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2018年10月9日 株式会社ボンヴィーノ 代表取締役社長 川頭 義之氏
力強さと美しい酸を残す熟成ネロダーヴォラ!
複雑なテロワールから産まれるイタリア最高評価の自然派シチリア「グルフィ」
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シチリア自然派ワイナリー最高峰「グルフィ」は、シチリア南東部キアラモンテ出身の実業家ヴィト カターニャ氏と、DRCも手掛ける世界最高の苗木家ギョーム氏、シチリア自然派ワイン醸造の重鎮サルヴォフォーティ氏らによって1996年にキアラモンテで創業しました。郷土愛が強く「国際品種ではなくネロダーヴォラ」に注力、海に近く砂質のテロワールから産まれる力強さと美しい酸、ミネラルを残す味わいは一般的なネロダーヴォラのイメージを遥かに超え、ブルゴーニュの単一畑の概念を持ち込み造られたクリュシリーズはピノノワール的な長期熟成能力と優美さを備えています。プロフェッショナルからも「ネロダーヴォラとは思えないエレガンスがある」と高い評価を得ています。伊ワイン評価誌「Guida Al Migliori Vini D’Italia」で最高賞「ワイナリー オブ ザ イヤー」受賞し、「ローカルというよりも国際的なレベルの偉大なワインが造られている」と絶賛され、近年益々注目を集めています。1998年、日本に初めて「グルフィ」を紹介した、「イタリアワイン最強ガイド」の著者である川頭 義之氏と希少なバックヴィンテージと試飲しながら、偉大な「グルフィ」の歴史にお話を聞きました。 |
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「イタリアワイン最強ガイド」の著者。「闘うワイン商」川頭 義之氏
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川頭 義之氏
株式会社 ボンヴィーノ
代表取締役社長
1962年神奈川県湘南生まれ。明治学院大学卒業。在学中は体育会ラグビー部でFW。
卒業後は商社に勤務。留学先のイギリスで妻のジョバンナさんと出会い、イタリアワインに目覚める。96年、勤務先を退社し、夫婦でイタリアワインのエージェント業務を開始。
「闘うワイン商」という異名を持ち、一年の大半をイタリアで過ごし、イタリアワインの真の魅力を伝えるべく現地ワイナリーとインポーターとの懸け橋となっています。
父は映画監督で、故川頭 義郎氏。俳優の川津 祐介は叔父にあたる。
イタリアソムリエ協会AIS会員。
「リアルワインガイド」誌で試飲テスターを務める。
著書に「イタリアワイン最強ガイド」(文藝春秋社刊) |
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流行りの国際品種ではなく土着品種ネロダーヴォラに注力
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シチリア島南東部キアラモンテで1996年創業
グルフィにおいて1996年に誕生したワイナリーが「グルフィ」です。1990年代半ばから、ようやくシチリアの高品質ブランドが着目され始め、その時代の中で新進気鋭のワイナリーとして誕生し注目を集めました。
郷土愛が強く「国際品種ではなくネロダーヴォラで行く」
歴史的に見るとシチリアワインを有名にしたのが、「タスカダルメリータ」、コルヴォで有名な「ドゥーカ ディ サラパルータ」らに代表される大規模な土地を所有する貴族が経営するワイナリーです。60~80年代には一躍シチリアワインを世界的に有名にしました。90年代にプラネタ「シャルドネ」が出てきて、シチリアでの国際品種の栽培が着目され、シチリアのワイン産業が栄えていきます。「グルフィ」の前オーナーで2017年に67歳の若さで逝去した故ヴィト カターニャ氏もその内の一人ですが(現在は次男のマッテオが経営)、郷土愛が強く「国際品種ではなくネロダーヴォラで行く」という思いでワイナリー建設を進めていきます。
キアラモンテの風土を純粋に自然のままにワインに表現
