2017年4月27日 アルドコンテルノ社 フランコ コンテルノ氏
バローロの歴史的ワイナリー「ジャコモ コンテルノ」の血を受け継ぎ、モンフォルテ ダルバ村の「ブッシア」の畑から伝統的スタイルのバローロを造るアルドコンテルノ |
||||||||||
「アルドコンテルノ」は、18世紀からの歴史を誇るバローロの名門ジャコモ コンテルノの5代目にあたるアルド コンテルノが、兄ジョヴァンニが本家の跡継ぎとなったことをきっかけに独立し、1969年に設立したワイナリーです。畑はブッシア地区の中にあり 、5つのバローロを造っています。バローロの概要からワイナリーの歴史、そしてこれからについて創立者アルド コンテルノの息子で現オーナーのフランココンテルノ氏からお話しを聞きました。 |
||||||||||
アメリカでのワイナリーの経験を経て自らのワイナリーを立ち上げた父アルド コンテルノ |
||||||||||
アルドコンテルノは私の父アルドが1969年に立ち上げたワイナリーです。父は、18世紀から続くワイナリー(ジャコモコンテルノ)の5代目にあたります。1950年代の半ばにアメリカに渡り、伯父とともにカリフォルニアでワイン造りの経験を積み、5年後にイ タリアに戻ります。アルドの父は自分のワイナリーをアルドの兄のジョヴァンニに譲りますが、アルドは兄と一緒にワインを造るのではなく、自らの名前でワインを造りたいと考え、独立します。そして1969年に実家から4kmほど離れたブッシア地区にある農園ファヴォットを購入し、ワイナリー「アルドコンテルノ」を立ち上げました。 |
||||||||||
ピエモンテのネッビオーロはブルゴーニュのピノノワールと同じ。テロワールの違いがワインの違いになる |
||||||||||
まず、バローロを理解していただくために重要な話をさせていただきます。アルバ流れるタナロ川を境に、北側がロエロ、南側がランゲになります。ランゲは南西のバローロと南東のバルバレスコに分かれます。つまり、ネッビオーロを造るエリアが「ロエ ロ」「バローロ」「バルバレスコ」の3つあることになります。3つとも同じネッビオーロから造られますが、違う特徴を持つワインになります。これはテロワールの違いによるものです。ブルゴーニュにおけるピノノワールのようなもの、と考えてください。 さて、バローロは11の村(コムーネ)で造っていますが、特に5つの村、「モンフォルテ ダルバ」「カスティリオーネ ファッレット」「セッラルンガ ダルバ」「ラモッラ」「バローロ」が重要な産地とされています。先ほどの話の通り、バローロはテロワールがとても重要です。そしてこの5つの村はミクロクリマは似ていますが、土壌のタイプが違います。土壌は大きく分けて2つあります。ひとつがモンフォルテ ダルバ、カスティリオーネ ファッレット、セッラルンガ ダルバの土壌タイプである「エルヴェツィアーノ」、もうひとつがラ モッラとバローロの土壌タイプ「トルトニアーノ」です。「エルヴェツィアーノ」のほうが古い時代の地層で、よりストラクチャーのしっかりとしたアルコール度数の高い、長期熟成タイプのバローロができ、「トルトニアーノ」はより上品で優しいバローロになります。 ちなみに、バルバレスコの土壌タイプはトルトニアーノに似ています。 |
||||||||||
|
||||||||||
「エレガンスと洗練さ」「ブッシアならではのエレガンス」「ヴィンテージの違いの表現」がワイナリー哲学 |
||||||||||
アルドコンテルノのこだわりは3つあります。「エレガンスと洗練さ」「ブッシアならではのエレガンス」「ヴィンテージの違いの表現」です。私は、「世界で一番美味しいワインを造りたい」とは思いません。なぜなら、人それぞれに味の好みが違うからです。だから私は「自分たち家族が好きな味」を造りたい。そのうえで他の人たちが私たちの味を好きだと言ってくれるようにしたいと思います。
アルドコンテルノの畑はモンフォルテダルバ村北部のブッシア地区にあります。バローロからは1km、カスティリオーネ ファッレットからは1.5kmのあたりになるので、先ほどの2つの土壌をブレンドしたような混合土壌になっています。 造っているワインは全部で9種類です。シャルドネ、ランゲロッソ、バルベーラ、ランゲネッビオーロと5つのバローロです。バローロは、畑名が付いた3つバローロと、異なる畑のネッビオーロをブレンドしたクラシカルバローロ、そして古い樹齢のネッビオーロだけで造るリゼルヴァ「グランブッシア」です。 |
||||||||||
テロワールの違いを表現する3つのクリュバローロ。古樹だけで造るグランブッシア |
||||||||||
アルドコンテルノのバローロは5つあります。コロネッロ、チカラ、ロミラスコの3つのクリュバローロと、複数の畑のブレンドで造るクラシカルバローロ、そして、古い樹齢のものだけを使い、9年間の熟成を経てようやくリリースするリゼルヴァグランブッシアで す。 コロネッロはブッシア地区の北の端、チカラはモンフォルテダルバのほぼ中心、そしてロミラスコはチカラのやや南で3つの中ではもっとも標高が高いところにあります。コロネッロがどちらかというと女性的、チカラは力強く、ロミラスコは最もパワフルでミネラル感がしっかりある、というのが特徴になります。私たち家族の中ではロミラスコが一番のお気に入りです。 グランブッシアはジャコモコンテルノのモンフォルティーノのような存在です。3つの単一畑の古樹ネッビオーロをブレンドして造っています。割合は70%ロミラスコ、15%チカラ、15%コロネッロです。3つの畑をブレンドすることによってブッシアのテロワールを表現しています。グランブッシアを造るには9年間かかります。2009年ヴィンテージが来年リリースされます。 バローロの醸造には伝統的なスラヴォニアンオークだけを使っています。ブッシアのテロワールを最大限に表現したいのと、3つの畑の特徴の違いを出すにはバリックは向かないと考えているからです。でも、バリックが嫌いなわけではありません。シャルドネやネッビオーロには使っていますし、色々試していこうと考えています。 |
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
■インタビューを終えて | ||||||||||
古典的、伝統派、という印象のアルドコンテルノですが、バローロ以外では新樽バリックを使用するなど新しいものにも取り組んで、より多くの人に飲んでもらいたいという考え方に時代の流れを感じました。
また、ブルゴーニュのピノノワールを例に出してネッビオーロの説明がありましたが、そのあとで、「ボルドーのブドウは酸が少なくタンニンが多い、ブルゴーニュは酸が多く、タンニンは控えめ。でもネッビオーロは酸もあり、タンニンもある。だからバローロ アルドコンテルノはあまりに名門で大御所で、どこか近寄りがたいイメージがありますが、ブッシアのテロワールの豊かさ、面白さを楽しむのには最適な造り手です。まずはランゲネッビオーロでその片鱗に触れて、そのあとバローロへとステップアップしていただければと思います。 |
||||||||||
アルド コンテルノのワインはこちら⇒ | ||||||||||
突撃インタビューバックナンバーはこちら⇒ | ||||||||||
モンフォルテ ダルバ村の「ブッシア」の畑から伝統的スタイルのバローロを造るアルドコンテルノ
2017/06/08