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2019年9月19日 ミケーレ キアルロ社輸出部長ジョヴァンニ ボッキーノ
1978年バローロの銘醸畑チェレクイオを初めてクリュとしてリリース。
ガヤやブライダらとともに高級イタリアワインに取り組んできたピエモンテの名門ミケーレ キアルロ突撃インタビュー
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ピエモンテで5世代続くブドウ栽培農家として始まったミケーレ キアルロ。1978年にバローロの銘醸畑チェレクイオを初めてクリュとしてリリースするなど、いち早くクリュバローロを造り始めた造り手です。土着品種ネッビオーロ、バルベーラ、アルネイス、コルテーゼ、モスカート全てで偉大な単一品種ワインを造り続けるワイン造りへのこだわりについて輸出部長ジョヴァンニ ボッキーノ氏に話を聞きました。 |
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バローロ村とラモッラ村にまたがる銘醸畑チェレクイオの3分の2を占める最大の生産者
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チェレクイオはバローロの単一畑の名前です。現在のバローロのクリュの概念が出来る以前から、チェレクイオから収穫したブドウから並外れたバローロが造られる事が、造り手の間では知られていました。
ガヤやロベルト・ヴォエルツィオらトップ生産者のみが、この畑からワインを生産しています。
チェレクイオの畑はバローロ村とラ モッラ村にまたがり、円形劇場のような形をしています。チェレクイオの土壌は海成堆積物の石灰質粘土泥灰土で構成され、有機物は少なく、マグネシウムやマンガンなどが豊富です。
バローロに公式な格付けはありませんが、全バローロのクリュの特徴や地図、そして詳細な所有者地図などを網羅した大著『バローロMGA』を出版した、元エスプレッソ・ガイドの鑑定責任者、アレッサンドロ・マスナゲッティ氏は、著書『Barolo and Barbaresco Classification』において6段階でバローロのクリュを格付けしました。その中の最高位、「5ッ星S」には、チェレクイオ、ヴィーニャ・リオンダ、ロッケ・ディ・カスティリオーネ、ブルナーテの4つを選定しています。
ミケーレ キアルロは1978年に、このバローロきっての銘醸畑チェレクイオを手に入れました。現在、ミケーレ キアルロは16ヘクタール中半分以上の、約9ヘクタール(6ヘクタール自社畑+3ヘクタール借りている畑)を管理しています。
ミケーレ キアルロは、2011年にチェレクイオに宿泊施設も開業しました。世界遺産のバローロの畑の風景を楽しみながら、クリュ バローロの魅力を体感できます。 |
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ガヤ、テヌータ サングイド、アンティノリなど名門ワイナリー19社だけで構成されるグランディ マルキの一員
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キアルロ家はピエモンテでブドウ栽培農家として始まり、4代目のミケーレが1956年から本格的にワイン造りを始めました。それまでは、トスカーナにブドウを売ったりしていました。ミケーレは83歳ですが、いまだに現役で働いていて、朝8時から仕事をしています。十代から働きだして、ずっとそうしています。キアルロ家はピエモンテでブドウ栽培農家として始まり、4代目のミケーレが1956年から本格的にワイン造りを始めました。それまでは、トスカーナにブドウを売ったりしていました。ミケーレは83歳ですが、いまだに現役で働いていて、朝8時から仕事をしています。十代から働きだして、ずっとそうしています。
ミケーレ キアルロは、ネッビオーロ、バルベーラ、アルネイスやコルテーゼなど、ピエモンテ土着品種にこだわって高品質のワインを造り、ピエモンテで造られるワインが、フランスワインと同様に、価値がある事を世界中に知らしめ、地域に貢献してきました。
その功績が認められて、イタリアを代表する19生産者で結成されるグランディ マルキ協会に名を連ねています。グランディ マルキ協会はイタリアの土着のブドウ品種を守り、伝統的な生産方法かつクオリティーをしっかりと管理していき、イタリアワインの向上をはかるべく2006年に設立された協会です。
協会に加盟しているメンバーは、イタリアを代表するそうそうたる19社です。
(ミケーレ キアルロ、ガヤ、ビオンディ サンティ、テヌータ サングイド、アンティノリ、カ デル ボスコ、マアジ、マストロベラルディーノ、ピオ チェーザレ、ウマニ ロンキ、アルジオラス、アロイス ラゲデール、イエルマン、タスカ ダルメリータ、フォロナリ、カルペネ マルヴォルティ、ドンナフガータ、ルンガロッティ、リヴェラ)
厳しい基準をクリアーしVIVAの認証を取得!持続可能な農業を実践
ミケーレ キアルロは持続可能な農業を実践しています。全てのワインで認証を取っていませんが、有機農法でブドウを栽培しています。トップ キュヴェのチェレクイオとラ コルト ニッツァ リゼルヴァは「VIVA」という2013年から発足した団体の厳しい基準をクリアーし認証を取っています。この団体には、タスカダルメリータなどが加盟しています。VIVAは「空気」「水」「土」「領土」の四つのテーマを中心に認証を行っています。「空気」は二酸化炭素排出の削減。「水」はワイナリーが消費する水の量と廃棄物や汚水の排出量。「畑」は生態系への影響。「地域」は持続可能な、自然と人間の相互作用を評価します。 |
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バルベーラのパイオニア!2014年に最良区画ニッツァがDOCG認定された立役者
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ニッツァは、バルベーラ ダスティの生産地区のサブゾーンの名称でした。しかし、エレガントで長熟、ピエモンテでも最高のバルベーラが出来る地区として、以前から周知されていました。
