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■ネッビオーロに対する誇り |
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ネッビオーロは800年以上前からピエモンテで栽培されている伝統的な固有品種です。そして、ピエモンテという土地と密接な結びつきのあるブドウでもあります。カベルネやメルローなどはフランスの品種ですが、今や世界中に広まり、世界中で造られています。ネッビオーロはそういうブドウではありません。
ニューワールドと呼ばれる地域で多くのカベルネ、メルロー、シャルドネが造られるようになり、しかもやわらかくて濃い味わいに仕上がるためとても飲みやすくわかりやすい味わいで人気が出ました。これが逆にヨーロッパのワインにも影響を与え、「強く、甘く」というワインが造られるようになっていきました。でも、ヨーロッパにはどうやってもエレガントなワインにしかならない土地があります。それがブルゴーニュのピノノワールとピエモンテのネッビオーロです。 |
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■畑、ブドウ、食材 どれも土地に固有のもの |
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バルバレスコの畑はとても美しい風景を造ります。バルバレスコの生産者は小規模のところが多く、小さな区画になり、ブルゴーニュと似ています。このようなブドウ畑はもちろん人が造ったものですが、つまりネッビオーロというブドウがそうさせていると言えます。
ピエモンテは固有の食材が豊富な土地です。最も有名なのはアルバの白トリュフでしょう。10月中旬から12月中旬にかけてが白トリュフの時期。刻んだニンニク、ローズマリーと一緒にバターを溶かし、目玉焼きを半熟で仕上げて白トリュフをかけていただくのが最高の食べ方ですね。 そしてヘーゼルナッツも有名です。ピエモンテのヘーゼルナッツは含まれているオイルの質が高く、本当に美味しいです。標高の高いところに育つためブドウと競合しないのも利点だと思います。 ランゲ地方はミシュランの1つ星レストランが13、2つ星と3つ星がそれぞれ1つずつあります。一方、トスカーナのモンタルチーノには星付レストランがないんです。これは、モンタルチーノは大手のワイナリーが多く、自社でレストランを持っているため専業でレストランをするお店があまり発展しないためだと思いますね。 |
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■親から子へ、大人から子供へ伝えていくことが大切< |
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私は1940年生まれですが、最初の先生と呼べる存在は祖母です。彼女から4つのことを教わりました。
・fare 行動をすること 日本も職人文化があります。私が思うにアジアの中で日本だけが職人の国だと思います。伝えるべきものは伝えていかなければなりません。 もちろん父からも多くのことを学びました。犠牲を払うことをいとわない、というのもその一つです。ブドウは気候に影響を受けるもの。気候が悪かったときは絶対にボトリングをしませんでした。そして私もそうしています。 ワイナリー「ガヤ」の最初の転機は1937年に父がラベルデザインを変えたことです。この時初めてワイナリー名のGAJAを大きくラベルに入れました。そして、1978年に今のデザインに変えました。黒と白のシンプルなデザインです。黒は過去を、白は未来を表現しています。 |
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■トスカーナへの進出、そしてこれから |
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ピエモンテにあるガヤのワイナリーの規模は25年前から変わっていません。では次にどうするか、と考えたときにトスカーナに目を向けました。そしてボルゲリとモンタルチーノでワイン造りを始めたのです。ボルゲリのカマルカンダは国際品種、モンタルチーノはもちろんサンジョヴェーゼです。
カマルカンダのラベルデザインはなかなか決まりませんでした。色々なデザイン案が私の元に来ましたがどれもしっくりきませんでした。そしてあるとき、ふとボルゲリの写真集をぱらぱらとめくっていた時にあの糸杉の並木道の写真が飛び込んできて「これだ!」と感じました。 |
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現在、ガヤのワインの輸出については大部分を娘のガイヤに任せていて、私はうしろでフォローをしているだけです。彼女たちと意見が違うこともありますが、若い人が何を考えているのかを理解することも重要なことだと思っています。
イタリアもそうですが日本も国の負債がとても多い状況ですよね。40代~50代は右肩上がりだった過去と不安だらけの未来の間で現在の状況を見失っているように思います。でも、本当は今の時代に対する責任を感じる必要があります。そして、若い人たちが希望を持てる国にしていかなければと思います。実は「ガヤで働きたい」と言ってくる日本の若者が何人もいます。こんな風に私たちのところにやってくる若者は日本だけです。日本の国の中だけを働く場にする必要はないし、もっと世界に出て行ってもいいと思います。 |
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■インタビューを終えて |
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まさに「マシンガントーク」といった感じで約90分しゃべりっぱなしのセミナーでした。73歳にしてこの若さ、この元気さ、さすがアンジェロ ガヤ!と感じました。
イタリアワインの帝王と呼ばれ、常に先頭を走リ続けるアンジェロ氏が造るワインの数々。妥協のない、常に最高品質のものしか造らないガヤの世界に触れていただければと思います。 |
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2013年11月30日 ガヤ社 アンジェロ ガヤ氏 来日セミナー
2013/11/30