イタリアを代表する偉大なカンティーナ「カステッロ ディ アマ」

2018/06/11
突撃インタビュー
 
2018年5月22日 カステッロ ディ アマ社 マルコ パランティ氏、アルトゥーロ パランティ氏

エレガントサンジョヴェーゼの真髄!最も尊敬を集める優雅で美しいキャンティクラシコ!世界中が賞賛する偉大なカンティーナ「カステッロ ディ アマ」突撃インタビュー

カステッロ ディ アマ社 マルコ パランティ氏、アルトゥーロ パランティ氏と
カステッロ ディ アマのマルコ パランティ氏は『ガンベロロッソ』2003年版でエノロゴ オブ ザ イヤー(年間最優秀ワイン生産者)に選ばれ、また2006年から2012年の2期にわたり、キャンティ クラシコ協会の会長を務めるなど最も尊敬を集めるイタリアを代表する偉大な生産者です。キャンティ クラシコが「早く飲める安ワイン」という存在だった時代に、マルコ氏は「5年経っても美味しく飲める=熟成するキャンティ クラシコを造る」と目標を掲げ、ブルゴーニュ的なクリュごとに収穫、醸造する方法、収量を約50%に制限する2つの手法を持ちこむことで優雅でフィネス溢れる美しいキャンティクラシコ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」をリリース、以来世界中の愛好家を唸らせる至極のサンジョヴェーゼを産み出しています。シャトーペトリュスにブラインド試飲で勝利した「ラッパリータ」はトスカーナで初めてメルロー100%で造られたスーパートスカン。偉大なワインを産み出すマルコパランティ氏、ご子息のアルトゥーロ パランティ氏に他の追随を許さない偉大なワイン造りの哲学について聞きました。

最も尊敬を集めるイタリアを代表する偉大な生産者

マルコ パランティ氏

アマ家トスカーナ出身。大学で栽培学を学びワイン醸造をフランス、ボルドーで勉強。キャンティ クラシコが「早く飲める安ワイン」という存在だった時代に、マルコ氏は「5年経っても美味しく飲める=熟成するキャンティ クラシコを造る」と目標を掲げ、ブルゴーニュ的なクリュごとに収穫、醸造、収量を約50%に制限する2つの手法を持ちこむことで、品質改善を実現、その比類なき拘りから産まれるワイン造りで最も尊敬を集めるイタリアを代表する偉大な生産者です。

優雅で「フィネス」溢れる美しいキャンティ クラシコ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」でこれまでのキャンティクラシコでは考えられないような素晴らしいキュヴェをリリース、以来世界中のワイン愛好家を唸らせる至極のサンジョヴェーゼとして高い評価を受けています。

1985年にリリースしたメルロー100%スーパートスカン「ラッパリータ」は飲む者を包み込む優雅で品格に満ちた唯一無二の味わい。「ペトリュス」に「マッセート」と等と並び偉大なメルローとして常に注目を集めています。

『ガンベロロッソ』2003ではエノロゴ オブ ザ イヤー(年間最優秀ワイン生産者)に選出。2006年から2012年の2期にわたりキャンティ クラシコ協会の会長職を務めるなど、イタリアワイン界に常に大きな影響を与え続ける重鎮です。

トスカーナ大公に認められたキャンティエリアで最も素晴らしいワインが出来る場所「アマ」

ワイナリー

アマの畑は非常に歴史的な場所にあり、古代エトルスキ時代には畑が存在していました。1600~1700年代にはアメリカに輸出されていた歴史もあり、良いワインが出来る場所として昔から名声を得ていた畑でした。18世紀のレポートの中では、「アマ村への道は、丘の上の道、3マイル先にある。そこでは、キャンティにおける卓越した家族が暮らし、美しく手入れをされ、肥沃な穀物畑であり、オリーブの森や偉大なブドウ畑がある」と記されています。1700年代に、トスカーナ大公が「アマ」という畑はキャンティエリアで最も素晴らしいワインが出来る場所と記述が残っています。

