2005年6月29日 ブランカイアイ社マルティン・クローネンブルグ氏インタビュー

2005/06/29
突撃インタビュー
 
2005年6月29日 ブランカイアイ社 マルティン クローネンブルグ氏

ブランカイアイ社 マルティン クローネンブルグ氏インタビュー

マルティン クローネンブルグ氏とトスカニースタッフ
今回、イタリアワインガイドで連続最高ランクの3グラスを 受賞し続けるワイナリー ブランカイア。 その生産者マルティン クローネンブルグさんのお話を聞くことができました。

ずばり結論からいいますと、 他には聞いたことがないようなワイン造りへの取り組みは 郡を抜いており、まさに、完璧主義。 妥協のまったくないワイン造りとはこういうことか!と教えられました。 本当にすごいワインがブランカイアで造られています

3つの畑

ぶどう畑ブランカイアは、1989年にスイスのチューリッヒ在住の家族がワイナリーを購入して始まった若いワイナリーです。現在は、その娘のバーバラさんが、醸造指導者のカルロフェリーニのアドバイスを受けながら、ワイン造りを担当。今回ご主人でドイツ人のマルティンさんが来日して、ブランカイアのことを教えてくれました。

 

 

 

 

ぶどう畑ブランカイアはキャンティクラシコエリアに2つの畑を持つワイナリー。一つがブランカイア(カスティリーナインキャンティエリアにある)もう一つが、ポピ(ラーダインキャンティエリアにある)。2つの畑はまったく異なる地形、気候風土の畑です。そして新たに、海に近い、人気のエリアマレンマにも畑を持っています。

3種類の畑の特徴をまとめたテーブル

「畑での仕事がすべて!セラーは失敗がないように造ればよい」がポリシー

ぶどうの収穫風景

円盤状の穴の板によるタンクでの発酵作業ぶどうはできるだけ丁寧にあつかうといっているように、なんと、キャンティエリアとマレンマエリアの総ヘクタール64ヘクタールでできるぶどうはすべて手摘み。なんと、ヘクタールあたりの年間労働時間は450時間にも及ぶといわれ、これは、他のワイナリーではほとんど見受けられないこと。

そして、そのぶどうもタンク投入の際にも痛まないように、機械で入れると、ぶどうの表面が傷みやすいため、ブランカイアは、重力を利用してすべりこませるようにそっくりとぶどうをタンクに入れています。3層からなるワイナリーは、最上階のテラスにぶどうを置き、重力で1階のタンクにいれ、タンクで醸造されたワインは地下の熟成庫に保存されるという非常に考えられた構造になっています。

また、タンク内で発酵作業の際、タンク内をかき混ぜるのも、極力静かに、もろみに負担がかかからないようにということで、円錐形のタンクの中を1日に二回、円盤状の穴の板が静かに上下して、混ぜるような仕組みになっています。これも、他であまりきいたことのない、珍しい方法。

また、ワインをつめた、木樽の熟成庫も、地下にありながら、さらに、エアコンも完備し、温度を常に一定に保つように、コントロールされています。エアコンが熟成庫にあるというような話はほとんど他に例を見ないもの。

特に2003年のような暑い夏に、このセラーは威力を発揮したようで、トスカーナで36度~38度という気温が8週間も続いた際、このようなシステムがなければ、ワインは完全に熱を持ってしまっただろうと語っておられました。

また、その後のボトリングも、一度瓶詰めして、コルクを打ってから4週間ほど寝かせてから、キャップシールを貼るというのです。4週間後に、コルクのふちから、ワインが漏れたりしていないかをチェックして、キャップシールを貼っているのでした。

また、コルクの選択そのものも大変厳しく、大きなコルクのろっとから一掴みのコルクをアルコール100%の液体に1週間浸して、1週間後、コルクに、アルコール臭など、残っていたら、コルクの塊ごと、返品しているのだそうです。

これもそれも、すべて、ワインを飲む人一人ひとりに、間違いなく、おいしいワインをおいしい状態で飲んでもらいたい。そんな、一心からの徹底した妥協のない造りが行われているのでした。

「畑の仕事がすべて」といいながら、醸造においても、徹底した完璧主義。驚かされるばかりです。

 

すべてはイルブルーのために造られる

醸造施設の外観そして、さらに驚くべきは、ブランカイアのフラッグシップワイン、数々の賞を総なめにするイルブルーは、なんと、瓶詰めする直前までどの、畑の、どの樽のワインから造られるかは決まってはいません。そうなんです、
つまり、このワイナリーのすべてのぶどう、すべてのワインは、このイルブルーのためだけに全精力で造られているということ。
ワインは、造られた畑ごとに、樽詰めされ、どこのどのぶどうから作られたワインがこんなにおいしくなったのか?を完全に把握しているというわけです。
そして、イルブルーに値するワインだけが、イルブルーとしてボトリング。イルブルーには選ばれなかったけど、限りなく近いワインたちが、キャンティクラシコに、トレになるというわけです。つまり、かなりこれらのワインたちもきている!非常においしいんです。

《 余 談 》

ブランカイアのぶどう近年では、このブランカイアが一番のりで、マレンマにぶどうを植えたのですが、

過去にマレンマにぶどうの栽培を試みた人がいました。
皆さんもご存知のあのリカーゾリです。
リカーゾリは150年前にこの地にぶどうを植えました、わずか10年後に撤退を余儀なくされました。それは、この地がかつて沼地だったために、蚊が多く、マラリアが蔓延し、労働者が次々と亡くなったため。その後、第二次世界単線で、この地は激戦地となり、かつて沼地だった土地は爆撃のために、乾いた土地となりました。
この地は、その後、酪農の地。
羊がかわれるようになり、今ではおいしいチーズ。特にモッツァレラディブッファラがおいしい土地となっています。そこに、私たちがぶどう栽培をはじめ、次々と有名なワイナリーがこの地でワイン造りを始めています。

インタビューを終えて
ブランカイアは‘Young and Modern‘を自分たちの特徴。個性というように、その、言葉の意味は、キャンティクラシコのかつてのイメージとはまったく異なる、なんとも美味なブランカイアのキャンティクラシコを飲むと、はっきりと感じ取ることができるポリシーです。

随所に見られるほかではない、ワイン作りへの取り組み。すばらしい生産者であることは間違いなく、マレンマの畑のぶどうの木はあのおいしさにしてなんとまだ樹齢5年!!これから先どんなことになるのか末恐ろしいワイナリーです。

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