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2015年10月29日 マルヴィラ社 ロベルト ダモンテ氏
ピエモンテのロエロ地区を代表するマルヴィラ。土着品種アルネイスとネッビオーロから、ロエロのテロワールを表現したワインを造りだす。
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ピエモンテのロエロ地区を代表する造り手のマルヴィラ。1950年の設立以来、ロエロを代表する2つのブドウ品種である白のアルネイスと赤のネッビオーロを主体にテロワールを表現するワインを造り続けています。バローロ、バルバレスコエリアと隣接土地ながらも独自の個性とテロワールでロエロの名前を知らしめ、現在ではDOCGとして認定されています。祖父の代から続くワイナリーを受け継いで弟のマッシモ氏と一緒にワイン造りを進めるロベルト氏にお話をお聞きしました。 |
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バローロ、バルバレスコのエリアとタナロ川を挟んで北側に位置するロエロ。主要品種はアルネイスとネッビオーロ
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ロエロは1300年代から農業を営んできたエリアです。マルヴィラはロエロの中心地カナーレにあり、祖父の代からブドウを造っています。ロエロは伝統的に農作物も作り、家畜も育てるような兼農する家が一般的で、私たちもそういう家族でした。1950年代に父ジュゼッペが「ロエロの素晴らしいブドウを使ってワイン造りに力を注ぎたい」とワイナリーを設立しました。
現在畑は43ha、さらに収穫するまでには育っていない畑が5haあります。マルヴィラのワインは全て自社畑のブドウだけで造っています。栽培している主要品種はロエロで伝統的に造られている白のアルネイスと赤のネッビオーロで、この2つの品種を中心にワインを造っています。アルネイスだけでもスティルで4種類、スプマンテで1種類のワインがあります。  |
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![トリニタの畑とカンティーナ]() |
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ロエロはもともと海だったところが隆起してできた土地。ただし場所によって海の影響を強く感じるところと弱いところがある。17haあるすり鉢状の単一畑「トリニタ」がワイナリーの中心でここからは貝の化石がよく見つかる
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現在、ワイナリーがあるのは1986年に購入した単一畑「トリニタ」の中です。トリニタと言う名前は丘の上にある小さな礼拝堂が由来です。ここにカンティーナと、宿泊施設を備えたレストランも併設して世界中のお客様に来ていただいています。ヨーロッパからのお客様が多いですが、日本からも来られています。今、私たちのレストランでは日本人のシェフとソムリエが働いていますよ。
ロエロは200万年前は海の底で、それが隆起してできた土地です。そのため、土壌に貝の化石がよく出てきます。ただし、ロエロの中でも地下2~3メートルぐらいで出てくる場所もあれば、かなり地下深くいかないと海の痕跡が見られない場所もあります。ロエロの中でもトリニタは貝の化石がすぐに見つかる場所で、これはシャブリとよく似ています。そしてトリニタは17haあるのでひと口に「トリニタの畑のブドウ」と言っても条件が異なるので場所によって味わいの違うワインになります。 |
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ロエロ、バローロ、バルバレスコの3つのエリアのネッビオーロ
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ネッビオーロはピエモンテにとって一番重要な品種です。50年ぐらい前まではバローロ、バルバレスコ、ロエロのそれぞれのエリアで造るネッビオーロははっきりとその違いがありました。それはテロワールもありますが、造り方を定めた法律も違っていたからです。ところが今はその法律にあまり差がなくなってきました。だからともするとバローロなのか、バルバレスコなのか、それともロエロなのかがわからないようなワインもあります。
マルヴィラでは2009年からコールドマセラシオンを始めました。このおかげでワインの色調が淡くなり、タンニンが柔らかくなりました。アルバの生産者は高い温度でマセラシオンをする考え方の人と、低温で行うという考え方の2つに分かれます。私たちは、低温でゆっくりと4~6週間ぐらいかけて味わいと色を抽出する方がいいという考え方です。 |
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バローロの生産もスタート。醸造はドメニコクレリコのカンティーナで。
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2007年にバローロエリアのラモッラ村のボイオーロに小さなブドウ畑を購入しました。ボイオーロはブルナーテの畑の北側にあり、ブルナーテが南向きであるのに対してボイオーロは東向きの畑になります。
面積は0.89haととても小さいので生産本数は1000本未満です。バローロと名乗るにはエリア内で醸造する必要があるので友人のドメニコクレリコのカンティーナを借りて造っています。 |
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マルヴィラの名前とマークの由来
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マルヴィラとは古いカンティーナの名前です。ピエモンテの方言でマル(MAL)=悪い、違うなど、ヴィラ(VIRA’)=向きと言う意味で、あまりいい言葉ではありませんよね。実はこの古いカンティーナは玄関を出てすぐに道があり、庭は家の裏手だったのです。一般的な農家の家は道があって、庭があって、玄関がある。つまり、玄関のある向きが逆なので悪い、という意味なんです。
そして、ロエロは古くはロエロ伯爵が所有していた土地で、伯爵家のマークが車輪でした。そこで、車輪をモチーフにして、車輪が回転していい方向に変える、という意味を込めてこのマークとなりました。 |
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トリニタを含む5つの畑のブレンドで造るスタンダードアルネイス |
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ロエロ アルネイス 2014 |
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2014ヴィンテージのアルネイスです。2014年は2013年同様冷涼な気候でした。醸造はステンレスタンクのみ、フレッシュに味わうワインです。このワインは1年に5~6回ボトリングをしているので、ボトリングのロットによっていわゆるシュールリーの期間が異なってきます。だからロット番号によってもその味わいに差は出ます。 |
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試飲コメント:とてもしっかりとした酸とミネラルが印象的。後味に塩っぽさも感じる、シャープさとやわらかさの両方を感じる、飲み心地良い白ワイン。 |
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単一畑「トリニタ」に古くに植樹されたアルネイス |