土地が荒廃し、素晴らしい畑も忘れ去られた状態が続く
石碑その後1900年代には土地が荒廃し、この土地から人が離れていき素晴らしい畑も忘れ去られた状態が続きました。1970年代初め、とある4つの家族が集まり「アマ」の畑の一帯のエリアを買う事になりました。しかしながら4つの家族は皆ローマの出身でワインを造る事に詳しい人はいませんでした。つまり、フィレンツェとシエナの間にある「アマ」の畑は彼らにとって素晴らしいバカンスを過ごす為の場所であり、ワイン造りと言うよりも「土地の素晴らしさに惹かれて購入に至った」からでした。

フランスワインをいたく気に入っていた4つ家族の一人が1974~1975年頃に「ここでワインを造ろう」という話が持ちかけました。1979年には現在使っている醸造所のベースとなるカンティーナを造り上げていました。ワイン造りに関しては素人でしたが、4つの家族の皆さんはエンジニアの仕事をしていたので、(彼らが造った)醸造所は実にしっかりと
したものが出来上がりました。

Q.最初に畑を購入した時は「アマ」の畑だと知っていたのでしょうか?

4つの家族が購入時「アマ」の畑のストーリーは知っていました。今のようなワイン造りでは無かったのですが、ブドウ自体はずっと畑に存在していました。

大学では栽培学を専攻。ワイン造りの基本はボルドーで学んだ

マルコパランティ氏試飲大学では栽培学を専攻。ワイン造りの基本はボルドーで学んだ
1982年、一人の若いエノロゴがこのカンティーナに赴任しました。それが私です。まだ農業大学を卒業したばかりでした。大学でアグロノモ(栽培学)を学んでいましたが、醸造学というのは当時のイタリアには存在していなくて。その時に4人の家族が私にフランス、ボルドーで醸造を学ぶ機会を造ってくれました。シャトー ムートン ロートシルトの醸造長となるパトリック レオン氏に学ぶ機会に恵まれ、色々と経験を積む事が出来ました。私のワイン造りの基本はボルドーで学んだものが大きいです。

Q.いきなりボルドーの凄い醸造家にワインを学んだのですね。

物凄く幸運でラッキーだったと思います。私が「アマ」に赴任した時、新しいワイナリーだとは勿論わかっていましたが、皆さんが真面目に「良いワインを造ろう」という気持ちが物凄く伝わってきました。新しい事にチャレンジしていって競争力も付けていく。そういう姿勢に共感出来ましたし、将来的にはキャンティだけでなく、トスカーナ、そして世界へ向けたワインを造る事を目指すようになりました。

Q.ボルドーでワインの勉強をしていた時はトスカーナと行き来していたのですか?

「アマ」で仕事をしつつ、一段落した時期にボルドーに行きました。1週間~2週間程度の期間で酵母の事、醸造の事など専門的な分野に各回集中して学びました。パトリック レオン氏からも試飲を通して学ぶことも多かったです。

パトリック レオン氏の影響は確かにありますが、レオン氏だけ限った話では無くて当時イタリアでは、ワイン醸造についてしっかりと教えてくれる人はいませんでしたから。フランスはワイン醸造という学問を教えてくれる教授陣がいて、また実際に現場を知っている醸造家がいて、双方がとても上手く結びついている状況がありました。醸造を進めていくうえで何かしらの問題にあたったとしても、「より現実的なアプローチで解決していく」という進め方をフランスで学んだように思います。イタリアでは当時そういう考え方はあまりなかったと思います。

フランスで学んだ「テロワールの特徴を出すようなブドウ栽培」
フランスで学んだ大きな事は「原材料としてのブドウの意味」でしょうか。その土地から来るオリジナルな個性があって、他の産地から手法をコピーして持ち込んで造られるものでは無いという事です。土地のブドウを使って土地のテロワールの特徴を出すようなブドウ栽培をしなくてはいけません。

「3つのタイプのワイン」
私がワイン造りを始めた時は大きく分けて3つタイプのワインに分類できたかと思います。第一に、バラエタルワイン。要はお店に行って「カベルネソーヴィニヨン下さい」、「メルロー下さい」のような事。「その土地のワインをください」という事ではなく、「ブドウ品種によるワインのチョイス」です。

