2015年に自社ボトリングを始めたプーリアの新星オーガニックワイナリー!プーリア北部ならではの土着品種ネーロディトロイアやフィアーノミヌトロで造るエレガントな味わい「カイアッファ」突撃インタビュー

2019/10/31
突撃インタビュー
 
2019年10月24日 マルコ カイアッファ氏

2015年に自社ボトリングを始めたプーリアの新星オーガニックワイナリー!ビオロジコをワイナリー哲学に据え、昆虫との共存共生が表現されたラベルデザインも話題。プーリア北部ならではの土着品種ネーロディトロイアやフィアーノミヌトロで造るエレガントな味わい「カイアッファ」突撃インタビュー

生産者のみ
ブドウ栽培農家4代目の6人兄弟が2015年に自社ボトリングを始めたプーリアの新星オーガニックワイナリー「カイアッファ」。ビオロジコがワイナリーの原点でありベースであるという徹底したポリシーで、全てのワインを造っています。プーリア北部ならではの品種ネーロディトロイアとフィアーノミヌトロなど、プーリアの土着品種から他にはないエレガントな味わいのワインで注目を集め、さらなる発展へと勢いのある若いワイナリーです。イタリア内外でワイン造りを学んで経験を積んだオーナー、マルコカイアッファ氏にお話しを聞きました。

ブドウ栽培農家4代目の6人兄弟が結集。アスティで醸造学を学び、ピエモンテ、アブルッツォ、スペインで修行したマルコを中心に2015年に設立

兄弟

ワイナリーはプーリアの中では北部のフォッジャ県チェリニョーラ村にあります。
カイアッファ家は、私たちの曾祖父の時代からブドウ栽培農家を始めて、ワインを造っていましたが、もっぱらバルク売りをしていました。
私はペルージャの大学を卒業後、アスティで醸造学を学び、ピエモンテ、アブルッツォ、スペインで修行し、プーリアに戻ってきて、満を持して2015年から自社瓶詰めを始めました。これがワイナリーとしてのカイアッファの始まりです。

ラベル 

エノロゴやコンサルタントは社外に頼んでいません。現在カイアッファは私たち6人の兄弟で運営しています。ラベルに描かれた6つの窓のある建物は、私たち6人の兄弟を表しています。

カイアッファの醸造所はラベルにも描かれた6つの窓の建物の中にあります。ブドウ本来の香りと色を抽出するステンレスタンクやバリック、大樽が整然と並びます。最新の設備を備えた醸造所です。

セラー

カイアッファの畑は海側と山側の2か所あります。
海側の畑は海から4キロほどで、砂を含んだ粘土質土壌で力強く海のミネラルあふれるブドウが生まれます。海側の畑にはフィアーノ ミヌトロなどが植えられています。
山側の畑は石灰質土壌で、シャルドネなどを植えています。
現在、海側の畑を買い増してシャルドネなどを植樹する予定です。

カイアッファの哲学はビオロジコから。「自分たちの口に入れて安全なものであること」「周辺の環境に配慮すること」が基本

プーリア地図イタリアは年にもよりますが、ワインの生産量が世界一です。そして、プーリア州はイタリア20州の中で、最もワインの生産量が多いです。つまり、世界一の生産国の中の一番の最も生産量が多い地がプーリアです。このことはプーリアが、いかにブドウの栽培に向いているかを示しています。
プーリアはイタリア半島のかかとと言われるように、半分、海に突き出しているような形をした州です。
プーリアは、温暖で雨が少なく、ブドウ栽培に向いている土地なので、昔から農薬を多く使用しなくても、ブドウが病気になりにくいという利点がありました。曾祖父の時代から無農薬でブドウを栽培していて、私たちはそれを引き継ぎました。2003年からビオロジコとしての栽培を始め、ワイナリーをスタートさせた時点ですでに認証を取っています。

