2019年5月22日 サルタレッリ社 パトリツィオ キアッキアリーニ氏、トンマーゾ キアッキアリーニ氏、カテリーナ キアッキアリーニさん
最高品質を貫くヴェルディッキオのスペシャリスト!イタリア三大ワインガイド最高賞の常連「サルタレッリ」 |
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ヴェルディッキオ種しか造らないエリア随一のスペシャリスト「サルタレッリ」。品質主義を貫き1990年代以降一気にヴェルディッキオ デイ カステリ ディ イエージのトップ生産者にまで上り詰めました。サルタレッリでは一般的に使用される病害虫に強い多産性(3~4種)のクローンを使用せずに、昔のヴェルディッキオのクローンを多種復活させて(何と32種類)本来のヴェルディッキオの複雑で深い味わいを追求しています。イタリア三大ワインガイド最高賞の常連で伊首相官邸でも使用される最高峰ヴェルディッキオ「バルチャーナ」をはじめ、別格の評価をうける凄腕生産者です。サルタレッリ社のパトリツィオ キアッキアリーニ氏、トンマーゾ キアッキアリーニ氏、カテリーナ キアッキアリーニさんにお話を聞きました。 | ||||||||||
1972年創業。ヴェルディッキオのスペシャリスト「サルタレッリ」 |
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ワイン名にもなっている「サルタレッリ」は私の妻の苗字で、義父が1972年にイエージで始めたワイナリーです。私は1976年からワイナリーに参加しました。(私は)当時パン職人でしたが、やりたかったワイン造りに挑戦しました。義父が亡くなった事で1990年からパン造りを止めてワイン造りだけに専念しています。パン屋の仕事も情熱をもってやっていましたが、なにせ夜の2時からの仕事ですから。(仕事を)長く続ける事を考えて、ワイン造りに専念しました。パン造りでもワイン造りでも美味しいものを知ることと、感性が大切です。あとは仕込みを丁寧にできるかどうか。ワインの仕込みは畑作業ですから」 3年前からトンマーゾが栽培と醸造を、姉のカテリーナが広報を担当しています。私はワイナリーにはいますが第一線から退いた形です。 |
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植えているブドウは全てヴェルディッキオ種のみ。「ヴェルディッキオの素晴らしさを知らめたい」 |
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「サルタレッリ」は創設当時から変わらず「クオリティの高いヴェルディッキオを造る」事だけをポリシーとしてワイナリーを運営しています。現在は55ヘクタールのブドウ畑と6ヘクタールのオリーブ畑を所有しています。私達のワイナリーの特徴は植えているブドウは全てヴェルディッキオ種のみです。一番に理解して頂きたいのは、品質の高いヴェルディッキオを造る事、全ての工程においてヴェルディッキオの品質を高める事に注力しているワイナリーである事です。30~40年前というと、ヴェルディッキオは安ワインの代名詞(今でもイタリアでそう思っている人もいる位で)というイメージが強かったブドウですが、私達は素晴らしい品質もった「ヴェルディッキオの素晴らしさを知らめたい」という思いが根底にあります。 Q.ヴェルディッキオしか造っていないのですか? そうです。他の品種は植えていません。私達のブドウ畑は100%ヴェルディッキオです。ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イエージDOCの規定では85%ヴェルディッキオが入っていれば良しとされるので、他のワインであればヴェルディッキオ以外の品種も入っているケースも良くありますが、私達はヴェルディッキオ100%で造っています。 Q.他の品種を造ってみようとは思いませんでしたか? 今までも、これからもヴェルディッキオに拘っていきたいと思います。今では「ヴェルディッキオの造り手」として認識をされているので、将来的に他のブドウを栽培する事は考えていません。 ブドウの品質、ワイン自体の品質を高める事もそうですが、一般的に思われているヴェルディッキオの「安ワイン」というイメージを払拭する為、ラベルの統一感やオリジナルで高級感のあるボトルデザインを採用しています。栽培、醸造、販売に至るまで、様々な点で取り組みを行っています。 山側の「マテリカ」、海側の「イエージ」の2つのエリアで造られるヴェルディッキオ 複数の城が点在していた「カステッリ ディ イエージ」地区 カステッリ(カステッロ「城」の複数形)と呼ばれるのは昔、このエリアに複数の城が点在していた事に因ります。「カステッリ ディ イエージ」とはイエージの領地に複数の城が点在するエリアと意味があり、お城が点在するイエージのクラシコエリアで造るヴェルディッキオという名前が「カステッリ ディ イエージ クラシコ」としてワイン名となっています。 |
