ボルゲリ北部の素晴らしいテロワールを見事に表現!「イ ジュスティ エ ザンツァ」

2017/02/16
突撃インタビュー
 
2017年2月9日 イ ジュスティ エ ザンツァ社 パオロ エドアルド ジュスティ氏

銘醸メドックを彷彿させるボルゲリ北部の素晴らしいテロワールを見事に表現!「イ ジュスティ エ ザンツァ」

イ ジュスティ エ ザンツァ社 パオロ エドアルド ジュスティ氏と
銘醸ボルドーメドック地区と類似する気候を有するボルゲリ北部「ファウリア」でキャンティやブルネッロとは違う新しいトスカーナワインの可能性を追求しているイ ジュスティ エ ザンツァ。1995年にワイナリーをスタートさせ、100点満点エノロゴであるステファノ キオッチョリ氏を招聘し全て手摘み収穫、ビオロジック農法を行う徹底した拘りとポリシーで瞬く間に数多くの一流レストランにオンリストされ、様々なワインジャーナリストから高い評価を得ています。ワイン名にはドニゼッティの歌劇「愛の妙薬」の登場人物に由来、イタリア工業デザインの巨匠によるラべルデザインで「芸術とワインの融合」された魅力の詰まったラインナップで毎年素晴らしいワインを造りだしています。オーナーであるパオロ エドアルド ジュスティ氏にお話を聞きました。

父ブルーノから引き継がれたワイン造りへの情熱

カンティーナ父のブルーノがワインをとても愛した人で自身でもワインを造る程の人物でした。私も幼い頃から収穫の手伝いをしていた事もあり、ワインへの興味が芽生えてきました。

建築の仕事からワイン造りへ
大学はピサ大学工学部で学位を取得し都市建築、特に橋の建築を専門に建築の仕事にあたっていましたが父が自身の畑を手放したことをきっかけに、ワイン造りをスタートさせるべく1990年の初頭から生家に近い場所で畑とセラーを探し、ファビオ ザンツァ氏と二人で1995年にワイナリーをスタートさせることになりました。

ボルドーメドック地区と類似する気候ボルゲリ北部「ファウリア」砂質土壌から産まれる

畑私たちのワイナリーはボルゲリから北に40キロにある「ファウリア」にあります。海沿いの街リヴォルノから10キロ程離れています。畑は標高100メートルでなだらかな丘陵地帯にあり、ボルゲリよりも冷涼で海からの影響を受ける気候となっています。現在35ヘクタール所有していますが、内ブドウ畑は17ヘクタールです。例年年間10万本のワインを生産します。その内赤ワインは90%、白ワインが10%です。この地の特徴と呼べる砂利が混じる砂質が中心の酸性土壌です。ですので、水はけがとても良い畑です。この点はボルドーのメドックと類似する特徴と言えます。ボルゲリは粘土質が強くメルローやカベルネフランに適していますが、「ファウリア」は砂質中心でサンジョヴェーゼやカベルネ ソーヴィニョン、シラーに適した土壌と言えます。乾燥した気候と海から吹く海風のおかげで暑い年でも気温が上がり過ぎずブドウは耐える事が出来ます。
 

密植度の高い畑から高品質なワインが造られる

ワイナリーの3人最高のワインを造るためにワインアドヴォケイト100点を獲得したトゥアリータでもおなじみの栽培醸造両分野のエキスパートであるステファノ キオッチョリ氏を招聘します。キオッチョリ氏の指揮のもと「密植度の高い畑からは高品質なワインが造られる」との信念から、1ヘクタールあたり1万本以上の高密植栽培を行っています。完熟したブドウを全て手摘みで作業します。

有機農法に転換し独自の工夫を凝らしたワイン造り
2008年からは栽培方法を有機農法に転換し、現在は約10年に渡りワイナリーで助けるモニカマッソーニ女史と、2009年から参画し、キオッチョリ氏から引き継がれたエノロゴ、パオロ カレッラ女史、パオロ氏が中心となり3人でワイン造りを行っています。醗酵は自然の状態を保つ為に、あえて温度管理をしないセメントタンクを使用し、18~21日間行います。また醗酵の途中でブドウの種子を取り出す工程を行いワインのエグミを抑える独自の工夫を行っています。

