今注目すべきトレンド品種ヴェルメンティーノ!ワインジャーナリスト宮島勲氏が解説するイタリア各地のヴェルメンティーノ

2024/04/09

2024/03/08

宮嶋勲氏

今注目すべきトレンド品種ヴェルメンティーノ!
ワインジャーナリスト宮嶋勲氏が解説するイタリア各地のヴェルメンティーノ

リグーリア、トスカーナ、サルデーニャなどティレニア海側を中心に栽培される品種ヴェルメンティーノ。イタリアのスーパーマーケットにおける販売数ではランブルスコを抜いて第2位にランクインするなど、今イタリアではトスカーナを中心にヴェルメンティーノの大ブームが起きています。品種の特徴は「心地よい味わい」や「ほろ苦さと果実味のある美味しさ」。ワインジャーナリスト宮嶋勲氏は、地中海へと連れて行ってくれる詩的喚起力の強さが今日のヴェルメンティーノの成功の要因だと分析されています。今回は各地のヴェルメンティーノを試飲しながら、産地や各ワインの特徴について宮嶋氏に解説していただきました。

今イタリアで大ブーム!
地中海へと誘う大注目トレンド品種「ヴェルメンティーノ」

――さて、前回は宮嶋さんご自身についてお話を聞きました。今回は、今注目すべきトレンド品種ヴェルメンティーノについてお聞かせください。イタリアのスーパーマーケットにおける販売数ランキングでは第2位となり、ランブルスコを抜いたそうですね(1位はキャンティ)。

今イタリアではヴェルメンティーノブームが起きています。先日訪れたフィレンツェは多くの観光客で賑わっていましたが、品不足になるほどみんなヴェルメンティーノを飲んでいるんです。バカンスに行かないイタリア人も買っています。そして、ボルゲリではどんどん植え替えが行われています。15年前まではトスカーナのヴェルメンティーノの栽培面積は約140ヘクタールでしたが、今は6~7倍にまで拡大しています。

ヴェルメンティーノが身にまとう地中海の雰囲気
――そんなに拡大してるんですね。改めてヴェルメンティーノの特徴を教えてください。

基本的に心地よいワインですね。仰々しいワインではなく、イタリアらしい雰囲気があり気軽に飲めるワインです。イタリアには素晴らしいワインが多く存在しますが、必ずしも全てがイタリアらしさを持つわけではありません。ヴェルメンティーノは、私たちがイメージする地中海を最も感じさせてくれるワインだと思います。

「地中海でバカンスする自分にうっとり」みたいなニュアンスがあり、イタリアに行ったような気持ちにさせてくれるんです(笑)。ほろ苦さと果実味のある美味しさで、食事との汎用性の高さも特徴の一つです。

世界遺産チンクエテッレの村の一つ「モンテロッソ」

イタリアの絶景へと連れていってくれる詩的喚起力
――リグーリア、トスカーナ、サルデーニャなど、ヴェルメンティーノの産地はどこも魅力的ですよね。

そうですね。イタリアのすごいところは、例えばリグーリアと言うだけでポルトフィーノやチンクエテッレ、ジェノヴァなど、うっとりするような街の風景が思い浮かぶじゃないですか。

他にもサルデーニャのコスタ ズメラルダ(エメラルド海岸)、シチリアのタオルミーナなど、ヴェルメンティーノはグラスの向こうに見える雰囲気や風景を感じさせてくれるんです。飲めば地中海に連れて行ってくれる詩的喚起力の強さが、現在のヴェルメンティーノの成功の要因だと思います。

「21世紀のイタリアは白ワインの時代になる」
――ヴェルメンティーノをはじめとする白ワインの需要の高さは、近年の暑さとも関係しているのでしょうか?

