2018年11月29日 テヌータ ディ アルチェーノ社 ペペ シブ グラチアーニ氏
カステルヌォーヴォ ベラルデンガに魅せられたジャクソンファミリーが手掛ける洗練のキャンティクラシコ「テヌータ ディ アルチェーノ」突撃インタビュー |
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テヌータ ディ アルチェーノは、カリフォルニアのケンダルジャクソンの創業者がカステルヌォーヴォ ベラルデンガの土地に魅了されて立ち上げたワイナリーです。キャンティクラシコの伝統と、カリフォルニアで培ったワイン生産技術、そして「ヴェリテ」を成功に導いた醸造家ピエール セイヤンのバックアップによって造られる洗練されたキャンティクラシコについてエキスポートマネージャーのペペ シブ グラチアーニ氏にお話をお聞きしました。 | ||||||||||
カリフォルニアのケンダル ジャクソン創始者が、バカンスに訪れたトスカーナで魅了されたカステルヌォーヴォ ベラルデンガの土地を購入してスタート |
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テヌータ ディ アルチェーノは、アメリカを中心に世界各国で50ものエステートを所有するジャクソンファミリーワインズのグループのひとつで、ジャクソンファミリーがカリフォルニア以外で初めて立ち上げたワイナリーです。ケンダルジャクソン社の創始者であるジェス ジャクソンは、トスカーナにバカンスに出かけた際、カステルヌォーヴォ ベラルデンガを訪れ、その素晴らしさに魅了されてこの土地を購入しました。ここは森や野原やオリーブ畑やブドウ畑などが広がる、1000ヘクタールという一大区画です。もともとはシエナのタジャ家が1504年から領地を拡大して発展させ、その後1829年にピッコロミニ家に引き継がれました。そして1994年、ジェスジャクソンへと所有者が変わりました。(右の画像はジェスジャクソン氏とエノロゴのピエールセイヤン氏)
もともとブドウ畑はありましたが、特に意味がなく植えられていたため、1から整備をしました。ミクロクリマを細かく分けて、土壌や土地の向きなどを調べていって、ブドウ栽培に最も適した92ヘクタールを選び、畑にしました。それを63区画に分けて最適な品種をそれぞれ植樹していきました。 ワイナリーを整備していくうえで重要な役割を果たしたのがエノロゴのピエール セイヤンです。彼はジェスジャクソンと意気投合し、「ソノマでペトリュスを造ろう」とプロジェクトを立ち上げて成功させた人物で、アルチェーノでのワイン造りにおいてもスタート時から関わって育てていきました。 |
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ワインのスタイルは「非常に果実味豊かで、とてもフレッシュで、そして非常にクリーン」 |
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アルチェーノのワインのスタイルで重視していることは、非常に果実味が豊かで、とてもフレッシュであることです。そしてクリーン、清潔であること。だから美しい酸を保つことを大切にしています。これはサンジョヴェーゼにもフランス品種にもどちらにも共通しています。
ローレンスはイタリア系アメリカ人で、エノロゴとしてのキャリアはカリフォルニアから始まり、その後、シチリアのフィッリアート、ニュージーランドのクラウディーベイ、オーストラリアのケープメンテル、などで働いた後にアルチェーノに入社しました。ピエールセイヤンととともにアルチェーノのワインを造り上げて行っています。もっぱらローレンスがサンジョヴェーゼを担当していて、ピエールセイヤンはフランス人ということもありますが、ボルドー品種を担当しています。 |
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1000ヘクタールの所有地の中からサンジョヴェーゼに最適な場所を探す |
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1994年に土地を購入し、ワイン造りを始めることになったわけですが、最初はスーパートスカンを造ることにしました。実はアルチェーノには2つのブランドが
あります。キャンティクラシコを造る「テヌータ ディ アルチェーノ」、そしてスーパートスカンの「アルカヌム」です。アルカヌムのスーパートスカンが2002年ヴィンテージが初リリースでこれがアルチェーノとしての最初のワインです。その後、2004年ヴィンテージのキャンティクラシコ、2007年ヴィンテージのストラーダ アル サッソがそれぞれの初ヴィンテージとなります。 土地を購入した90年代はスーパートスカンの時代でした。そこで、まずその準備としてカベルネとメルローを植樹しました。サンジョヴェーゼは少し遅れて97年から98年にかけて植樹をし始めたのですが、それはサンジョヴェーゼに最も適した場所はどこなのかを見極めるのに時間がかかったからです。 アルチェーノの土地はカステルヌォーヴォ ベラルデンガにありますが、所有地の中だけでも起伏が様々で、向きもばらばら、土壌のタイプも10種類ぐらいあります。そのためサンジョヴェーゼに最適な場所を見つけるのに時間がかかったのです。 キャンティクラシコとスーパートスカンを同じワイナリーでも両方造っているところもありますが、私達はこの2つを完全に分けています。ラベルデザインも全然違います。ただ、ボトリング場所は2つとも同じです。 |
