2018年5月31日 ソラリア社 パトリツィア チェンチオーニ女史
ブルネッロ協会初代代表を祖父に持つ偉大なDNAを受け継ぐ女性醸造家!
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2018年5月27日~6月3日までワイナリー視察研修にイタリアに行ってきました!ピエモンテ、トスカーナの7つ生産者を訪ねて、カンティーナや畑を見学、生産者から直にお話を伺い、ワイン造りへのこだわり、思い等を聞きました!訪ねたのはトスカーナ州、銘醸地モンタルチーノ北東部にワイナリーを構えるブルネッロ生産者「ソラリア」。ここは当主パトリツィア チェンチオーニ女史を始め、ほぼ全員が女性スタッフという女性らしい心配りが随所に感じられるワイナリー。ブルネッロ協会初代代表を務めたジュゼッペ チェンチオーニ氏(カパンナ)を祖父に持ち、歴史的なDNAを引き継ぐクラシックな造りが特徴です。ブルネッロ、ロッソと初めから分けて造るのではなく、樽熟成でより良いものだけをブルネッロ、ブルネッロリゼルヴァとして更に熟成させていく方針を取り、人為的な事は極力避け、ブドウの力を信じて熟成を待つポリシー。女性醸造家らしい力強くもエレガンス溢れる魅力的なワインを造っています。パトリツィア チェンチオーニ女史にお話を聞きました。 | ||||||||||
ほぼ全員が女性のスタッフで運営する「ソラリア」 |
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私達はモンタルチーノ北東部で約50ヘクタールの土地を所有しています。1968年創立しましたが、ワイナリーとして本格的にスタートしたのは1993年でモンタルチーノの中では比較的新しいワイナリーです。私と娘をはじめ、ほぼ全員が女性のスタッフで運営しています。約8ヘクタールほどのブドウ畑と7ヘクタールのオリーブ畑は標高300~から350メートルのなだらかな傾斜で栽培に恵まれた環境です。かつ、畑は全てカンティーナに隣接しています。 日当たりの良い土地「ソラリア」 ブドウはコルドーネスペロナート仕立てで栽培しています。畑は砂質主体に礫、粘土が混じる土壌で、化学的な肥料や農薬は使用しません。 ソラリアはブルネッロ北東部にあり、山の影響を受けるエリアで、畑では北から東に向かって涼しい山から風が吹き抜けていきます。1日の寒暖差があり、出来上がる味わいも総じてエレガントなスタイルになります。一方、南部のブルネッロは温暖な気候を反映したパワフルでアルコール度数の高い味わいとなります。土壌もごつごつとした岩が混じる土壌となり、北部、南部で出来上がるブルネッロのスタイルが異なります。 ここ数年の気候は、これまでの経験からするとちょっと特殊な気候が続いています。2014年は雨が多く難しい年で、ブドウを厳しく選果した結果、例年の40~50%も収量を減らさざるを得ませんでした。2015、16年は平均的な年でしたが、2017年は9月に雨が降り、収量は安定しなかったようにここ数年、非常に特徴の違うヴィンテージとなりました。2018年は今のブドウの状態からすると、収穫は恐らく9月25~26日あたりから始められると思います。 |
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ブルネッロ協会初代代表を務めた偉大な祖父のDNAを受け継ぐ |
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ブルネッロ協会初代代表を務めた偉大な祖父のDNAを受け継ぐ ブルネッロ「カパンナ」とは親戚関係にあたり、祖父は1967年ブルネッロ協会を設立時の初代代表を務めた、カパンナのジュゼッペ チェンチオーニ氏。歴史的モンタルチーノ生産者のDNAを引き継いでいます。 「カパンナで6才から畑仕事をしていたわ。ワインの事を教えてくれた祖父がブルネッロ協会を創設したのが1967年。最初にブルネッロを造ったのが1970年。私が1969年生まれだから、ブルネッロよりも長く生きていますね。私にはアリアンナ(21歳)、アンナリーザ(25歳)の2人の娘がいて、栽培から醸造、ボトリングまで私と一緒に行っています」とブルネッロの歴史を幼い頃から見てきたパトリツィア女史の他を寄せ付けない「凄み」を感じた瞬間でもありました。 |
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樽熟成でより良いものだけをブルネッロ、ブルネッロリゼルヴァとして更に熟成させていく |
