「ヴィーノノービレ」から「ノービレ」へ! ノービレの高品質&長期熟成を世界に問う 究極のエコワイナリー「サルケート」突撃インタヴュー

2019/09/13
突撃インタビュー
 
2019年9月5日 サルケート社 輸出部長 ロベルト ボスティッキ氏

世界初の「オフグリッド(究極のエコ)」ワイナリーを実現した「サルケート」!本物のプルニョーロ ジェンティーレ(サンジョヴェーゼ)で表現する美しいヴィーノ ノービレ

サルケートは、トスカーナの名醸ワイン「ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチャーノ」の造り手としても、『ガンベロロッソ』最優秀エコワイナリーとしても広く知られています。エコロジーを究極までを追求したワイン造りと、「プルニョーロ ジェンティーレ(サンジョヴェーゼ)」を最高の状態に表現した珠玉のワインについて、輸出部長ロベルト ボスティコ氏に話を伺いました。

ヴィーノノービレから「ノービレ」へ!高品質ワインを世界に発信するために
「アライアンスヴィヌム」の取り組みと「ノービレ ヴェッキエヴィーティ サルコ」

アライアンスヴィヌム 「アライアンス ヴィヌム」に参加する生産者のヴィーノ ノービレはそのラベルに「ノービレ」の名称と、「高貴さ」の表象としての黄金色をデザインの一部に使用しています

質問:ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチャーノからノービレになるということですが。

回答:アヴィニョネージ、ボスカレッリ、デイ、ラ ブラッチェスカ、ポリツィアーノとサルケートの6つの生産者がアライアンスを組み、2015年ヴィンテージよりヴィーノ ノービレの合同プロモーション活動を開始しました。それがこの、「アライアンス ヴィヌム」です。ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチャーノは歴史的にもたいへん古くからその類まれな品質の高さで知られていました。しかし今日の世界のワイン市場においてその真価が広くただしく伝わっていないように感じたのです。そこで、このワインが本来もっている「高貴な」特質を強く印象づけ、より多くの消費者にヴィーノ ノービレの素晴らしさを訴求したいと考えています。

名醸ワインの代名詞として古くから知られていた「モンテプルチャーノ」をめぐる問題

質問:ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチャーノという名前が長くて外国人には覚えにくいというのもありますね。

回答:それは否定できませんが、もうひとつ理由があります。モンテプルチャーノという名前がアブルッツォのワインと紛らわしいのです。歴史的にはヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチャーノのほうが遥かに昔から存在していました。そして中世の時代からヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチャーノは名醸ワインとして地位が確定していました。中世の城砦として名高いモンテプルチャーノの町を訪れて、この地のワインを飲んだ旅人が、あまりの美味しさにいたく感銘し、その後、地元のブドウにモンテプルチャーノの名前をつけたことが、今のモンテプルチャーノ ダブルッツォの始まりだとする説もあります。いずれにしても、我々のワインの唯一無二性を明確にしたい思いもあります。

 

「プルニョーロ ジェンティーレ」の真の姿を追求し表現するのがミッション

質問:なるほど。ではその唯一無二性という点で、ヴィーノ ノービレの正統性はどこにあるかというと?

熟練の手回答:プルニョーロ ジェンティーレにほかなりません。プルニョーロ ジェンティーレはサンジョヴェーゼのクローンの一種ですが、この土地の固有の品種です。近隣のブルネッロに較べると、房も小ぶりで果粒も小さめです。ワインに仕上げたときの味わいも、ブルネッロともキャンティとも明らかに異なる個性をもっています。具体的には豊かで滑らかなタンニンと、エレガントで上品な酸味、それらに支えられてあまりある存在感を発揮するピュアな瑞々しいフルーツの味わいなどです。

持続可能なワイナリーを目指し、世界初の「オフグリッド」ワイナリーを実現!外部へのエネルギー依存を完全に排除した究極のエコワイナリー

質問:ワイナリーとしての持続可能性を追求しておられるということですね。

回答:はい。ガンベロロッソをはじめとし、たくさんの賞も受賞しています!

鏡で採光「オフグリッド」の概念を説明させていただきますと、外部エネルギーに一切依存せず、ワイナリー運営に必要なすべてのエネルギーを自立的にまかなうということです。ソーラーパネルで太陽光発電し、ブドウの小枝を破砕して燃料用ペレットに再利用しています。ワイナリー内部の採光には、鏡を利用しています。サルケートでは、ブドウ畑を有機管理するだけではなくて、敷地全体のエネルギー管理まで含めて自然との調和を考慮しています。そのことが、ワイナリーの未来につながると考えています。また、ワインを瓶詰めする際のガラス瓶も開発しました。一般に使用されているガラス瓶よりも遥かに軽量でしかも耐久性にも優れたものを用いています。日本のように遠い市場へ輸出する場合はとくに、輸送にかかるCO2が大幅に削減できます。

質問:軽量ガラス瓶とか画期的ですけれど、その分コスト高になりませんか?