ミケーレ キアルロらの尽力の結果、2014年よりニッツァはバルベーラ ダスティから独立して、ニッツァDOCGを名乗ることが可能となりました。ニッツァDOCGにはDOCGバローロよりも厳しい収量の規制があります。
ニッツァDOCGのバルベーラの生産に特化した地域は、18のコムーネ(村)に限定されます。風が強く風雨が少なく、年間降水量は約700 mmであるという特徴があります。このエリアはバルベーラにとって、最高品質のブドウが得られる理想的なテロワールがあります。
ミケーレ キアルロはニッツァDOCG内のラ コルトに1995年から約20ヘクタールの単一畑を所有しています。ラ コルトの小高い丘はモンフェラートで最も重要な畑です。丘の上には壮大な糸杉あり、その姿はデザイナーのジャンカルロ・フェラーリス氏によって、ミケーレ キアルロのニッツァDOCGリセルヴァ ラ コルトのラベルへ描かれています。
2018年に米国ワイン・エンスージアスト誌が、「エンスージアスト100」を発表しました。年間に試飲した2万4000本のワインから選ばれた、品質と価格の関係、飲みごたえ、入手しやすさ、平均得点が93点以下、平均価格が36ドル以下などの基準で選ばれます。
2018年のトップには「ミケーレ・キアルロ 2015 チプレッシ ニッツァ」が選ばれた。(日本未発売)
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熟成ガヴィ!凝縮感のある果実味の厚みと酸の絶妙なバランス |
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レ マルネ ガヴィ 2015 |
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レ マルネはアペニン山脈が見える南東の赤土の特別な畑です。ガヴィの生産地は、意外かもしれませんが、海に近く日中は温暖です。しかし、夜は山からの涼しい風が吹きおろします。このことにより昼夜の寒暖の差が大きく、ブドウはきれいな酸を保ちます。
剪定は厳しく20%はグリーンハーベストします。また、ミネラル感が特徴で、ガストロミー(食事と合わせやすい)なワインです。
少し辛めのアジアンキュイジーヌとも組み合わせが良いと思います。 |
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試飲コメント:パイナップルやマンゴーの南のフルーツとぺトロールのニュアンス。
日当たりが良い畑の熟したブドウからくる、豊かな果実味とキレのある酸を併せ持つ立体感のあるワインです。 |
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軽やかなでアロマティックなアルネイス。テラス席でどうぞ! |
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レ マードリ ロエロ アルネイス 2018 |
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タナロ川の左岸の産地で、バローロよりも痩せた砂質の土壌です。この地域での白ワインの生産は30年ほど前から盛んになりました。アルネイスはフルーティーで気軽に飲めるスタイルで、ぜひテラスで楽しんでほしいワインです。 |
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試飲コメント:フルーティーで洋ナシや白い花の爽やかで軽快なアロマ。酸は穏やかで、ミディアムボディ。ピュアなアロマで、食事に合わせやすく親しみやすいワイン。 |
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バルベーラのパイオニアミケーレ キアルロが造る、格上の味わいのバルベーラ ダスティ スーペリオーレ |
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レ オルメ バルベーラ ダスティ スペリオーレ 2016 |
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バルベーラはピエモンテで最も栽培されているブドウです。それだけに、収穫したブドウを厳しく選別しないと、厳しい酸を持ったワインになってしまいます。2016年はバルベーラにとって、とても良い年でした。まるで熟した果実を食べているような、フレッシュ感もありますが、成熟した果実味もあるワインに仕上がりました。
3本の糸杉のラベルはお父さんと兄弟を表していて、家族の象徴です。本来、糸杉はピエモンテにありませんが、自社瓶詰を始める前にトスカーナにブドウを売っていたので、オマージュとして糸杉をわざわざトスカーナから移植しました。
伝統的な、ラグーのお料理などに合わせたいです。 |
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試飲コメント:ブラックチェリーとドライフルーツのプルーン、ピュアでブドウ本来のアロマが楽しめる。集中力のある果実味で、滑らかで洗練されたタンニンと長い余韻を持つ。 |
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スパイシーな香りとでまろやかな飲み心地の赤は希少な土着品種アルバロッサのブレンド |
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ラ ヴェスパ モンフェッラート 2013 |
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日本向けのキュヴェでバルベーラ50%、 アルバロッサ 25%、 シラー 25%のブレンドです。
アルバロッサはネッビオーロにバルベーラを交配した品種です。1940年代にトリノ大学のダルマッソ教授が実験的に作り、その後しばらく忘れられていました。2000年以降に、この品種が見直されて、現在は40社ぐらいで栽培されています。 |
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試飲コメント:カシス、コーヒー、オリエンタルスパイスの複雑だがハーモニーがある香り。修練性が強すぎず丸みがあるタンニン。まとまりがよくインターナショナルな味わいです。 |
