『ガンベロロッソ』最優秀エノロゴ!イタリア全土を知り尽くす天才が自ら興したワイナリー「カヴィオラ」

2019/05/22
突撃インタビュー
 
2019年5月16日 カ ヴィオラ社 ジュゼッペ カヴィオラ氏

『ガンベロロッソ』最優秀醸造家!イタリア全土を知り尽くす天才肌が自ら興したワイナリー「カヴィオラ」

カ ヴィオラ社 ジュゼッペ カヴィオラ氏と
『ガンベロ ロッソ』で2002年最優秀エノロゴに輝いたジュゼッペ カヴィオラ氏。マルケのウマニ ロンキやトスカーナのセッテ ポンティ等、超一流のワイナリーのコンサルタントを務め、地域、品種の垣根を超えてイタリア全土で20社のコンサルティングを請け負うイタリア屈指の才能を誇る「天才肌」が自ら経営するカンティーナが「カ ヴィオラ」です。1991年、極少量ながら本格的にワイン造りを始めると、バローロボーイズの「エリオアルターレ」をはじめ、バルベーラとドルチェットを高く評価され、イタリア国内外で高い注目を集めていきます。2018年6月にカヴィオラのワイナリーを訪問し、非常に険しい斜面で有機栽培に徹し、愚直なまでにブドウのポテンシャルを引き出す姿がとても印象的でした。今回、ジュゼッペ カヴィオラ氏が4年振りに来日、イタリア屈指の比類なきワイン造りの哲学についてお話を聞きました。

バローロ セッラルンガと向かい合う絶好のテロワール
偉大なワインが産まれる「モンテルーポ アルベーゼ」

モンテルーポアルベーゼ
バローロ セッラルンガと向かい合う絶好のテロワール偉大なワインが産まれる「モンテルーポ アルベーゼ」
まずカンティーナの歴史からお話させて頂きます。私はピエモンテ東部、モンテルーポ アルベーゼの出身で、1991年にカンティーナをモンテルーポ アルベーゼに設立しました。肉屋を経営していた父のガレージを改良して980本程造ったのが最初です。モンテルーポ アルベーゼはとても小さなエリアですが、バローロのセッラルンガダルバと向かい合う絶好の場所にあり、テロワールもセッラルンガと近しい特徴をもつ素晴らしいテロワールがあります。モンテルーポ アルベーゼでドルチェット、バルベーラ、ネッビオーロを栽培しています。

若い日のカヴィオラ「偉大なワインとは畑で産まれるもの」
モンテルーポ アルベレーゼでワイン造りを本格的に始めた当時は私も30歳位で、まだ借りていた畑のブドウでワインを造っていました。ボトリングして自らワイナリーを興そうというよりは、エノロゴになる事を第一に考えていました。ですので、小さい土地を借りて私なりにブドウを育て、ワインを造る工程を実践してみる事に趣を置いていました。「偉大なワインとは畑で産まれるものである」という考えはその当時からあり、そう言った事から実験的に自分でもワインを造っていました。

「納得の行く高品質のワインだけをボトリング」

カンティーナ入口2002年、ドリアーニに新たにカンティーナを建設
その時抱いたブドウ栽培への信念が、その後私をとても良い方向へと向かわせてくれることになりました。ワイン造りのコンサルタント、エノロゴとしての仕事と同時に、自分でワイナリーを興す事になりました。2002年にドリアーニに新たにカンティーナを建設、現在自身のワイナリーでは合計11ヘクタールの畑を所有し、約8万本をボトリングしています。生産量としては少ない方だと思います。

「納得の行く高品質のワインだけをボトリング」
一般的にトップレンジのワインの下にセカンドラベルとしてワインを造る生産者がありますが、私はしません。私が造るワインは全てセレクションしたブドウのみを使った、自分達が納得の行く高品質のワインだけをボトリングしています。ヴィンテージの違いこそありますが、(造られるワインは)常に高いレベルをキープしていると言えます。赤に関しては培養酵母は使わず、ノンフィルターでボトリングしています。

ドルチェット2種類、バルベーラ2種類造っていますが、それはクオリティが高い、低いの区別ではありません。複数の畑をつかったものか、単一畑を使ったワインかの違いになります。全ての畑は同じく扱い、同等の栽培法で造られます。つまり上下の差ではなく、それぞれが異なったコンセプトを持つ独立した個性を持つワインとなっています。

 