回答:なりません。なぜなら近隣の大学等研究機関との協働プロジェクトとして開発し、成果物の権利は放棄していますから。エコロジーの試みは業界全体で推進されるべきだと考えていますから、みなさんに使っていただけるように、一切の権利を放棄しています。

質問:ワイナリーの「オフグリッド」化は、ヴィーノ ノービレの正統性に関わってくるんでしょうか。

回答:原料ブドウが育つワイナリー全体の環境を本来あるべき姿に保っていることです。本物のプルニョーロ ジェンティーレのもつ特質それ自体が素晴らしいものですので、それを生かすことを考えているということです。ですからブドウ畑だけでなくて全体的な環境を維持していくことに意義があります。

ロッソ ディ モンテプルチアーノ 2018
ロッソ ディ モンテプルチアーノ 2018


プルニョーロ ジェンティーレ85%、カナイオーロ8%、メルロー7%

プルニョーロ ジェンティーレらしさを生かすためステンレスタンクで主発酵とマロラクティック発酵行ないます。その後6ヶ月間ステンレスタンクで熟成したあと、瓶内熟成を4ヶ月以上行ないます。
平均樹齢10年程度の比較的若い畑からブドウを用いています。

試飲コメント:紫色がかった鮮烈な赤色。すぐりやイチゴなどの瑞々しい果実の香りが非常に豊か。ほのかにミントのようなハーブの香りも。たっぷりとしたフルーツの艶やかな甘さを包むように滑らかなタンニンがあり、とても心地よい飲み心地。でしゃばらない十分な酸があってアフターは切れもよい。飲み口がよく疲れさせず、でも上品なカジュアルさがあり、赤ワインが大好きなひとの上質なカジュアルワインという位置づけにぴったりと思います。
シンプルなピッツァやブルスケッタ、トマトを使ったパスタにもよし、重すぎないチーズに合わせてリラックスモードの家のみにもよし、という印象です。果実がピュアでほんとうに綺麗です!!!

ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ 2016
ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ 2016


プルニョーロ ジェンティーレ100%
オーク樽にて主発酵後、マロラクティック発酵も行ないます。18ヶ月の樽熟成の後に、6ヶ月以上の瓶内熟成を行ないます。畑は平均樹齢18年くらい。
試飲コメント:はっきりとした綺麗なルビー色。完熟したイチゴやブルーベリーなどの果実のコンフィチュールの香り。ボディが豊かだけれど、タンニンもしっかりとしていてバランスよく閉まっている。全体的に2015年よりもシリアスでまだ少し硬い印象があります。しかしながら2015年同様、酸味も豊富ですがアグレッシブな性質の酸味でないので、閉じているけれども心地よさも感じられる点がこのワインの個性なのかと思います。ゆっくりおいて飲みたい一本です。

ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ 2015
ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ 2015


プルニョーロ ジェンティーレ100%オーク樽にて主発酵後、マロラクティック発酵も行ないます。18ヶ月の樽熟成の後に、6ヶ月以上の瓶内熟成を行ないます。畑は平均樹齢18年くらい。
試飲コメント:輝きのある綺麗なルビー色。たいへん瑞々しい赤い果実やブルーベリーの香りに、ほんのすこし南国の果実を思わせるエーテル香があります。口に含んでみるととてもふくよかな果実味とアルコールのボリューム感があります。滑らかなタンニンが全体を締めています。酸もしっかりしていますがアグレッシブではなく、味わいは全体に均整がとれています。優しく上品でチャーミングかつ心地よい。ヴィーノ ノービレの良さを再認識する1本です。

ノービレ ヴェッキエ ヴィーティ デル サルコ 2015
ノービレ ヴェッキエ ヴィーティ デル サルコ 2015


プルニョーロ ジェンティーレ100%

サルケートの畑のなかでも最良の区画2ヘクタールから収穫したブドウで仕込まれるトップキュヴェのヴィーノ ノービレ。樹齢も30年以上とかなり古樹です。「アライアンスヴィヌム」の対象ラベルになっているため、ラベルが一本に3枚貼られています。熟練したブドウ栽培農家の手をイメージした意匠になっており、ブドウ畑から熟練の手が最良の果実を引き出すさまを金色で描いています。

オーク樽にて主発酵後、マロラクティック発酵も行ないます。24ヶ月の樽熟成の後に、24ヶ月以上の瓶内熟成を行ないます。

試飲コメント:濃いルビー色。素晴らしい輝き。完熟したダークチェリーやラズベリーのコンポート。リコリスや葉タバコの乾いた香り。少しスパイシーさもあります。凝縮感のある濃い果実の香味ときめ細やかなタンニンがたっぷりとあり、エレガントな酸の切れの良さと心地よさが余韻に長く感じられます。造り手の志とか気迫とかが感じられますが、これも飲み手を圧倒して疲れさせるという感じではなくて、あくまでも、ナチュラルな強さを印象づけるところがサルケートのサルケートたる所以なのかと感じました
インタビューを終えて
トスカーナのシエナ地方には名醸地といわれる産地が複数せめぎあうように集まっていて、そのなかでも近年革新的な試みでなにかと話題のサルケート。ヴィーノノービレから「ノービレ」へアライアンスヴィヌムを結成し、「ノービレ」を高品質ワインとして世界に発信していきたい!という情熱をひしひしと感じました。オフグリッドなワイナリー構想も画期的ですが、超軽量ガラス瓶もパテントなど取らずにみんなに使ってほしいというその考え方に深く共感しました。そして実際にサルケートのワインを試飲するにいたって、スタッフ全員がにこにこ笑顔になって「いやあ、これ、旨いわ~!!」、と声を合わせてしまいました。

そのくらい、美味しかったです!!!

ピュアなものの美味しさ、それは言葉や理屈を超えて、ひとを幸せにしてくれると実感しました。

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