なぜ、ビオロジコにこだわるかと言うと、カイアッファのワインの最初の消費者は自分達だからです。毎日飲むワインなので、農薬や殺虫剤を、微量でも残したくありませんでした。
私の妻が妊娠した時、産婦人科の先生からは、「アルコールとして唯一飲んでいいのは、カイアッファのワインだけ」言われました。

アンジェラ
自分達の健康もそうですが、環境への配慮も怠ると、結局自分達にそのツケが戻ってきます。
量よりも質を優先し、「自分たちの口に入れて安全なものであること」「周辺の環境に配慮すること」をモットーにワインを造っています。

 

ビオロジコの精神が表現されたラベルに描かれた昆虫たち。昆虫との共生があってこそ安全なブドウができる

私たちは畑にいる虫を大切にしています。虫と共生できる環境をめざし、殺虫剤は使用しません。虫は体の大きさからして、ブドウ畑に大きな影響は無さそうですが、実はとても大きな影響があります。

イメージ

ワインが元々造られたのは虫が大きく関わっていると言われています。
その昔、ブドウをつぶしたモストに、酵母が付いた虫が入り、発酵が始まってワインになったという話もあります。ワインと虫は大きな結びつきがあります。

虫ラベル

昆虫との共生があってこそ安全なブドウが出来ます。
その大切にしている虫へのオマージュとして、虫を上級ワインのラベルにしました。
ラベルはよく見ると、二重構造になっています。下になっている一枚目に虫が描かれて、上から張られた二枚目の穴から、虫が見えるようになっています。「物事の裏には、それを助けるのもなど様々なものが関わっている」と、言う暗示でもあります。

スプマンテ「ミリア」のラベルはムカデです。ムカデは食物連鎖の中では一番下に位置し、下に落ちている落ち葉などを何でも食べます。ムカデのフンは肥料になりますが、このフンは天然の肥料の中でも一番栄養が多いのです。
白ワイン名の「カラブス」はギリシャ語で甲虫の事です。ラベルに描かれたクワガタは、森にいますが、最近は少なくなっています。
ロザートの「アケータ」はコオロギの事です。ブドウを収穫する時期になると鳴くコオロギへのオマージュです。
赤ワインの「ヴィヴランス」はギリシャ語でトンボの事です。カイアッファはトンボが羽を広げて飛んでいる時の優雅な姿に、自分たちの目指しているバランスを感じて、トップキュヴェのラベルにしました。
カイアッファの目指しているのはバランスの取れているワインです。
また、トンボはブドウ畑の有害な小さな虫も食べてくれます。

プーリア北部ならではの土着品種ネーロディトロイアとフィアーノミヌトロから他のプーリアとは違う個性を表現するワインを造る。フランスのロゼコンクールで金賞受賞するロゼも話題

プーリアは縦に長く、アドリア海とイオニア海に囲まれて海岸線が長く、北部は山からの風の影響があります。地理的に船が着岸しやすかったので、古代にはギリシャ人が多く往来し、プーリアにはギリシャ人が植民しギリシャ文明の影響が大きく残っています。

ブドウ栽培は、ギリシャから伝わりました。ワイナリーがある、チェリニョーラ村もギリシャ神話の神の名前から由来しています。

トロイア ロザートカイアッファではトップキュヴェのヴィヴランスとロザートを造っている、ネーロ ディ トロイアはギリシャ由来の品種で、一説によるとギリシャから伝わった場所の名前がトロイアだったことから、ブドウ品種の名前の由来になったそうです。ネーロ ディ トロイアは北部プーリアだけで使われている土着品種です。
カイアッファのトロイア ロザートはフランスのロゼだけの品評会「モンデュアル デュ ロゼ」で金賞を獲得しました。フランスのロゼの品評会でプーリアの土着品種のワインが金賞を取ることは、大きな意味があります。

プーリアにとってロザートは非常に大切です。その昔プーリアでは、赤ワインを造る作業を短縮して早く販売するために、スキンコンタクトを短くしました。それがプーリアのロザートの始まりで、今ではイタリアでも屈指のロザートの産地となりました。