樹齢70年を超える単一畑「バルトゥロット」「ブリック デュ ルッヴ」

モンテルーポのブドウ樹齢70年を超える単一畑「バルトゥロット」「ブリック デュ ルッヴ」
現在モンテルーポ アルベーゼに約9ヘクタールの畑を所有しています。畑は、複数の区画に分かれています。標高380メートルの「ボルミア」と「エルザ」にバルベーラとネッビオーロを植え、標高の高く傾斜20%にもなる2.15ヘクタールの単一畑「バルトゥロット」にはドルチェット、1.5ヘクタールの単一畑「ブリック デュ ルッヴ」にはバルベーラを植えています。「バルトゥロット」「ブリック デュ ルッヴ」はどちらも70年を超える古い樹齢のブドウが植えられています。

バローロセッラルンガダルバと向かい合う好条件の畑
1991年が初ヴィンテージです。畑はバローロ、セッラルンガと向かい合う真南を向いた好条件にあります。モンテルーポ アルベーゼで他に本格的にワイン造りをしている生産者は今、私しかいません。歴史的にドルチェットが植えられていた土地ですが、セッラルンガに近い事もあり将来的にはネッビオーロダルバのワインもリリースも考えています。モンテルーポ アルベーゼはバローロとバルバレスコに挟まれた素晴らし場所なのです。「モンテルーポ アルベーゼと言えばカヴィオラ」と知ってもらいたいですね。

モンテルーポ畑で説明「環境をリスペクトする」~化学肥料や薬品を使わない~
私のワイン造りのフィロソフィーは、「土地の特徴をよりはっきりと分かるようなワイン造り」を行う事です。まず環境をリスペクトする事。それはブドウ畑、一緒に働く人々です。数年前にビオロジックの栽培法に切り替えました。殺虫剤、除草剤等は使用しません。雑草は生やしたままにしておいて、一定時期になったらすき込んで、土に戻し自然な肥料にしています。

「出来る限り自然な形でブドウ栽培のアプローチを行って行きたい」
畑に豆類を巻き、化学肥料や薬品を使わず、ボルドー液のみを使っています。出来るだけ自然な形でブドウ栽培のアプローチを行って行きたいと思っています。そうなると仕事は大変です。手作業でなければなりません。天候や病害虫との向き合う必要があります。ビオロジックにする事で平均1ヘクタール600時間ケアする必要が出てきます。普通の畑ならば200時間もあれば済むでしょう。雨がちな年ともなると、もっと時間がかかります。

バローロボーイズの雄「エリオ アルターレ」が高く評価したドルチェット&バルベーラ

Q.ワイン造りをお仕事に選ばれたキッカケを教えてください。

親は精肉店を営んでいましたが、ワインが好きで父と祖父は特にドルチェットを愛していました。父も祖父も自家消費用にブドウ栽培、ワインを少量は造っていました。私は小さい頃祖父と父に付いていき収穫の手伝いや、ブドウを足踏みしたりしました。とても楽しい思い出です。職業としてはワイン造りの家系ではありませんでしたが、幼い頃のそういった経験からワイン造りに対する気持ちが高まっていきました。

実家のガレージバローロボーイズの雄「エリオ アルターレ」が高く評価したドルチェット&バルベーラ
借りていた小さな畑のブドウを実家のガレージで実験的にドルチェットとバルベーラをボトリングをしていた時、バローロ ボーイズのエリオ アルターレ氏をはじめ、ワイン造りに関して助言をしてくれた多くの友人から「素晴らしいワイン」だと評価してもらいました。自身のエノロゴとしての能力も覚醒するようになり、徐々に自分の名前でワインをボトリングし出していきたいという気持ちが産まれました。少しずつ畑も広げていき、2002年、自分のカンティーナを新たにドリアーニに造る事を決めました。

古城の下に構える偉大なクリュバローロ「ソット カステッロ」
続いて、バローロについて話しましょう。バローロ南部ノヴェッロ村の2ヘクタールのクリュバローロ「ソット カステッロ」(城の下の意味)は2006年から造っています。畑の上にある古城にはカンティーナで一緒に働くスタッフの両親が暮らしています。借りていた畑から2016年に自社畑として購入しました。当時に比べ土地の価格が非常に上がりました。ソットカステッロは非常に急斜面に畑があり手入れが非常に難しいのですが、日当たりも非常に良くてクオリティの高い偉大なブドウが産まれます(栽培はとても大変ですが)。ネッビオーロが大半ですが、極少量バルベーラ、ドルチェットも植えています。

