2018年10月31日 ヴェレノージ社 アンジェラ ヴェレノージさん
ロッソピチェーノを代表する造り手!スタンダードもトップキュヴェも高く評価されるマルケのトップワイナリー「ヴェレノージ」突撃インタビュー |
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12年連続トレビッキエリを獲得するロッジョ デル フィラーレや、イタリア最優秀コストパフォーマンスワインに選ばれたロッソピチェーノ「イル ブレッチャローロ」など、実力・人気ともにマルケ州のトップワイナリーとして知られるヴェレノージ社。20代の若い夫婦が1からワイン造りを始め、少しずつ力を付けて大きくしていったワイナリーです。マルケ州の独特なテロワールに根付いたワイン造りや、新しいことへの挑戦を続けるワイナリーの哲学についてオーナーのアンジェラヴェレノージさんにお話をお聞きしました。 | ||||||||||
20歳と25歳。ワイン造りのバックボーンが何もない若い夫婦が9ヘクタールの借り畑からスタート |
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ヴェレノージは、私と夫のエルコレが1984年に立ちあげたワイナリーです。そのとき私が20歳でエルコレが25歳でした。ワイナリーがあるのはマルケ州南部のアスコリ ピチェーノで、アブルッツォ州との州境になります。ここでは伝統的に赤のロッソピチェーノと白のファレリオを造っているエリアになります。私達はふたりともワイン造りをしてきた家族に生まれたわけではありません。だからワイン造りで家族の支援や助言を受けられる環境ではありませんでした。むしろ、親たちは自分たちの事業を継いでくれない私達を反対していました。
ワイン造りのため、最初9ヘクタールの畑を借りました。お金もありませんでしたが、苦労を重ねてこそ成功が得られるという強い思いで2人でひたすら働きました。イタリアのことわざにある「良い船を造るには嵐が必要」というのと同じです。最初に造ったワインが赤のロッソピチェーノイルブレッチャローロと、白のファレーリオです。そこから少しずつ畑を増やし、生産量も増えていき、今では約150ヘクタール、生産本数が250万本になり、55ヶ国に輸出するまでに成長しました。さまざまなワインコンクールなどでも高く評価されるようになりました。 ところでワイナリー名のヴェレノージは名字なのですが、イタリア人にとってはちょっとぎょっとされる名前になります。イタリア語で毒を意味する「ヴェレーノ」を連想させるからです。そのおかげでインパクトが強く、すぐに覚えてもらえます(笑)。名字の由来については毒とは全く関係ないですけどね。 |
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マルケ州は海と山に挟まれた、幅の狭い独特の地形。生産量は少なく、品質の高いワインを生む |
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ヴェレノージのあるマルケ州は一言で言うと長くて狭い、細長い州になります。北がエミリアロマーニャ、西がトスカーナとウンブリア、南がアブルッツォとラツィオに接していて、東はアドリア海です。海岸線が180kmほど続いています。この狭い土地に山があり、丘があり、海がある。そしてそのそれぞれに長い歴史があり、建造物や美術館、博物館など様々な文化があります。マルケ(Marche)は、実は複数形の単語です。イタリア20州の中で、唯一複数形で表記する州です。それは様々な特徴をもった土地が集まってできたことを示しています。
見てわかるように、海と山に挟まれている土地になります。他の州にはない独特の地形で、夏は非常に暑く40度近くになります。そういう日が60日間ほどあります。ところがこの山脈から海に向かっていくつもの川が流れています。この川の水のおかげで気候が上がりすぎず穏やかになり、バランスを生んでいます。川が独特の気候を造っているんですね。そして冬には雪が降るので夏に水不足となる心配もありません。昼夜の寒暖差が大きいので、マルケでは素晴らしい白ワインが生まれます。ただ、ワイン生産量はとても少なく、ヴェネト州の生産量の10分の1ほどしかありません。マルケ州は70%が丘陵地で30%が山岳地。平野部はほとんどないので、限られた場所の丘陵地でワインを造っていることになります。 |
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ピノノワールでワインを造りたい。シャンパーニュまで行って製法を学ぶ |
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マルケ州の主要な品種は白のペコリーノとヴェルディッキオ、赤はモンテプルチアーノとサンジョヴェーゼです。私達のワインもこの4つの品種をメインに造っています。土着品種以外で、ピノネーロから赤ワインを造りたいと考え、植樹しました。3年間ほど試行錯誤しましたが私達が期待していた結果を出すことができませんでした。でも、ピノネーロからはもうひとつ素晴らしいワインが造られています。シャンパーニュです。だから私達はシャンパーニュとおなじ瓶内二次発酵によるスプマンテを造ろうと考えたのです。そして私とエルコレは製法を学ぶためにシャンパーニュのエペルネに行き、ブドウ栽培や醸造について勉強しました。
このスプマンテは熟成させればさせるほど素晴らしい味わいになることがわかりました。そして生まれたのが10年間の瓶内熟成で造られるグランキュヴェゴールドです。 |
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ワイナリーのトップキュヴェ「ロッジョ デル フィラーレ」 |
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ロッジョ デル フィラーレは樹齢約50年の単一畑から造っています。モンテプルチアーノが70%、サンジョヴェーゼが30%のブレンドです。生産本数は40000本です。年を重ねるごとに品質が向上しています。『ガンベロロッソ』や『ビベンダ』、『ヴェロネッリ』、『ルカマローニ』、そして『ワインスペクテイター』などで高い評価を頂いています。
ワインの名前のロッジョは、ジョヴァンニ パスコリという詩人の一節からとりました。太陽の光がブドウ樹の列に射し込んでいる。まるで真っ赤な炎に包まれたかのよう・・・という描写で、「roggio nel filare」と書かれています。ロッジョとは赤いという意味で炎のことを指しています。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
ヴェレノージのワインはいつ飲んでも、何を飲んでも抜群の安定感を覚えます。今回、アンジェラさんからマルケの地形や気候の特徴をお聞きして、魅力的なマルケのワインに対する理解をより深めることができました。
ワイン造りに対する強い信念と諦めない気持ちもひしひしと伝わってきました。家族からの支援も何もないところから始め、「成功するには困難が必要」と言い聞かせて仕事にまい進、さらにピノネーロで瓶内二次発酵スプマンテを造るためにシャンパーニュにまで行って勉強。トップになる人はやっぱり違います。 エネルギーと情熱の塊で、そしてとっても明るいアンジェラさん。自分の子供のようにワインを語る姿もとても素敵でした。ヴェレノージファンの方にも、あまり飲んだことのない方にも、改めて味わって頂きたいと思います。 |
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ロッソピチェーノを代表する造り手「ヴェレノージ」突撃インタビュー
2018/11/22