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ロエロ アルネイス トリニタ 2008 |
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これはトリニタの畑に1988年に植樹した古いアルネイスだけで造っています。この古樹が植えられているのは30%が南向き、70%が南東向きです。年間55000本ぐらいは造ることができる程の本数はありますが、樹齢が古いことと選別をしていることでだいたい20000本ぐらいの生産本数になっています。
10%をトノーで熟成しています。2008年は暑い年だったので、味わいにもそれが反映されてオイリーな印象があります。しっかりとした味付けの魚料理などと合います。 |
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試飲コメント:濃密感のあるふくよかな味わい。熟成感とねっとりとした印象ながらミネラリーでバランスが良い。 |
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アルネイス、シャルドネ、ソーヴィニョンの3品種ブレンド=トレウーヴェ |
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ランゲ ビアンコ トレ ウーヴェ 2006 |
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アルネイス、シャルドネ、ソーヴィニョンの3つのブドウをブレンドして造る白ワインです。3つのブドウ=トレウーヴェです。別々に醸造を行うのですが、1年間シュールリーをして、1ヶ月ステンレスタンクで寝かせてからボトリングします。2006年は涼しい年だったのでまだ開いていない感じはありますが、一方で2007年は暑い年だったので比較的早く飲み頃になりました。
このワインのコンセプトは「赤と同じように飲む白」。15年ぐらい熟成させても充分に楽しめるワインです。1993年が初リリースなのですが、このワインを造ったきっかけはたまたまシャルドネとソーヴィニョンが少しずつ収穫できたので、じゃあ3つ混ぜてみよう!と言う軽い気持ちからです。そのため、最初の頃はアルネイスの比率が高かったので、ワインも100%アルネイスと似た感じになりました。そこで徐々に他の品種の割合を増やして、今はアルネイスは20%です。トレウーヴェの味わいはソーヴィニョンの仕上がりに左右されるので年によって異なります。
厚みのあるワインなのでキノコやトリュフ料理とよく合います。 |
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試飲コメント:クリームやハチミツのニュアンス。濃厚でしっかりとした味わいで飲みごたえ十分。 |
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砂質のネッビオーロで造る花や果実のアロマが特徴的 |
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ロエロ 2009 |
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トリニタの東斜面に植えているネッビオーロで造ったロエロです。先ほども言いましたがバローロなのか、バルバレスコなのか、それともロエロなのかがわからないようなワインもあります。そのため、土壌の特徴を表現することが大切です。
マルヴィラは、砂質のエリアの畑を選んでネッビオーロを造っています。砂質土壌は果実や花のアロマが特徴的で、2009年は特にそのエレガントさが際立ったヴィンテージ
となりました。開くのがとても早く、タンニンは控えめ。少し冷やして飲むのもお勧めです。私は夏は氷水にボトルを10分ぐらいつけておいて毎日のように飲んでます。魚料理とも合います。ブルゴーニュが好きな方にはこのロエロはオススメですね。 |
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試飲コメント:上品な花と果実の香り。タンニンが本当に控えめで最初から最後までエレガント。 |
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ロエロのネッビオーロを表現するスペリオーレ |
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ロエロ スーペリオーレ トリニタ 2004 |
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2004年のピエモンテはクラシカルなピエモンテらしい気候で、しっかりとしたタンニンが特徴です。これは先ほどのロエロとは対照的です。醸造は450リットルのダブルバリックで20~36ヶ月間熟成です。 |
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試飲コメント:タンニン、旨み、ミネラル。しっかりとしたストラクチャーがあり、上品さと力強さを感じる。 |
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過熟させて貴腐菌がついたブドウから造る甘口ワイン |
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レネジウム |
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アルネイスが90%、その他が10%です。収穫は2014年は12月の頭、2015年は11月の頭でした。貴腐化したブドウを収穫してオーク樽で発酵させて、450リットルのダブルバリックで3年間入れっぱなしで熟成させます。入れたら移し替えをしないので、ヴィンサントのような熟成をさせています。そうすると発酵が進んでアルコール度数が高くなってしまうので、その年のモストを加えて度数を下げます。残糖度はだいたい300g/リットルです。
ラベルはスイス人の友人の画家がデザインしました。 |
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試飲コメント:アプリコットやハチミツのニュアンス。甘いが酸がしっかりとあるのでくどくなく、上品。 |
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■インタビューを終えて |
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今回インタビューしたマルヴィラのロベルト氏はとても気さくな方で、イタリア人らしく冗談好きの話好きの方。おかげで和やかな雰囲気で楽しくお話を伺いました。
マルヴィラの主要品種はなんと言ってもアルネイス。クリーンでミネラルが際立つマルヴィラのベーシックアルネイスを飲むと、これが本来のアルネイスの味わいだと感じます。そして、長期熟成のポテンシャルを実感するトリニタのボディ。赤ワインのイメージが強いピエモンテですが、ロエロは優れた白ワインを生む特別な土地だと解ります。
バローロ、バルバレスコ、ロエロの3つのネッビオーロは似てきた、という話も興味深く、「ブラインドで飲んだらわからないものもあるよ」という正直なコメントも面白い。ロエロのテロワールを最大限に表現することを大切にしたマルヴィラのネッビオーロ。ぜひ味わっていただきたいと思います。 |
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