エレガントでバランスの良い「フィネス」を持つワイン
ボルゲリに比べると凝縮感には欠けますが良質の酸が得られ、出来上がるワインには力強くもエレガントでバランスの良い「フィネス」が感じられるのが私たちのワインの特徴です。『ガンベロ ロッソ』をはじめとする伊国内の各ワインガイドで年々評価を上げ続け、また、エノテカ ピンキオーリなどの超一流レストランのワインリストに名を連ねるほどになりました。近年では「ファウリア」の近隣をスピネッタ、フレスコバルディ、フェラーリなどの有名な生産者たちが次々と土地を購入しはじめています

芸術とワインの融合

入口ワイン名のNemorino(ネモリーノ)、Belcore(ベルコーレ)、Dulcamara(デュルカマーラ)はガエターノ ドニゼッティの歌劇「愛の妙薬」に登場する中心人物の名前に由来しています。ネモリーノは登場する主人公の青年の名前で、Belcore(ベルコーレ)は主人公の青年の恋敵である軍曹の名前、デュルカマーラは劇中で「愛の妙薬」を売る薬売りの名前です。ラベルデザインは戦後イタリア工業デザインに対する世界的評価を高めた巨匠で、オリヴェッティ社のデザイナーとしても活躍した故エットーレ・ソットサス氏(1917-2007)によるラベルデザインで芸術のワインの融合がなされています。

イ ジュスティ エ ザンツァを代表するシラー100%「ペルブルーノ」

ペルブルノシラー100%のペルブルーノは父ブルーノに捧げるものとして「PER BRUNO(ブルーノのために)」と名付けられました。設立当時ザンツァ氏と父ブルーノ、私の3人で苦労を重ねながらワインを造ってきました。その後、まだまだ品質も売上も安定しないうちにザンツァ氏がワイナリーから去り、その数年後、父ブルーノ氏が病に倒れて亡くなります。ちょうどその頃2003年に初めてリリースされたのがこのシラー。ワインには「この羽根は落ちないよ!」という父への父へのメッセージが添えられています。フランスのローヌ地方のシラー「コートロティ」がイメージにあります。濃密な果実感とスパイシーさがありながら酸は高めでフィネスを求めたスタイルを目指しています。

年産300本!伝統的スタイルにこだわったサンジョヴェーゼ100%のスーパトスカン
0.5ヘクタール分の特に樹齢の高いサンジョヴェーゼのみを使い伝統的な熟成スタイルで限られた年にのみリリースするのが「ヴィーニャ ヴェッキア」です。10年以上前に飲まれていたような伝統的なサンジョヴェーゼのスタイルを実現したいと思いこのキュヴェを造りました。マグナムボトルのみでの販売にしたのは良い熟成を経てほしい思いを込めています。2009、2010、2011、2012年の4回だけボトリングしました。最高のブドウのみを収穫するので、多くても僅か300本程にしかなりません。ブルネッロではフリーニやポッジョディソットのような伝統的なスタイルが好きです。ソルデーラも好きですが、高くてなかなか飲めません。

デュルカマーラトップキュヴェ「デュルカマーラ」
初めてリリースしたワインが「デュルカマーラ」です。1996が初ヴィンテージで良年のみぼボトリングするワインです。2002、2010、2014年はボトリングしませんでした。2011年は過去ア20年で最良の出来映えで凝縮感とエレガンスを備えたヴィンテージとなりました。カベルネソーヴィニョンが70%、メルロー25%、プティヴェルド5%のブレンドです。熟した丸みのあるタンニンと豊かな風味があり、お肉料理、熟成したチーズにクルミやハチミツ等を添えてと楽しんで欲しいワインです。

