アルト アディジェで1、2を争うハイレベルな共同組合「コルテレンツィオ」

2017/02/27
突撃インタビュー
 
2017年2月21日 コルテレンツィオ社 レティツィア パジーニさん

アルト アディジェで1、2を争うハイレベルな共同組合「コルテレンツィオ」

コルテレンツィオ社 レティツィア パジーニさんと
イタリア最北のアルト アディジェで1、2を争う高いレベルのワイン造りを誇るワイナリーに挙げられるコルテレンツィオ。300もの栽培農家から成る協同組合ですが、毎年のように『ワインアドヴォケイト』や『ジェームズサックリング』で90点以上を叩き出し、群を抜く高い品質で国際的に素晴らしい評価を得る稀有な共同組合です。北にアルプスの霊峰を臨み、南からガルダ湖から吹く暖かい風がぶつかる気候的コントラストから産まれるコルテレンツィオのブドウはスタンダードクラスにおいても見逃す事が出来ない程、高いレベルで豊かな香りとコクが確りと楽しめます。全ての畑で有機栽培を徹底、2010年に最新の醸造設備を導入する等、品質レベルの向上にとどまる所のないコルテレンツィオ。輸出部長のレティツィア パジーニさんにお話を聞きました。

足がすくむような「驚きの丘」という名のコルテレンツィオ

地図北にアルプスを臨み、南にガルダ湖から吹く風がぶつかるミクロクリマが形成
まず地理的なお話ですが、オーストリアと国境に接するイタリアの最北アルトアディジェ州のコルテレンツィオ村に位置しています。コルテレンツィオという名前には「驚きの丘」という意味があり、古来に思わず足がすくむような高い丘だった事からその名が付けられています。地理的には北にアルプスを臨み、南にガルダ湖から吹く風の影響でブドウ栽培に理想的な昼夜の寒暖差と、1年で300日以上も晴天となる日照量が得られます。畑は標高250~600メートルにも及び、それぞれにおいて性質の異なる「ミクロクリマ」(微気候)が形成されています。

オーストリアからの文化を色濃く受けたアルトアディジェ
アルトアディジェは南部のトレンティーノエリアと異なり、歴史的にオーストリアからの文化を色濃く受けています。私たちアルトアディジーニ(アルトアディジェの人)は通常はドイツ語を話しますし、人々の性格も一般的なイタリア人気質と異なり、オーストリアやドイツ人寄りな所があります。仕事においても一つの事に集中する傾向があり、日本の方とも性格も近いのでは?と思います。

畑お互いに助け合う「共同組合」の誕生
アルトアディジェは歴史的に共同組合が多いエリアです。1960年に南北にのびる道路が開通しましたが、道路が開通する以前は村から村への移動も困難で、村単位で小さい農家同士が協力してブドウやリンゴ、チーズといった農作物を造り生計を立てていた歴史が長く、そうしたことから自然にお互いに助け合う精神ともいうべき「共同組合」が生まれたのです。

300以上の栽培農家から成る共同組合

1970年代からより高品質なワイン造りへ
コルテレンツィオは1960年に28の栽培農家で立ち上げました。1970年代、栽培農家の中から選出され、以降35年間もコルテレンツィオのオーナーを務めたルイス ライファー氏がより高品質なワイン造りへと取り組んだことがきっかけとなり、今では300以上もの栽培農家から成る協同組合となりました。

全ての畑で有機栽培を実践
畑の総面積は300ヘクタールで、それぞれの栽培農家が1ヘクタール程の畑を有機栽培で管理、ぶどう樹の植樹から収穫に至るまで自然のリズムと調和して行われます。害虫や病気の対策には可能な限り自然に近い方法と、持続可能な農業技術を用いています。

ソーラーパネル環境保護の為にソーラパネルを導入
栽培農家の数が増えると一般的に品質保持が難しいと言われていますが、品質レベルは年々向上しています。良いブドウを得る為に栽培農家に投資を行い、2010年にはカンティーナを一新し、最新の醸造設備も導入しました。環境保護を基本方針としワイン生産にクリーンエネルギーを利用するため光発電やソーラーパネルを設置しました。今では、電力消費量の約半分近くを自家発電でまかなっています。

現在栽培農家の指導をするエノロゴはルイス氏の息子であるウォルフガング ライファー氏で、すべての組合員が自身の経験から得た知識や情報を共有することでお互いに切磋琢磨し更なる品質向上に努めています。

 

ラベルに描かれたアルトアディジェで最も古いフェルミアーノ城

フェルミアーノ城

アルトアディジェで有名な古城がラベルのモチーフ
コルテレンツィオのラベルに描かれているのは、中世からこの地ある有名なフェルミアーノ城です。アルトアディジェで300以上ある城の中で一番古い城とされていて、コルテレンツィオのシャルドネの畑もこの周辺にあります。

