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2017年10月2日 テヌーテ チーザ アジナーリ デイ マルケージ ディ グレージ社 アレサンドロ ディ グレージ氏
クリュ バルバレスコ唯一の単独所有畑「マルティネンガ」を所有!
アンジェロガヤとも親交を持つ伝統派「マルケージ ディ グレージ」
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テヌーテ チーザ アジナーリ デイ マルケージ ディ グレージは優美さと滑らかさが傑出したクリュバルバレスコ「マルティネンガ」を単独所有し、バルバレスコでは3本の指に入る名醸造家としてバルバレスコエリアをリードする実力派として知られています。『ワインアドヴォケイト』は「バルバレスコ マルティネンガ 2008年は時間と共にグラスの中で素晴らしく向上する。ダークチェリー、甘草、スパイス、レザーの甘美な風味がグラスから立ち上る。2009年物より新鮮味と活気があったとしても、驚くことではないだろう。2008年はゴージャスでこのカンティーナの最良のスタイルを表現している。2015~2028年頃までが飲み頃」と、特に熟成し飲み頃の入ったときのマルティネンガの滑らかさと優美さは世界中のワイン誌も絶賛するほど。師と仰ぐアンジェロ ガヤ氏と意見交換し産み出された極上白ソーヴィニョンや、樽醗酵&樽熟成の濃密エレガンスシャルドネと、白ワインファンも見逃せないピエモンテを代表するワイナリーです。テヌーテ チーザ アジナーリ デイ マルケージ ディ グレージ社のエクスポートマネージャーで2代目のアレサンドロ ディ グレージ氏にお話を聞きました。 |
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クリュ バルバレスコ唯一の単独所有畑「マルティネンガ」を所有
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バルバレスコ3本の指に入る名醸造家「マルケージ ディ グレージ」
マルケージ ディ グレージはトリノ12世紀から続く一族で、スイスの不戦条約にサインしたベネディットディ グレージを先祖に持つ歴史があります。
1970年代以降、ブドウの栽培から自ら醸造、ボトリングを行います。テロワールの個性を最大限に引き出す事に重点を置き、バルバレスコでは3本の指に入る名醸造家と言われ、近年さまざまなワイン評論誌で高く評価されています。
クリュバルバレスコ唯一のモノポール「マルティネンガ」を所有
日本への輸出は1980年代から始まりました。2年振りにまた日本市場に戻ってこれて、嬉しく思います。私は2012年からワイナリーの仕事をスタートしました。大学で経済学を学びました。今年の1月からエキスポートマネージャーとなりました。私たちの畑はピエモンテの中心地ランゲとモンフェラートの間にあるバルバレスコ村の「マルティネンガ」、トレイゾ村「モンテ アリバルト」、アレッサンドリア県「ラ セッラ」、「カッシーネ村モンテ コロンボ」の4か所にまたがります。「マルティネンガ」はクリュバルバレスコ唯一のモノポール(我が生産者の単独所有畑)でありこの地域での頂点とまでは言わないにせよ、最上の畑の一つであると見なされています。 |
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1973年から自ら醸造、ボトリングを開始する
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1973年から自ら醸造、ボトリングを開始する
グレージ家は1650年代頃からピエモンテに土地を所有してきました。ブドウ畑も所有していましたが、栽培のみでワイン造りは行っていませんでした。1970年頃まではプロデュットーリ デル バルバレスコ等にブドウを売っていました。ですので1960年代のボトルにはプロデュットーリ デル バルバレスコ名義のクリュ マルティネンガが存在しています。1973年、当時ミラノのボッコーニ大学で勉強していた父のアルベルトディグレージはマルティネンガのテロワールの可能性に気づき、遂に自ら醸造、ボトリングをするようになりました。
ソーヴィニョンやシャルドネ、メルローといった国際品種にもチャレンジ
所有する畑はトータル40ヘクタール程で、年間生産本数は20万本弱と言ったところでしょうか。そのうちマルティネンガは約2万本、上級キュヴェ「カンポグロス」は6000~9000本の生産本数となっています。父は情熱を持ったワインメーカーで常々「情熱が経営を動かす」というのが口癖でした。ソーヴィニョンやシャルドネ、メルローといった国際品種にもチャレンジしてきました。ランゲ地区にはバルベーラ、ドルチェット、ソーヴィニョン、シャルドネを植えていて、モンフェラート地区ではバルベーラダスティ、モスカートダスティを少量生産しています。
「仕事の90%は畑の中にあり、残りの10%がカンティーナ」
私達の哲学は「畑にモノを語らせる」という事です。畑の持つすべて表現する為に人間はその手伝いをしているという考えです。私達の仕事の90%は畑の中にあり、残りの10%がカンティーナでの仕事と言っても良い位、マルケージ ディ グレージでは畑仕事を最重要視しています。2016年からはバルバレスコエリア全体で除草剤を使用しない取り組みを行っています。 |
