2018年11月22日 ヴィッラ社 ティツィアーノ チェルヴォーネ氏
自社畑100%ビオロジックフランチャコルタ!長期熟成の素晴らしい深み「ヴィッラ」 |
||||||||||
大手生産者がひしめくフランチャコルタエリアで1960年創業、家族経営を貫く「ヴィッラ」。造るフランチャコルタは100%自社畑、100%単一ヴィンテージ、100%土着酵母、100%ビオロジック農法で造る素晴らしいポリシーを持っています。一般的に平野部で造られる事が多いフランチャコルタにあって、ヴィッラはエリア北東部のアルプス山麓で造られ、ミネラルと塩味が溶け合う美しい味わいがあります。「ヴィッラ」の生産量は「ベラヴィスタ」や「カ デル ボスコ」の1/10と非常に小規模。毎年特定の顧客とレストランへの直売だけで完売してしまう、知る人ぞ知る高品質なフランチャコルタです。醸造担当のティツィアーノ チェルヴォーネ氏にお話を聞きました。 | ||||||||||
フランチャコルタ生産者の中でも珍しい家族経営のカンティーナ |
||||||||||
こんにちは。ミラノの醸造学校を出てからヴィッラに来て2年半が経ちました、主にエノロゴとして醸造を担当していますが販売も担当しているので世界各地を廻ります。幸運な事に、イタリアのワイン産地としても非常に高いレベルにあるフランチャコルタの素晴らしい造り手「ヴィッラ」が私に声をかけてくれました。元々ミラノ出身ですが、仕事の為に今はフランチャコルタエリアに住んでいます。 ヴィッラは高価な設備を必要とするフランチャコルタ生産者の中でも珍しい家族経営のカンティーナで投資の為の出資等は一切受けていません。 「大生産者はブドウ又はワインを購入してフランチャコルタを造りますが、ヴィッラは自分の畑のブドウだけを使うことで理想のワインを造ります。これが大きな違いです。 写真の一番右に立っているアレッサンドロ ビアンキが1500年代から続く非常に歴史ある畑とカンティーナを1960年に購入した事からヴィッラの歴史が始まります。現在、当主はアレッサンドロの娘、ロベルタが務め、ワイン醸造はロベルタの夫でパオロが担当しています。ロベルタとパオロの2人の息子が跡を継ぐ準備をしています。 自然との共存。丘をくりぬきフランチャコルタを醸造 |
||||||||||
平野部と異なる海底由来のミネラルに富むテロワール |
||||||||||
アルプス山脈の最南端に位置する「モンティチェッリ ブルッサーティ」 ヴィッラの畑はフランチャコルタエリア北東部にあり、1000メートルを越えるアルプス山脈の最南端に位置するモンテ デッラ ロッサ山麓のモンティチェッリ ブルッサーティ村に位置しています。ヴィッラはこの地で最大の土地所有者です。 ここは非常に冷涼な気候で、平野部ではなく山の上に畑がありブドウにも良い影響を与えています。土壌は平野部のフランチャコルタの土壌よりももっと古い歴史を持っています。ジュラ紀の土壌で石灰、凝灰岩、粘土石灰が混じる土壌で非常に高いミネラル感、塩味というものをブドウに与えてくれます。 モンティチェッリ ブルッサーティ地区には他に小さな生産者が5、6軒いますね。今、この村で起きている事では平野部でフランチャコルタを造っている生産者が、モンティチェッリ ブルッサーティ村の畑を借りてブドウ栽培を行い始めています。フランチャコルタ全体で現在120生産者がいます。トータル1800万本生産していますが、私達の生産量はフランチャコルタ全体の約1%程で約25万本です。 地図を見ましょう。一般的にフランチャコルタの中心部は黄色に塗られた劇場型に広がる平野部のゾーンです。このゾーンの土壌は氷河由来で砂と粘土が主体です。水分を蓄える事が難しい特徴があり、直ぐにブドウが水を欲するストレス状態になりがちとなるとても柔らかい土壌です。ヴィッラが構えるモンティチェッリ ブルッサーティの土壌は氷河由来ではなく、海底由来の土壌で、一般的なフランチャコルタとは全く異なるキャラクターを持っています。 栽培は全てビオロジック農法 |
||||||||||
|
||||||||||
100%自社畑、100%ミレジマート、100%土着酵母で造るフランチャコルタ |
||||||||||
ヴィッラのもう一つの特徴は100%自社畑のブドウを使用しています。栽培から醸造、ボトリングまで一貫して自分たちでコントロールが出来ています。そして造る全てのフランチャコルタがミレジマート(単一収穫年)でボトリングしています。単一ミレジマートでフランチャコルタを造る規定としては30カ月以上の熟成、単一ヴィンテージが85%以上ある事と定められていますが、私達は少ないとも36カ月以上の瓶熟と、その年のブドウ100%でミレジマートを造るこだわりがあります。スティルワインも赤白極少量造っています。ブドウはカベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、メルロー、ネッビオーロ、バルベーラを植えています。 18年間研究を重ね、1978年にようやくリリースした拘り 大学と共同研究で土着酵母の解析を進める |
