2014年1月29日 ロベルトサロット社 ロベルト サロット氏来社

2014/01/29
突撃インタビュー
 
2014年1月29日 ロベルトサロット社 ロベルト サロット氏

ロベルトサロット社 ロベルト サロット氏 突撃インタビュー

ロベルト サロット氏と同社スタッフとの記念撮影
バローロにバルバレスコ、そしてガヴィ。ピエモンテの銘醸ワインをとてもリーズナブルな価格で造っている素晴らしい造り手、というイメージのロベルトサロット。大手ワイナリーの醸造長としての経験を活かし、研究熱心なオーナーのロベルト氏から直接お話をお聞きできるということで、とても楽しみにしていました。

ピエモンテの5つの銘醸地全てで自己所有畑を持つ唯一のワイナリー

サロット社のブドウ畑私たちはピエモンテの「バローロ」「バルバレスコ」「バルベーラダスティ」「ガヴィ」「ランゲアルネイス」という5つのエリア全てに自己所有畑を持つ唯一のワイナリーです。ワイナリーを立ち上げたときには約20haでしたが、現在は88haあります。
私たちは「簡単に飲めるワイン」を造ることをいつも考えています。「簡単に飲めるワイン」ということは「軽いワイン」と言う意味では決してありません。
サロット社のブドウ畑飲み心地の良さや、一般的に飲み頃になるまで時間がかかるバローロやバルバレスコなどをリリースしてすぐ飲めるような味わいにすること。そういうことを目指しています。

「伝統的な栽培」「近代的な醸造設備」「簡単に飲めるワイン」

私たちのワイン造り哲学は「伝統的な栽培」「近代的な醸造設備」「簡単に飲めるワイン」の3つです。
畑は伝統にのっとった栽培をしていますが、一方、醸造所はとても近代的で、醸造設備はすべてコンピューター管理をしています。エノロゴは私以外に4人。若い人からベテランまで年の差は約5歳ずつ違います。私たちのワインを飲む年代は幅広いので、年の離れたエノロゴがいることは飲み手の嗜好を読むのに役に立っています。
 

簡単に飲めるワインの秘密はアッパッシメントと低温長時間発酵

先ほども言いましたが、「簡単に飲めるワイン(=facile da bere)」と言うと「軽いワイン」とイメージされてしまいますが、そうではありません。長期熟成タイプのバローロやバルバレスコはリリース直後はとても固くて飲めないため、何年も待たなければなりません。私はバローロのキャラクターを守り、長期熟成に必要なしっかりとしたタンニンを存在させながら、リリースしてすぐに飲めるまろやかな味わいを造っています。それを実現するため、長年研究を続けて出した方法がアッパッシメントです。

収穫したブドウを専用の部屋に入れて乾燥(アッパッシメント)させます。ただ乾燥させるだけならば機械を使うことも可能ですが、それだとブドウの価値がなくなります。ゆっくりと最低2ヶ月間をかけて乾燥させて初めて、思うような味わいを造りだすアッパッシメントになります。

もうひとつは長時間かけて発酵させること。白ワインは低温でゆっくりと発酵させることでとても香り高いワインとなり、それが個性になります。ガヴィの場合は5度で3ケ月かけてゆっくりゆっくり発酵させます。

ここから試飲をしました

ガヴィの中でも最も伝統のある畑で造るミネラル豊富で長期熟成可能な白
ガヴィ デル コムーネ ディ ガヴィ ブリック サッシ 2012
ガヴィ デル コムーネ ディ ガヴィ ブリック サッシ 2012


ブリックサッシはガヴィの起源ともいえる畑で、ガヴィの中で最も伝統のある区画の一つです。昔、ここは海だったため、非常にミネラルが豊富な土壌です。低温でゆっくりと時間をかけて発酵させ、香り豊かな、酸がしっかりあり、やわらかな味わいのワインに仕上げました。先日、2003年ヴィンテージを飲みましたが、色は若干濃くなっていた程度で、ハチミツのニュアンスとミネラルが感じられ、熟成が続いていることを感じました。長く寝かせて楽しみたい、とコレクションする人もいます。

私たちはもうひとつ別のガヴィ「アウローラ」を造っていますが、そちらはフルーティーで若々しいタイプで、すぐに飲んで楽しむタイプです。

ガヴィDOCGの規定により、DOCGを名乗るためにはガヴィの指定地域内での醸造が義務付けられています。そこで、2年前にガヴィに醸造所を建設しました。

試飲コメント:果実味とミネラルの旨みのバランスもよく、アルコール度数が13.5あるのにすいすいと飲めてしまう飲み心地の良さが楽しいワイン。

2週間かけた発酵と伝統的な大樽で1年間熟成
バルベーラ ダルバ ブリッコ マッキア 2012
バルベーラ ダルバ ブリッコ マッキア 2012


伝統的な方法で造るバルベーラダルバです。とても凝縮感があり、力強さがあります。2012年はアッパッシメントのブドウは使っていません。
試飲コメント:凝縮された味わい。バニラの甘いニュアンスと果実味が広がり、しっかりとしたタンニンと酸を感じながらも全体的にやわらかさのある味わい。アルコール度数は14.5%あるがバランスが取れていて強いアルコール感は感じない。

陰干しブドウで造る特別なバローロ
バローロ アウダチェ 2007
バローロ アウダチェ 2007


バローロやバルバレスコの素晴らしさを多くの人に知っていただくにはどうしたらいいか、と長年私はずっと考えてきました。そしてたどり着いたのがアッパッシメントです。乾燥させたネッビオーロを一部使うことでやわらかさのある飲み心地の良いバローロを造ることができました。乾燥ブドウを使う比率は年によって変わりますが、2007年は50%です。
試飲コメント:甘さとやわらかさがネッビオーロの強いタンニンを優しく包み込み、とても飲み心地がいい。香りは凝縮した果実やドライフラワーを思わせる、上品でエレガントなアロマ。タンニンは強いけど驚くほどに飲み心地が良い。
インタビューを終えて
「簡単に飲めるワインを造ることが私たちのポリシー」というロベルト氏。飲み心地の良いワインを造るために日々、改善を続けているそうで、現状に満足することは決してないのだそうです。かつて年間6500万本を生産する大手ワイナリーの醸造長を務めていたロベルト氏は文字通り醸造のプロ。5℃と言う低温でも働くように酵母を管理したり、バローロの力強さを保ちながら飲み心地の良さを出すためにアマローネのようなアッパッシメントを取り入れたりと、常識にとらわれない研究熱心な取り組みを続けています。

バローロにアッパッシメント?、と疑問を投げかける人もいるそうですが、ネッビオーロをアッパッシメントする伝統はヴァルテッリーナで昔から行われていること。バローロやバルバレスコの素晴らしさをもっと知ってもらうにはどうしたらいいか、を考え続けてわが道を行くロベルト氏。「現状に満足してはいけない」と前を見続ける姿勢がとても素晴らしいと感じました。

サロット社のビジターとトスカニースタッフの集合写真
ロベルト サロットのワインはこちら⇒
突撃インタビューバックナンバーはこちら⇒