2021年8月25日 レオナルド ピッゾーロ氏 Mr. Leonardo Pizzolo
アブルッツォ州の約1%しか存在しない山間部ワイン!イタリアで最も美しいポポリ国立公園内にある唯一の造り手として上級モンテプルチアーノを生産する「ヴァッレ レアレ」突撃インタビュー |
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ヴァッレ レアレは、イタリア国立公園「ポポリ」に拠点を置く唯一のワイナリーとして上級モンテプルチアーノとトレッビアーノを生産しています。アブルッツォに500以上の生産者がいる中、多数が海側に位置しています。一方で山岳地帯の造り手は5つのみで、その1つがヴァッレ レアレです。山の恩恵を受けるテロワールが表現されたワインは『ガンベロロッソ』で毎年のようにトレビッキエーリを獲得。2015年には「カペストラーノ」が最優秀白ワインを受賞しました。海側とは一線を画す山由来の特性や優美なワインについて、ワインジャーナリストの宮嶋勲氏に通訳していただき、オーナーのレオナルド ピッゾーロ氏にお話を聞きました。 | ||||||||||
99%の造り手が海側に拠点を置くアブルッツォで、1%の「山のワイン」として洗練されたワインを生産する「ヴァッレ レアレ」 |
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コストパフォーマンスが光る海側のパワフルなモンテプルチアーノ 少量生産でフィネスを感じさせる山側のモンテプルチアーノ アブルッツォには500以上のワイナリーがあり、多数は海側の平野部に拠点を置いています。その理由にブドウ品種の特性があります。山側で造るモンテプルチアーノ種は、品種自体がもともと晩熟であることに加え、海側と比べて成熟するのに1.5か月ほど長く時間を要します。そのことから、秋雨の被害を受ける可能性が高く、品質被害を避けるために多くのワイナリーがこぞって海側を拠点としているのです。海側で栽培されるクローンは、房が大きく大量生産に向いていることも海側を選ぶ要因の一つです。(アブルッツォ、特にペリーニャ渓谷では、そのリスクを考慮しモンテプルチアーノを用いた高品質なロゼワインが伝統的に生産されています) しかし、山側に位置する「ヴァッレ レアレ」は、ブドウをじっくり熟成させ、収量を海側の3分の1に抑えることで、フィネスを感じる美しいワインの生産を可能にしています。「コストパフォーマンスに優れたワインを造るなら、ここに来る意味がない」とオーナーのピッゾーロ氏は語ります。 海側とは一線を画すエレガントでバランスに優れた山由来の個性 1. 山岳地帯ならではの冷涼気候、昼夜の寒暖差 2. 石が多く乾燥した土壌 3. イタリア国立公園というクリーンな環境の中、温度管理を行わない自然発酵 今回通訳していただいたワインジャーナリストの宮嶋勲氏にも、ヴァッレ レアレについてお話していただきました。 ヴァッレ レアレは、山の特性を最大限に引き出すことで、近年世界中の評価誌や評論家に高く評価されています。2015年にはノンフィルターで造られる「ヴィーニャ ディ カペストラーノ」が『ガンベロロッソ』で最優秀白ワイン賞を獲得し、「モンテプルチアーノ ダブルッツォ サン カリスト」は、イタリアで影響力のある多く評価誌で高得点を叩き出しています。 |
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山に10年間こもりアブルッツォのワインを探求、
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オーナーを務めるピッゾーロ氏に、ワイナリー創設に至るまでの経緯と、ワインに対する思いを伺いました。 「大学で経済学を学んだ後、家族が行っていたワインの瓶詰の仕事をヴェネト州で始めました。実家がアブルッツォでマスの養殖業もしていたので、アブルッツォのことはよく知っていました。アブルッツォは水がとても綺麗なんですよ。 1999年に古木が植えてある畑をアブルッツォで見つけ、その時すでに樹齢50年を越えていることがわかりました。ミラノ大学と共同で栽培をし、アブルッツォの特殊なテロワールを引き出したいという思いでワイン生産を始めました。 当時アブルッツォは、トスカーナやピエモンテほど有名な土地ではなかったんです。高品質ワインができるという確固たる保証もなかったので、相手にされませんでした。なんとかして自社ワインのクオリティを上げるために、山の中に10年間こもったこともあります。また、ヴァッレ レアレを多くの人に知ってもらうためにアメリカや北欧など、世界中を回り数多くのワインを味わってきました。 私は20年間ワイナリーで働いてきましたが、アブルッツォの人間ではないですし、エミディオ ペペのような存在でもありません。しかし、伝統に縛られていないからこそ、試行錯誤して自分が良いと思ったことを遂行できています。ドメーヌ ルフレーヴのピエール モレ氏から14年ほど指導を受けていますし、世界中を旅して出会った醸造家からも多くのことを吸収しています。それが今の我々が造るモンテプルチアーノやトレッビアーノに表れていると思います」 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
オーナーのピッゾーロ氏から「赤ワインから試飲してほしい」という要望がありました。最初はどういうことかわかりませんでしたが、6本の試飲を終えてみて納得。トレッビアーノは非常に美しい酸を持つため、最初に試飲していたら、繊細で上品なモンテプルチアーノを100%感じることができなかったと思います。複雑で豊かな風味を持つトレッビアーノも、最後の試飲にふさわしい余韻の長さと口中に広がるフレーバーがありました。
全体を通して非常に美しい印象を受けました。ワインはもちろん、ワイナリー周辺の大自然が非常に綺麗でした。ヴァッレ レアレが拠点を置く国立公園では、自然保護が大前提で様々な規制があります。周辺のほとんどの森林には手を付けてはいけません。もともと存在した畑での農産は許されていますが、地元の農産物、土着品種しか生産してはいけません(例:トマトはOK、キウイはNG)。もちろん農薬の使用は禁止されています。その汚れなき環境が、ヴァッレ レアレの美しいワインにつながっているのだと感じました。そんなクリーンでピュアな環境の中で、自然発酵で醸造を行う造り手「ヴァッレ レアレ」のワインをぜひお楽しみください。 |
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アブルッツォ州の約1%しか存在しない山間部ワイン!上級モンテプルチアーノを生産する「ヴァッレ レアレ」突撃インタビュー
2021/09/09