2018年5月30日 イ ジュスティ エ ザンツァ社 パオロ エドアルド ジュスティ氏
ボルゲリ北部で造るエレガンス溢れるスーパートスカン!
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2018年5月27日~6月3日までワイナリー視察研修にイタリアに行ってきました!ピエモンテ、トスカーナの7つ生産者を訪ねて、カンティーナや畑を見学、生産者から直にお話を伺い、ワイン造りへのこだわり、思い等を聞きました!訪ねたのは銘醸ボルドー、メドック地区と類似する気候を有するボルゲリ北部「ファウリア」でキャンティやブルネッロとは違う新しいトスカーナワインの可能性を追求している「イ ジュスティ エ ザンツァ社」。昨年2月に日本でお逢いしたパオロ氏と再会する事が出来ました!
1995年にワイナリーをスタートさせ、100点満点エノロゴであるステファノ キオッチョリ氏を招聘し全て手摘み収穫、ビオロジック農法を行う徹底した拘りとポリシーで瞬く間に数多くの一流レストランにオンリストされ、様々なワインジャーナリストから高い評価を得ています。ワイン名にはドニゼッティの歌劇「愛の妙薬」の登場人物に由来する「ネモリーノ」「ベルコーレ」「デュルカマーラ」と名付けられ、イタリア工業デザインの巨匠によるラベルデザインで「芸術とワインの融合」が感じられる魅力的なラインナップで毎年素晴らしいワインを造りだしています。オーナーであるパオロ エドアルド ジュスティ氏、パオロの息子、ジャコモ氏にお話を聞きました。 |
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ボルゲリから北に40キロにあるリグーリアとの州境に位置する「ファウリア」 |
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私たちのワイナリーはボルゲリから北に40キロにあるリグーリアとの州境に近いエリア「ファウリア」にあります。海沿いの街リヴォルノから10キロ程離れています。畑は標高100メートルでなだらかな丘陵地帯にあり、ボルゲリよりも冷涼で海からの影響を受ける気候となっています。 砂質由来のエレガントで香り高いワインを産み出す土壌 この地ファウリアで1995年にワイン造りを始めました。トスカーナは大きく分けて、キャンティクラシコやブルネッロ、ヴィーノ ノービレ等がひしめく中央トスカーナエリア、ボルゲリ、スヴェレート、マレンマ、ファウリア等の海側に面する海岸部「コスタトスカーナ」エリアに分けられると思います。 サンジョヴェーゼやカベルネ ソーヴィニョン、シラーに適した土壌 |
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アペニン山脈から吹く冷たい風、海から吹く海風がぶつかり合う場所 |
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乾燥した気候、アペニン山脈から吹く冷たい風、海から吹く海風がぶつかり合う場所にあり、暑い年でも気温が上がり過ぎずブドウは耐える事が出来、夏場においても極端に温度の上昇が見られません。栽培についてですが、カベルネソーヴィニョン、シラー、メルローに関しては1ヘクタールあたり約1万本の高密植栽培でブドウの凝縮度を高めています。サンジョヴェーゼに関しては風を通すスペースが必要なので1ヘクタール当たり6000本にとどめています。栽培して一番古いブドウでは5~6メートルの深さまで根が伸びています。地中の下部にある様々な養分を吸い上げる事が出来るので暑い年で雨が少なくてもブドウが順調に成長します。灌漑の必要もありません。 品種、区画毎に醗酵、熟成 |
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エレガントでバランスの良い「フィネス」を持つワイン |
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有機農法に転換し独自の工夫を凝らしたワイン造り 最高のワインを造るためにワインアドヴォケイト100点を獲得したトゥアリータでもおなじみの栽培醸造両分野のエキスパートであるステファノ キオッチョリ氏を招聘します。キオッチョリ氏の指揮のもと「密植度の高い畑からは高品質なワインが造られる」との信念から、1ヘクタールあたり1万本以上の高密植栽培を行っています。完熟したブドウを全て手摘みで作業します。 2008年からは栽培方法を有機農法に転換し、現在は約10年に渡りワイナリーで助けるモニカマッソーニ女史と、2009年から参画し、キオッチョリ氏から引き継がれたエノロゴ、パオロ カレッラ女史、パオロ氏が中心となり3人でワイン造りを行っています。醗酵は自然の状態を保つ為に、あえて温度管理をしないセメントタンクを使用し、18~21日間行います。また醗酵の途中でブドウの種子を取り出す工程を行いワインのエグミを抑える独自の工夫を行っています。 エレガントでバランスの良い「フィネス」を持つワイン |
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歌劇「愛の妙薬」に登場する中心人物の名前に由来するワイン名 |
