2016年9月12日 ヴァロリ社 ルイジ ヴァロリ氏
アブルッツォ唯一にして最高峰DOCG「コッリーネ テラマーネ」で情熱を注ぐ有機栽培の新星「ヴァロリ」 |
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ペルージャ大学で農業学を専攻し、牧歌的な農業生活を送りたかったルイジ ヴァロリ氏が1996年にアブルッツォ州の「コッリーネ テラマーネ」にある3haの小さな畑を叔父から譲り受け、たった一人でワイナリーをスタートさせました。その後2003年に唯一アブルッツォ最高峰の地域としてDOCGに昇格した事で「コッリーネ テラマーネ」が一気に注目を集める事になり現在では30社がひしめき合う銘醸地となっています。ヴァロリの畑では化学肥料や農薬を使わない有機栽培に徹していて、現在では畑とカンティーナ共にビオ認証を取得しています。「仕事の8割は畑にいる」と言い切るヴァロリはまさしく真の栽培家で、自然を敬いテロワールを反映した情熱に満ちたワイン造りをひたむきに取り組んでいます。オーナーであるルイジ ヴァロリ氏にお話を聞きました。 | ||||||||||
叔父から引き継いだアブルッツォ唯一にして最高峰DOCG「コッリーネテラマーネ」 |
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生まれてからずっとアブルッツォで育ち、植物にとても興味があり大学は隣のウンブリア州、ペルージャ大学で農業学を専攻しました。ワインを造るきっかけは1996年に叔父がアブルッツォ北部にある「コッリーネ テラマーネ」に持っていた3ヘクタールの小さなブドウ畑を引き継いだ事に始まり、今年で20年目を迎えました。最初は一人で少しずつワイン造りを始めました。少しずつ広げ今では20ヘクタールの畑を所有しています。70%は黒ブドウのモンテプルチアーノ、残りは白ブドウで20%はトレッビアーノ、10%はぺコリーノを植えています。 化学肥料や農薬を使わない有機栽培 |
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農業学に精通したヴァロリならではの栽培法 |
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「仕事の8割は畑にいる」と言いきるヴァロリ氏はアブルッツォをこよなく愛し、天候や季節を敬い、テロワールを反映した情熱に満ちたブドウ栽培を愚直なまでにひたむきに取り組みます。そこには農業学に長けたヴァロリらしいアイデアがちりばめられています。 まず、アブルッツォで一般的なペルゴラ仕立ての栽培法ではなく、ボルドーやブルゴーニュで行われているギュイヨ式で栽培します。ギュイヨ式は収量こそ落ちますが、高品質のブドウが育ちます。「コッリーネ テラマーネ」畑の砂質土壌とも相性がとても良いのです。また、1ヘクタール当たり6000株以上の高密植栽培でブドウ同士が競争し合うことで、さらに凝縮度を高まり、結果1本の樹から僅か1キロの房しか収穫しません。この作業を全ての価格帯のワインおいて行う徹底ぶり。ヴァロリで収穫されるブドウの全てが高い基準にある事を裏付けています。 |
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皆がリスクを恐れて早期に収穫するモンテプルチアーノを10月後半まで完熟させる |
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収穫は他の生産者とは比較にならない程、果実の完熟を待ちます。白は9月中旬から始まり、赤に関しては10月の後半に行われます、これは晩熟型が多い北部のピエモンテなどにも匹敵し、ブドウの成熟が早い南部では非常に珍しいです。「モンテプルチアーノは実は栽培に難しい品種で、リスクを避け早めに収穫する生産者が多いが、ブドウの完熟を待たなければならない。とても勇気が要る事で、常にブドウに目を配らなければならない」と言います。痩せた砂質土壌と標高が高く病気になりにくいテロワールにより、他の畑よりもブドウの生育がゆっくりと進むので、果実、アルコールや酸も総じてバランス良く形成され、ブドウも理想的な完熟を迎えると言います。 | ||||||||||
「いいブドウがなければ、良いワインは育たない」 |
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「つまり、いいブドウがなければ、良いワインは育たない。ワイン造りに大切な事が2つあります。ひとつは『待つ』事です。急いではいけない。栽培にも熟成にも忍耐力が必要。もう一つが、『カンティーナを常に綺麗にしておく』こと。醸造においてワインに付く不快なニュアンスがあってはならないので細心の注意を払っています。2016年は、今の所とてもいい状態で進んでいる楽しみなヴィンテージです。(日本で)神社に行ってお賽銭をいれて、良い出来となるよう祈願をしたよ。」ヴァロリ氏の娘がローマで日本語の勉強をしているせいか、日本文化も良くご存知です。 | ||||||||||
天才醸造家カルロフェリーニをコンサルタントに迎える |
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友人でもあるアブルッツォの雄「マシャレッリ」から紹介された醸造家カルロ フェリーニ氏を2014年からコンサルタントして迎え更なる品質の向上を目指しています。フェリーニ氏はトスカーナの「フォンテルートリ」や「カーザエンマ」、「ニッタルディ」を手掛けた天才と称される凄腕醸造家です。ルイジ氏は「友人のマシャレッリが私のワインの販売をサポートしてくれるので、その時間を栽培や醸造に充てる事が出来るんだ。ブドウは畑のエリア毎に分けて醸造、それぞれのタンクからブレンドするが、フェリーニ氏は数多くの絵の具を使いブレンドして見事な絵画を仕上げていくように、ワインのブレンド比率において素晴らしい才能をみせてくれている」と絶賛しています。 | ||||||||||
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■インタビューを終えて | ||||||||||
畑で過ごす時間が何よりも好きなヴァロリ氏。「ワイン造りは人生を教えてくれる。注意深くブドウを育て、信じて待つ。ワイン造りこそ私の人生そのものなんだ」と生まれ育ったアブルッツォとブドウ栽培をこよなく愛する情熱の持ち主です。「こうして面と向かってインタビューを受けていると(大学の時の)面接試験を思い出したよ」とユーモアたっぷりに場を和ませてくれる一面も。来日中も通りすがりの植物や木々に興味津々の様子だったとか。根っから農業や植物を愛しているのですね。特に日本の桜とアザレア(ツツジ)が大好きで「日本にはこんなに美しいものがあちこちにあるんだ!」最後は日本の『美』まで教えてくれたヴァロリ氏。ブドウへの愛情がそのままワインに反映されているように思えました。 | ||||||||||
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アブルッツォ唯一にして最高峰DOCG「コッリーネ テラマーネ」で情熱を注ぐ有機栽培の新星「ヴァロリ」
2016/09/15