ヴィト氏はシチリアのキアラモンテの出身で、地元であるキアラモンテで1996年にワイナリーを始めました。ヴィトが小さい頃、戦後のシチリアでは食べる為の仕事が全然無くて、父と一緒に仕事を探しにフランスに行ってきた時期がありました。ヴィトは成年になるまでフランスで生活をした後、キアラモンテに帰ってくる訳ですが、ワインとの出会いは幼少期のフランスワインがスタートとなります。特にブルゴーニュワインを好んで飲んでいたようですね。
ブルゴーニュのワイン造りに影響を受け、土地の個性を明確に表現するクリュの概念を採用
「グルフィ」が造る味わいは、キアラモンテの風土を純粋に自然のままにワインに表現しています。世界中で最もテロワールを巧みに表現しているブルゴーニュのワイン造りにも影響を受け、土地の個性を明確に表現するためにクリュの概念を採用しており、ヴィト氏が何よりもこだわる土着品種である「ネロ ダーヴォラ」から4つのクリュワイン造っています。その個性は見事に面白く、果実味の強いパワフルなスタイルから、上品で香り豊かなエレガントなスタイルまで、各々の畑の個性がストレートに表現されています。現在100ヘクタールの畑を所有、醸造所はキアラモンテにあります。ブドウ畑は、ワイナリーのそばで内陸にあるキアラモンテ・グルフィと海側のパッキーノの2つのエリアに分かれます。
初めにグルフィを高く評価したのは実はイタリア国外で、世界中のワインが集中する大変競合の多いイギリスやアメリカ市場で、非常に人気を博しました。その後、日本へも上陸を果たし、高い品質を誇る自然派ワインの造り手として注目を集めています。現在ではイタリア国内外でシチリアを代表する一流ブランドとして成長をとげ、高い知名度を誇っています。 |
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F1フェラーリ全盛期を支えた潤滑油事業で大成功を収める
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元々ワイン造りからスタートしたのではなく、「潤滑油事業」を立ち上げる
実はヴィト氏には元々ワイン造りをしようという考えはありませんでした。ただ仕事に対する多くの新しいアイデアを持っていたので、自分のアイデアに対して新聞広告を出し、スポンサーを募りお金を出した企業もありました。それが「潤滑油事業」です。
80~90年代のF1フェラーリ全盛期に不可欠となった潤滑油で大成功を収める
ヴィト氏の父が亡くなった後は、特殊油脂を製造するレイズ「REYS spa」という会社を自分で立ち上げました。レイズはイタリアの中でも極めて優良企業として認知されていて、のちにF1フェラーリ社に機械を切り出す為の潤滑油の提供を始めることになります。フェラーリはそれまで「ブリティッシュ ペトロールBP」の潤滑油をつかっていたのですが、レイズの油に切り替えてから機械が見事にかみ合い始めチームの低迷を脱出、80~90年代のフェラーリ全盛期を迎える事になります。0.1ミリ単位の切り出し技術のミスでマシンの性能がダウンしてしまう「ミリ単位の技術」が必要とされる業界において、ヴィトは潤滑油事業で大成功を収める事になります。
潤滑油事業「レイズ」はまだ続けているのですか?
潤滑油事業は続いていまして、「レイズ」にいた人間が引き継いでいます。今でもフェラーリ社に潤滑油を卸しています。ヴィト氏には3人の息子兄弟がいて、次男を中心にワイナリー事業を3人で行っています。ヴィト氏はフェラーリの元会長のルカ ディ モンテゼーモロ氏と仲が良くて、1998年にシューマッハがハンガリーGPで勝利したエンジンを半分に切った貴重なオブジェがレイズに展示してありますね。
「家族代々所有していたブドウ畑でワインを造ったらどうなるのか」
ヴィトが潤滑油事業で大成功を収めた事もあり、キアラモンテで代々所有していたブドウ畑を売りに出そうかという話が家族から上がってきましたが、「ここのブドウでワインを造ってみたら、どうなるのか」と思ったらしくて。その話を今の「グルフィ」の醸造家である旧知の仲であるサルヴォ フォーティ氏に伝え、彼にお願いしてワインを造ってみる事になります。
シチリア自然派の重鎮「サルヴォフォーティ」が醸造を務める
サルヴォ フォーティ氏
