2017年11月15日 ベッレンダ社 ウンベルト コスモ氏
独自のスタイルによるプロセッコで世界中の愛好家から支持を受ける「ベッレンダ」突撃インタビュー |
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ベッレンダはプロセッコDOCGのエリア「コネリアーノ」に構えるプロセッコの造り手です。プロセッコだけでなくシャルドネやピノネロ、ラボーゾなどからもスパークリングワインを造っているのを始め、カベルネ、メルローからボルドースタイルの赤ワインを造るなど、ヴェネト各地のテロワールを生かした様々なワインを造る意欲的な生産者です。プロセッコ生産者の中でも独自の道を進むベッレンダ社の社長ウンベルト氏にワイナリーの歴史と現在の取り組みについてお聞きしました。 | ||||||||||
ベッレンダは30年前に設立した比較的若いワイナリー |
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ベッレンダは比較的若いワイナリーで、約30年ほどの歴史があります。家族は酪農を営んでいたのですが、両親とは違う仕事がしたいと、弟のルイジと一緒にワイン造りの道に入りました。ルイジは醸造学を勉強していたのでそのままエノロゴとして、私は販売の方を担当する、という役割分担をしました。
ただ、事業としてのワイン造りはしていませんでしたが、畑は所有してブドウ栽培を行い、売っていました。自家消費用のワインも作っていました。畑の場所はおもに現在のカンティーナがある場所で、それ以外にも少し所有していました。 ルイジがエノロゴ、ドメニコがロジスティック、そして私が営業および販売をする、ということで3兄弟の役割がはっきりと分かれているのでそれもうまく行った理由だと思います。3人ともやりたいことが違うのでよかったです(笑)。 |
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みんながやっていることはやらない。独自の道を歩む |
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ルイジは若い頃、1970年代ですが、カリフォルニアへワインの勉強にも行きました。これは「他の人がやることはせず、自由に自分の道を進むように」という父の教えからです。その当時はイタリア国内で修行する人が多かったのですが、彼はアメリカでワインを造ってみたかったのです。
ワイン造りを始めた頃も、私たち独自のスタイルを大切にしました。プロセッコを主流の甘さを感じるタイプではなく、しっかりとした辛口で造りました。また、ボトルの形状も独特の形を選びました。 |
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ワインガイドにサンプルを送るのを今年からやめた。ガイドの評価に頼らず、自分たちでワインを紹介し、飲んだ人がそれを広めてくれる |
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今年、またひとつ他社と違うことを始めたました。ベッレンダ社のワインをワインガイドで評価してもらうことを止めたことです。色々な造り手がいて、色々な造り方をするワインがあります。つまり、カテゴリーが違うワインたちをブラインドで一緒に試飲して評価することに意味がないのではないか、と考えるようになったからです。評価ではなく、「誰がワインを造っているのか」をしっかりと紹介することが大切なのではないかと思います。
ワインは、そのワインを飲んでくれた人がまた伝えていってくれる、そういうものだと思います。もちろん、最初に個々人にワインをプレゼンテーションしなければならなくなるなどデメリットもありますが、私たちの考えに賛同してくれる人もいます。ワインガイドの評価者の好みに迎合することなく、流行に流されることなく、伝統的なやり方をリスペクトするとともに、自分たちが信じた、造りたいものを造ることを大切にしたいのです。 実は、ワイナリーを始めた頃、ガンベロロッソから私たちのプロセッコ(サンフェルモ)に対して「もう少しやわらかい味わい(エクストラドライなど)にしたら点数が上がるよ」と言われ、その言葉に従って少し甘いタイプにして造ったことがありました。するとすぐに顧客から「味が違う、何をしたんだ?美味しくない」というクレームが次々に来てしまいました。それですぐに、兄弟たちと相談して元の辛口のスタイルに戻したのです。 |
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プロセッコは想像以上のポテンシャルがあるワイン |
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私たちがプロセッコを造り始めた頃は、現在のように重要視されるようなワインではありませんでした。そのため、イタリア国外のマーケットに力を入れました。その流れでもありますが、現在、生産量の90%は輸出しています。1986年にはイタリアで大手ワイナリーのスキャンダルがありました。その影響もあって、大手は苦難の時代が続いたのですが、その一方で、私たちのように小さい造り手は成長できるチャンスとなりました。
プロセッコと言うと早飲みの若いうちに飲む軽やかなスパークリングワイン、というイメージがあります。でも、プロセッコには素晴らしいポテンシャルがあります。個性的な味わいにすることもできますし、長期熟成に相応しいタイプとすることも可能です。非常に価値のあるブドウだと思います。イメージにとらわれず、新しいものにも挑戦しなければならないと思います。もっとも、そういう自由な考え方でやって、いつも成功するとは限りませんが。 |
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ヴェネト各地のブドウを使って個性の異なる3つのメタリックボトルスパークリングを開発 |
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ベッレンダは自社畑が35ヘクタールで、全てDOCGエリアにあります。さらに、契約農家の畑が70~80ヘクタールあって、これも大部分はDOCGです。契約農家ですが、私たちが栽培指導をしています。
ベッレンダのほとんどのワインは自社畑のブドウですが、本日試飲していただくこのメタリックボトルの3本は、ロザリカは大部分が自社畑、アズリカとキラリカは契約農家のブドウを使っています。 この地図は1870年代当時の地図で、祖父の家で見つけたものです。イタリアで最初に作成されたブドウ品種地図になります。真ん中に流れているのがピアーヴェ川で下流方向を向いて左手側を「sinistra Piave」、右手側を「destra Piave」と呼びます。sinistra Piaveにある丘陵地は昼夜の寒暖差が大きいため酸がしっかりとある、スパークリングに向く白ブドウが多く造られ、destra Piaveは比較的穏やかな気候の平地が赤ワイン用の黒ブドウ、丘陵地は赤と白の両方が栽培されていました。一方、トレヴィーゾの西側のエリアは昔、川があったところなので水はけが悪く、ブドウ栽培には向きません。だからこの古地図にもブドウ栽培の印がついていないのです。 それから、ここで表示されているのはフィロキセラ以前のものなので、現在栽培されている品種とは異なります。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
ウンベルトさんとは2013年4月にワイナリーを訪問させていただいて以来の再会となりました。相変わらずおだやかで優しいウンベルトさんに改めてベッレンダの歴史などをお聞きしたのですが、「他の人とは違う、独自の道を進む」という強い信念をお持ちなんだということを改めて知ることができました。
ワインガイドへ評価用のサンプルを送ることをやめたというのも勇気のいることだと思うのですが、それは自分たちのワインに対するゆるぎない自信と、ベッレンダのワインを愛してくれる世界中の顧客との強い信頼関係があるからだと思います。 やわらかい味わいのエクストラドライが多いプロセッコの中でベッレンダの辛口プロセッコは他とは一線を画します。キリッとした、そして華やかさもあるベッレンダのプロセッコ。乾杯から食事まで幅広く楽しめる万能スパークリングです。 |
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独自のスタイルによるプロセッコで世界中の愛好家から支持を受ける「ベッレンダ」突撃インタビュー
2017/12/25