2023年5月16日 マリアグラツィア イカルディ氏 Ms. Mariagrazia Icardi
絶妙な樽使いが引き出すエレガンス!バローロ、バルバレスコなど銘醸地に数々の高品質畑を所有!100年以上の歴史を持つ自然派「イカルディ」突撃インタビュー |
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イカルディは、1914年にリーノ イカルディ氏によって創設された家族経営ワイナリー。拠点を置くのはピエモンテの銘醸地ランゲとモンフェッラートの境界線にあるカスティリオーネ ティネッラです。古くからバローロやバルバレスコ、バルベーラ ダスティの重要エリアに畑を所有し、全ての畑においてオーガニック栽培を行う自然派としても知られています。ワイナリーを切り盛りするのは一貫してイカルディ家。現在は3代目のクラウディオ氏と、その妹マリアグラツィア氏が率いています。クラウディオ氏とシャトーマルゴーの醸造家ポール ポンタリエ氏が共同開発した歴史的赤ワイン「ブリッコ デル ソーレ」をはじめ、イカルディが造るワインはどれも樽のニュアンスが絶妙に引き出されていてエレガント。今回は、それらのワインを試飲しながら3代目マリアグラツィア氏にお話を聞きました。 | ||||||||||
銘醸地ランゲとモンフェッラートに数々の畑を所有!
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――マリアグラツィアさん、こんにちは。まず、ワイナリーのご紹介からお願いします。
マリアグラツィア みなさん、こんにちは。今日は貴重な機会をいただきありがとうございます。イカルディは家族経営のワイナリーです。1914年に初代の祖父ディーノが、家族用にワインを造り始めたのがスタートです。1920年にはワイン生産のライセンスを取得しました。祖父の時代にバルバレスコのネイヴェ村とトレイゾ村に畑を購入しました。 1960年代になると、2代目である私たちの父ピエリーノが自社畑での醸造とワイン販売を開始し、バローロの3つの村、バローロ、ラ モッラ、セッラルンガ ダルバの畑を購入しました。1980年代からは、3代目である兄のクラウディオと私がワイナリーに参画し、販売先を拡大していきました。クラウディオは醸造を、私はマーケティングを担当しています。特にクラウディオは畑の魂とも言える人間です。 そして、4代目にあたる私たちの息子と娘も参画し始めました。クラウディオの息子イヴァンと娘のサラ。私の息子のルカです。大学で醸造学を学んだサラは、将来のエノロゴですね。 左から2代目、3代目、4代目 バローロ、ラ モッラ、ネイヴェなど、古くから最高の土地の畑を多数所有 ワイナリーが位置するのは、ランゲとモンフェッラートの境目に位置するカスティリオーネ ティネッラです。畑は全て自社畑。全体で50ヘクタールの畑に加えて、ナッツや果物が植えてある土地が5ヘクタールあります。 ――バローロやバルバレスコ地区を含め、各畑の割合と広さを教えてください。 マリアグラツィア バローロ地区は合計6ヘクタール。バローロ、ラ モッラ、セッラルンガ ダルバの3つの村に畑を所有し、ラ モッラが最も広いです。バルバレスコは合計12ヘクタール。ネイヴェが最も広く5ヘクタールあります。残りはモンフェッラートにあり、ヴィンキオ、モンベルチェッリ、カスタニョーレ デッレ ランツェという3つのエリアに畑を所有しています。バルベーラ ダスティやモスカート ダスティの重要なエリアですね。 自然を尊重したワイン造りを最重要視 ――全ての畑でオーガニック栽培を行っているのですか? マリアグラツィア 全てです。25年間オーガニック栽培を行っており、15年前に認証を取得しました。私たちが最も大切にしているのは「自然に対するリスペクト」です。祖父の時代から行ってきた方法をそのまま引き継ぎ、自然を尊重したワイン造りを行っています。 1年間のサイクルにおいて、畑や植物に化学的なものを加えることはありません。秋になったら畑に残った草を干し、春になったらそれと一緒に耕して(緑肥をして)ブドウ栽培を行っています。動物もたくさん飼育しています。彼らは草や害虫を食べてくれます。彼らが畑やその周辺にいることによって、何かを加えることなく自然な形で畑に好循環が生まれるのです。生物多様性が保たれています。 |
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シャトーマルゴーの醸造家と共に造り上げた歴史的赤ワイン
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シャトーマルゴーの醸造家ポール ポンタリエ氏との出会い