洗練された清々しさと爽やかな味わい!料理と幅広く楽しめる2014年

ネモリーノ トスカーナ ビアンコ 2014
ネモリーノ トスカーナ ビアンコ 2014


2014年は気温も低く雨が多い年で収量を例年の50%も落としました。出来上がったワインはボディがありながら綺麗な酸を持つフレッシュですっきりとした味わいとなりました。白い花やアロマティックなハーブの爽やかな香りがあります。全体的にエレガントで繊細ですので、乾杯やオードブル全般、蒸した魚料理との相性が良いです。
試飲コメント:フローラルで清々しいミネラル、爽やかなハーブの香りが感じられます。飲むと、純度が高くクリアーな果実感、綺麗な酸とミネラルが溶け合うチャーミングで快活な印象があります。飲み心地が良さはありますが味わいの要所は外さないバランスの良さと締まったボディが感じられます。料理との相性の幅広く、オードブルやサラダ、魚料理、鶏肉料理などと楽しめるワインです。

長期熟成も可能なバリュートスカーナ!厳選したシラーとメルローの豊かな果実感
ネモリーノ コスタ トスカーノ ロッソ 2014
ネモリーノ コスタ トスカーノ ロッソ 2014


2014年のネモリーノはシラー60%とメルロー40%のブレンドから成り立ちます。例年サンジョヴェーゼをブレンドするのですが、2014年は気温が低く雨が多い年で、例年ブレンドするサンジョヴェーゼは全てベルコーレに廻しました。厳選したブドウで造ったネモリーノ ロッソの生産量は例年の50%にまでに落とし品質を守りました。出来上がったワインは優しいタンニンを持つチャーミングな味わいとなりました。
試飲コメント:厳しいヴィンテージとされる2014ですが、そんな要素は全く感じさせない程、ブラックベリーやスミレ、プルーンなどの溢れんばかりの豊かな果実の香り。フレッシュさとパワフルさが同居した豊かな味わいでスパイシーで程よい凝縮感と上品でこなれたタンニンが溶け合うリッチな美味しさに包まれます。パオロ氏のワイン造りへの高い情熱はこのベーシックライン「ネモリーノ ロッソ」にも確りと息づいています。ヴィンテージのハンデを感じさせない仕上がりで長期熟成のポテンシャルすら漂うバリュートスカーナです。

トスカーナの海岸エリアで造るサンジョヴェーゼの傑作!キャンティ、ブルネッロとはまた違う濃密かつエレガントな魅力
ベルコーレ コスタ トスカーナ 2014
ベルコーレ コスタ トスカーナ 2014


ベルコーレは綺麗な酸がボディを支えているので長期熟成のポテンシャルがあります。雨が多かった2002ヴィンテージのベルコーレを先日試飲しましたが、とても洗練された熟成を経ていました。逆に当時当たり年と騒がれていた2001年よりも印象深い味わいとなっていました。熟成には酸が重要で2014年もとても期待が出来ます。
試飲コメント:濃いルビーの色調で、スミレの花の芳しさにプルーンの豊かな果実香、スパイスのニュアンスが上品に溶け合う濃密な香りです。飲むと充実した果実感と滑らかなタンニン、優美な酸が溶け合う素晴らしい調和が感じられます。厳しかったヴィンテージとは思えないブドウのもつ強さと洗練された滑らかなボディを感じます。土地に根ざしたブドウの生命力やパオロ氏の情熱が感じられる2014年ヴィンテージの傑作ワインの一つではないでしょうか。今飲んでもとても美味しいのですが、複数本熟成させて楽しまれる事も強くおススメします。

年産300本!パオロ氏が極僅かにボトリングするサンジョヴェーゼ100%のスーパトスカン
ヴィーニャ ヴェッキア トスカーナ ロッソ 2012
ヴィーニャ ヴェッキア トスカーナ ロッソ 2012


