2012年5月18日 サンドローネ輸出部長 クリスティアン マッダレーナ氏 Mr.Christian Maddalena | |||||||||
世界各国87ヵ国に輸出、生産本数の少ないサンドローネのワインは常に奪い合い |
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クリスティアンさんは7年前からルチアーノサンドローネ氏の右腕として世界各国のマーケティングを担当。現在87ヶ国170社と代理店契約を結んでいます。サンドローネのワインは生産本数が10万本未満、これだけのワインをイタリアと87ヶ国に割り当てるのですから、日本への入荷数も少ないのは仕方のないことかもしれないと納得。
トスカニー:まず、サンドローネの歴史と現在の地位を築かれた経緯を教えてください。 クリスティアン氏:簡単に言うと、サンドローネの歴史はこの素晴らしいワインたちを造ったという一言に尽きます(と言って、目の前にあるドルチェット、バルベーラ、ネッビオーロ、バローロ レヴィーニェ、バローロカンヌビを指さす)。 トスカニー:なるほど(笑) クリスティアン氏:サンドローネは、ブドウ栽培農家の出身でもないし、父親がワイナリー、という家に生まれたわけでもありません。ワインの経験としては、1960年代から73年までボルゴーニョで、その後1989年までマルケージ ディ バローロという大手のワイナリーで働いていました。2社とも生産者ではなく、ワインを購入してボトリングして販売するネゴシアンでした。 |
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バローロにクリュの概念を作った最初の造り手の一人 |
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クリスティアン氏:サンドローネの名前を一躍有名にしたのがご存じのとおりカンヌビ ボスキスです。 カンヌビは現在ではもっとも有名なバローロのクリュとして知られていますが、サンドローネが畑を手に入れた1978年当時はバローロと言うのはクリスマスに飲むワイン、という程度の認識でしかなく、クリュに執着するような考えは全くありませんでした。 サンドローネが他の人と違っていたのは、当時からブルゴーニュを訪れては勉強をしていたことです。 そこで畑の重要性に気付き、クリュの考えをバローロに持ち込んだのです。 トスカニー:サンドローネはバローロに初めてクリュの考えをもたらした人だったんですね。 クリスティアン氏:ええ、エリオアルターレ、ドメニコクレリコ、ロベルトヴォエルツィオとともに、初めてクリュの概念をもたらしたうちの一人です。 バローロの「モダン」「クラシカル」とは トスカニー:先ほども話が出ましたが、バローロではクリュバローロを「モダンバローロ」、複数の畑のブドウをブレンドしたものを「クラシカルバローロ」と呼んでいますよね? クリスティアン氏:そうですね。サンドローネはカンヌビボスキスと言うクリュバローロがスタートですので、2つ目のバローロを造るにあたってはブレンドで行こうと決めました。レヴィーニェは3つの村にある4つの畑のネッビオーロをブレンドしています。 トスカニー:そうなんですか。 クリスティアン氏:バローロに指定されている地区は全部で7つの村があります。 |
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トップワインからスタート、その後、ピエモンテのベーシックワインを造り始めたことで全てがハイレベル |
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クリスティアン氏:サンドローネは、他の一般的なピエモンテの生産者とは違う点があります。 それは、トップワインのバローロカンヌビからスタートしたということ。 その後、バローロの他のエリアの畑を購入して、複数のクリュをブレンドした「レヴィーニェ」を造り始め、そのあとにロエロ地区のネッビオーロ、そしてバルベーラ、ドルチェットと造るようになりました。 元々のスタートがとんでもなくハイレベルなものですから、それ以外のいわゆるベーシックラインのレベルもおのずと高くなる。そこが、他の生産者たちとの違いです。 トスカニー:生産量はどうなんでしょうか? クリスティアン氏:大部分がネッビオーロです。 |
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バローロのセカンドではなく、ヴァルマッジョーレのクリュネッビオーロを造りたかった! |