クリュソットカステッロ
標高が高く非常に急斜面。「吹き抜ける風」が産み出す複雑なアロマ
クリュ「ソットカステッロ」はバローロを造るエリアとしては南に位置しますが、標高450~460メートル非常に急斜面である事が特徴です。モンテフォルテやセッラルンガにはこれほどの急な斜面はありません。標高が高いという事は単に涼しいだけの定義ではありません。南側に開けた環境が重要で、風が吹き抜けて日照条件も良いからです。昼夜の寒暖差も発生するのでブドウは暑くなり過ぎずポリフェノール、タンニンもゆっくりと完熟に向かっていきます。アロマティックさ、甘やかなタンニンを産む要因としてはこの地の「吹き抜ける風」が影響しています。標高の高さ由来のフローラルさ、アロマの複雑性がそうです。

古城「ソットカステッロでは私が思い描く理想的なワインが出来上がる」
バローロソットカステッロでは私が思い描く理想的なワインが出来上がります。地質学的にはこの地は若いエリアに入ります。元々海だった場所が隆起して出来ているので、砂岩や石灰質に泥炭土が混じります。粘土質も混じっているので空気や窒素が根にも入りやすいという状況が産まれます。標高が高いのにもかかわらず、貝殻や海の堆積物が畑から出てくるのでワインにミネラルや彫りの深い味わいを与えてくれます。「これがソットカステッロのバローロ」の特徴と言えるでしょう。

「生産者の想い、地域、ブドウ品種の特徴を反映させていくのがコンサルタントとしての私の役目」

Q.コンサルタントをしているワイナリーは何社ありますか?

インタビューコンサルタントの仕事はピエモンテからサルデーニャ、シチリアまでイタリア全土にわたります。全部で20社位です。ピエモンテとトスカーナが多いですね。マルケ、シチリア、サルデーニャもあります。例えば、シチリアではフェウドマッカリ、トスカーナではセッテポンティのスーパトスカン「オレーノ」もそうです。コンサルタントをする事は自分のカンティーナの為にも繋がります。異なる土地やブドウに向き合う事で、私自身のワイナリーをフラットにみる事が出来ます。新たに色々なワイナリーからコンサルタントのお願いが来ていますが、自分のワイナリーの仕事もあるのでお断りもしています。一から(畑仕事)から見るワイナリーもあれば、バレルサンプルを試飲して意見するケースまで様々です。

世界市場で伸びをみせるイタリアワイン
最近のイタリアワインを取り巻く環境についてですが、イタリアワインは世界市場でも伸びています。生産量、輸出量ともに増加傾向で、さらなる広がりをみせています。そしてクオリティの高さ、他の国のワインに比べてもコストパフォーマンスが良い点も一因だと思います。

「味わいに加えて土地の特徴、ブドウ品種の特徴を打ち出す動きが大きくなってきている」
近年のイタリアワインのスタイルに関しては、色や香り、味わいといった感覚的な要素に加えて、土地の特徴、ブドウ品種の特徴を含めてワインとして打ち出してきている動きが大きくなってきていると思います。このようなワインを造る事によって、アイデンティティーがしっかりと感じられ、他のワインとの違いが良く分かるようになってきていると思います。私にとって「ワインの持つアイデンティティー」は大切な要素であって、他のエリア、他の生産者がコピーする事は出来ないものだと思っています。イタリアには非常に沢山のブドウ品種がありますが、その土地土地で伝統的なブドウ品種でワインを造っていく事でワインとしてのアイデンティティーをうつし出す事が重要だと思っています。

セラー「生産者の想い、地域、ブドウ品種の特徴を反映させていくのがコンサルタントとしての私の役目」
私はイタリア各地でコンサルタントをしていますが、造り方の基本は「そのワイナリー」にあります。つまりそのワイナリーが造りたいワイン、生産者が思い描くような味わいをいかにワインに反映させるかが、重要な事だと思っています。もしも私のアイデアだけでワイン造りをコンサルタントすると全てが同じワインになってしまいます。私が造りたいワインをコンサルティングしているのではありません。それぞれの生産者の想い、地域、ブドウ品種の特徴を反映させていくのがコンサルタントとしての私の役目だと思っています。

エレガントで長い余韻!「カヴィオラ」がピエモンテの白の銘醸地アルタランガで造るミネラルをもった骨格のある辛口リースリング
クレム ランゲ リースリング 2016
クレム ランゲ リースリング 2016