第二に、誰が造ったか、どのエノロゴが造ったかという事。「ミシェル ロラン」や「リッカルド コッタレラ」に代表されるようなエノロゴの存在が強いワイン。著名なエノロゴが造った事で「ある種の保証」というか、「品質に問題の無いワイン」という信頼は産まれますが、出来上がるワインの個性はどうしても似通ってくる。エノロゴのワインというものは「テロワール」が云々と言うよりは、エノロゴの特色が前に出てくるワイン。

第三は、「テロワールを表現したワイン」。勿論エノロゴもいるのですが、決してワインの個性より前に立つことはありません。あたかもオーケストラの指揮者のように一歩下がってテロワールを尊重する。ベートーベンの協奏曲を演奏したとしても、決して自分はベートーベンではない。纏め上げる役割を果たす人だという事。つまり人は「テロワールとブドウと気候の上に立ってはならない」という考え方です。

 

「ワインの後ろに自分がいて、テロワール、ブドウ、気候を表現していきたい」

マルコパランティ氏説明「ワインの後ろに自分がいて、テロワール、ブドウ、気候を表現していきたい」
この事は私がフランスで学んだことです。アマのワインは私が造っている訳ですが、あくまでも私は「通訳者」のような存在で、ワインが出来上がる環境の後ろに自分がいて、テロワール、ブドウ、気候を表現していきたいと思っています。これが私マルコパランティのフィロソフィーです。

「魂」や「土地」を表現しているワインを見つけるのは難しい
昔に比べ、今のワイン業界の現状は「いいワインを造る」事は比較的簡単で、逆に酷いワインに出会う事の方が難しいかと思います。自分が「アマ」でワイン造りを始めた時などは「良いか」「悪いか」しかなかったですから。今の消費者の方々は売られているワインが殆ど美味しいワインばかりで、買うにあたって間違いは無いんだけれども、そこに「魂」がこもっていて「土地」を表現しているワインを見つけるのは難しいと思います。消費者の方々もワインが美味しいのは勿論、その先にある生産者の「魂」だったり、ワインの持つ「土地の個性」に進んでいく必要があると考えています。

ワインを飲むという事は「旅行をしている事と同じ」
もう一つお話させて頂くと、「ワイン」と「飲み物」の境界とは何でしょうか?例えば「あなたはどんな味のワインが好きですか?それを造ってあげるよ」と言ったらそれは「ワイン」では無くてただの「飲み物」だと思います。キャンティクラシコという土地、気候で造ったワインを自分が皆さんに出して、それを好きか嫌いかは皆さんに判断してもらうとは良い事だと思っています。

イタリアでは良く言うのですが、ワインを飲むという事は「旅行をしている事と同じ」と言えます。今日は「ボルドーに行こうか」、「それともバローロ、モンタルチーノ?」と。そういう土地の個性を楽しむ事が出来るのがワインだと思います。もしそうで無くなったらワインではなくコカコーラを飲んでいるようなものだと言えます。

「ワインを造る技術は良く知らなければならないが、良いワインを造る為には技術が勝ってはいけない」
市場で人気があるからという事で同じようなタイプのワインを造っているワイナリーがありますが、ワイン造りの本質とは違います。皆さんバローロが好きだとかモンタルチーノが好きという事は極当たり前のことでリストペクトしています。例えば、モンタルチーノでバルバレスコのようなものを造るという事は違うと思います。テロワールが存在しないワインもある事も事実だと思いますが、自分たちは凄く幸運で、恵まれた場所でワイン造りが出来ている事を誇りに思っています。今となっては技術が凄く発達しているので、ある意味世界中のどこでもワインが造れます。こんな言葉があります。「ワインを造る技術は良く知らなければならないが、良いワインを造る為には技術が勝ってはいけない」と。

樽Q.いつ頃から本格的にワイン生産を始めたのですか?