過去にはカターニャ大学で醸造学科を開設し教鞭も取るかたわら「グルフィ」「ベナンティ」を始めシチリア東部を代表するワイナリーのコンサルタントを長年務めているヴィト氏が最も信頼を置く重鎮。特にシチリア東部エリアやパキーノあたりを知り尽くしている人物。グルフィのクリュの畑を購入する際もサルヴォフォーティ氏のアドバイスを受けて決定しました。2000年にサルヴォフォーティ氏自らが設立したワイナリー「イ ヴィニェーリ」で除草剤や殺虫剤を使わないビオロジック農法を採用。醸造に使用する二酸化硫黄の使用はごく少量と、自然なワイン造りを推し進めています。
サルヴォフォーティ氏自身のワイナリー「イ ヴィニェーリ」は全てグルフィで醸造
ヴィト氏が亡くなった後もサルヴォ フォーティ氏が醸造長としてグルフィのワイン造りを牽引しています。サルヴォフォーティ氏が所有するエトナのワイナリー「イ ヴィニェーリ」は全部グルフィのカンティーナで醸造しています。サルヴォフォーティ氏はエトナにはカンティーナを持っていません。ヴィト氏と20年来の付き合いがある事から、「イ ヴィニェーリ」のワインを全てグルフィで造っています。サルヴォフォーティ氏は小さい頃からエトナの畑の周りを良く知っているので、本当に詳しいですね。エトナのワイン醸造に関しては恐らくサルヴォフォーティ氏の右に出るものはいないでしょうね |
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DRCも手掛ける世界最高の苗木家ギョーム氏にブドウの管理を依頼
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ワインをはじめて出品した「ヴィニタリー」でヴィト氏と知り合う
90年代初めに造ったワインを北イタリアのワインの評論家に持って行ったところ、「このワインは凄く良いから、ブドウ畑を売る事はやめてワイン造りを始めた方が良いんじゃないか」とアドバイスを貰ったことをキッカケにワイナリーを造る事にしました。
1996年にヴィト氏がワインをはじめて出品した「ヴィニタリー」で知り合い、翌1997年にワイナリーを訪ねました。当時は畑も20ヘクタール程、現在のようなクリュ畑のラインナップも無く赤ワインが1種類しかなかったですね。1998年から紹介していますので、もう20年の付き合いですね。日本には1999年から輸入されていますね。1999年には「ロッソ イブレオ」「ヴァルカンツィリア」「ブファレッティ」「ネロ マッカリ」のラインナップも4種類に増えていました。現在ロゼも造っていますし、エトナでもロッソを造っていて、順調に成長を続けているワイナリーです。
25億円もの巨額を投じてワイナリーを設立
ワイナリー建設に当たっては元々8億円位のプロジェクトだったのですが、地場産業が潤えばと、ワイナリー建設にあたって多くの地場下請け会社に依頼を行い、予定以上の投資を行うようになります。潤滑油事業で成功した資金を元に結果、1996年に25億円(無借金で)を投じてワイナリーを設立してワイン造りを本格的に始める事になります。カンティーナも地下3階、地上2階のとても立派な設備で、ここ20年の間で出来たシチリアのカンティーナの中でも一番大規模となっていて、クオリティの高いワインを造り続けています。
DRCも手掛ける世界最高の苗木家ギョーム氏にブドウの管理を依頼
ヴィト氏はネロダーヴォラをメインに考えています。ヴィト氏がワイナリーを造る際に、フランスの苗木家アンリ=グザヴィエ ギョーム氏※に依頼しました。ギョームがグルフィの畑のブドウを全て手掛けています。グルフィはキアラモンテにピノノワールの畑を1ヘクタール持っていて、ロマネコンティ社と同じクローンの苗木を植えて「Pino」という極少ワインを造っています。グルフィの畑のテロワールがとてもユニークな事からギョーム氏もピノノワールを植えた方が良いんじゃないかという結論に至ったそうです。
※アンリ=グザヴィエ ギョーム氏
100年以上も続く世界最高の苗木家。育種(特にシャルドネとピノノワール)と台木の世界第一人者である彼の顧客にはアンリ ジャイエ、ドメーヌ ド ラ ロマネコンティ、プリューレ ロック、ドメーヌ ルロワ、コント ラフォン、サロン、クリュッグ、ボランジェ、ジャック セロス、アンジェロガヤ、グラヴネルといった世界超一流の造り手が連なる。
伊ワイン評価誌「Guida Al Migliori Vini D’Italia」で最高賞「ワイナリー オブ ザ イヤー」受賞!
