで一般的なピノグリージョではなく、エレガントな味わいとなるピノビアンコを造る |
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ピノ ビアンコ 2014 |
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フリウリでは一般的にピノグリージョが多く造られていて、評価も高いと思いますが、ペトルッサではピノグリージョは造っていません。よりエレガントな味わいとなるピノビアンコが面白いと思っています。これもマセラシオンは行っていません。
2014年はフリウリにとっても大変厳しい年でした。雨が多く、収量をかなり落としました。収穫はひとつひとつ丁寧にブドウを選び、健康でクリーンな状態にしてカンティーナへ運ばなければならないため、例年の何倍もの仕事をしなければなりませんでした。私たちは小さなワイナリーなのでこのような仕事ができたのだと思います。醸造はほぼステンレスですが、10%はバリック(旧樽)を使っています。 |
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試飲コメント:溌剌とした果実味、エレガントなコクが印象的 |
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食事との相性のよいクリーンなフリウラーノ |
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フリウラーノ 2014 |
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フリウラーノは香りのある品種で、ハーブやアーモンド、トマトの葉っぱのアロマがあります。クリーンなワインを造りたいのでこれもステンレスタンクのみの醸造です。食前酒にもいいですし、地元ではサンダニエレの生ハムと合わせたり、リゾットやパスタとも相性がいいです。
今日はないのですが、白ワインではシャルドネだけ100%バリックで発酵しています。バリックを使うことでプレポットのテロワールを表現するワインができると考えているからです。 |
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試飲コメント:ハーブなどの爽やかなアロマ。リッチなミネラルと心地よい果実味。素晴らしいバランス。 |
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プレポットで昔から栽培され続けているメルローからセレクションで造る特別なワイン |
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ロッソ ペトルッサ メルロー 2011 |
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プレポットは昔から赤の品種を造っていた土地で、スキオペッティーノとメルローが伝統的に造られてきました。このメルローは標高約140メートルの畑に育つ樹齢約40年のものからセレクトして造っています。1株当たり500グラムの房しかできません。 |
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試飲コメント:はっきりとしたミネラルと旨みが広がる。とてもなめらかでクリーンな印象。 |
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樹齢50年のカベルネソーヴィニョンで造る生産本数わずか300本の希少ワイン! |
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コレッツィオーネ ペルソナーレ カベルネ ソーヴィニヨン 2010 |
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フリウリのカベルネソーヴィニョンはあまり聞かないと思います。実は、なかなか満足のいくものにならないので抜いてしまおうかと考えていたんです。ところが、樹齢も50年になって、2010年に造ったものがあまりに美味しかったんです。できた本数も少ないし販売するつもりはありませんでした。 |
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試飲コメント:クリーンな果実味、やわらかな口当たり。時間とともに香り、味わいともに要素があふれ出てくる。 |
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スキオペッティーノの起源プレポットのアルバーナ産 |
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スキオペッティーノ ディ プレポット 2012 |
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スキオペッティーノは先ほどもお話ししましたがプレポットで生まれたとされています。栽培しにくいブドウで、プレポット村の中でもスキオペッティーノは20ヘクタールほどしかありません。雨の多いところを好むブドウで、カリフォルニアでも栽培しているところもあります。フリウリではグラーヴェやコッリ オリエンターリ デル フリウリでも造られていますが、プレポットのものに比べると少し軽めかと思います。
3か所の畑のスキオペッティーノをブレンドして造っています。古い畑のものはブドウの房の先端をジャンニが切ってより凝縮させるようにしています。新しい畑は密植度を高めているのでブドウ樹同士が競争するため房を落とす必要はありません。熟成させたスキオペッティーノは抜群に美味しくなるので長期熟成できるようにバリックを使っています。約2年バリックで熟成、1年間のボトル熟成をさせています。 |
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試飲コメント:花やスパイスの香りに加え、青っぽいニュアンス。果実味とともに樽のスモーキーさ、ビターチョコなどを感じる心地よいボリューム感。 |
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■インタビューを終えて |
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白ワインのイメージが強いフリウリですが、その白にも負けないインパクトのある美味しい赤ワインもたくさんあります。ペトルッサの拠点であるプレポットは伝統的に赤ワインが造られてきた土地。特に起源とされるスキオペッティーノに対する思いはとても強いものがあると感じました。「他とは違う」とロレーナさんもおっしゃっていましたが、サブゾーンとしてプレポットが認定されていることからも特別な土地なのだとわかります。
一方、白ワインのピュアでクリーンな味わいにも感動しました。ブドウのフレッシュさピュアな味わいを出すことを最重要視していて、それがそのままワインに表れています。食事に自然と寄り添うような飲み心地の良さをお楽しみいただけると思います。 |
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