2018年2月22日 コンティ カッポーニ ヴィッラ カルチナイア社 セバスティアーノ カッポーニ伯爵
古き良き時代の有機栽培を現代に再現!37代続く伯爵家が造るエレガントキャンティクラシコ「ヴィッラ カルチナイア」 |
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グレーヴェ イン キアンティ地区で1524年にブドウ畑を購入したコンティ カッポーニ ヴィッラ カルチナイア社。1992年から取り仕切るようになった37代目当主セバスティアーノ カッポーニ伯爵は伝統的有機栽培と最新の醸造技術を取り入れ、古き良き時代を偲ばせる伝統的なキャンティクラシコの味わいを見事に表現しています。伯爵自身もキャンティクラシコ協会の副会長職に就き、自らのカンティーナのみならず、キャンティクラシコ全体の向上を目指しエリアをリードする等、長い歴史と認められた実力を持った生産者です。親日家の当主セバスティアーノ カッポーニ伯爵にお話を聞きました。 | ||||||||||
1215年から歴史のあるカッポーニ伯爵家 |
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カルチナイアとは「石灰石が採れる場所」という意味 「アイア」とはトスカーナの方言で場所を指します。サッシカイア、ソライアもそうです。「カルチナイア」という名前ですが「石灰石が採れる場所」という意味があります。ですので、カルチナイアと呼ばれる場所は有名な「ピサ」もそうですが、トスカーナでは至る所にあるんですよ。 1215年から歴史のあるカッポーニ伯爵家 |
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絹の商売で財を成し1524年に土地を購入 |
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絹の商売で財を成し1524年に土地を購入 当時の私達一族は絹の商人として生計を立てていました。当時絹の商人は7つの大きな組織に属しており、私達はその大きな組織を運営していました。絹の商人でありながら、組織内でお金を貸し付ける必要性があった為、私達一族はいわゆる「銀行」のシステムを造る事にしました。(正式な銀行が出来る以前の話になるのですが)その後ローマやウディーネ等で同様のシステムを造りました。 絹の商人として仕事もしながら、銀行的な仕事を行う事で富を得る事が出来たので、土地を買う事にしました。1524年にグレーヴェインキャンティの土地を購入する事にしました。 カッポーニ伯爵家は物凄い歴史のある一族ですね。現在で何代目ですか? カッポーニ家37代目セバスティアーノ伯爵 (セバスティアーノ氏の日本史に関する知識に一同驚く) 私の兄がイギリスの出版社「OSPREY PUBLISHING」からサムライの歴史について英語版の本を出しています。父と兄が日本の歴史の研究をしていて、父はイギリスで『忠臣蔵』の本を書きました。 私は7歳の時に初めて兄と映画を見に行く事になるのですが、それが「アキラ クロサワ」の「I Sette SAMURAI」(七人の侍)でした。しかも日本語版で(笑)イタリア語の字幕が出ていました。映画の内容はさておき、その映画を見に行った事は良く覚えていますね。そう、「トシロー ミフネ」がその映画に出ていましたね。父、兄の影響もありましたが、今は日本の言葉、日本人の考え方を知りたくて自分でも勉強しています。 Q.名刺の「Conte」(伯爵)部分にペンで線を入れたのは何故ですか? イタリアでは古い習慣で「Conte」(伯爵)等の称号は名刺に書くのだけれども、渡す時に線を引いてから相手に渡す風習があります。非常に親しい間柄であれば苗字も線を引く事があります。アメリカに行くと良くあるのですが、「Conte」と名刺に書いてあるとそれがファーストネームだと思われてしまうのですね。アメリカではそんな意味もあって勘違いされない為に消していますね。 |
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畑は全てオーガニック認証を取得 |
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畑は全てオーガニック認証を取得 私は1992年からワイナリーの仕事に就いています。先ず私が最初に手をかけた事は畑の造り方、作業の部分です。サスティナブル(持続可能な農業)に切り替えました。1997年にビオロジック認証を取得、2011年にはワインにオーガニック認証を取得、2014ヴィンテージからは全てのワインにビオロジック認証を取る事が出来ました。 父や祖父が耕していた古い畑(1959~1975年にかけて植樹したブドウで樹齢にすると約45~60年の古いブドウ樹が残る畑)の整備をしました。ブドウの苗自体は活かしつつ、古い畑を整備していきました。これらの樹齢の古い畑のブドウから「ヴィッラ カルチナイア」としてリリースしています。 |
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キャンティクラシコ協会副会長職に就き、エリア全体のサポートを行う |
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Q.ピエガイアはとてもクラシカルなキャンティクラシコのスタイルですね ありがとうございます。近年「モダンな造り」という言い方が多くされていますが、そのモダンっていつまでがモダンと呼ばれるワインなんでしょうか(笑)。ブレンドされているメルローはサンジョヴェーゼの酸やタンニンを柔らかくしてくれます。かといって酸味とかフルーティーな果実味をメルローが隠す事はありません。 2014ヴィンテージには「滑らかさ」があると思います。フィアスコに入れてそのまま飲んでしまいたい位の飲み心地がありますよ(笑)90年代に流通していたワインは飲む事に疲れてしまうワインが多かったように思います。特にワインガイドに載っていたようなワインはね。ピエガイアは飲む事が難しくない、いわゆる「とても飲みやすい」ワインだと思います。 サンジョヴェーゼ以外にも多様な土着品種を栽培 Q.