グルフィはイタリアワイン評価ガイド「「Guida Al Migliori Vini D’Italia 2012」で最高賞ワイナリー オブ ザ イヤー受賞しました。このガイドは著名なワインジャーナリスト2名の監修によるイタリアワインガイド誌で、『デカンター』『タンザー』『ヴィノス』で活躍するダカタ氏、イタリアの料理とワインの情報機関、『クチーナエヴィーニ』のカンパリーニ氏の2名。彼らはイタリアで最も名声のあるワイナリーのセレクションの中からグルフィを最高位に輝くワイナリーに選んでいます。
「私たちのワインは起源であるこのシチリアに深く根ざしたもの」
ヴィト氏はこの受賞にあたり「1996年からグルフィの地で、愛するワインをただ一生懸命に造ってきました。灌漑設備は一切導入せず、オーガニックやビオディナミ栽培方法の他でも最良だと思うことを考えてきました。世界で最高峰と呼ばれるワイン産地で行われてきたことと同様に、これまでも私たちは自分たちのやり方を貫いてきました。もちろん、私たちは最も繊細なブルゴーニュワインにも影響を受けました。同様に、偉大なるローヌの特にシャトー ヌフ ドゥ パプにも影響を受けました。しかしながら、私たちのワインは、起源であるこのシチリアに深く根ざしたものであることを第一に呈しています」とその喜び、信念を話しています。
「ローカルというよりも国際的なレベルの偉大なワインが造られている」
「ワイナリー オブ ザ イヤー 2012」
「今年もまたたくさんの見事なワインがグルフィによって造られている。クリュのワインはローカルというよりも国際的なレベルの偉大なワインである。偉大なネロダーヴォラはパワフルでいて、洗練されており、バランスがとてもよく取れており、さらには瓶熟成をも可能としている。ワイナリーのスタッフとエノロゴのサルヴォフォーティ氏には、シチリアにおけるワイン造りを国際的水準まで引き上げた功績を賞賛する。華麗で傑出したロッソイブレオはリーズナブルでありながら、偉大なブルゴーニュを彷彿とさせる。また、エトナのレセカやチェスオーロも堂々たるものである。まさにこの賞を与えられるべく、相応しいワイナリーである」
「美と愛」の神が描かれた美しいラベル
全てのワインのラベルには、美しい男女の絵がモチーフとして描かれています。これは、シチリア島で世界遺産に登録されているピアッツァ アルメリーナ(Piazza Armerina)のモザイク画より採用されています。ピアッツァ アルメリーナは、古代ローマ貴族の別荘であり、現在でも見事なモザイクが保存されていることで有名です。このモザイク画は、この別荘の寝室の床に描かれており、女性は「美の神、プシュケ」であり、男性は「愛の神、エロス」です。オーナーのヴィト氏がシチリアを代表する美しい文化を好み、自社ワインのラベルデザインにしました。 |
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ブルゴーニュのワインのようにテロワール、畑の個性が感じられるワイン造り
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ブルゴーニュのワインのようにテロワール、畑の個性が感じられるワイン造り
ヴィト氏はキアラモンテのポテンシャルにいち早く目を付けたので、「いい畑を選んで買う事が出来た」訳です。なおかつ土地の価格も今ほど高くはありませんでしたね。「マッカリ」「ブファレッティ」「サンロレ」をはじめ5つのクリュを購入しました。そこからシングルヴィンヤード単一畑のワインを造り始めます。
シチリアでありながら単一畑のワイン醸造にこだわったのは、ヴィト氏が青年時代に過ごしたフランスでブルゴーニュのワインに出会ったことが大きいと思います。ブルゴーニュのワインのようにテロワール、畑の個性が感じられるワイン造りが頭にあったからですね。
ポピュラーなシチリアワインであれば、畑の中から選別して良いブドウを使う発想はありますが、ヴィト氏はあえてしなかった訳です。当時のシチリアで、単一畑によるワイン醸造は一般的ではありませんでしたから。
ネロダーヴォラ発祥とされる「アヴォラ」に程近いパキーノ
ネロダーヴォラとブドウの名前ですが、パキーノの近くに「アヴォラ」という町があるんですが、そこが発祥とされています。「アヴォラの黒ブドウ」から「ネロダーヴォラ」と名付けられたと言われています。
パキーノでグルフィがワイン造りを始めた後、トスカーナの「マッツェイ」がこのエリアに畑を購入しワインを造っています。大手の生産者がこぞってパキーノエリアの畑を購入していますね。しかしながら、グルフィとは異なるスタイルの味わいのワインが多いですね。特にクリュのシリーズを飲んでもらうと、繊細さと上質な酸、ミネラルを感じて頂けると思います。
熟成をするとピノノワールを想起させるようなイメージに近づいていく
安価なイメージが強く、甘くて濃さが主張的なネロダーヴォラのワインイメージが先行している影響もあるので、ネロダーヴォラで5000円台と驚かれると思いますが、伝統的な栽培と機械を使わず人手を使うので、コストが高い分、ワインの価格にも跳ね返ってきます。
つい先日1990年代のワインをカンティーナで飲ませてもらったんですが、「ピノノワール」に近い熟成感を感じましたね。サンジョヴェーゼやネッビオーロもそうですが、イタリアの土着品種の良いものは熟成すると、ピノノワールを想起させるようなイメージに近づいていく傾向にありますね。
ネッビオーロ的、サンジョヴェーゼ的な個性を持つ特性の異なる「クリュ」の違い
クリュが違えば味わいが全く異なります。昔から私の受けるイメージがあって。「マッカリ」は石灰質が強い「ネッビオーロ的ネロダーヴォラ」、ブファレッティは鉄分が多く「サンジョヴェーゼ的ネロダーヴォラ」、海に近く砂地が多い「サンロレ」は比較する品種が思いつかないので一番「ネロダーヴォラ的なネロダーヴォラ」と思います。それぞれの畑自体はさほど離れてはいないのですが、土壌特性が全く違います。 |