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伝統的ワインとして認識されている「キャンティクラシコ」をフレッシュさのあるクリーンでモダンなワインとして表現 |
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キャンティクラシコはイタリアの中でもとても歴史のある、伝統的なワインです。そのため、ちょっと古っぽいイメージを持っている人もいます。ですが、私達はフレッシュさとクリーンさを表現することを心がけています。ベーシックラインのキャンティクラシコは、特に若々しいアロマがあり、これは若い人たちにも好ましく感じられていると思います。そしてサンジョヴェーゼの特徴でもある酸を表現することも大切にしています。
キャンティクラシコ、キャンティクラシコリゼルヴァ、そしてストラーダアルサッソは3つとも醸造過程は同じです。収穫後、房を選果台において手作業で選別します。そしてさらに良い果実だけを選ぶためにレーザーを使って選別します。その選別に合格した実だけが選果台を抜けて次の工程へと進むことができる仕組みになっています。これはコーヒー豆を選別するシステムを使っています。 最高のサンジョヴェーゼが造られる単一畑「ラポルタ」に15のサンジョヴェーゼグロッソのクローンを植樹。このブドウから造られるのがトップキュヴェの「ストラーダアルサッソ」
もともとは「ラ ポルタ」という名前にするつもりでしたが、リリースしようというタイミングでジェスジャクソンが亡くなったんです。そこで、彼に捧げるワインということで彼のミドルネーム「Stonestreet(ストーンストリート)」にちなんでイタリア語で石の道の意味の「ストラーダアルサッソ」という名前にしました。 斜面に沿って自然なカーブを描くように植樹した畑
畑があるのは標高が300~540メートルになります。常に風が吹いているところもあれば、風からプロテクトされているような場所もあり、様々です。 |
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カステルヌォーヴォベラルデンガには約30社ほどのワイナリーがあり、団結してプロモーションをしている |
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キャンティクラシコ地区には全部で600ほどのワイナリーがあり、もっとも南に位置しているのがカステルヌォーヴォベラルデンガで、30ほどのワイナリーがあり、みんなで「Classico Berardenga」という協会を造って活動しています。地形的に東と西に分かれているのがわかりますか?土地の形が蝶に似ているので私たちはそのまま「ファルファッラ」と呼んでいます。テヌタータディアルチェーノは東エリアにあります。
2017年に興味深いイベントを行いました。協会に所属するワイナリーそれぞれが自分たちの畑において3つの異なる土壌(sabbia、macigno、galestro)でワインを造り試飲会を行ったのです。 土壌によって味わいがどう異なるか、非常に面白かったです。さらにすごいのが、そうやって造った全てのワイナリーのワインを全部ブレンドして1本のワインを造ったことです。これはサンフェリーチェのエノロゴのレオナルドベッラッチーニが中心になって行いました。正直、美味しくないだろうと思っていたのですが(笑)予想に反して非常に素晴らしい味わいでした。残念ながら販売はしていません(笑)。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
テヌータディアルチェーノは、カステルヌォーヴォベラルデンガというキャンティクラシコの伝統的なテロワールと、ジャクソンファミリーというカリフォルニアのスタイルが見事に融合されたワイナリーだと感じました。とにかく野暮ったいところが1ミリもない、隙のない味わいだと思います。
3つのキャンティクラシコもそれぞれの個性があり、造り手の意図や思いがストレートに伝わってきます。どれも洗練されていて素晴らしいのですが、テヌータディアルチェーノのスタイルとテロワールが良く分かるのがやはりベーシックのキャンティクラシコです。まずはこちらの1本をぜひ飲んで頂ければと思います。 |
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カステルヌォーヴォ ベラルデンガに魅せられたジャクソンファミリーが手掛ける洗練のキャンティクラシコ「テヌータ ディ アルチェーノ」突撃インタビュー
2019/01/21