それもあるかもしれないですね。イタリアの土着品種は酸がしっかりしていて温暖化に対応できるので、アンジェロ ガヤは「21世紀のイタリアは白ワインの時代になる」と話していました。

リグーリア、トスカーナ、サルデーニャ、シチリアなど
宮嶋氏が解説する各産地のヴェルメンティーノ

――ヴェルメンティーノの原産について教えてください。

二つ説があります。スペインから来た説と、中央アジアからギリシャ経由でイタリアに来てコルシカとスペインに行った説です。今イタリアでは後者が有力です。ただ、サルデーニャはスペインの支配が長く続いたので、スペインから来た可能性はゼロではないと思います。

主にティレニア海側で栽培。優美なリグーリア、力強いサルデーニャ
――各地で造られるヴェルメンティーノの特徴を教えてください。

まず、ヴェルメンティーノはティレニア海側だけで栽培されているのが面白いですよね。リグーリア、トスカーナ、サルデーニャ。フランスではラングドックやコルシカ島でも栽培されています。

基本的にはエレガントなコッリ ディ ルーニと、力強いガッルーラが両極にあり、その間に様々なグラデーションがあるといったイメージです。これだけ流行ればアドリア海側で植え始める生産者がいてもおかしくないのに、ほとんどいません。

最もエレガントで上品な「コッリ ディ ルーニ」
リグーリアの海岸地帯にある原産地呼称コッリ ディ ルーニは、ヴェルメンティーノの産地の中で最も上品でエレガントな味わいで、涼しげで地中海的なハーブのニュアンスがあります。歴史的な街や世界遺産が多く、近隣のピエモンテやミラノからだけでなく外国からの観光客が押し寄せるエリアです。

一部トスカーナに重なっていますが、リゾート地で山が多く狭い産地なので栽培面積がこれ以上伸びることはありません。私はボルゲリでディナーを楽しむなら地元のワインよりもコッリ ディ ルーニを飲むことが多いです。

マレンマを中心に現在急成長中の「トスカーナ」
トスカーナは現在最も急速に伸びている産地です。特にマレンマはすごいです。国際品種からの植え替えがたくさん行われています。マレンマのヴェルメンティーノは、「何も考えずに夏を楽しもうぜ」みたいな気軽なワインです。マレンマの中でもグロッセートはチャーミングな心地よい味わいで、シンプルさを表現しています。

ボルゲリをマレンマに入れるのかという問題はありますが、(ボルゲリの発展を支えた)グラッタマッコは昔から造っていました。あまりにもブームなので、アンティノリもどんどんヴェルメンティーノを植えているところです。

力強くトロピカルなトーンが特徴の「サルデーニャ」
サルディーニャはもともと15年前からヴェルメンティーノのブームでした。9月頃にはワインが完売するので生産者は嬉しくて笑いが止まらないんです。しかし、今後もまだ伸びていくと思います。昔はガッルーラしかなかったのが、この30年で植え替えが全エリアで行われています。味わいはトロピカルなトーンが出やすく、豊かで芳醇です。しかも、ハードな地中海的な雰囲気があります。

偉大な醸造家ジャコモ タキスが将来性を見出した「シチリア」
シチリアのヴェルメンティーノも興味深いです。ドゥーカ ディ サラパルータのヴェルメンティーノは、ネロ ダーヴォラに最適なスオールマルケーサという畑で造られています。今思えば謝らないといけないのですが、今の流行りに乗って造り出したのかと思ったら20年前から植えているそうなんです。しかも、ジャコモ タキスのアイディアだそうで。すみませんでした(笑)。

タキスはサルデーニャでもたくさん仕事していましたし、直感的にヴェルメンティーノを植える発想に至ったのだと思います。そういう意味ではシチリアも可能性を秘めていて、エトナやマドニエ(北部の山脈)などの標高の高いエリアで植えたら面白そうですよね。

温暖化の影響でポテンシャルが注目される他の地域
基本的にヴェルメンティーノは海、暑さ、乾燥を好む品種と言われていますが、温暖化が起きている今となっては、どこが適した産地かわからないですよね。融通が利きすぎるコタレッラ(ファレスコ)は、内陸部のウンブリアでも「流行ってるなら俺たちもやろうぜ」みたいな感じで造ってしまうじゃないですか。コッレマッサーリも内陸のニュアンスが表現されています。