||||||||||
酸とミネラル、魅力的な複雑性「エモショーネ」「エクストラ ブル」 |
||||||||||
それでは試飲しながらお話ししましょう。 試飲1.フランチャコルタ ブリュット エモショーネ ミレジマート 2012 1978年以降造り続けるベーシックなフランチャコルタ「エモショーネ」 「エモショーネ」にはピノビアンコは不可欠 ステンレスタンクのみで造っていますが、香りの中には澱由来のパンのような香ばしさが感じられますね。この酸度はモンティチェッリ ブルッサーティの海洋性の土壌がもたらすものです。この酸度というのはヴィッラのフランチャコルタ全てから感じて頂けると思います。酸があるからこそ、カンティーナで長期熟成可能なポテンシャルを持ち得ます。 試飲2. フランチャコルタ ブリュット エクストラ ミレジマート “エクストラ ブル” 2011 森に囲まれた丘の斜面に位置する単一畑のシャルドネとピノネロのブドウを使用 残糖を少なくすることで土地のミネラル、塩味というものをワインに表現 |
||||||||||
デリケートな泡「モン サテン」、102ヶ月瓶熟!驚異の「セレッツィオーネ」 |
||||||||||
試飲3. フランチャコルタ ブリュット ミレジマート サテン “モン サテン” 2012 インターナショナルワインチャレンジで金賞&一番素晴らしいフランチャコルタ、一番素晴らしいイタリアの泡に選出「モン サテン」 泡のデリケートさが特徴の「サテン」 試飲4. フランチャコルタ ブリュット セレッツィオーネ ミレジマート 2005 102ヶ月瓶熟!厳しいセレクションで造られる「セレッツィオーネ」 1リットルあたり5グラムの残糖があります。名前の通り、良いブドウをセレクションして造っています。先程のエクストラ ブルよりも更に厳しいセレクションをして造っています。全てのベースワインをバリックで6ヶ月熟成させています。それにより複雑さ、バニラの香りが感じられると思います。ヴィッラの全てのフランチャコルタはアルコール度数12.5%です。この味わいの違いというのはステンレスタンク、バリック、瓶熟の期間の長さの違いという点で味わいが変わってきます。 デゴルジュマンしてから2年半以上が経っています。コルクを打ってからの熟成した味わいが香りからも取れると思います。桃のシロップ漬けや複雑味のある香りが楽しめます。セレッツィオーネという名前でリリースするのは2005年が最後です。次回2008年を「エモショーネリゼルヴァ」という新しい名前でリリースする予定です。 Q.2017、2018年の収穫が非常に厳しいと伺いましたが? 2017年は収量80%減!残されたブドウは素晴らしい酸度を誇り満足いく出来映え ヴィンテージを付けて販売しているので、その年の特徴というものが出ます。2017年ボトリング出来たのは僅か3万本の数量でしたが、収穫出来たブドウは素晴らしい酸度を持っていました。難しさはあったものの、出来上がったワインには満足しています。 |
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
■インタビューを終えて | ||||||||||
創業後、18年間もの長い歳月をかけて研究しようやくリリースしたヴィッラのフランチャコルタは一口飲んだ時から一般的なフランチャコルタとは違う、熟成の深みある味わいがとても印象に残りました。100%自社畑、100%単一ヴィンテージでボトリング、100%土着酵母、100%ビオロジック農法とこだわりが詰まった彼らのフランチャコルタはどのキュヴェも異なった味わいがあり、他には見当たらない傑出した個性が魅力的です。
「2017年は80%も収量が減りました。それでも出来たブドウは素晴らしい酸度を備えていた」と話してくれました。どんなに厳しかろうが常に自然としっかりと向き合い、土地のテロワールを最大限に表現するヴィッラの熱い思いがヒシヒシと伝わってくるインタビューとなりました。特別な個性を持ったヴィッラのフランチャコルタ。是非お試しください。 |
||||||||||
ヴィッラのワインはこちら⇒ | ||||||||||
突撃インタビューバックナンバーはこちら⇒ | ||||||||||
自社畑100%ビオロジックフランチャコルタ!長期熟成の素晴らしい深み「ヴィッラ」
2018/12/19