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豊かなアロマとスッキリとした口当たり |
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ヴァルカンツィリア 2017 |
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キアラモンテ産のシャルドネ、カリカンテのブレンドです。ブレンド比率は毎年変わります。ヴァルカンツィリアは1万本造っています。2015年から更に進化した印象です。 |
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試飲コメント:2017ヴィンテージと若いですが、現時点でもしっかりと深み、ミネラルを感じます。ナッツやレモンなどのアロマも感じられる柔らかい口当たりとスッキリした味わいの中にミネラルや柑橘系果実の伸びやかな酸が感じられます。 |
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硬質なミネラルと豊かなアフターテイスト |
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カリカンティ 2014 |
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カリカンテは造り方は何も手を加えない醸造スタイルでカリカンテは2000~3000本位しか造っていません。ステンレスタンクタンク醗酵で一部オーク樽醗酵、熟成を行います。 |
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試飲コメント:緑がかった黄色の色調で、硬質なミネラル、柑橘果実にナッツのニュアンスがあります。果実の甘味と酸とミネラルがバランスよく、アフターに洋ナシ系の果実味。 |
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素晴らしいスタンダードネロダーヴォラ |
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ネロイブレオ 2014 |
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主力の赤ワインです。80~90%キアラモンテの畑のネロダーヴォラです。残りはクリュラインに使われなかったネロダーヴォラがブレンドされているので、グルフィの中では一番コストパフォーマンスが高いワインですね。キアラモンテの畑はワイナリーを造った1996~2000年の間位に植え替えた畑が殆どだったので、ブドウ樹としてまさに「働き盛り」を迎えてきています。クリュの畑はパキーノエリアにある伝統的なアルベレッロ仕立ての畑で年々クオリティが上がってきています。 |
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試飲コメント:熟したブルーベリー、カシス、ドライフラワーのアロマに熟成したニュアンスがあり。鉄っぽさを感じるミネラルにしっかりとした酸が感じられます。ふくよかな果実味ですがとてもやわらかい口当たりです。余韻が長く、旨味と塩気を感じる、グルフィの素晴らしいスタンダードネロダーヴォラです。 |
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石灰質が強い「ネッビオーロ的ネロダーヴォラ」 |
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ネロマッカリ 2011 |
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1998年が初ヴィンテージです。このワインを造るにあたりヴィト氏はシチリアの代表的な黒ブドウ品種は「ネロダーヴォラか、ネレッロマスカレーゼ」のどちらかであると。ヴィト氏が育ったキアラモンテにはネレッロマスカレーゼが育っていなかった事もあり、キアラモンテに育つネロダーヴォラに力を入れようと心に決めました。ネロマッカリを始めとした「クリュライン」のワインはパキーノに昔から栽培されていたアルベレッロ仕立てのブドウが使われています。 |
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試飲コメント:大手の生産者がこぞってパキーノエリアの畑を購入していますね。しかしながら、グルフィとは異なるスタイルの味わいのワインが多いですね。ネロマッカリは石灰質が強い「ネッビオーロ的ネロダーヴォラ」と言えます。繊細さと上質な酸、ミネラル、熟成による厚みを感じて頂けると思います。 |
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鉄分が多い「サンジョヴェーゼ的ネロダーヴォラ」 |
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ネロブファレッフィ 2012 |
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ネロダーヴォラで良いワインを造りたいとパキーノで良い畑を購入しようとサルヴォフォーティ氏に相談します。キアラモンテのポテンシャルにいち早く目を付けたので、「いい畑を選んで買う事が出来た」訳です。なおかつ土地の価格も今ほど高くはありませんでした。「マッカリ」「ブファレッティ」「サンロレ」をはじめ5つのクリュを購入しました。そこからシングルヴィンヤード単一畑のワインを造り始めます。 |
