2014年1月15日 カルロ タンガネッリ社 マルコ タンガネッリ氏 Mr.Marco Tanganelli | ||||||||||
可愛いアヒルの絵が描かれたラベルデザインで人気の造り手「カルロ タンガネッリ」のオーナー、マルコ タンガネッリ氏がトスカニーに来て下さいました。 トスカーナのトレッビアーノで造る自然派ワインってどんなの?と思いながら初めて飲んだ時の衝撃。これまでに味わったことのないトレッビアーノがそこにはありました。 |
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4000年前からトレッビアーノが造られてきた土地カスティリオン フィオレンティーノ |
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タンガネッリ家はアレッツォ県のカスティリオン フィオレンティーノという土地でずっと前からブドウを栽培してきました。父のカルロがワイン造りを始めて、私がそれを受け継ぎました。ブドウ以外ではオリーブやトマトも造っていますが、全部有機栽培です。
このエリアは4000年前からトレッビアーノで白ワインを造ってきた土地です。つまりエトルスキの人たちからローマ帝国の時代を経てずっと白ブドウの地域です。ところが90年代になり、ここで造られるシラーが有名になって「コルトーナDOC」が認定されると、トレッビアーノを造るのをやめてシラーに替える生産者が増えました。トレッビアーノはどうしても軽くてありきたりのワイン、というイメージが強く、売れなかったからなんですね。 |
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99%の造り手がシラーに走る中、伝統のトレッビアーノを守り続ける |
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私は「土地がワインを造る」と考えています。トレッビアーノがここで4000年という長い時間造られ続けてきたのには何か理由があるからです。今はここの大部分の造り手がトレッビアーノをやめてシラーを造っていますが、果たしてここが本当にシラーに向いた土地であるのかはわからないと思います。まだ20年ぐらいの歴史しかないですから。
私のワインは白もマセラシオンを必ずやりますが、それは「いいトレッビアーノはマセラシオンをしていたという伝統があるからです。マセラシオンをすることでいいトレッビアーノのワインができる、とも言えます。70年代になると白ワインはマセラシオンをせず、透明に仕上げるという動きになりましたが、全てそれがいいとは言えないですよね。 |
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トレッビアーノは完熟させてマセラシオンすることが大切 |
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私のワインを飲んで「これがトレッビアーノ?」と思われる方も多いのですが、私にすればこれが本来のトレッビアーノです。完熟させてマセラシオンすることが大切で、これが伝統的なトレッビアーノの造り方です。伝統製法を守ったやり方で最初に造ったのが「アナトラーゾ」です。そしてマセラシオンを少し短めにした「アナトリーノ」を造り、最後に「ピピリ」を造りました。収穫は年によって違いますがだいたい10月の中旬頃です。トレッビアーノに化学的なものは全く必要ありません。必要なのは時間だけです。ブドウに適した造り方をしてあげたら必ずいいものができます。
トレッビアーノに対して一般的にアルコールが強い、というイメージがあるかもしれませんが、マセラシオンをしたトレッビアーノはタンニンを抽出することでワインにエレガントさが加わり味わいのバランスがとれ、アルコールを強く感じることはありません。逆に、マセラシオンをしないとアルコール感の強いワインになってしまいます。 発酵はブドウについている自然酵母だけで、セレクション酵母は使いません。SO2(酸化防止剤)は除梗後、若干量加えるだけです。数値的にはラベルにSO2が添加されていることを表示する義務はない量ですが、無添加だとしてもSO2は自然に発生しますし、SO2がゼロというワインはあり得ないので表示するのが正当だと考えています。 |
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なぜアヒル? |
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(これはずーっと聞きたかったことなので、やっぱり質問しました。)
私には二人子供がいるのですが、上の子が4歳ぐらいの時に造っていたワインの香りをかがせたことがあったんです。そしたら彼女は顔をしかめて「アナトラーゾみたいな香りがする」と言いました。アナトラーゾとはアヒルが水浴びをするような場所で、あまりいい匂いがするところではありません。まあ、醸造中のワインだったからそういう香りがしたのかもしれませんが。そして、アヒルの絵を描いたんです。結構上手で、それをモチーフにして今のアナトラーゾのラベルにしました。 最初に造ったワインがアナトラーゾで、次に造ったアナトリーノはアナトラーゾの子供というか、弟的なもの。なので小さいアヒルのデザインに。そして最後に造った「ピピリ」は小さいひよこという意味のトスカーナ方言です。3つの白ワインの中で一番若く、マセラシオンの割合も少ないのでこういう名前になりました。 ここから試飲をしました |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
どうしてこのトレッビアーノは他と違うんだろう?と、初めて飲んだ時に感じていた疑問がすっきりしました。これが本来のトレッビアーノ、という言葉がとっても素敵でした。
違う土地に行って同じことをしたとしても同じものは出来ない。だからその土地で長く育っているものには理由がある、ということ。伝統を尊重して自然に忠実に造るという強い思いがタンガネッリの美味しさの源だと思います。 自然派、というとちょっと気難しい造り手を想像してしまうこともありますが、マルコさんは終始ニコニコしていて本当に親しみのある方でした。これから標高600mの畑のサンジョヴェーゼをリリースしようとしているそうで、どんなワインになるのかとても楽しみです。 |
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2014年1月15日 カルロ タンガネッリ社 来社
2014/01/15