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ブドウの酸化やダメージを最小限に抑えるステンレスタンク それでは、カンティーナに移りましょう。 このステンレスタンクで25~28度でマセラシオンを行います。リモンタージュも密閉状態のタンク内で行われるので、ブドウの酸化やダメージを最小限に抑える事が出来ます。また深夜でもこの作業を行う事が出来るのが利点の一つです。 造り分けをせず、樽熟成でより良いものだけをブルネッロ、ブルネッロリゼルヴァとして更に熟成させていく 畑を知り尽くした彼女は、畑の区画ごとにブドウを仕込み、熟成期間の1年目には液体の状態をチェックしながら、人為的な事は極力避け2年目以降は樽にはほとんど触れず、ひたすら熟成を待ちます。ブドウの力を信じて熟成を待つことにしています。 「仕事に向かわせる情熱?私にとって栽培~醸造までやる事は極当たり前の事」 Q.ワイン造りに向かわせる情熱はどこから産まれてくるのですか? 「仕事に向かわせる情熱?私にとって栽培~醸造までやる事は極当たり前の事。私にとってこれが普通ですよ。トラクターを運転していた男性が先日辞めちゃったんだけどね、私が運転するから大丈夫」とキッパリ。 常に穏やかで柔和なまなざし、決して多くを語らない彼女は、ブドウのポテンシャルをしっかりと引き出すという「基本的で最も大切な行程」を実に丁寧に、かつ妥協せずに集中して行なっています。素晴らしい行動力と彼女の底知れぬエネルギー量に圧倒されました! |
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「私達世代が伝統を守りつつも、新たな波を造っていかなければなりません」 |
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ワイナリーにかける思いをゆっくりと話してくれたパトリツィア女史。続いて、ワイナリーのこれからついても話し始めました。
「1990年代はモンタルチーノ全体が大きく変わった時代」 「私達世代が伝統を守りつつも、新たな波を造っていかなければなりません」 カンティーナに戻り試飲となりました。 ロッソ ディ モンタルチーノ2016 ブルネッロ ディ モンタルチーノ2013 ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ「123」 2012年 |
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カンティーナで「マンマの料理」の料理の美味しさに感動 |
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試飲後は、カンティーナでパトリツィア女史のお母さん手作りの「マンマの料理」とソラリアのワインをゆっくりと楽しみました。 出てくるお料理の美味しさに驚きました。野菜やお肉の素材の美味しさが確りと楽しめるもの。塩加減も本当に控えめでくどさがなく、どの料理も最小限のシンプルな味付け。日本で「ブルネッロと料理」を考えると、料理の味付けをついつい、あれやこれやと考えがちですが、ほんのりニンニクとオイルの風味をまとったシンプルなローストビーフは絶品で、忘れられない美味しさでした! あれやこれや構えずとも、料理とワインをゆっくり楽しむ「おおらかさ」みたいな空気が流れ、楽しい会話が続きとても心地良い時間が続き、食後も盛り上がりが続きました。パトリツィア女史が出してくれたグラッパ ディ ブルネッロ(ソラリア)を飲みながらパトリツィアが「今度は私の番」と言わんばかりに、あれやこれやと質問が飛び交い、充実した楽しい一時に。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
ブルネッロ協会初代代表の偉大な祖父のDNAを見事に引き継ぐ情熱的なパトリツィア女史。栽培~醸造まで一人で全てを仕切る姿はまさに「スーパーウーマン」。常に穏やかで柔和なまなざし、決して多くを語らない彼女ですが、その言葉の節々からも並々ならぬ真摯な思いが伝わってきました。
娘のアンナリーザ、アリアンナさんの2人も既に確りとしたビジョンがあり、「伝統を守りつつも、新たな波を造っていかなければなりません」と母親譲りの情熱にまたまた圧倒されました。ちなみにアンナリーザさんは母親に似て事務仕事が苦手、アリアンナさんは真面目で理論的と、この先実に楽しみなコンビです。1990年代を駆け抜け、ワイナリーの名声を築き上げた母親のように、また「新しい波」を起こしてくれそうです。 試飲では、クラシックスタイルのブルネッロの力強い魅力とエレガンスが共存。タンニンは豊富ですが、粒子が細やかなので長期熟成は勿論、若くとも非常にバランスが取れています。 そのことを思い知らされたのが、食事中に供されたブルネッロリゼルヴァ2006年。ゆうに12年を過ぎようとしているワインですが若々しく、充実した果実感。美しい調和の取れた滑らかな味わいで、まだまだ秘めたポテンシャルの高さがあり、エネルギーに満ちた堂々たる印象。パトリツィア女史のエネルギッシュで美しい印象と見事に重なるワインだなぁと感じました。 パトリツィア女史のお母さんが造った「マンマの料理」の美味しさも相まって、あれやこれや構えずとも、料理とワインをゆっくり楽しむ「おおらかさ」みたいな空気が流れ、楽しい会話が続きとても心地良い時間が続きました。最後にはグラッパ ディ ブルネッロ(ソラリア)を飲みながらパトリツィアが「今度は私の番」と言わんばかりに、あれやこれやと質問が飛び交い、終わってしまうのが名残り惜しい程の充実した楽しい一時に。 真摯にワイン造りに向かい続けるパトリツィア女史の温かいおもてなしに感動した素敵な夜でした。 |
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ブルネッロ協会初代代表を祖父に持つ女性醸造家が造るブルネッロ「ソラリア」
2018/08/09