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試飲コメント:鉄分の多い土壌のエレガントな特性が感じられますね。私のイメージだとトスカーナの「スヴェレート」っぽさが感じられます。海が近い共通点を感じます。 |
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上品さと骨格を持ち合わせる。気高く洗練された味わい |
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ネロサンロレ 2012 |
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つい先日1990年代のワインをカンティーナで飲ませてもらったんですが、「ピノノワール」に近い熟成感を感じましたね。サンジョヴェーやネッビオーロもそうですが、イタリアの土着品種の良いものは熟成すると、ピノノワールを想起させるようなイメージに近づいていく傾向にありますね。 |
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試飲コメント:なめし革、ドライトマト、カシスなどの複雑な香りで、他のクリュより一風異なる質の酸があります。チェリー、木イチゴの果実味、上品さと骨格を持ち合わせる。気高く洗練された味わいです。 |
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表情がガラッと変わる酸とミネラルの旨み!2009年 |
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ネロサンロレ 2009 |
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クリュが違えば味わいが全く異なります。昔から私の受けるイメージがあって。「マッカリ」は石灰質が強い「ネッビオーロ的ネロダーヴォラ」、ブファレッティは鉄分が多く「サンジョヴェーゼ的ネロダーヴォラ」、海に近く砂地が多い「サンロレ」は比較する品種が思いつかないので一番「ネロダーヴォラ的なネロダーヴォラ」と思います。それぞれの畑自体はさほど離れてはいないのですが、土壌特性が全く違います。 |
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試飲コメント:2009年になると表情がガラッと変わりますね。9年経っていますが、熟成感は強く感じません。イキイキとした酸があり、一般的に思われている「甘くて濃いネロダーヴォラ」のワインとは一線を画します。酸がしっかりとしていて、鉄分をしっかりと感じます。「サンロレ」は砂地で海から一番近い畑の微気候がしっかりと存在しているからだと思います。 |
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今から最低10年熟成出来る素晴らしい2006年 |
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ネロサンロレ 2006 |
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パキーノのエリアに行くと昔ながらのアルベレッロ仕立てのネロダーヴォラしかありません。仮に他の品種を今から植えたとしても自然環境的に適応しないと思います。戦後はブドウだけでは産業が成り立たないので、ブドウ畑を潰して野菜畑に変えてしまう事もありましたが、本当に良いブドウだけを造っている畑では今も残っていますね。それが「サンロレ」「マッカリ」「ブファレッティ」です。1990年代に、これらのクリュをヴィト氏は買いましたが、それ以外の近隣の畑は野菜畑に切り替わっています。 |
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試飲コメント:これはまた良いですね。余韻も長く本当に素晴らしいネロダーヴォラです。個人的にはホールドしたいヴィンテージですね。「サンロレ」は最低10年熟成出来ますね。条件さえ揃えば、20年熟成可能だと思います。 |
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■インタビューを終えて |
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川頭 義之氏の細やかな説明で、ブルゴーニュにも相通じるような熟成能力を持つ酸とミネラルの効いたグルフィのネロダーヴォラの偉大さを改めて知る機会となりました。ネロダーヴォラというとリーズナブルで濃厚な味わいが一般的ですが、グルフィの海が近く、砂質のテロワールは一般的なネロダーヴォラとは別物の美しい深みを持つ素晴らしさがありました。
DRCをはじめとした超一流のドメーヌを手掛ける苗木家ギョーム氏、シチリアワインを知り尽くした醸造家サルヴォ フォーティ氏が造りだすクリュのシリーズの熟成ネロダーヴォラは初めて試飲の機会でしたが、ブラインドではまさにブルゴーニュワインを想起させる慎ましさと際立った深みがあり、ワイナリーから蔵出しの2006年サンロレのあまりの素晴らしさに川頭氏も「個人的にホールド(抑えておきたい)したいヴィンテージ」と絶賛。ブルゴーニュ、ニュイサンジョルジュを思わせるような深みと力強さに終始驚かされる試飲となりました。
ネロダーヴォラにかける情熱がほとばしるグルフィのクリュシリーズ。ただ生産量はとても少ないです。貴重な「サンロレ」のバックヴィンテージを味わう絶好の機会だと思います。「ネロダーヴォラの概念が変わる」美しく熟成した味わいを是非お試し頂ければと思います。 |
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