標高600メートルの南向きの畑です。リースリングの特徴が良く出てきます。豊かなミネラル、火打石のニュアンスがありエレガントです。余韻も長く酸もしっかりとしたドライな味わいです。1年間ステンレスタンクでシュールリー熟成を行います。ピエモンテでリースリングを栽培する生産者は増えていますね。代表的な生産者としてはGDヴァイラ、ジェルマノ エットレ、カ デル バイオがいます。カ デル バイオのリースリングは私がコンサルタントを行っています。良いリースリングを造っていますね。アルタランガ自体は広いエリアですが、ブドウ畑はそれほど多くはありません。

※ランゲ リースリングは、2017ヴィンテージからクレム ランゲ リースリングに変更になりました。

試飲コメント:硬質の凛々しいミネラル、柑果実の華やかさに西洋梨やリンゴの豊かな果実感が美しい層を成しています。飲むと引き締まった酸味は有りますが、果実味は豊で味わい深さがあります。終始伸びやかなミネラルがボディに走っているので、ボリューム感を感じつつも、隙の無い緻密な味わいも感じられます。抜栓後2~3日後、膨らみのある果実感が主張的に感じられますが中盤からボディを締める酸とミネラルは健在で時間をかけても楽しめる、味わい深い辛口リースリングです。甲殻類や白身肉料理と好相性です。

カ ヴィオラの顔ともいえる最上級クリュドルチェット
複雑味のある果実味がしっかりとしたタンニンと織りなす贅沢な美味しさ
ドルチェット ダルバ バルトゥロット 2016
ドルチェット ダルバ バルトゥロット 2016


モンテルーポアルベーゼにある樹齢70年の古いブドウ樹で、南西向きの2.15ヘクタールの単一畑「バルトゥロット」のドルチェットのみを使用します。樹齢が古い為、房に成るブドウの粒自体も小さく、若いブドウと違って、房に隙間が多く、粒もまばらに成っていきます。生産本数もとても少ないワインです。「バルトゥロット」は偉大なパーソナリティと個性を持ったワインです。1年間トーストしていない大樽熟成を行います。バローロエリア東部のセッラルンガダルバと向かい合うモンテルーポ アルベーゼはバローロセッラルンガダルバの土壌の特徴も近しくて骨格のしっかりとした長期熟成が出来るドルチェットが造られます。
試飲コメント:しっかりとした濃厚なルビー色、すみれやスグリ等のニュアンスのある花や果実の複雑な香りがグラスから広がります。はっきりと主張する力強い味わいで硬さを感じますが、時間とともにやわらかみが増し、やさしい飲み心地に。タンニンがしっかりと感じられるバランスのとれた美味しさです。

歴史的クリュ「ブリック デュ ルッヴ」に育つ樹齢70年バルベーラ!濃密で力強さとエレガントさが共存する感動的味わい
バルベーラ ダルバ ブリック デュ ルッヴ 2015
バルベーラ ダルバ ブリック デュ ルッヴ 2015


ワイン造りを始めた1991年から造っているワインです。ドルチェットの「バルトゥロット」の畑の近くにあるバルベーラの単一畑です。南向きで1.5ヘクタール、樹齢70年超のバルベーラが栽培されています。2015年は非常にしっかりとした骨格を持ち、濃密で力強さがありますが、同時にタンニンはシルキーでエレガンスが感じられます。バルベーラらしい豊かな酸もあります。ドルチェットに比べ、バルベーラの方が余韻に感じるタンニンが控えめだと思いますので、印象としてはバルベーラ「ブリックデュルッヴ」の方が柔らかい印象があります。ブリックデュルッヴでワインを造っているのは私だけです。
試飲コメント:濃厚なルビー色の外観、バルベーラらしいしっかりとした果実の香りとともにバルサムやハーブのニュアンスも感じます。力強く広がっていく味わいは丸みがあり、密度感とともに力強さとエレガントさが感じられます。濃厚ながらもきれいなスタイルで優しい飲み心地に感動を覚えます。長期熟成に十分耐える高いポテンシャルを持つ、完成された味わいです。

『ガンベロロッソ』で最優秀醸造家カヴィオラが手掛ける新バローロ!クリュ「ソット カステッロ」の畑のブドウのみを使用!エレガントなタンニンと滑らかで濃密な旨味
バローロ カヴィオット 2014
バローロ カヴィオット 2014