ワイナリーに来た1982年から直ぐに造り始めました。やり始めた時の課題としては、ブドウの品質の特性を掴む事でした。特に斜面の上部と下部。特徴が全然違うブドウになるので、品質の均一性という意味では、難しかったですね。そこで区画毎に一番良いブドウを取ってきて、それをワインにすることから始めました。そうして「ベッラヴィスタ」や「カズッチャ」「サンロレンツォ」が産まれ、残ったものをキャンティクラシコとしてリリースしました。

1982~1990年の間には4つのクリュのワインを造りました。(1982年はベッラヴィスタとサンロレンツォのみ。1985年にカズッチャ、1988年にベラルデンガをリリース)その目的は極々限られたクリュを少量造る事ではなく、それぞれのワインが良いワインである事を確立させることをより大切に考えていました。この事でキャンティクラシコのレベルを上げる事に繋がりました。1990年以降には4つのクリュを2つに減らし、残りをキャンティクラシコに廻しましたので、更にキャンティクラシコのレベルが上がりました。1996年にはキャンティクラシコのレベルがその前に造っていたクリュワインのレベルと同等位にまで上げる事が出来ました。

Q.サンジョヴェーゼの収穫時期について教えてください。

私達の畑も温暖化の影響があり、9月末位に収穫します。1980年代には10月より前になる事はまずありませんでしたが。

14年間の歳月かけて造り上げた高い品質を誇る「カステッロディ アマ キャンティ クラシコ」
その時に高品質のカステッロ ディ アマのキャンティ クラシコが出来、10~15万本のしっかりとした数量をボトリングする事が出来ました。カステッロディアマのキャンティクラシコが誕生した1996年、つまり1982年から14年間かけて自分たちを代表するワインが出来たのです。

畑

約20年で7回しかボトリングしていない2つクリュ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」
カステッロ ディ アマのキャンティクラシコのレベルが上がった事で、2つクリュ「ベッラヴィスタ」「カズッチャ」のレベルが更に上を行ったのですが、1996~2015年までの間に7回しか造っていません。しかも4000~6000本位の数量で。2005~2008年にかけては古い樹齢のブドウから新しいブドウに植え替えも行いました。若い樹齢のブドウと古い樹齢のブドウが混在した状態となりました。

2010年から若い樹齢のブドウだけで造る「アマ」をリリースしました。植え替えをすることによって全体のワインを「アマ」と「カステッロ ディ アマ」の2つに分けました。樹齢の古いブドウを使った「カステッロディ アマ サンロレンツォ」は自分たちを代表するワインとなりました。また2010年は凄く重要な年でサンロレンツォがキャンティ クラシコ グランセレツィオーネとして初リリースした年でもあります。

Q.若い樹齢から造る「アマ」は毎年造っていますか?
2010年以降基本的には毎年造っていますが、2012年は造りませんでした。2012年は暑くて雨が降らない時期が長く、ブドウ色づき後の成長が一時期止まってしまいました。再びブドウが成長を始めたのは例年よりも遅く、ポリフェノール分の成熟が不足していました。成熟期が遅くなったので、収穫自体を遅らせることが出来たら一番良かったのですが、10月を迎えた時、(ブドウが)これまでのストレスを抱えてしまい、どんどん葉を落としはじめていったのです。それで収穫をせざるを得ない状況となりました。醸造をし、1年間熟成をさせた後、品質を確認しましたが、自分達の考えるレベルには達していなかった。なのでリリースを止めました。

Q.1996年にカステッロ ディ アマ キャンティクラシコを造りましたが、それまではキャンティクラシコはありましたか?