あのガヤだってフィアーノをボルゲリに持ってきたわけですし、温暖化の影響で今後ブドウ品種の地図が大いに変わっていく可能性があります。アルト アディジェでもうまくいくかもしれないです。

シチリアのリゾート地「タオルミーナ」

宮嶋氏が解説する各ワインの特徴とそのペアリング例

――それでは試飲しながら、お話を聞かせてください。

・リグーリア州
ルナエ「エチケッタ グリージャ」

ルナエはネーラ、グリージャ、ビアンカ(黒、グレー、白)と見事に三段階に造り分けていますよね。このグリージャは、飲み終わった後に海のニュアンスが残る感じが素晴らしいです。少し通向きかもしれないです。今回試飲するヴェルメンティーノの中では最も日本食に合う感じがあります。お寿司や天ぷらがベストです。

現地のイタリアンでよくある、茹でたイカをオリーブオイルで和えたようなシンプルな料理とも合います。リグーリア産のオイルだとより良いです。特に白身のカルパッチョは最高だと思います。日本で言うとアルポルトで出てくる料理ですね(笑)。上等なレストランほど、上品な料理に寄り添ってくれるコッリ ディ ルーニは合います。

・トスカーナ州
バンフィ「ラ ペッテゴラ」

これがまさに今伸びているトスカーナ、マレンマのヴェルメンティーノです。シンプルさが魅力のワインです。先ほどのグリージャよりも心地よい果実があるので、普段ワインを飲まない人でも美味しいと感じると思います。特に後口に果実味が残ります。

立食パーティでボーイさんがアペリティフとして持ってくるイワシのフリットとかあるじゃないですか。ああいうものと合いますよね。太陽の光を浴びながらや、夏のパラソルの下で飲みたい感じもあります。ポテトチップスやナッツと一緒に何も考えずに楽しめる味わいです。昼にパニーノと一緒に飲んでもいいですしね。

コッレマッサーリ「メラッチェ」
そもそもモンテクッコのヴェルメンティーノ自体が珍しいですが、これはかなり昔から植えられています。メラッチェは涼しげで硬質なニュアンスがあります。飲み終わった後に荒々しい果実が感じられます。仔牛のステーキや焼き鳥の塩と相性がいいと思います。

グラッタマッコ「グラッタマッコ ビアンコ」
グラッタマッコを創設した時にカンティーナのすぐ横に植えた畑で造られています。去年あたりに植え替えがされましたが、樹齢がすごく高いんですよね。ボルドーのセミヨンのような香りと味わいで、最も高級感のあるヴェルメンティーノです。

複雑性、凝縮感、長い余韻、品格があり全く独自のトーンを持っています。これをヴェルメンティーノと当てるのは難しいでしょう。上等なフレンチで出てきても違和感がありません。それでいてエレガンスを感じさせるからグラッタマッコは美味しいんですよね。伊勢海老のテリーヌなど、日本で言えばロオジエで出てきそうな料理と合います。

ラ スピネッタ カサノーヴァ「ヴェルメンティーノ」
今度はラ スピネッタですね。(当主の)ジョルジョらしい感じで、しっかり成熟させた果実や酸、そして満腹感がありますね。それでいてミネラル感が引き出されています。生産エリアはキャンティ コッリーネ ピサーネ地区です。隣にフェッラーリが手がけるテヌータ ポデルノーヴォがあったり、有名ワイナリーがいる地域でもあります。

・サルデーニャ州
セッラ&モスカ「モンテオーロ」

セッラ&モスカのヴェルメンティーノ ディ ガッルーラ スペリオーレです。ガッルーラで造られていますがお手頃な価格ですね。トロピカルな味わいや力強さが出るガッルーラですが、こちらはエレガント系です。どちらかというと、ローズマリー、サルビア、バジル、タイムなどのハーブのニュアンスがあります。これも満腹感がありますね。