アルトアディジェでは「ラグレイン」では無く「ラグライン」と呼ぶ
所有する畑は標高250~600メートルで、一番標高が高いエリアにはソーヴィニョンが植えられています。ピノ ビアンコ、シャルドネ、ゲヴェルツトラミネール、ピノグリージョ等この地を代表する白ブドウ品種に、赤ブドウ品種はピノ ネロ、ラグライン(一般的にはラグレインと呼ばれますが、アルトアディジェではドイツ語読みでラグラインと発音する方が多い)を中心に多品種が植えられています。

例年8月末~9月初旬に収穫
例年だと、収穫は8月末~9月の初旬にかけて行われ、ピノ グリージョ、ピノ ビアンコ、ゲヴェルツトラミネール、ピノ ネロ、シャルドネ、ソーヴィニョンの順で最後にラグレイン、カベルネソーヴィニョンが収穫されます。2016年は夏に雨が多く、完熟を求めた結果、最後の収穫は9月第3週となりました。

個性豊かな3つのラインナップ

カンティーナ外観コルテレンツィオのワインは3つのラインナップがあり、クラシックシリーズと呼ばれるエントリーライン(キャップシールが緑と赤)、上級レンジで単一畑によるワイン、プラエディウムライン(キャップシールがブラウン)、最高峰レンジの「コルネル」「ラフォア」(キャップシールが黒)があります。

最高峰レンジ「コルネル」フォルミガールシャルドネを1980年に初リリース
非常に高品質のエントリーラインは世界的に人気があります。最高峰レンジの「コルネル」フォルミガールシャルドネは1980年にコルテレンツィオ初のトップキュヴェとしてリリースされました。それ以降に、1989年に「ラフォア カベルネ ソーヴィニョン」、1993年に「ラフォア ソーヴィニョン」がリリースされました。理想的な気候条件を活かし、単一品種それぞれの個性が表現された、豊かな香りとコクのある味わいがコルテレンツィオのワインの特徴と言えます。

みずみずしい果実感とイキイキとした酸とミネラルがしっかりと寄り添うハイレベルなピノビアンコ
ピノ ビアンコ 2014
ピノ ビアンコ 2014


ピノビアンコはこの地で1820年代頃から栽培されたとても古い歴史を持つブドウ品種です。2014年は比較的冷涼な年で酸がしっかりと感じられるスタイル、2015、2016は温暖な年でとても良いヴィンテージとなりました。2015年はここ5、6年で最も良い出来となりました。
試飲コメント:明るい麦わら色の色調です。リンゴや西洋梨の豊かな果実香に清々しいミネラルが溶け合う穏やかな香りです。飲むとみずみずしくピュアで果実感が印象的でイキイキとした酸とミネラルがしっかりと寄り添う、ジューシーで心地よい飲み心地とバランスのとれた味わいがあります。ピノビアンコの品種の特徴が確りと感じられるハイレベルな出来映えです。

アロマティックでスパイシーな魅力の辛口ゲヴェルツ!有機栽培で造るピュアな果実感
ゲヴェルツトラミネール 2015
ゲヴェルツトラミネール 2015


ゲヴェルツトラミネールはアルトアディジェのトラミン村が発祥とされていて、1200年代の書物にも記載されている程です。ですので、実際はそれより前から存在していたとされるまさにこの地を代表する歴史的な土着品種です。収穫は例年8月末から9月上旬にかけて行います。
試飲コメント:ライチやバラ、白桃、引いたナツメグのアロマティックでスパイシーな香りが感じられます。飲むとみずみずしくピュアな果実感が印象的でイキイキとした酸とミネラルが溶け合う溌剌とした辛口です。。フォアグラのソテー、ロブスターやエビのスパイスを効かせたグリル、中華料理全般、スパイスを使ったタイ料理等に個性の強い料理とも合わせる事が出来ます。10~12度程度に冷やして楽しんで頂くとより品種の個性が楽しめます。

単一畑「プイテン」で造る上級レンジ!充実した果実感に酸とミネラルが滑らかに溶け合う魅力的なピノグリージョ
ピノグリージョ プイテン 2014
ピノグリージョ プイテン 2014


プラエディウムラインは最高峰ラフォアシリーズに次ぐミドルレンジシリーズで単一畑による優れたワインを産み出します。エントリーワインである「クラシックライン」と比べると圧倒的に生産量が少なくなります。プイテンとは畑名で、畑は幾つかの栽培農家で分担し品質の維持向上に努めています。
試飲コメント:グリーンの色調に濃い目のイエローが混じる魅力的な印象です。西洋梨やリンゴの果実香にフローラルなニュアンスが重なります。飲むと充実した果実感に酸とミネラルが滑らかに溶け合っています。イタリア料理は勿論、和食やアジアン料理とも相性が良いです。

華やかなアロマの教科書的ソーヴィニョン!標高600メートルの美しいミネラルと酸が重なる魅力的な単一畑「プレイル
ソーヴィニョン プライル 2015
ソーヴィニョン プライル 2015