1996年の前にキャンティクラシコ自体はありましたが、カステッロ ディ アマと名付けたキャンティクラシコはありませんでした。あくまでも4つのクリュが重要で1996年にカステッロディアマとして品質の高いキャンティクラシコが誕生しました。

トスカーナ初のメルロー100%「ラッパリータ」をリリース

ラッパリータトスカーナ初のメルロー100%「ラッパリータ」をリリース
「ラッパリータ」は1985年にリリースしました。畑は3.5ヘクタール程の広さです。トスカーナでメルロー100%で造った初めてのワインとなります。その後1987年にマッセートがリリースされました。1982~1983年にかけて元々あった別のブドウ樹にメルローを接ぎ木しました。ポムロールでは無く、メドックのメルローのクローンを使いました。そもそもスーパートスカンを造ろうとは思っていなくて、サンジョヴェーゼと組み合わせてワインが造れたら良いなと思っていました。自分達の畑の特徴を見て、粘土質でボルドーと似通う所もありました。では何故カベルネソーヴィニヨンにしなかったかと言うと、当時アンティノリが多くの畑でカベルネソーヴィニヨンを突き進めていて、多くの場所にカベルネソーヴィニヨンがあったので私達はメルローを選択した経緯もあります。

リリース直後に『ワインスペクテーター』、『ワインアドヴォケイト』で高得点獲得
いざ出来たメルローを飲んでみたら物凄く良いものが出来た。じゃあメルローだけでボトリングしようと。ワイン名の「ラッパリータ」とは畑の名前で、イタリア語でアッパーレ「現れる」という意味で畑は小高い丘になっていてシエナが望める場所に位置しています。

1980~1990年代のキャンティクラシコはイメージがあまり良くない不遇の時代がありました。その中でメルロー100%で造った「ラッパリータ」は、ある意味トスカーナサンジョヴェーゼではない「自由なワイン」として世界中から評価をもらいました。(当時キャンティクラシコは実際叩かれたりする事もありましたから)

ブラインドテイスティングでペトリュスを抑えて第1位に
リリースしたらすぐに『ワインスペクテーター』、『ワインアドヴォケイト』で高得点が出ました。「このワインは何処で造っているんだ?」と「トスカーナのアマだ」と解り、とても話題になりました。1992年頃でしょうか、スイスのアカデミーデュヴァンでメルローを集めたブラインドテイスティングが行われました。シャトーペトリュス、シャトーラフルールペトリュス、マッセート、そしてラッパリータが揃いました。審査員にはミスターメルローのミシェル ロラン氏もいました。全員で投票した結果、1位がラッパリータ1987年、2位がペトリュス1988年となりました。

「ラッパリータ」が騒がれようが、私たちのオリジンはあくまでも「キャンティクラシコ」

私たちのオリジンはあくまでも「キャンティクラシコ」
嬉しさもありましたが「これは少し困ったことになった」と思いました。何故ならアマはメルローの造り手ではなく、あくまでキャンティクラシコの造り手だからです。「メルローも大切な息子の一人だが、数千本しか造っていないし。正直困ったな」という感じです。

キャンティクラシコの生産者として「ベッラヴィスタ」、「カズッチャ」をラッパリータが受けたレベルまで上げなければならない
こんなに騒がれるとは思っていませんでしたから。キャンティクラシコの生産者として自分たちの「ベッラヴィスタ」、「カズッチャ」をラッパリータが受けたレベルまで上げなければならないと思いました。いかんせんラッパリータというのは、そもそもポムロールの銘醸ワインがあってのトスカーナ版というイメージとなってしまいがち。しかし私たちのオリジンはキャンティクラシコ。当然意識の違いは出てきます。

いよいよマルコ パランティ氏と貴重な試飲が始まります!

ボトル

フレッシュな果実味とバランスの取れた心地よい飲み口
アル ポッジョ 2014
アル ポッジョ 2014


サンジョヴェーゼが良く育たない場所に白ブドウを造ろうと思っていました。1980年代には4種類の国際品種の白ブドウ(シャルドネ、ソーヴィニョン、ピノグリ、リースリング)を植えていましたが、1990年代に入り、シャルドネだけにしました。シャルドネは香りを表現しています。標高500メートルの畑で酸やフレッシュさ、石灰質主体の土壌のミネラル、塩っぽさが残ります。私達が造る白ワインは筋肉質でパワフルなものでは無く、エレガントで上品さがあり、昼食にも合わせられるそんなスタイルを目指しています。
試飲コメント:明度の高いライトイエローの色調。リンゴ、西洋梨のクリーンな果実香に清々しいミネラルとハーブのニュアンスが綺麗に寄り添う。フレッシュな果実味、伸びやかな酸があり、スマートでスタイリッシュ。中盤からミネラルの風味と塩っぽさが感じれ、バランスの取れた心地よい飲み口があります。魚料理から軽めのお肉料理まで合わせる事が出来ます