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クリスティアン氏:バローロの次に重要なのがこのネッビオーロダルバ ヴァルマッジョーレです。ヴァルマッジョーレはバローロ認定エリアではなく、タナロ川の北側のロエロ地区にあり、ネッビオーロの特に重要な畑と言う位置づけです。 一般的なネッビオーロダルバは、バローロにならなかったものや、バローロにするにはまだ早すぎるもの、というものが多いのですが、ヴァルマッジョーレはこの畑ならではの特徴を持っています。 砂質土壌でデリケート、熟成がゆっくり進むので長期熟成にも向きます。 サンドローネは、バローロのセカンドとしてのネッビオーロではなく、ヴァルマッジョーレのネッビオーロを造りたかったのです。 トスカニー:(苦笑) クリスティアン氏:ヴァルマッジョーレはご覧の通り非常に急斜面の丘です。傾斜角は70度にも及び、とてもじゃないけどその仕事は非常に大変です。そのため、サンドローネがこの土地を購入した時、ほとんどが荒れ果てていました。現在も、ヴァルマッジョーレでワインを造っているのはサンドローネともう1社しかありません。 トスカニー:そんなに素晴らしい畑だったとは知りませんでした。普通のネッビオーロダルバとは格が違いますね。 |
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サンドローネはカンティーナ(醸造所)の人ではなく、畑の人 |
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クリスティアン氏:サンドローネが一番求めているのは土地の特性とそれに合った品種からワインを造ることです。 そういう意味でもサンドローネは醸造所の人ではなく、畑の人です。 畑には化学的なものは一切使っていませんし、ワインを醸造する過程で造られた搾りかすなどをもとにした堆肥を使用しています。 サンドローネは全部で5つのワインを造っていますが、それぞれ畑は標高差もあり、特性に応じて細かく区画を分けています。 アルコール発酵は自然酵母を使います。そして、醸造に使用する樽はトノー(500リットル)です。 トスカニー:ところで、サンドローネさんと一緒にクリュの概念を持ち込んだ他の生産者エリオアルターレ、ドメニコクレリコ、ロベルトヴォエルツィオはみなさんモダン派と言われていますが、実際お互いにはどう考えているのでしょう? クリスティアン氏:モダンだ伝統だ、と言っているのはバローロの外にいるジャーナリストたちです。当事者たちはお互いをとても尊敬し合っています。1981年までは4人で一緒にヴィーニタリで同じブースを作っていましたし、1982年から生産者グループを作って活動もしていました。情報交換も頻繁にしているし、お互いのワインを飲み比べたりしていますよ。 |
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■インタビューを終えて | |||||||||
バローロカンヌビボスキスだけでなく、全てのワインに意味があり、こだわりがあるということがクリスティアンさんの話を聞いて本当によくわかりました。クリスティアンさんは年齢不詳ですが、とても頭がよく、サンドローネのすべてが頭にインプットされていて、ありとあらゆることを説明してくださいました。
サンドローネさんってどんな人なのかと尋ねると、こう説明してくれました。「サンドローネが自己紹介をするとしたら、このように言うでしょう。『私はブドウを造っている人間です。ピエモンテ州バローロで仕事をしています。名前はルチアーノサンドローネです。』と。 ところで皆さんはガヤをご存知ですよね?ガヤだったらこう言うでしょう。「私はアンジェロガヤです。バルバレスコから来ました。そこでワインを造っています。』」。シンプルなたとえ話でしたが、サンドローネさんという偉大なワインの造り手のことを少し理解できた気がします。 「(イタリア語なので)ゆっくり話して下さいね」とお願いしたにもかかわらず、ゆっくり話して下さったのは最初の1分ぐらいで、あとは次から次へと言葉が飛び出してきて聞き取るのに精いっぱい。でも、それだけ語っても語りつくせないほどの情熱とワインに対する思いとたくさんの仕事からサンドローネのワインが造られていると言うことが実感できました。 |
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2012年5月18日 サンドローネ輸出部長 クリスティアン マッダレーナ氏来社
2012/05/18