2017年10月19日
ブルネッロ孤高の造り手ジャンフランコ ソルデラの100%サンジョヴェーゼ トスカーナIGT垂直試飲 |
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ブルネッロ ディ モンタルチーノの偉大かつ唯一無二の造り手としてその名を知られるジャンフランコ ソルデラ氏。2012年12月、カンティーナで熟成中の2007~2012年の6年間分の熟成中ワインの大部分を侵入者によって失ってしまうという悲劇が彼を襲います。残った僅かの樽から少しの本数だけですがリリースされている2007から2012の5ヴィンテージ(2010年は除く)の垂直試飲会に参加しました。 | ||||||||||
2012年12月の事件では2007年ヴィンテージ以降の大部分のワインが失われた |
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2012年12月、ブルネッロの最高峰であり、イタリアワインの宝とも言われるカーゼバッセのカンティーナでとんでもない事件が起こりました。なんと熟成中のワインの樽の栓が抜かれ、文字通り流出してしまったのです。これにより、2007年以降のヴィンテージのワインの大部分が失われてしまいました。特に被害が大きかったのが近年の史上最高のヴィンテージとして知られる2010年でした。
被害を免れた僅かの樽からごく僅かの本数がリリースされてはいますが、これまで以上に入手困難なワインとなっています。2010年ヴィンテージに関してはまだどのような形で瓶詰めするかは決まっていません。 |
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「100%サンジョヴェーゼ」に込められた信念。そして「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」協会からの脱退 |
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カーゼバッセのトスカーナIGTには「100%SANGIOVESE」という文字が書かれています。そしてカーゼバッセのホームページを開くとまず目に飛び込んでくるのも「100%SANGIOVESE」の文字です。
2013年3月、ジャンフランコソルデラ氏はブルネッロ ディ モンタルチーノ協会を脱退し、今後は「ブルネッロ ディ モンタルチーノDOCG」ではなく、「トスカーナIGT」としてリリースすることを発表しました。この決意の裏側には「ブルネッロスキャンダル(一部メルローをブレンドしたワインがブルネッロとしてリリースされていたことが発覚した事件)」に対して、協会の中からサンジョヴェーゼ100%に固執することはないのではないか、という意見が出されたことに失望したこと、そして2012年にカーゼバッセを襲った悲劇に対して、協会から他の生産者のワインを譲るからそれをカーゼバッセのワインと ブルネッロ ディ モンタルチーノではなく「100%サンジョヴェーゼ トスカーナIGT」を名乗ることを選んだジャンフランコ氏のポリシーは一貫しています。自分自身が造りたい、偉大なワインを造ること。それは「唯一無二のもの」「希少なもの」「長期熟成力を持つもの」に他なりません。「これからも、カーゼバッセが所有するサンジョヴェーゼの樹から収穫されたブドウのみを用いてワインを造り続けていく。」という確固たる意志は変わりません。 |
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カーゼバッセ=低い場所にある家。標高320メートルの理想的な環境の土地に一目ぼれして購入。畑とセラーを貫くエコシステムの哲学によるワイン造り |
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カーゼバッセとは低い場所にある家、という意味。カーゼバッセはモンタルチーノの町の南西、サンタレスティトゥータにあります。モンタルチーノの町は標高の高い場所にありますが、そこから200メートルほど低い、標高320メートルの場所。ジャンフランコソルデラ氏いわく、この標高が理想的だそうです。
ヴェネト州トレヴィゾ出身、ミラノで仕事を続けたジャンフランコはワイン造りへの情熱から自分のワインのための土地を探し回り、1972年にカーゼバッセ農園を購入しました。ヴェネトやピエモンテ、そしてトスカーナのあらゆる土地を見て最終的にカーゼバッセの土地にめぐり合い、一目ぼれ。見放されていたような荒れた農園を少しずつ整備してつくりあげていきました。 現在、カーゼバッセの畑は庭園の中にあるかのよう。ジャンフランコ氏の妻グラツィエッラさんが手入れする1500種類以上ものバラやアイリス、ユリの花々が美しく植えられています。そこには池があり、多くの生物が住み、周りを森林が取り囲んでいます。生き物たちの豊かな生命のサイクルのなかにカーゼバッセのワインが存在しています。 |
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自分のワインは自分のセラーの中で大樽から試飲するのが最も美味しい |
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カーゼバッセを訪問すると、試飲はボトルからではなく、大樽からでしか試飲をさせてくれないそうです。2002年に新しく現在のセラーを完成させたのですが、非常に静かなセラーで、そこでおとなしく、黙って試飲する。このコンディションで飲むことがカーゼバッセのワインを最も美味しく飲む方法だと考えています。
ジャンフランコはほとんど白ワインを飲まないそうですが、唯一好きなのがグラヴナー。プロセッコもカーサ コステ ピアーネは飲んでいるそうです。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
2007年から2012年までの5ヴィンテージを垂直試飲するという素晴らしい機会でした。ヴィンテージごとにそれぞれの特徴があり、様々な表情を見せてくれました。私が一番印象に残ったのは2008ヴィンテージ。他のヴィンテージとのキャラクターの差が最も大きかったからです。それでも、5ヴィンテージに共通して感じたのはカーゼバッセの緻密さと豊かさでした。
2018年には事件後の初ヴィンテージとなる2013ヴィンテージがリリースされることになっているそうです。新生カーゼバッセとでもいうべきヴィンテージはどんなものになっているのか。本当に楽しみです。 |
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ブルネッロ孤高の造り手ジャンフランコ ソルデラ「100%サンジョヴェーゼ トスカーナIGT」垂直試飲
2017/11/10