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ピエモンテの繊細なバルベーラと力強い国際品種の見事な競演
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コンタッチ 2013 |
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このワイン名「コンタッチ」はピエモンテの方言で「ワォ、すごいじゃないか!」という意味です。イタリアの方言は限定的な地域でしか使われなく、州ではなく村ごとに変わります。隣の村では自分たちの使っている方言が通じないというのはよくあります。
バルベーラ 40%、 カベルネ・ソーヴィニヨン 30%と シラー 30%のブレンドです。香りにはカベルネの特徴がよく出ています。 |
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試飲コメント:なめし皮や、鉄、ややヴェジタリーで男性的な印象の香り。冷涼な地域らしい抑制されたアロマ。細かいタンニン分でスムーズなアタックのミディアムボディです。 |
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バルベーラの最高峰!ニッツァDOCG設立の立役者ミケーレ キアルロの単一畑 |
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ラ コルト ニッツァ リゼルヴァ 2015 |
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ニッツァDOCGを名乗れるのは18のコムーネがあります。収量はバローロより少ない規定です。ニッツァDOCGは6ヶ月木樽熟成し、その後1年間瓶熟成させます。年産は15,000本ですが、良い年しか造りません。
以前、ミケーレ キアルロでは「10年間は完璧な状態です」とこのワインのラベルに書いていました。最近になって2007年をレストランで飲む機会がありました。それを飲んでステファノと書くべきは「10年以上完璧です!」だったねと話しました。
ニッツァDOCGはマスターオブワインや著名なジャーナリストからも非常に注目されています。 |
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試飲コメント:フレッシュで繊細、ブルーベリー、ヴァニラ、黒こしょうの落ち着きのある洗練されたアロマ。シルキーな磨かれたタンニンはさらっとした口当たりで、心地よい。厳しく収量をおとして、厳選されたブドウからうまれた上質な酸ときめの細かさこのワインの特徴。バルベーラのワインの最高峰。 |
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数あるクリュの中でも最高評価を受ける銘醸畑クリュ チェレクイオから生まれるバローロ
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チェレクイオ バローロ 2013 |
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チェレクイオは全部で16ヘクタールあります。ミケーレ キアルロでは6ヘクタールを所有し、3ヘクタールは借りています。1980年からクリュ チェレクイオとして売っています。三つの区画があり、ブラインドでテイスティングして良かったものだけを、クリュ チェレクイオとして詰めます。他はノーマルのバローロに混ぜます。2002年と2014年は、クリュ チェレクイオを詰めませんでした。その分は全て、ノーマルのバローロへブレンドされました。クリュ チェレクイオは700リットルのフランス産のトノーで熟成されます。バルサミックでユーカリなどの香りを感じます。
一般的にバローロは、最初は固くその本質を理解するのには、熟成の時間を要する場合が多です。しかし、ミケーレは「いいワインは最初から美味しくなくてはいけない」と言いました。このワインはバローロとしては、若いですが、すでに楽しむことが出来ます。 |
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試飲コメント:コンポートしたブラックベリーの黒色果実とペッパーミント、リコリスなど甘みを帯びたスパイスの垢抜けたモダンな印象の香り。ベルベットのような程よい収斂性の上質なタンニン。酸は穏やかでまとまりがある。モダンとクラシックの良いところを引き継いだ、温故知新を体現化したワインは飲みごろを迎えています。 |
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■インタビューを終えて |
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ガヤやアンティノリなどと同時期に、ピエモンテ ワインの魅力を世界に広めたイタリアでも重要な造り手の一人です。
ミケーレ キアルロは日本での知名度はまだまだですが、特にアメリカでの評価は非常に高く、ピエモンテの屈指の生産者として絶大な人気があります。
テイスティングしてみると、特に二枚看板のバローロ チェレクイオとラ コルト ニッツァ リゼルヴァは、抜群の品質を持っていました。熟して凝縮した果実味と、磨かれて滑らかになったタンニン。洗練されたトップキュヴェは、一部のトップ生産者しかたどり着けない領域の味わいです。
熟成したガヴィやアロマティックなアルネイス、赤のブレンドのワインも、隙が無く非常に品質が高かったです。
数あるクリュの中でも最高評価の銘醸畑クリュ チェレクイオの最大所有者。ピエモンテでいち早くクリュのワインを造ってきました。
「いいワインは、最初から美味しくなくてはいけない」というのが、ミケーレ キアルロの哲学です。その言葉通り、いつ飲んでも美味しく楽しめる、ミケーレ キアルロのワインをぜひお楽しみください。 |
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