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2017年は例年にない特徴的な気候
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2017年は例年にない特徴的な気候
今年2017年は例年にない特徴的な気候でした。花は3月に開花し、4月下旬にはマイナス3~4度になる日が5日程続きました。私たちの畑は傾斜地にあり、霜害を受けずに済みましたが、平地の畑では被害は大きかったようです。
5月4日には雹が降りました。ピエモンテでは雹害保険に加入するワイナリーがありますが、雹害保険の適応の大半が5/7からで、ワイナリーにとってはまさに「想定外」の出来事が続きました。6~8月はうって変わって暑く、雨も殆ど降らず、ブドウは早く熟しました。
ピエモンテでスプマンテを造る生産者は8月初めには収穫を始めていたようです。私達マルケージ ディ グレージも8月末に収を始め、9月24日には収穫を終えました。通常のネッビオーロの収穫が11月初めという事を考えると、今年は非常に収穫が早かったです。注意深く収穫のタイミングを計っていたのでクオリティは十分でしたが、例年に比べ生産量は少ないヴィンテージとなりました。 |
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師と仰ぐアンジェロ ガヤ氏と産みだされた「ソーヴィニョン」
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師と仰ぐアンジェロ ガヤ氏と話し合って産みだされた「ソーヴィニョン」
父はピエモンテの土着品種である白ブドウのアルネイスには興味がありませんでした。というよりは当初白ブドウ栽培をしたくなかったのです。しかし父が師と仰ぐアンジェロガヤ氏がシャルドネでワインを造っている様子を見て、1987ヴィンテージのシャルドネを初めてボトリングしました。ちなみにこの年は私の誕生年でもあるのですよ。
父はアンジェロガヤ氏に電話し「次に造る白はソーヴィニョンにしようかと思っているが、いいと思う?」と尋ねたことがありました。相談した結果、次の日にガヤ氏が「私はバリックでソーヴィニョンを造る事にしたから、君はステンレス熟成でソーヴィニョンを造るいいよ」と話し合って決めたそうです。
長期熟成も可能な円やかで風味豊かなソーヴィニョン
ピエモンテでソーヴィニョン?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、非常に成功を収めています。ミネラル感に厚みも確りとあり、ソーヴィニョン特有の香りに円やかさが加わります。長期熟成も可能で先日1998ヴィンテージを試飲しましたが、キャラメルのような風味が広がり、非常に良い状態でした。畑は単独所有のクリュバルバレスコ「マルティネンガ」の下部に位置していて、標高250メートル、ステンレスタンク熟成で澱を残したまま6ヶ月間熟成し、フィルタリング後ボトリングします。非常に食欲が湧き、「何かを食べたくなるような」白ワインとなっています。
「ボリューム感はあるけれどもエレガンスを備えたシャルドネ」
樽発酵、樽熟成されたランゲ グレージ シャルドネは、「ボリューム感はあるけれどもエレガンスを備えたシャルドネ、目指すスタイルはフランスのブルゴーニュです。シャルドネは4つの異なる樽を使い醗酵、熟成を行います。樽メーカーに依頼するのは「樽のロースト具合を出来るだけ軽くする事」です。樽のニュアンスが主張し過ぎない、あくまでもランゲのテロワールを表現したワインである事、ボリューム感がありながらエレガンスに満ちたワイン造りを目指しています。畑はクリュバルバレスコマルティネンガの下部に位置しています。醗酵にはステンレスタンクとバリックを使い、18~22ヶ月熟成後リリースします。樽は新樽と1年使用の旧樽を半分ずつ使います。貝類やシーフードの魚介類、フォアグラやリッチなソースを使った料理とのマリアージュもとても良いです。 |
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クリュバルバレスコ唯一のモノポール「マルティネンガ」
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「アジリ」、「ラバヤ」の直下に位置するクリュ マルティネンガ
マルティネンガは、古代ローマ人には既に「ヴィッラ マルティネス」として知られていました。昔からマルティネンガには女神の信仰があり、彼らはこの地を神聖な場所としていました。マルケージ ディ グレージ家は1797年に他の貴族が所有していたマルティネンガの一部を譲り受け、元々持っていたマルティネンガも合わせてその全てを所有することになりました。マルティネンガは、バルバレスコD.O.C.Gの中心部に位置しており、著名なクリュ「アジリ」、「ラバヤ」の直下に位置します。
クリュバルバレスコ唯一のモノポール「マルティネンガ」
現在マルティネンガは、クリュバルバレスコ唯一のモノポール(我が生産者の単独所有畑)でありこの地域での頂点とまでは言わないにせよ、最上の畑の一つであると見なされています。ここのネッビオーロは、特別な強さはありませんが、優雅さと上品さでは飛び抜けているためにこのマルティネンガ バルバレスコは、非常に個性的かつ素直さがあります。