キャンティで他に歴史の古い生産者はいますか? ブローリオが一番古いかと思います。恐らく700年代には住んでいたと思います。マッツェイは1400年代から、次にコルシーニ家(レコルティ)、そして、1800年代からアンティノリが登場すると思います。 エリアで性質の異なるキャンティクラシコ Q.イタリアも一昔前に比べ、だいぶ土壌研究の方向に進んでいるのでは? イタリアではその点ではバローロエリアが一番進んでいると思います。私は生産者ですが、と同時にワインを飲むコンシューマ―(消費者)でもあります。特に高いワインに関してはやはり、どのような畑でどういった環境で育ったのか知りたいと思います。 バローロは大きな会社がひしめき合っているのでクリュ「カンヌビ」でも幾つもの生産者がいます。それはそれで研究の基準という点では良いのかも知れませんが、ここキャンティクラシコのエリアとは考え方が少し違うと思います。 「市場におけるキャンティクラシコの問題」 例えばキャンティの1ヘクタールあたり最大収量は11トンで、より多くの人が沢山造る事が出来るようになっていて、広がりを持たせた規定があります。キャンティクラシコではより深い内容が求められます。テリトリーを狭めることでワインの持つテロワールを語らせるだとか、土地、気候が感じられるワインを広めていく必要があります。 キャンティクラシコ協会副会長職に就く パンツァーノインキャンティだけでも協会に加盟している生産者は40社にものぼります。瓶詰をしている会社が320社、毎年ボトリングしている会社が200社、毎年はボトリングしていない小さな会社が100社程あります。 フランスのシャンパーニュ地方のようなシステムが理想ではありますが、生産者が良いブドウを造り、しっかりと収入を得る事で良いワインを造り続ける。これこそが非常に大切な事で、そういったシステム造りのサポートも協会として取り組んでいます。 |
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2014年に新たに造られた格付け「グランセレツィオーネ」 |
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2014年に新たに造られた格付け「グランセレツィオーネ」 グランセレツィオーネについてお話しましょう。2014年にキャンティクラシコ リゼルヴァの規定を変更、付加して造った格付けです。今では厳しい規定を経た100以上のグランセレツィオーネが誕生しています。細かい点でキャンティクラシコ リゼルヴァの規定とは異なります。グランセレツィオーネではまず協会から認証を得た「自社畑」でなければならない事が挙げられます。 「リゼルヴァ」は最良のブレンドであり、「グランセレツィオーネ」は最良の畑から造られる リゼルヴァは最良のサンジョヴェーゼのブレンドで造っていますし、グランセレツィオーネはクリュ(単一畑)で造っています。どちらも個性が良く出た最良のワインであると言えます。 自然なバトナージュを起こすタマゴ型セメントタンクを採用 トノー樽で醗酵し、熟成は600リットルのタマゴ型のセメントタンクと大樽で行います。タマゴ型セメントタンクは2013年から使っています。フランスの会社に造らせています。タマゴ型タンクは常に自然な対流が起きるので均一な熟成が出来、自然なバトナージュ(澱を攪拌させる作業)がタンク内で起きています。最近はフランスのシャンパーニュでもタマゴ型のタンクを採用する生産者が増えています。より細やかな泡立ちが得られるそうです。 利点は多いのですが、一つ言うのならば、このタンクはコストが非常に高いという事です。30~35%程木樽よりも高価であり、スペースを取ってしまう事ですね。600リットルのタマゴ型タンクを置くスペースに木樽ならば2500リットルが置けてしまうという事です。 Q.白と黒のラベルは何が由来ですか? これはカッポーニ家の紋章です。私達一族がフィレンツェ初めて造った家の近くにキエーザ ディ テンプラーレという教会がありました。そこの教会の標しであった白と黒のデザインを用いて私達の紋章が造られました。この地の人たちに私達の事を知って欲しいし、この地の事を他の土地の方にも知ってもらいたかったという思いからです。イタリアだとシエナやウディーネ、他ヨーロッパを見ても「白」と「黒」を紋章に使っている街は多いですね。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
37代続く伯爵家が造る「ヴィッラ カルチナイア」のキャンティ クラシコはとてもスムーズで滑らかなクラシカルなスタイルで「どこか懐かしさを感じさせるような」古き良き時代を偲ばせる温かみのある印象でした。スタンダードキャンティクラシコ、ピエガイアのしなやかさとジューシーさは飲んでいて実に心地よさがありました。
セバスティアーノ カッポーニ伯爵が日本通な事も驚きました。インタビュー中も、日本の歴史知識や日本語が度々連発。親日家の一面も見せてくれ、終始和やかなインタビューとなりました。 フィレンツェの名門であったカッポーニ伯爵家が所有するフィレンツェ市内のカッポーニ宮は荘厳で、映画『ハンニバル』の舞台として撮影が行われたそうです。これは原作者トーマス ハリスとカッポーニ伯爵が昔からの知り合いだった為、建物が作品のイメージにピッタリだとのことで依頼があり、それを伯爵がこころよく承諾した為、実現したそうです。ちなみに主演俳優のアンソニー ホプキンス氏は撮影滞在中ずっと、カルチナイアのワインを愛飲していたそう。 キャンティクラシコ協会の副会長としてエリアのサポートを行うセバスティアーノ カッポーニ伯爵は自身のカンティーナだけでなく、キャンティクラシコ全体の品質向上、マーケティングについても情熱をもって話してくれました。「グランセレツィオーネ」という新しい格付けも出来、更なる質の向上と注目を集めるキャンティ クラシコエリア。エリアをリードする「ヴィッラ カルチナイア」から今後益々目が離せません。 |
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エレガントキャンティクラシコ「コンティ カッポーニ ヴィッラ カルチナイア」
2018/04/02