バローロ カヴィオット」はクリュ「ソット カステッロ」の畑のブドウのみを使っています。カヴィオットのブドウもこれまでのソットカステッロソットに使っていたブドウであり、トータルで45日間もマセラシオンを行い、ゆっくりとブドウの味わいを引き出しています。カステッロは瓶詰め前にセメントタンクで寝かせています。カヴィオットはステンレスタンクで寝かせてから瓶詰めしています。カヴィオットは2014年が初リリースです。
試飲コメント:スミレやバラのフローラルな香りと深部にバルサミックな香り。タンニン質は豊富ですが、非常にキメが細かく、ピノノワールに相通じるエレガントでシルキーさが魅力です。ネガティブなネッビオーロの要素が無く、実にフレッシュで柔らかく、滑らかで濃密な旨味が長く続きます。ソット カステッロより、軽快ですぐに楽しめる名手カヴィオラ氏の実力がいかんなく発揮されたバローロです。1時間~3時間前の抜栓がおススメです。

初ヴィンテージ2006でいきなりトレビッキエリ獲得!
イタリア屈指の醸造家カヴィオラが造るバローロ
バローロ ソット カステッロ 2012
バローロ ソット カステッロ 2012


『ガンベロロッソ』でトレビッキエリを獲得したバローロです。(2010、2011、2012ヴィンテージで3年連続受賞)現時点でもエレガントで深みがあり、豊かな味わいが特徴です。タンニンもしっかりとしていますが、乾いたタンニン質ではないので上質な滑らかさがあります。今飲んでも美味しいですが、10年以上はゆうに熟成出来ますので、ゆっくりと楽しんで頂けます。石灰質の泥灰土と粘土、そして砂質混じりの土壌の標高470mの南~南東向き斜面の畑に育つネッビオーロを10月の上旬から中旬にかけて収穫。35日間、温度管理されたタンクでアルコール発酵後、大樽で36ヶ月間熟成。無濾過でボトリング後、さらに12ヶ月間の瓶熟成を経てリリースされます。
試飲コメント:ネッビオーロらしいオレンジがかった美しいルビー色、小さい果実やスパイスに加え、優美な花のアロマが広がり、さらにチョコレートやたばこのニュアンスも感じられるエレガントな香り。なめらかでビロードのような口当たりから始まり、果実の甘みとタンニンが心地よく調和した美味しさが口の中をゆっくりと広がっていきます。バランスのとれた味わいの中にしっかりと主張する濃密感が長い余韻に感じられます。カヴィオラ自身、「将来はもっともっと素晴らしいワインができる高いポテンシャルを持つ畑」と確信するクリュ「ソットカステッロ ディ ノヴェッロ」。今すでに最高評価を受けるレベルであることを考えると、これからどんなバローロになっていくのか期待が膨らみます。その変化もぜひお楽しみ頂ければと思います。
インタビューを終えて
2018年6月、カヴィオラの美しいカンティーナに宿泊し、約1年振りの再会となったジュゼッペ カヴィオラ(ベッベ)氏。その時と同様にワイン造りにかける比類なき拘りに圧倒されたインタビューとなりました。

カンティーナ訪問後、アップダウンドライブを繰り返し、ようやくたどり着いた足がすくむ程の急斜面の畑モンテルーポ アルベーゼ、バローロソットカステッロで説明している最中にも、同じピエモンテの生産者から発酵について急遽相談の電話が。ベッベは生産者の間でも、やはり別格の存在のようです。一般的なエノロゴのコンサルティングでなく、個々に更に深く踏み込んだ非常に密でハイレベルな仕事をされている印象を受けました。

自身のワイナリーに最重点を置きながらも、ウマニロンキやセッテポンティ等、イタリア全土20ものワイナリーのコンサルタントを務める「21の頭脳をもつ」天才肌ですが、コンサルティングでは決して自分の個性を前面に出さず、イタリア全土の土地や品種、風土を研究、リスペクトし生産者の想いまでも汲み取りワインに表現していくその姿は、イタリアワインと言う多種多様な個性が集まるオーケストラを巧みに先導する、偉大な指揮者のような唯一無二の存在感。その凄さを再認識しました。

「これ以上コンサルティング先は増やさないし、イタリア以外のコンサルティングはしない」という強い拘りも頷けました。

思わずため息が出る程の深みのあるドルチェット「バルトゥロット」、濃密でエレガントなバルベーラ「ブリックデュルッヴ」は並ぶものがない素晴らしい完成度で群を抜いたレベルの美味しさ。そんなベッベが造るバローロは強さとエレガンスが見事に溶け合う絶品のクラシカルな仕上がり。『ガンベロロッソ』最優秀醸造家に輝くイタリア屈指の実力派が造る味わいを是非お試し頂ければと思います。

カ ヴィオラ社 ジュゼッペ カヴィオラ氏とトスカニースタッフ
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