良年のみ造られる「カンプ グロス マルティネンガ バルバレスコ」
また良年のみ造られる「カンプ グロス マルティネンガ バルバレスコ」は、1978年以降最高のヴィンテージにのみ生産されています。土壌や日照および微気候の全てにおいて、最も優れた年の厳選されたブドウから造られており、力強いバルバレスコの全ての特徴と最高レベルの調和を備えています。甘やかでエキス分をしっかりと感じる芳醇な調和の取れた香りにうっとりさせられます。粗さやブレもなく、優雅で深い味わいが口中を支配します。出色の出来映えのバルバレスコです。 なお「カンプ グロス マルティネンガ バルバレスコ」2010ヴィンテージからは、リゼルヴァ表記が加わります。 |
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アンジェロガヤ氏と相談して造り上げたソーヴィニョンブラン |
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ソーヴィニヨン ランゲ 2016 |
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父がマエストロと仰ぐアンジェロガヤ氏に父が電話し「次に造る白はソーヴィニョンにしようかと思っているが、いいと思う?」と尋ねたことがありました。相談した結果、次の日にガヤ氏が「私はバリックでソーヴィニョンを造る事ににしたから、君はステンレス熟成でソーヴィニョンを造るいいよ」と話し合って決めたそうです。 |
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試飲コメント:ハーブやライム、石灰、トマトの葉を思わせるソーヴィニョンらしい清々しいタッチのアロマがあります。円やかな旨みを持ちんがらもミネラルに富んだキレのある辛口です。長期熟成も可能な酸の豊かさもあります。 |
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芳醇な口当たりと長い余韻!バルバレスコ名醸造家
「マルケージ ディ グレージ」が造るバリック熟成シャルドネ |
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グレージ シャルドネ ランゲ 2014 |
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シャルドネは4つの異なる樽を使い醗酵、熟成を行います。樽メーカーに依頼するのは「樽のロースト具合を出来るだけ軽くする事」です。樽のニュアンスが主張し過ぎない、あくまでもランゲのテロワールを表現したワインである事、ボリューム感がありながらエレガンスに満ちたワイン造りを目指しています。 |
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試飲コメント:バニラやシナモン、ヘーゼルナッツの香りにパイナップル。柔らかく芳醇な口当たりに独特のミネラル感。余韻も長い。バリックを使い品良く仕上げたボリューム感や、スケール感のある白です。貝類やシーフードの魚介類、フォアグラやリッチなソースを使った料理とのマリアージュもとても良いです |
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伝統的醸造によるエレガンスに満ちたバルベーラ |
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バルベーラ ダスティ 2014 |
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父の大の友人であるブライダのジャコモ ボローニャははバルベーラをバリック熟成させていますが、マルケージ ディ グレージでは伝統的大樽熟成によるバルベーラダスティを造っています。フレッシュさがあり溌剌とした味わいでサラミやチーズと気軽に合わせられるワインです。 |
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試飲コメント:スマートでエレガントな酸が基調にあり、温度が上がってもバランスが崩れず、エレガントなスタイルが魅力的です。7~8ヶ月の大樽熟成による伝統的な造りでスムーズさと心地よい飲み口があり、軽めのお肉料理、シンプルにパンとサラミ等でも楽しめます。 |
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ピュアなネッビオーロの特徴が良く出た優雅なスタイル |
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マルティネンガ ランゲ ネッビオーロ 2016 |
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ランゲネッビオーロはバルバレスコマルティネンガの下部の畑で栽培しているブドウから造られます。ステンレスタンクで熟成で新鮮で非常に気持ちの良いピュアな味わいがあります。マルティネンガのブドウをありのままに表現した名刺代わりのネッビオーロです。 |