トマトやニンニクを強く使った魚のスープ、カジキマグロなどの脂身のある魚、鶏やウサギを白ワインで煮込んだカッチャトーラと合うと思います。

・シチリア州
ドゥーカ ディ サラパルータ「センティエロ デル ヴェント」

これが独自の個性を持ったワインです。シチリアのブテーラという赤の聖地、ネロ ダーヴォラの一番いいところに植えられた樹齢20年のヴェルメンティーノです。サルデーニャより細身でタイト、涼しげなトーンがあるのでシチリアで造られてるとは思わないですよね。かすかにほろ苦みや瑞々しさがあって美味しいです。

・ウンブリア州
ファレスコ「ヴィティアーノ」

珍しい地域(ウンブリア)で造られていますが、これが一番ヴェルメンティーノだと当てやすいかもしれないです。というのも、これは「ヴェルメンティーノらしいワインを造る」という目的で造られているからです。(当主の)リッカルドはこういうワインを造るのが本当にうまいんです。適度な果実感、熟れた果実があって、最後にほろ苦みが残ります。飲みやすくシンプルな味わいで、価格もお手頃ですね。

イタリアならではの地中海的なハーブ、太陽のニュアンス
「フランスには絶対にないトーンがあります」

――これらをブラインドテイスティングしたら、すべてヴェルメンティーノだと気づく人はいるのでしょうか?

モンテオーロ(サルデーニャ)とヴィティアーノ(ウンブリア)はわかると思いますが、センティエロ(シチリア)とグラッタマッコはわからないと思います。特にグラッタマッコは、有名なソムリエな方でもとんでもない産地を言う可能性がありますね。

しかし、どれもフランスには絶対にないトーンがあります。それはイタリアならではの地中海的なハーブ、太陽のニュアンスです。「夏のワイン」「バカンスのワイン」というイメージが強いので、今後は「脱夏のワイン化」が今後の課題と言えますね。

「今日は地中海でお寿司にしよう」
とにかく、ヴェルメンティーノは飲んでいて楽しいですよね。私も難しい顔で真剣に飲むというよりも、その場の雰囲気を感じながらカジュアルに楽しみたいです。また、前菜からメイン料理まで、フルコース10皿をカバーできる使い勝手の良さもあって素晴らしいです。

お寿司で言えば、ヒラメにはコッリ ディ ルーニ、コハダにはグラッタマッコといった感じで、タイプの異なるペアリングを楽しめます。「今日は地中海でお寿司にしよう」といった感じでしょうか(笑)。

ルナエ社の哲学を映し出したエレガントなヴェルメンティーノ

エチケッタ グリージャ コッリ ディ ルーニ ヴェルメンティーノ

エチケッタ グリージャ コッリ ディ ルーニ ヴェルメンティーノ

調和がとれていながらも際立った個性を持った、ルナエ社の哲学を完全に反映させたワインです。黄金色がかった薄い黄色。濃厚でエレガントなブーケがあります。花やフレッシュフルーツを思わせるフレッシュで調和のとれた味わい。余韻にはバランスのとれたミネラルが感じられます。ブドウは9月初旬に収穫、20キロの小さなプラスチックの箱に入れられ、高品質を維持するためすぐにワイナリーに運ばれます。その後、収穫したその日中にソフトプレスされ、15度に管理されたステンレスタンクで発酵させます。ワインに最大限香りが残るようにします。濾過を経て2月初旬まで静置、その後瓶詰めします。
試飲コメント:麦わら色。黄色い果実、白い果実、ミネラルを感じるフレッシュで繊細な香り。口に含むと香り同様の味わいが広がります。程よい酸、エレガントでフレッシュな印象です。ミネラルやほどよい苦味のある優しい後口です。