カイアッファのスプマンテと白ワインに使っている「フィアーノミヌトロ」はカンパニア州の「フィアーノ」とは、別の品種で、こちらもギリシャ由来のモスカートの仲間です。
こちらの白ブドウ品種もほぼ、プーリアでしか造られていない品種で、近年になって再発掘されました。このプーリアで「フィアーノ」と言えば「フィアーノミヌトロ」です。紛らわしいので、将来的には、「フィアーノミヌトロ」から「フィアーノ」が取れて、「ミヌトロ」という品種になるかもしれません。

兄弟2

プーリアのモスカート系の土着品種フィアーノ ミヌトロとシャルドネの果実味豊かなスプマンテ
カイアッファ
スプマンテ ブリュット ミリア 2018
スプマンテ ブリュット ミリア 2018


ワイン名の「ミリア」はでムカデの意味です。ムカデは食物連鎖の中では一番下に位置し、下に落ちている落ち葉などを何でも食べます。ムカデのフンは肥料になりますが、このフンは天然の肥料の中でも一番栄養が多いのです。
ミリアは、プロセッコなど用いる一般的なシャルマ方式よりも、タンク内での熟成期間が長いシャルマ ルンゴで醸造します。タンクでの熟成期間は4−6ヶ月と長くなります。
タンク内ではシュールリーの様な熟成を行いますので、ワインの味わいに厚みが出ます。
泡立ちは、きめが細かく非常にクリーミーです。
シャンパーニュ製法に近い味わいで、生産量は6000~6500本です。

ブドウはフィアーノとシャルドネが半々です。プーリアで言う、フィアーノはカンパニアの「フィアーノ」とは、別の品種で、モスカートの仲間です。
ほぼ、プーリアでしか造られていないギリシャ由来の品種で、近年になって再発掘されました。この辺りで「フィアーノ」と言えば「フィアーノミヌトロ」です。紛らわしいので、将来的には、「フィアーノミヌトロ」から「フィアーノ」が取れて、「ミヌトロ」という品種になるかもしれません。

試飲コメント:色は黄金色が強いです。フレッシュな蜜を含んだりんごのアロマ。時間が経つと酵母やモカのような香りが出てきます。果実味の厚みがあり、ミネラリーなアフターテイストがワイン全体を引き締めます。飲み疲れしない、次のグラスが欲しくなるワインです。

プーリアのモスカート系の土着品種フィアーノ ミヌトロで造られたアロマティックな香りが特徴の白ワイン
カイアッファ
フィアーノ 2017
フィアーノ 2017


フィアーノミヌトロにはミネラルが欲しいので、海の近くの畑で栽培しています。
ブラインドテイスティングで飲んでもらうと、ゲヴルツトラミネールと答える人もいます。
香りは甘やかで、親しみやすいです。ミネラル感がしっかりとありワインの構造を立体的にしています。
試飲コメント:ライムとグレープフルーツの柑橘系とコンポートした黄桃の甘い果実系の香り。白胡椒の品の良いスパイスのニュアンスもあります。酸はきちんと残り、余韻にほんのりほろ苦さがあります。

プーリア独自のモスカート系土着品種フィアーノ ミヌトロとシャルドネのジューシーな果実味を楽しめる白ワイン
カイアッファ
カラブス 2017
カラブス 2017


ワイン名のカラブスはギリシャ語で甲虫の事です。ラベルに描かれたクワガタは、森にいますが、最近は少なくなっています。イタリア語では空飛ぶ鹿「チェルボ ボランテ」と言います。
昆虫が描かれたラベルはカイアッファの上級プレミアムシリーズです。
自然酵母で醸造されます。ブドウ本来が持つアロマティックな香りを引き出しています。
試飲コメント:溌剌としたトロピカルなアロマにはビターオレンジのヒントがあります。凝縮感のある果実味の後にミネラル感が残り、ふくよかな余韻をもたらします。