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32種類のヴェルディッキオクローンを混植。単一品種ながら奥行きや複雑味を持つワイン |
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次に栽培と醸造についてですが、「サルタレッリ」の特徴は3つあります。 まず第1に、ヴェルディッキオのみ単一品種でワイン造りをしています。第2に私達は単なるワイナリーではなく「アジェンダヴィティ ヴィニコラ」(栽培醸造家)である事です。55ヘクタール全て自社畑で、自分達の管理の下に栽培から販売まで行っています。そして第3に全てのワイン造りにおいてステンレスタンクしか使っていません。 ボルドー液すら使わない厳格な有機栽培 醸造はステンレスタンクのみで非常にシンプルな造りです。5種類のワインを造っていますが、使うブドウ品種は1種類です。純粋に味の違いというのはブドウの違いであり、それが各々のワインの違いとなっています。55ヘクタールの畑は一か所ではなく、分かれて点在しているので、その畑の地勢であったり斜面の方角や収量の違い等、ブドウ自体のポテンシャルであったり、収穫の仕方の違いによって異なる味わいが産まれてきます。 「昔のヴェルディッキオのクローンを復活させて本来のヴェルディッキオの味わいを復活させる」 32種類のヴェルディッキオクローンを混植 「多種類のクローンを使用する事で単一品種ながら奥行きや複雑味を持つようになる」 自分達が所有する古いクローン、いわゆる「種」を保存する意味合いが一つと、そしてもう一つは多種類のクローンがあることで出来上がったワインはヴェルディッキオ単一品種でありながら奥行きや複雑味を持つようになります。昔はクローンという考え方自体が存在しなかったので 自然と畑の中で様々なクローンが共存し、熟度、酸度、凝縮度、どれもばらつきがありました。 色々なタイプのクローンの色々な個性がワインに複雑さを与えてくれます。 |
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ヴェルディッキオ100%スプマンテ、サルタレッリを代表する古樹ヴェルディッキオ「トラリヴィオ」 |
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ワイナリー40周年を迎えた2012年に初リリース。ヴェルディッキオ100%スプマンテ スプマンテに関しては「サルタレッリ」で一番新しいキュヴェとなります。ワイナリー40周年を迎えた2012年に初めてリリースしました。シャルマー方式でシュール リーで6ヶ月間ステンレスタンク熟成させています。1800年代の文献にこのエリアでヴェルディッキオ種を使った発泡ワインが造られていた記載が残っていました。酸度が高く、糖度が上がらない山間の地域で主に1920年代頃までは造られていたようです。第二次世界大戦後、白ワインの方が需要が高まり、発泡ワインを造る生産者が減っていった歴史があります。伝統的に立ち返るという観点からヴェルディッキオの泡を造る事にしました。シャルマー方式のシンプルな造りですが、細やかな泡と奥行きのある味わいが特徴で、合わせる事が出来る料理の幅も広いと思います。前菜や魚介類、フリットミスト、フレッシュなチーズ、この地方で食されるピッツァ フォルマッジォ(チーズを練り込んだパン)と相性の良いワインです。 古い樹齢のブドウから更に選果をして造るセレツィオーネ「トラリヴィオ」 このワインに関しては熟練した特別な収穫チームが担当しています。一番良いブドウだけを選別しています。クラシコに比べ、果皮がやや黄色味を帯びてきます。醸造は基本クラシコと同じですが、トラリヴィオだけプレス前に12時間程度のコールドマセレーションを行っています。ボトリング後の熟成期間はクラシコより少し長く約6ヶ月間となっています。クラスとしてはスーペリオーレに当たります。アルコール度数が高いだけでは無くて、収量の制限もしています。かつブドウの樹齢が高いので、出来上がるブドウの状態はクラシコとは異なり、明らかにポテンシャルの高いワインです。 より一層ヴェルディッキオの果実感、ミネラルの高さを感じて頂けると思います。アスパラガスをキノコ使った香りの高い複雑なお料理かお寿司まで合わせられるワインです。長期熟成にも適したワインで10年楽しんでもらえるポテンシャルをもったヴェルディッキオです。 |