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試飲コメント:赤い果実にミネラルとハーブのニュアンスがあり涼し気なタッチの魅力的な香り。飲むとネッビオーロらしい典型的なタンニンと骨格がありながらもバランスがとれていて、心地よい飲み口。やや低めの温度から楽しみたい。 |
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「ラバヤ」の直下に位置する単独所有クリュバルバレスコ「マルティネンガ」 |
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マルティネンガ バルバレスコ 2008 |
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単独所有しているクリュバルバレスコがマルティネンガです。1973年に自社でボトリングする以前はプロデュットーリ デル バルバレスコにクリュマルティネンガのブドウを卸していました。ラバヤの直下に位置する畑で、生産の意味合いにおいても間違いなく最も重要なワインです。 |
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試飲コメント:スミレや森の木の実やブラックチェリー、プラムや麦わらの調和のとれた落ち着いた深い香り。味わいは心地よく、豊かな構造ながらも調和がとれ、精妙で実に長い余韻があります。エレガントなバルバレスコの代表格です。 |
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最良年のみ生産!高貴な品格を備えたクリュバルバレスコ
「マルティネンガ」 |
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カンプ グロス マルティネンガ バルバレスコ 2007 |
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1978年以降最高のヴィンテージにのみボトリングしています。マルティネンガの最も優れた区画「カンポグロス」の厳選されたブドウから造っています。熟成期間は変わりませんが、2010ヴィンテージからリゼルヴァ表記が加わります。 |
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試飲コメント:甘やかでエキス分をしっかりと感じる芳醇な調和の取れた香りにうっとりさせられます。粗さやブレもなく、優雅で深い味わいが口中を支配します。出色の出来映えのバルバレスコです。 |
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優良クリュアジリに隣接!バリック熟成の緻密さとエレガンス「ガイウン」 |
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ガイウン マルティネンガ バルバレスコ 2011 |
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1982年に誕生したワインです。最高とされるヴィンテージのみ生産します。マルティネンガ内の一部のブドウを使います。フランス産のオークバリック100%熟成していますが、マルケージ ディ グレージが目指すエレガンスと上品さが感じられます。 |
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試飲コメント:バリック熟成ですが、重々しさは無く、緻密で目の詰まった深い味わいがあります。中盤からふくよかで豊かな風味が広がり、バリックの心地よさが余韻に残ります。 |
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■インタビューを終えて |
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緻密で隙が無く、それでいて非常に滑らかな舌触りと口中の残る豊かな風味と長い余韻。伝統的な旨さと優美さが際立った「マルティネンガ バルバレスコ」2008年の今まさに飲み頃。その魅力を堪能しました。
マルケージ ディ グレージ社は伝統的なワイン造りの中にも革新的なチャレンジも積極的に行っています。アンジェロガヤを「師」と仰ぎ、産み出された革新的白ソーヴィニョンは清々しいタッチのアロマ、円やかな旨みを持ちながらもミネラルに富んだキレのある辛口で見事な完成度。
ボルドーメドック格付けの2級の大物「ピションラランド」とは仲が良く、ピションラランドからは「私がカベルネソーヴィニョンで、君がネッビオーロだと(ワインの)比較しようがないじゃないか。私のカベルネでワインを造ってみないか」打診され、1990年バルベーラの畑にカベルネを植えて極少量造るDOCランゲロッソ「ヴィルトス」も成功を収めています。
アンジェロガヤのみならず、フランスの格付けシャトー、ピションラランドも認めるマルケージ ディ グレージ社。ピエモンテのテロワールを尊重したワイン造りで独自の素晴らしい個性を放っています。伝統と革新が息づく「バルバレスコ3指」に挙げられる実力派ワイナリーのスケールの大きさを再認識したセミナーでした。 |
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