オーガニックで造るチェリーの香りのギリシャ由来の土着品種ネーロ ディ トロイアのロザート
カイアッファ
アケータ ロザート 2017
アケータ ロザート 2017


アケータはコオロギの事です。ブドウを収穫する時期になると鳴くコオロギへのオマージュです。
プーリアにとってロザートは非常に大切です。その昔プーリアでは、赤ワインを造る作業を短縮して早く販売するために、スキンコンタクトを短くしました。それがプーリアのロザートの始まりで、今ではイタリアでも屈指のロザートの産地となりました。

ロザートは赤が好きな人でも、白が好きな人も楽しめます。白のようなフレッシュさと赤の力強さを持ち合わせて、料理にも合わせやすい万能なワインです。

ワインはオレンジっぽい色をしていますが、それはネグロアマーロ独特の色です。
カイアッファはロゼが好きなわいなりーで販売している9種類のワインの中で3種類がロザートです。

試飲コメント:熟したプルーンのジューシーな果実味があります。飲み応えがあるロザートでチェリーの心地よいフレイバーがあります。洗練されたスタイルのロゼワインです。

桑の実の香り、程よい酸味のエレガントなプリミティーヴォ
カイアッファ
プリミティーヴォ 2018
プリミティーヴォ 2018


プーリアのプリミティーヴォは、甘く、凝縮感があるタイプもありますが、カイアッファのプリミティーヴォは、エレガントで控えめのアルコール、酸を残しているのが特徴です。
ジャムやチェリーのアロマ。バリックとトノー併用した熟成からのヴァニラの香りがあります。
試飲コメント:ドライフルーツのプルーン、リキュール漬けのブラックチェリーなどの華やかな香り。凝縮感があり、熟したタンニンは甘みを帯びて滑らか。ついつい次のグラスに手が伸びそうなプリミティーヴォです。

ギリシャ由来の土着品種ネーロ ディ トロイア!力強くも柔らかなバランスのとれた赤
カイアッファ
ヴィブランス ネーロディトロイア 2015
ヴィブランス ネーロディトロイア 2015


ネーロ ディ トロイアは北部プーリアだけの土着品種です。ギリシャ由来の品種で、一説によるとギリシャから伝わった場所の名前がトロイアでブドウ品種の名前の由来になったそうです。

ヴィヴランスはギリシャ語でトンボの事です。カイアッファはトンボが羽を広げて飛んでいる時の優雅な姿に、自分たちの目指しているバランスを感じて、トップキュヴェのラベルにしました。
カイアッファの目指しているのはバランスの取れているワインです。
また、トンボはブドウ畑の有害な小さな虫も食べてくれます。

試飲コメント:2017
すみれやバラの花の若々しい花のアロマ。ハーブ、シナモンなども感じます。大樽でブドウの香りを消さない様に醸造します。果実味豊かですが、酸を残している事で、ワインは重くなり過ぎずバランスを保ちます。

2015
カイアッファの記念すべきファーストヴィンテージのワインです。
胡椒、丁子、シナモン、キャラメルなどの甘みを帯びたスパイスなど熟成を感じさせる、複雑で優雅なアロマ。タンニンはワインに溶けこんでいてスムース。力強さと柔らかさがさらに調和しています。

インタビューを終えて
カイアッファは周辺環境に配慮したオーガニック農法で、自分たちが安心して飲めるワインを造っています。
ギリシャ由来でモスカート系のフィアーノ ミヌトロや北部プーリア特産のネーロ ディ トロイアなどの土着品種を使い、他にはない個性を持っています。

センスのいいワインは、こだわりのオーガニックで造られて、安心して飲めます。そして、南イタリアらしい、ジューシーな果実味も魅力です。また、味わいは共通してミネラル感があり酸をきちんと残してあるエレガントなスタイルです。
6人の兄弟愛が生み出す、プーリアの新星オーガニックワイナリー、カイアッファのワインを是非お楽しみください。

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