優美に溶け合う香りと洗練された美しい調和!アマのハイレベルなキャンティ クラシコ
アマ キャンティ クラシコ 2015
アマ キャンティ クラシコ 2015


サンジョヴェーゼとピノ ネロは似通う点があるかと思います。「植えている場所によって顔を変える事」が言えます。またモンタルチーノでは濃厚で力強いがキャンティエリアになると色も優しくソフトになります。樹齢8~10年のサンジョヴェーゼを使用しています。2015年は本当に素晴らしい年でした。若い樹齢で造っていますが、上級のラインナップに共通するスタイルが感じられます。香りの果実感、フレッシュな酸、もうひとつ強調したいのがタンニンが柔らかい事です。このワインは決して人を驚かせるような凄みのあるワインでは無いですが、ブルゴーニュ的な飲み心地の良さを持ったワインです。「アマ」は8~10年の熟成の可能でしょうが、それ以上の長期熟成には向かないでしょう。
試飲コメント:ベースラインながら圧倒的なレベル高さを持つ素晴らしいワイン。スミレの花のフローラルさ、繊細なハーブ、熟した野生のベリーやスパイスが優美に溶け合っています。果実感は粗さやブレも無くに滑らか。タンニンは柔らかく、全ての要素が美しく纏まり調和が取れています。若いヴィンテージながらも美しい酸と洗練されたシルキーなタンニンがあり、長く続く余韻が感じられます。抜栓後も数日楽しめる味わいの深さも持っています。

繊細さと深さを併せ持つ名門アマのエレガンスに満ちた味わい
サン ロレンツォ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2013
サン ロレンツォ キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ 2013


まず香りをかいでいただければ、このワインの持つ「奥深さ」というものが解って頂けるかと思います。決して攻撃的ではない円やかで柔らかなタンニンが感じられます。サンロレンツォは少し時間をかけて熟成させて楽しむ事が出来るワインです。良くイタリア国内のエージェントに言うのは、このエリアの事を知らないのなら、先ずは「アマ」から飲んでもらいたい。逆にこのエリアを事を知っているのなら、サンロレンツォを飲んで深めてもらいたい。サンロレンツォには特徴があり、自分たちの「名刺代わり」のような存在だからです。2013年は少しだけ涼しかったかなと思いますが、バランスが良くてワインとしても凄く出来が良いものとなりました。
試飲コメント:綺麗で明るいルビー色です。サンロレンツォ畑の石灰分の多い土壌から産まれるワインは豊富なミネラルと美しい酸を持ちます。熟した果実の香りに澄んだミネラルが溶け合い、落ち着いた印象ながら、実に奥深い香りです。飲むと、しなやかな果実感とアマらしいミネラルと酸が効いた美しいスタイルで終始エレガントなスタイルです。時間が経つにつれ、果実感の奥行きが広がり、より円やかな味わいに変わっていきます。重すぎない味わいで繊細さと深さを併せ持つ伝統的な味わいでトップクラスのキャンティクラシコではないでしょうか。

高貴さに満ちた偉大なサンジョヴェーゼ
キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ ヴィニェート ベッラヴィスタ 2011
キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ ヴィニェート ベッラヴィスタ 2011