マリアグラツィア 私たちは本拠地であるモンフェッラートでブリッコ デル ソーレという赤ワインを造っています。このワインは、クラウディオの経験から生まれたワインです。フランスワインを好むクラウディオは、大学卒業後にボルドーへワインの勉強に行きました。その研修先がシャトーマルゴーだったんです。 ――そうだったんですね。なぜシャトーマルゴーに行くことになったのですか? マリアグラツィア 約40年前、シャトーマルゴーの醸造家、故ポール ポンタリエ(総支配人)がイカルディを訪ねたことがありました。その時に、当時まだ若いクラウディオが「マルゴーで勉強させてください」と彼にお願いをして実現させたのです。マルゴーでは特にブレンドについて研鑽を積みました。そのポール ポンタリエと一緒にブレンドを完成させて造ったのがブリッコ デル ソーレなのです。 ――イタリアからサンプルを持っていって、ブレンドを完成させたのですか? マリアグラツィア そうです。ネッビオーロだけでなくバルベーラやドルチェットも持参しました。彼らが一緒に吟味をして最終的に行き着いたのが、ネッビオーロ60%、カベルネ ソーヴィニヨン30%、バルベーラ10%というブレンドでした。毎年同じ比率ではないですが、カベルネはいつも30%ですね。 ――ブリッコ デル ソーレのラベルだけテントウムシが描かれている理由は何ですか? マリアグラツィア 単純にこれだけにつけたかったんです(笑)。テントウムシは自然の象徴ですが、他のワインも同じく自然な造りをしています。あとは幸せという意味もあります。 |
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イカルディ独自の樽使いで仕上げるエレガントな味わい
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樽の影響を受けすぎないベストな状態を見極めて引き出す果実感
――熟成時はずっと樽(バリック)に入れておかずに、ステンレスタンクに戻すと聞きました。樽からステンレスタンク、ステンレスタンクから瓶(詰め)という順番だと。 マリアグラツィア 私たちは樽の風味をつけすぎないことを意識しています。樽で熟成している時に、ベストの状態になった段階でステンレスタンクに移し、それ以上樽の影響を受けないようにしています。規定の熟成期間を守りながら、そういった方法を取るワインもあります。 ――樽のニュアンスがありながらもエレガントな味わいに仕上がっているのは、そういうことだったんですね。 マリアグラツィア 樽のトースト具合も軽めに抑えています。これは果実感が樽で覆われてしまわないようにするためです。 ――一方で、ランゲネッビオーロやクリュのワインでは大樽を使用しています。 マリアグラツィア そうですね。約40年前、私たち3代目がワインを造り始めた頃はバローロボーイズ全盛期でした。みんながフランス産バリック、フランス産バリックと叫んだものです。私たちもその時代にバリックを使い始めました。しかし、今はやや過渡期にあります。そこで私たちは、バリックとどのような違いが生まれるのかと思い、2015年に5000リットルのフランス産大樽を購入しました。通常のバローロ、バルバレスコはバリックを使用していますが、クリュは全て大樽で造るようにしています。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
イカルディのワインは全てエレガントだと感じました。マリアグラツィアさんから樽の使い方をお聞きして納得。樽のニュアンスがあり複雑で凝縮感もありますが、クリーンな果実感とデリケートさが前面に出ていて美味しかったです。
特に印象的だったのは、樽熟成ソーヴィニヨン&ステンレスタンク熟成シャルドネ&コルテーゼのブレンド白ワイン「パフォイ」とランゲネッビオーロ「スリス イヴァン」でした。「パフォイ」は、華やかさとフレッシュさがありながら厚みのある味わいで非常に特徴的。「スリス イヴァン」は、濃厚さ、エレガントさ、華やかさが突出していてバルバレスコと言ってもいいくらいの味わいでした。バルバレスコ、バローロはもちろん大変美味でした! ワインの名前は全てピエモンテ方言で名付けられています。それらには、ピエモンテ人として持つ強い意思や物語が込められていると感じました。100年以上ピエモンテの銘醸地に根付き、その土地の自然や畑を愛し続ける姿があるのだと思います。 ランゲとモンフェッラートに100年以上の歴史を持つ自然派「イカルディ」のワインをぜひお楽しみください。 |
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ピエモンテの銘醸地に数々の高品質畑を所有!100年以上の歴史を持つ自然派「イカルディ」突撃インタビュー
2023/06/07