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自然の状態を保つ為温度管理をしないセメントタンクで醗酵 ここからはパオロ氏の息子でロンドンで商業マーケティングを勉強しているジャコモ氏(21歳)と一緒にカンティーナ内を見学しました。イ ジュスティ エ ザンツァでは醗酵は自然の状態を保つ為、敢えて温度管理をしないセメントタンクを使用し、18~21日間実施します。また醗酵途中にブドウの種子を取り出してワインのエグミを抑えています。熟成にはフランス産のオーク樽を行っています。 こちらの樽は2017年収穫のシラーで、まだブレンドする前です。この樽を試飲してみましょう。2017年はとても暑い年でタンニン質の仕上がりにとても気を遣いました。既にバランスが取れていますね。ベルベットのような滑らかさがあり、2017年の仕上がりにはとても満足しています。 歌劇「愛の妙薬」に登場する中心人物の名前に由来するワイン名 |
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サンジョヴェーゼの傑作「ベルコーレ」、完成された「フィネス」を感じるシラー「ペルブルーノ」 |
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カンティーナ見学後はテイスティングルームで日本では未入荷を含む現地最新ヴィンテージの試飲となりました。
試飲1.ネモリーノロッソ2016 また、印象的なラベルデザインはカラバッジョが描いた「バッカス」をモチーフに、アーティストのマッティア ディ ローザがデザインしています。穏やかな果実感と上品なスパイス香。ビオロジック認証を取得しています。柔らかく丸みがあり果実味が豊か。滑らかなタンニンがあり、この価格帯で素晴らしい出来映えのバリュートスカーナ。 試飲2.ベルコーレ2015 サンジョヴェーゼ主体。メルローのブレンド。スミレの花、レッドチェリー、ブラックチェリー、スパイスの香り。滑らかな口当たりでジューシーな果実感と厚みのあるボディのバランスのとれた味わい。フレッシュな酸味があり、イキイキとした味わい。ベルコーレはオフヴィンテージと呼ばれる年でも素晴らしくバランスが取れていて、長期熟成も可能。ワイン通好みなサンジョヴェーゼの傑作。 試飲3.ヴィーニャ ヴェッキア 2015 (300本のみボトリング) 明るいルビー色。赤い果実、スミレ、ローズマリーの香り。柔らかい酸としなやかな果実感。現時点ではやや厳格で、もの静かな印象だが美しい調和が感じられる。他のワインには無いエレガンスがしっかりと存在し、複雑な要素が美しい層を成す味わい。長期熟成も可能な酸とタンニンが感じられる優雅で深い味わいのサンジョヴェーゼ。 試飲4.ペルブルーノ2015 石灰、ミネラルの清々しさが混じる豊かな果実香。しなやかな酸味とのスパイスの効いた厚みのあるボディとの調和も見事。 試飲5.ペルブルーノ2016(リリース前のサンプルボトル) 試飲6.デュルカマーラ2013 カベルネソーヴィニョン、メルローのブレンド。熟したプラム、レザー、スパイスの重心の低い香り。熟れた果実、骨格の確りとした奥行きを感じる味わい。芯が強い味わいだが、円やかで調和が取れている。 トスカーナ伝統料理とイ ジュスティ エ ザンツァのワイン 特にメインディッシュの仔豚のローストとデュルカマーラ2015のマリアージュが絶妙で思わず拍手したくなる程の印象深さと抜群の相性の良さがありました。 話も盛り上がり、お互いにあれやこれや質問が飛び交うなんとも楽しいディナーとなりました。元々建築家だったパオロさんに「建築とワイン造りの共通点はありますか?」と聞いたら、「どちらも理論よりも技術が必要で、いかに注意深く出来るかがとても重要になってきます。そしてどちらも文化と伝統を造る、事ですね」と話してくれました! |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
山と海から風が吹き抜け、森に囲まれ暑くなり過ぎない理想的な環境を実際に訪ねてみて、ボルゲリのスーパートスカンとは違うエレガントさ、滑らかさが際立つ味わいとなるイ ジュスティ エ ザンツァ社の素晴らしいテロワールを改めて知る機会となりました!
カンティーナ試飲ではリリース前のサンプルボトル、シラー100%のペルブルーノ2016年が秀逸。いきなり香りからフィネスが立ち上ぼり、のびやかな酸に支えられた圧倒的な美しいボディバランスが実に見事!濃密さや凝縮感のある2015ヴィンテージのようなスケールのあるワインばかりについ目が行きがちですが、素晴らしい造り手こそ、どのヴィンテージにもその情熱とプライドが詰まっていて、特にオフヴィンテージにこそ、造り手の個性や力量が感じられるもの。2016年は強さとエレガンスが見事に共存していて既に予想の斜め上をゆく完成度の高さ。今からリリースが楽しな一本。 ディナーではパオロ氏も良く通う大人気オステリア「ラ ガッタイオーラ」さんで伝統的トスカーナ料理を堪能しました。平日にもかかわらずディナータイムはすぐに満席。また行ってみたいと思わせる、賑やかで美味しい料理が魅力的なオステリアでした。建築とワイン造りの共通点について、「どちらも理論よりも技術が必要で、いかに注意深く出来るかがとても重要になってきます。そしてどちらも文化と伝統を造る、事ですね」と話してくれたパオロ氏の真っすぐな眼差しが印象的でした。ドニゼッティの歌劇「愛の妙薬」に登場する中心人物(ネモリーノ、ベルコーレ、デュルカマーラ)に由来する彼らのワイン。今回カンティーナを訪ね、その抜群の安定感とパオロさんのワイン造りへの情熱を改めて感じる事が出来ました。 |
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ボルゲリ北部で造るエレガンス溢れるスーパートスカン!「イ ジュスティ エ ザンツァ」
2018/09/20