2013年3月7日 バリオ ディ ピアネット社 アルベルト ブラット氏 | |||||||||
シチリアの新しいワイナリー「バリオ ディ ピアネット」のアルベルトブラット氏がトスカニーに来社され、ワイン造りのポリシーを情熱たっぷりに語って下さいました。 第一印象は「ちょっと厳しいビジネスマン」という感じで、なんとなくシチリアっぽくないなあと感じましたがその理由はすぐにわかりました。 | |||||||||
勤勉なヴェローナ人がシチリアのポテンシャルの可能性に魅せられて造るワイン |
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アルベルトさん:まずは短いビデオを見て頂きます。私たちが何をやっているのかを解って頂けると思います。
~ビデオをみんなで見ました~ アルベルトさん:バリオ ディ ピアネットは1997年にスタートしたワイナリーです。パオロ マルゾット伯爵の共同経営で立ち上げました。パオロマルゾットは元F1ドライバーで、その後、ワインビジネスで成功している人物で、サンタマルゲリータ社で14年間社長を務めました。 トスカニー:アルベルトさんはご出身はどちらですか? アルベルトさん:ヴェローナです。祖父の代から続くワイナリーを所有していて、アマローネを造っています。 トスカニー:そうなんですか! (シチリアっぽくないと思っていましたが、やはり勤勉なヴェローナ人でした。) アルベルトさん:シチリアは素晴らしいブドウができる土地です。場所によって特徴も違います。だから島の北部の「ピアネット」と、南部の「バローニ」に畑を所有していて、それぞれの場所の特性を生かしたブドウを栽培しています。 |
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北は標高が高く冷涼な気候、南は石灰と粘土質土壌で温暖な気候 |
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アルベルトさん:ピアネット地区は標高が650mあり、雨が多くで冷涼な気候、一方南部のバローニはとても温暖なエリアです。ピアネットにはインツォリア、ヴィオニエ、メルロー、プティヴェルドを植え、バローニにはネロダーヴォラとシラーを植えています。 自然と共存するワイナリーにしたいので、2009年からは電力は太陽光発電を採用しています。醸造所の近くに湖を作り雨水の再利用も行っています。そして、ワイナリーの当初からオーガニック栽培を実践しています。 トスカニー:オーガニックの認定は取っていらっしゃるのですか? |
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オーガニック認定のやり方には納得がいかないからあえて取得しない主義 |
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アルベルトさん:認定は取りません。現在、オーガニック認定はどのように取得するか知っていますか?書類の審査だけで、誰も畑を見に来たり、管理も検査も行っていないんです。そんないい加減な認定なんて私は興味ありません。恐らく近い将来、EUの規定が変更になり、検査を行うことが義務付けられると思いますが、そうなったら私は申請しますよ。
(アルベルトさんがあまりの勢いで現在の有機認定を批判したので、安易に質問したことを後悔。でも逆にアルベルトさんという人がどのようなことを考えているのか、何に正義を持っているのかを理解することもできました。) |
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樹齢によって畑のタイプを3つに分け、さらにそれぞれの畑は3回に分けて収穫 |
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アルベルトさん:具体的なワインの話に入りましょう。先ほど見て頂いた畑の地図を覚えてますか?同じ品種でも3色に分けてありましたよね。実は樹齢によって畑を3つに分けているのです。植樹方法も栽培方法変えています。まず若い樹齢(約13年)は1haあたり4800本の株密度で収量も90hl/ha。次に樹齢20年ほどの畑は6400本/haで収量が40~60hl/ha、そして最も樹齢の高い(約40年)畑は9600本/haで24hl/haとかなり抑えた収量にしています。 トスカニー:なるほど。 アルベルトさん:それぞれの畑は8月~10月にかけて3回に分けて収穫します。 トスカニー:それぞれ3回ですか? アルベルトさん:そうです、特徴の異なるブドウを得たいので収穫のタイミングを分けているのです。まず第1回目の収穫からは酸の強い実を、2回目は成熟したストラクチャーのあるもの、3回目は十分に熟したふくよかなブドウを得ることができます。そして造りたいワインのスタイルになるよう、1回目、2回目、3回目のブドウで造ったワインをブレンドしています。 トスカニー:そんなに細かい収穫をしているのですね。こういう話は初めて聞きました。 アルベルトさん:(笑)ちゃんとした造り手なら誰でもやっていると思いますよ。では試飲しながらワインの説明をしていきましょう。 ここから試飲が始まりました |
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■インタビューを終えて | |||||||||
白3本、赤3本を飲みましたが、それぞれのコンセプトがはっきりしていて、それが味わいにストレートに出ているのが印象的でした。シチリアの北と南のエリアの違いを上手に表現しているので、飲み比べるのがとても楽しいワイナリーだと感じました。
とにかく頭の良い方で、ブドウ栽培をひとつとっても図を描いて数値で説明して下さり、とてもわかりやすかったです。最初からシチリア人っぽくないとは思いましたが、途中でヴェネト出身とわかり、納得。しかも奥様は大手ワイナリー(パスクア社)の社長ということで、寝室では決して仕事の話をしないのだそうです(喧嘩になるので)。 畑を3つに分け、それをさらに3回に分けて収穫する徹底ぶり、和食を知るためにロンドンまでわざわざ勉強しに行く情熱、そしてワイン造りには長期的な経営スパンが必要という考え方。ひとつひとつがピアネットのワインに表現されていると感じました。 |
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2013年3月7日 バリオ ディ ピアネット社 アルベルト ブラット氏来社
2013/03/07