生き生きとした酸、芳醇な味わいで親しみやすいマレンマ産ヴェルメンティーノ

ラ ペッテゴラ ヴェルメンティーノ トスカーナ

ラ ペッテゴラ ヴェルメンティーノ トスカーナ

ペッテゴラとはトスカーナ沿岸に住む鳥、アカアシシギの意で、また「おしゃべり好きな人」の意にも使用される言葉です。アプリコットやグレープフルーツ、花や地中海の低木地帯に特有のスパイスの香りを持ったヴェルメンティーノ。ボディはしっかりしていますが、生き生きした酸によりフレッシュさが感じられる余韻の長いワインです。アロマティックで芳醇、かつ繊細な味わいが特徴。ブドウは非常に優しくプレスした後、13~16日間温度管理されたステンレスタンクで発酵させています。
試飲コメント:やや淡い麦わら色。フレッシュでジューシーな果実と凝縮果実が溶け合う香り。フレッシュながらボディのある味わいで、親しみやすいチャーミングな印象です。後口にレモンの皮やキャンディのトーンがあります。

心地よいミネラルとフルーティさが光るモンテクッコのヴェルメンティーノ

メラッチェ モンテクッコ ヴェルメンティーノ

メラッチェ モンテクッコ ヴェルメンティーノ

海風が吹き抜け、気温変動が顕著な畑で育ったヴェルメンティーノのアロマを最大限に引き出すため、低い温度でコントロールさせたステンレスタンクで醸造させています。澱とともに熟成させた果実味の強いワインです。味わいはフルーティでバランス良く、心地の良いミネラル感もあり程よい余韻があります。食前酒としても最適です。メラッチェとは所有地1,200ヘクタールの中を流れる川の名前に由来しています。
試飲コメント:やや淡い麦わら色。南国果実、ミネラル、ほどよいボディを感じる香り。口に含むと酸が広がり、ミネラルと見事に調和したフルーティな味わいです。

ボルゲリで最古のヴェルメンティーノの畑で表現する高級感あふれる味わい

グラッタマッコ ビアンコ ボルゲリ ヴェルメンティーノ

グラッタマッコ ビアンコ ボルゲリ ヴェルメンティーノ

ボルゲリで最も古いヴェルメンティーノの畑で収穫したブドウから造られています。野草の中にシトラスやミネラルを感じる味わい。魚料理全般に良く合い、特にトスカーナの前菜、クロスティーニ、生ハムやサラミ、仔牛のフリカッセやソフトチーズにも好相性です。3分の2をステンレスタンク、3分の1を木樽で醸造。頻繁にバトナージュを繰り返しながら、7ヶ月熟成し、その後瓶内熟成7ヶ月行います。
試飲コメント:黄金色に近い麦わら色。凝縮果実、南国果実、スパイス、バターの香り。味わいは香り同様で複雑です。フレッシュさと重厚感、苦味が調和し、その風味が長く持続します。

フレッシュ果実、酸、ミネラル、ハーブが見事に調和するスピネッタのヴェルメンティーノ

ヴェルメンティーノ トスカーナ

ヴェルメンティーノ トスカーナ

ラ スピネッタ カサノーヴァの白ワイン「ヴェルメンティーノ トスカーナ」。明るい黄金色で、スライスしたリンゴやレモンピールに、フローラルな香りです。フレッシュな果実味にあふれ、地中海沿岸の産地らしいミネラルを感じるフィニッシュです。9月初旬に収穫し、ステンレスタンクで3ヶ月間アルコール発酵させ、澱と共に5ヶ月間熟成させます。
試飲コメント:黄金色。フルーティさ、華やかさ、ミネラルの落ち着いた香り。口に含むとスーッと果実感が染み渡り、その後に酸とミネラル、ハーブのニュアンスがやってくるバランスに優れた味わいです。