ソーヴィニョン プレイルは年産2万5千本の生産量で、20%大樽、80%をステンレスタンクを使用します。樽を使うのはワインに複雑性と円やかさを与える為で、樽の強い風味を付ける事はしません。単一畑プレイルはコルテレンツィオの畑の中で最も高い標高600メートルで畑は石灰質土壌です。
試飲コメント:石灰質土壌由来の凛々しいミネラルと品種由来の爽やかなハーブの香りが美しく溶け合っています。実に教科書的なソーヴィニョンの豊かなアロマがあります。飲むと滑らかな果実感、繊細なハーブ、コルテレンツィオの傑出した酸とミネラルの美しい飲み心地が重なります。アスパラスのフリット、帆立のグリル、野菜料理、魚のグリル等と非常に良い相性を魅せてくれます。

コルテレンツィオの最高峰!澄んだ透明感とバリックの厚みが美しい層を成す優雅で品格に満ちた極上シャルドネ
シャルドネ フォルミガール 2014
シャルドネ フォルミガール 2014


フォルミガールはコルテレンツィオのラベルにもあるフェルミアーノ城で中世に活躍したオーナーの名前から付けられています。新旧のタイプの違う樽を使い、シャルドネの洗練されたまろやかさを引き出しています。1980年に初リリースしたフォルミガールは当時アルトアディジェでバリック熟成によるワインの歴史を切り開いたワインとも言えます。
試飲コメント:決して重々しくはなく、とても優雅で品格のある香りです。心地よい果実の厚みとコルテレンツィオの魅力である透明感のある深みが絶妙な調和を魅せています。最初は冷やしてから少しずつ温度を上げていくとこのワインの実力をより楽しむ事が出来ます。新鮮なカニや海老のグラタン、クリームソースのポルチーニパスタ、仔牛や鶏肉のクリーム煮と素晴らしい相性を魅せます。

アルトアディジェ3大土着品種のラグレイン!スパイシーなニュアンスが混じり合う華やかな果実のブーケ
ラグレイン 2015
ラグレイン 2015


近年ラグレインの力強い味わいが見直されてきています。しかしながら、生産量はアルトアディジェ全体の10%にしかならないブドウ品種です。この地の料理スペック(塩と香辛料に漬けこんだ豚のモモ肉)やサラミやハムととても相性が良いワインです。
試飲コメント:スミレやブルーベリー、ブラックベリーの森の果実にスパイシーなニュアンスが混じり合う華やかなブーケが特徴的です。飲むと確りとしたタンニンとイキイキとした酸味があり、軽やかながらも味の要所を外さないメリハリの効いた味わいがあります。イタリア料理は勿論、スパイシーな鶏肉料理、中華料理などにもとても良い相性があります。

コルテレンツィオによるハイレベルなエントリーライン!軽快な飲み口と滑らかな味わいが魅力のピノ ネロ
ピノ ネロ 2015
ピノ ネロ 2015


ピノネロはこの地に1900年代初頭に栽培が始まったとされています。アルトアディジェの気候にフィットしているブドウ品種で、お肉料理は勿論、野菜を使ったリゾットやパスタ等にも良く合います。
試飲コメント:明るいルビーレッドの色調です。チェリーや赤スグリの小さな赤い果実を連想させるフレッシュでイキイキとした果実香に豊かなミネラルが綺麗に重なります。飲むとスムーズで滑らかなタンニンと小気味よい溌剌とした酸味があり、軽快で伸びやかな味わい。果実の純度や酸とミネラルの調和が見事でバランスに優れています。

ガーネットの鮮やかな色調と魅惑的なブーケ!コルテレンツィオの魅惑的なピノネロリゼルヴァ
ピノ ネロ リゼルヴァ サンダニエール 2013
ピノ ネロ リゼルヴァ サンダニエール 2013


サンダニエールは単一畑名でお気に入りの一本です。過去2002ヴィンテージが国際コンクールで優勝しています。年間25000本の生産量で人気が高く、各国割り当て制となっています。
試飲コメント:、レッドチェリーや西洋スモモ、赤スグリにスパイス、シナモンのブーケが重なる魅惑的なブーケがあります。飲むとスムーズで滑らかなタンニンとしなやかで官能的な味わいが感じられます。決して強い酒質ではありませんが、心地よく深みのある味わいが魅力的です。ブルゴーニュとは違う山岳のアルトアディジェのピノネロの特徴がとても良く表現されています。ジビエや鴨料理と合わせてみたいワインです。
インタビューを終えて
コルテレンツィオで仕事が7年目を迎えたレティツィア パジーニさんは以前トスカーナのワイナリー「カステロ デル テリッチョ」にも務めていたそうです。お父さんがアルトアディジェの出身でドイツ語が堪能のパジーニさん。ワイナリーの事以外にもアルトアディジェに暮らす人の気質、アルドアディジェに高品質な共同組合が多いその歴史についても細やかに話して下さいました。イタリアの中でも秀逸な白ワインが産まれるエリア、アルトアディジェで1、2を争う実力派コルテレンツィオのワインは古き良き共同組合の伝統と最新技術が融合した「ブドウの品種の良さが確りと楽しめる非常に質の高い味わい」がどのワインからも感じられました。大自然が育んだピュアで実直なブドウの味わいが魅力的です。イタリア料理は勿論、和食とも相性の良いワインだと思います。
コルテレンツィオ社 レティツィア パジーニさんとトスカニースタッフ
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