2013年5月24日 サンドロファイ社 マルコ ファイさん Mr.Marco Fay
ヴァルテッリーナ注目の生産者サンドロファイのマルコさん突撃インタビュー! |
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東西に長くつながる急斜面の段々畑が有名なヴァルテッリーナの造り手、サンドロファイのマルコさんが来社。ヴァルテッリーナについては以前ニーノネグリを訪問してその苛酷な畑仕事やそんな環境から造られる優美で力強いネッビオーロの素晴らしさを知りましたが、今回は小規模でまだ若い造り手という、また違った視点からワイン造りの話をお聞きすることができました。 | ||||||||||
通常の畑ならば10haで1人で出来るが、サンドロファイは13haを9人で手入れ |
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ヴァルテッリーナは4000m級の山脈が北にそびえる土地にある東西に長い渓谷です。渓谷は130kmの長さに及んでいて、そのうち50kmがブドウ畑です。畑はもちろんすべてが南向きなので、実はシチリアのパンテッレリア島と同じ日照量があって、ブドウがゆっくりと完熟することができます。渓谷の南側(反対側)斜面は全てが北向きなのでブドウ畑はありません。
ヴァルテッリーナは1200年前からブドウが栽培されていた地域です。斜面を削って造った段々畑で、標高は300m~800mのところにあります。斜面なので機械は全く使えません。通常の畑なら10haぐらいは1人で手入れができますが、私たちは13haの畑を9人で面倒を見ています。 |
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サブゾーンの違いよりも標高の高さでワインの個性が決まる。それは冷気と湿気の関係から。 |
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ヴァルテッリーナには5つのサブゾーンがあって、このエリアが「ヴァルテッリーナ スペリオーレDOCG」になります。西から順にマロッジャ、サッセッラ、グルメッロ、インフェルノ、ヴァルジェッラで、ワインにはそれぞれのサブゾーン名が入ります。サブゾーン以外は「ロッソ ディ ヴァルテッリーナDOC」になるのですが、数年前にDOCGに格上げになった畑もあります。 実はこれが重要なのですが、私はサブゾーンの違いよりもワインの個性を決めるのは標高だと考えています。ヴァルテッリーナは谷がすごく狭く、山が高いのが特徴で、これによって特殊な気候を作ります。秋から冬、春と気温が低い季節は冷気が300m~400m あたりの谷底に流れ、湿気が多くなります。湿気が多いとブドウの皮は薄くなり、タンニンの少ないフレッシュで飲みやすいタイプのワインになります。 標高が450m~600mの畑はもっとも良い条件になります。夏は湿気が少なく、冬も冷気が谷底にさがっているおかげで暖かいため、ブドウが完璧に熟します。また、秋は昼夜の寒暖差が激しくなるので香り豊かなワインができます。 |
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酸っぱすぎて飲めなかったワインを飲むためにブドウを乾燥して糖度を上げる。昔の人の知恵が生んだ偉大なスフォルツァート |
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さらに標高が高い600m~800mの場所で造るブドウは皮が厚く、酸が高く、糖度の低い。これはブドウを乾燥させてから造るスフォルツァートに向いています。皮が厚いので乾燥中も破れず、菌が付きにくいのです。乾燥することで糖度が増したブドウは高い酸ともバランスがよく、素晴らしい結果をもたらします。酸っぱすぎて飲めなかったワインを何とかして飲みたいという、昔の人の知恵が凄いワインを生んだんですね。 | ||||||||||
ネッビオーロは土地に根付いたブドウ。だから地域によって呼び名が違うし出来るワインも異なります |
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ヴァルテッリーナのネッビオーロはキアヴェンナスカという名前で呼ばれています。同様に、バローロとバルバレスコの地域ではランピア、ミケ、ロゼ。それ以外のピエモンテはスパンナですし、ヴァッレダオスタではピコテンドロ。それだけ地域に根付き、特徴も違うということです。
ヴァルテッリーナの土壌はイタリアでは珍しい酸性土壌で、石灰分は全くありません。このタイプの土壌はイタリアではエトナ山とフリウリのカルソ地区だけです。一方、バローロやバルバレスコのエリアは粘土質土壌で土の層がとても深いため保水性があります。ヴァルテッリーナは1mほどの厚さしかなく、その下は岩で、やせて乾燥した土壌です。 その結果、バローロ、バルバレスコではパワフルなワインになり、ヴァルテッリーナはエレガントなスタイルのワインになります。キアヴェンナスカをピエモンテに植えてどうなるか実験したのですが、バローロよりもタンニンが強く、色の黒いものが出来てしまいました。 ここから試飲をしました。 (※ワイン画像は当時のものと異なる場合があります) |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
マルコさんは若干35歳ながらすでに醸造家としてのキャリアは10数年以上!15歳で特待生としてサンミケーレ醸造学校に入学、ミラノ大学醸造学部へと進み、イタリア各地で修業。とにかくお話しを聞いていてその知識と経験の深さに驚きました。
このサンドロファイを日本に紹介しているのが「イタリアワイン最強ガイド」の著書で“闘うワイン商”こと川頭義之さん。川頭さんはまだあまり知られていない素晴らしい造り手を日本に紹介し続けている方で、サンドロファイもそのひとつ。今回は川頭さんの奥様で日本語ペラペラのジョバンナさんと一緒に来て下さいました。ジョバンナさんいわく、マルコさんはとにかくむちゃくちゃ優秀で、地元ヴァルテッリーナを心から愛していて、伝統を尊重してかつ品質の向上に心血を注いでいる人。イタリア人には珍しく、個人主義ではなくて和を大切にする人だそうです。 生産量も少ない上に、自分たちの基準に達しなければリリースしないという徹底ぶり。1本1本丁寧に造り込んだことが分かる、芯がありかつ優しくエレガントな美味しいサンドロファイのワインです。 |
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2013年5月24日 サンドロファイ社 マルコ ファイさん来社
2013/05/24