ほどよい重厚感と豊かな果実を堪能できるサルデーニャ州ガッルーラのヴェルメンティーノ

モンテオーロ ヴェルメンティーノ ディ ガッルーラ スペリオーレ

モンテオーロ ヴェルメンティーノ ディ ガッルーラ スペリオーレ

サルデーニャ州唯一のDOCG「ヴェルメンティーノ ディ ガッルーラ」。繊細でフローラルかつ複雑なアロマを持ち、口当たりはまろやか。すっきりとした酸としっかりとしたボディが様々な料理によく合います。糖度があがり適度なアロマを持った完熟したブドウを9月中旬収穫。収穫後すぐにプレス、ブドウの特徴を十分に生かせるようにしています。15度でゆっくりとアルコール発酵後、タンクで熟成させます。
試飲コメント:黄金色。南国果実、豊かな果実、ややボディを感じる香り。スッキリしていますがほどよい重厚感もあります。後口に苦味があり、口中を綺麗に流してくれます。ほどよいボリューム感のある余韻が長く持続します。

シチリア南部で造られる複雑かつ爽やかなミネラル感漂うヴェルメンティーノ

センティエロ デル ヴェント

センティエロ デル ヴェント

ネロ ダーヴォラなど黒ブドウをメインに栽培してきたシチリア中南部の自社畑スオールマルケーサで栽培するヴェルメンティーノです。完熟ブドウから造られ、フルーツや地中海灌木の豊かな香りになめらかな口当たり、爽やかでミネラル感のある味わいが特徴で、名前の「風の通り道」を想起させます。シチリア島中南部の自社畑、スオールマルケーサは、シリカを含む石灰質の土壌。海抜は300メートル以上。冬は穏やかで、夏場は気温が高いですが、風通しの良い畑です。収穫後、ソフトプレスして10日間16度の定温下で発酵。ステンレスタンクで2ヶ月シュールリー。ボトリング後1ヶ月の瓶内熟成されます。
試飲コメント:黄金に近い輝く麦わら色。マンゴーなどの南国果実、凝縮果実、杏、ミネラルの香り。口に含むと、柑橘類、杏、紅茶などフレッシュかつ複雑で持続性のある味わいが広がります。余韻としてミネラルとエレガントな酸、柑橘の皮のニュアンスが長く持続します。

ウンブリアの山岳地帯由来のミネラルと繊細さを感じるヴェルメンティーノ

ヴィティアーノ ヴェルメンティーノ

ヴィティアーノ ヴェルメンティーノ

イタリアで唯一海と面していないウンブリア州で造られるヴェルメンティーノ100%の白ワインです。海岸線で育てられた海のミネラルを感じるヴェルメンティーノとはひと味違う、繊細で非常に爽やかな酸と山岳地域由来のミネラル感があります。
試飲コメント:麦わら色。フレッシュ果実や凝縮果実など繊細ながら力強さも感じる香りがあります。フルーティさ、華やかさ、酸、ハーブ、苦味など、あらゆる要素がバランスよくまとまっています。余韻には酸が長く持続します。

インタビューを終えて

宮嶋さんのおっしゃるように、「心地よさ」「海のトーン」「ほろ苦さと果実味のある美味しさ」を感じるヴェルメンティーノ。今回試飲したワインは、どれもその特徴を感じつつ各地で異なる個性も堪能することができました。リグーリアは綺麗な感じ、トスカーナはよりカジュアル(グラッタマッコは高級感)、サルデーニャはボリューミー、シチリアはどのヴェルメンティーノにもない独特な個性がありました。その日の気分によって飲むヴェルメンティーノを変えられるという幅の広さも魅力に感じました。

宮嶋さんは「温暖化の影響で産地の地図(分布図)が変わってくる可能性がある」と話されていましたが、確かに北部のヴァッレ ダオスタやロンバルディア、フリウリなどでヴェルメンティーノが栽培される日は近いのかもしれません。そうなった場合、どのようなワインが生まれるのか楽しみになりました。また、産地が変わっても「地中海の風」「イタリアの風」を感じるようなワインになるのかなと想像してしまいました。

飲めばイタリアへと連れて行ってくれるヴェルメンティーノを、ぜひみなさんにも堪能していただきたいです。