1番良いヴィンテージの時だけに「ベッラヴィスタ」と「カズッチャ」を造っています。このワインの香りをかいでいただければ、どういうワインは解って頂けると思います。このワインは世界の有名なワインと比べて頂いても十分に競争できる品質を持っていると思います。サンロレンツォとは造りが違います。畑の段階でブドウを厳選します。セレクションされたクリュを造る時、方向性は他のワインとは異なってきます。タンニンは非常に甘美で溶け込でいます。自分にとって「素晴らしいワイン」とはバランスが取れている事が一番大切だと考えています。何か一つ抜きんでているものがあってはならない。酸が高かったり、タンニンが強かったりするものでは無く、全体のバランスが取れていなければなりません。ベッラヴィスタは複雑味があって奥深いです。
試飲コメント:厳かに立ち上る複雑なアロマ。フローラルさ、果実、ミネラル、ハーブのニュアンスが一糸乱れる事無く美しい層を成しています。繊細なタッチながら芳しく深い香りが実に見事です。目の詰まった緻密な果実感、伸びやかな酸味、甘やかなタンニンの素晴らしいバランスがあり、重々しさやアルコールの嫌味等微塵も感じさせずに、旨みだけを残して喉元へしなやかに落ちていきます。余韻に感じる洗練された優雅さは一般的なサンジョヴェーゼとは一線を画す「流麗さ」「高貴さ」に満ちています。偉大なアマが造る偉大なサンジョヴェーゼです。

包み込むような美しさと精妙さ偉大なメルロー「ラッパリータ」
ラッパリータ 2013
ラッパリータ 2013


「ラッパリータ」は1985年にリリースしました。畑は3.5ヘクタール程の広さです。トスカーナでメルロー100%で造った初めてのワインとなります。その後1987年にマッセートがリリースされました。1982~1983年にかけて元々あった別のブドウ樹にメルローを接ぎ木しました。ポムロールでは無く、メドックのメルローのクローンを使いました。そもそもスーパートスカンを造ろうとは思っていなくて、サンジョヴェーゼと組み合わせてワインが造れたら良いなと思っていました。自分達の畑の特徴を見て、粘土質でボルドーと似通う所もありました。では何故カベルネソーヴィニヨンにしなかったかと言うと、当時アンティノリが多くの畑でカベルネソーヴィニヨンを突き進めていて、多くの場所にカベルネソーヴィニヨンがあったので私達はメルローを選択した経緯もあります。
試飲コメント:黒い果実やチョコレート、ローズマリーの深みある美しい香りに内側にバラの花束、甘草、タバコの複雑な香りが潜んでいます。驚く程厳かで凛としたクールな印象ながら、時折魅せる内に秘めた力強さがこのワインの素晴らしいポテンシャルを物語っています。飲むと芯に感じる力強さがあるものの、美しいシルクを一枚纏ったかのような非常に清らかで滑らかなタッチ。包み込むような美しさと精妙さがあり、舌を優しく撫でるように喉元へ落ちていきます。噛み締めたくなるような味わい深さ、惚れ惚れするような上品な色気を纏った偉大なワイン。現時点でも実に偉大なラッパリータ。ゆっくりと熟成させた状態で飲んでみたい1本。
インタビューを終えて
マルコ パランティ氏のお話は、非常に情熱的でシンプル、そして核心を突く深い内容でした。「一歩下がってテロワールを尊重し、纏め上げる役割を果たす事」「ラッパリータが騒がれようが、私達のオリジンはあくまでもキャンティクラシコ」と決してブレる事の無い土地、サンジョヴェーゼにかける強い情熱や想いを感じました。

試飲したアマ2015年は若木ながら、滑らかさ洗練されたシルキーなタンニンがあり、ベースラインながら圧倒的な完成度。サンロレンツォ2013年、ベッラヴィスタ2011年は1週間かけてじっくりと飲みましたが、緻密で美しいスタイルは崩れる事は無く、一般的なサンジョヴェーゼとは一線を画す舌を撫でるような「流麗さ」「高貴さ」に満ちています。ラッパリータ2013年は包み込むような美しさと精妙さがあり、惚れ惚れするような上品な艶を纏った偉大なメルロー。どのワインも思わずため息が出る程の美しさと優雅さに満ちていました。カステッロディアマは今から20年程前「なんて美味しいキャンティクラシコ!」と感激した思い出深いワイン。20年経った今も変わらず感動する味わい。やはりカステッロ ディ アマは常に偉大なワイナリーです。

カステッロ ディ アマ社 マルコ パランティ氏、アルトゥーロ パランティ氏とトスカニースタッフ
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