10年以上前に飲まれていたような伝統的なサンジョヴェーゼのスタイルを実現したいと思いこのキュヴェを造りました。マグナムボトルのみのリリースにしたのは良い熟成を経てほしい思いを込めています。大きさの異なる木樽で12~18ヶ月間熟成、瓶熟12カ月後にリリースします。樹齢の古い畑は5ヘクタールあるのですが、そこから厳選してブドウをセレクションするので実質は0.5ヘクタール程の収量で年産は多くても僅か300本程です。
試飲コメント:ガーネットが混じる鮮やかなルビー色で、スミレの花やブラックベリー、スパイスや枯葉等の熟成したニュアンスが綺麗に溶け合っています。飲むと、美しいタッチで伸びていくしなやかな果実感、酸とミネラルに支えられたボディがあり、サンジョヴェーゼの伝統的なスタイルが確りと味わえる心地良さと中盤から広がる豊かな風味と奥行きのあるスケール感があり、実に堂々たる風格を持ち合わせています。

トスカーナ海岸地区砂質土壌が産み出すジュスティエザンツァを代表する傑作エレガントシラー
ペルブルーノ コスタ トスカーナ ロッソ 2013
ペルブルーノ コスタ トスカーナ ロッソ 2013


2013年は暑い年で熟した果実を目指しながら綺麗な酸を残すタイミングでの収穫を行いました。フランスのローヌ地方のシラー「コートロティ」がイメージにあり、果実感はありながら酸は高めでフィネスを求めたスタイルとしています。
試飲コメント:濃密なアタック、しっかりとした熱を感じる味わいのあとにエレガントな表情を見せてきます。可憐なスミレの花のような印象もありながら力強さとやわらかさを感じさせます。じんわりと広がる旨みと凝縮感に包まれる上品な美味しさを堪能できます。

20年間で最良ヴィンテージ!『ヴェロネッリ』最高賞スーパートレステッレ獲得!力強く濃密でリッチなアロマのスーパートスカン
デュルカマーラ コスタ トスカーナ ロッソ 2011
デュルカマーラ コスタ トスカーナ ロッソ 2011


2011年はここ20年で一番良いヴィンテージとなりました。果実の凝縮感と熟した丸いタンニンが溶け合う豊かなボディがあります。アルコール度数も14.5%ありアマローネと同等レベルにあります。グリーンハーベストを行い、1本のブドウ樹に約500グラムのブドウ(約2房)しか残しません。
試飲コメント:すごい凝縮感と濃密なタンニン。サクランボやジャムやスパイスなどのリッチなアロマが口の中を広がって、なめらかな果汁感と混ざり合う複雑味にあふれる味わい。さまざまな味わいの要素が絡み合った力強さも感じます。もちろん辛口なのですが、甘さを覚えるのはタンニンの質のおかげ。柔らかく、まろやかでベルベットのような舌触りのタンニンを造るにはひとつひとつのブドウの熟し具合をすべて同じレベルにすることが感じだとオーナーのパオロ氏は言います。
インタビューを終えて
試飲の後はパオロ氏と創作和食のお店でイ ジュスティ エ ザンツァのワインを楽しみました。来日後初めての和食だったそうで、出される料理にも興味津々の様子でした。だし巻き卵と「ネモリーノ ビアンコ」白の相性も素晴らしく抜群でした。牡蠣と菜の花の辛子和えを食べて、少し驚かれていた様子。こちらにも白がとても良く合いましたが、ネモリーノロッソも意外と好相性で驚きました。辛み成分がマッチしたのでしょうか。会話も弾み、明日が朝から大阪に向かうとの事。とても物静かな印象のパオロ氏ですが、日本全国を駆け回り自身のワインを紹介したいという情熱がヒシヒシと伝わってきました。ファウリアの地にしっかりと根付いたブドウの溢れんばかりの生命力。厳しいとされるヴィンテージでもしっかりと見事なワインとなっています。高い品質を求めるパオロ氏の拘りが光る素晴らしい味わいでした。
イ ジュスティ エ ザンツァ社 パオロ エドアルド ジュスティ氏と食事会
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