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11月中旬でも健全な状態のブドウが残る単一畑「バルチャーナ」 |
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暑いマルケでも日照量の少ない北向きの斜面、ここにしかないミクロクリマ「バルチャーナ」 バルチャーナというのは単一畑名であり、このゾーンの名前でもあります。少なくとも300年前から存在している名前です。「ヴァッレサーナ」(健全な谷)が語源となっています。この畑を持っているのは私達だけです。暑いマルケでも、日照量の少ない北向きの斜面である事、ここにしかないミクロクリマ(微気候)が重なりヴェルディッキオは生育サイクルが比較的ゆっくりでハンギングタイムが長くなります。よってフレッシュな酸度を保持しながら、ゆっくりと糖度を上げていくので、ある程度の酸度を確保しながら収穫を遅くする事が可能となる訳です。 「11月の中頃まで収穫を待ちます」 Q.ステンレスタンクのみで造ったワインとは思えない程の深みと厚み、複雑な味わいの辛口に仕上がっていますね。驚きです。 トラリヴィオ同様、熟練した特別チームが収穫にあたっています。バルチャーナの場合、9月の段階で一回収穫を行います。(その際収穫したブドウはトラリヴィオに使用)11月中旬に収穫するバルチャーナとして使用するべく良いブドウ樹の風通しを良くする為です。列の間が3メートル、ブドウ樹同士の間が1.5メートル位の間隔に仕上げます。土壌は粘土質が主体でライムストーン、砂岩が混じる土壌です。 11月中旬でも健全な状態のブドウが残る唯一の場所 「他の生産者が真似をしようしても成功していない。このテロワールでないと産み出す事が出来ないワイン」 バルチャーナはイタリア国内外で高い評価を受け「成功したヴェルディッキオ」として注目を集めました。他の生産者が遅摘みの辛口ヴェルディッキオを造ろうとトライしたのですが、まずブドウが干しブドウ化して糖度が高くなり過ぎて、酵母がアルコールを食い切らずに辛口ワインとならないのです。他の生産者が真似をしようしても成功していないですね。このテロワールでないと産み出す事の出来ないワインだと思います。 凄く複雑味のあるワインで、トロピカルフルーツの特徴的な香りがあるワインなので、ワインと合わせづらいとされる干し鱈料理や脂分の多いお肉料理、スパイシーな料理とも合わせる事が出来ます。空になったグラスからも素晴らしい香りが感じられます。 全てヴェルディッキオ100%の個性の異なる5種類のワイン。いよいよ試飲です! |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
ヴェルディッキオしか造らないスペシャリスト、サルタレッリ社のブドウ栽培からワイン醸造に至るまで、その拘りがヒシヒシと伝わってくるインタビューでした。32種類もの歴史的クローンを守り続け造りだされる味わいはヴェルディッキオの品種概念を覆す深みと厚みがあり、どのワインも思わず頬も上がる完成された味わいでした。
ヴェルディッキオ100%のスプマンテは細やかな泡立ちに自然な果実の厚みが感じられる抜群の出来映え。余韻に感じるほろ苦さと豊かな酸で、この価格帯では癖になる美味しさ。古樹ブドウから造る代表的ワイン「トラリヴィオ」は向こう10年熟成出来そうなしっかりとした味わいながら、実にスムーズな飲み心地があり、豊かな深みとヴェルディッキオらしさが共存した見逃せないワイン。 遅摘みブドウの辛口バルチャーナは圧巻とも言うべき完成度。トロピカルフルーツを思わせる芳醇なアロマにキレのある酸とミネラルが寄り添い、素晴らしい辛口に仕上がっています。インタビュー後、1週間かけて飲みましたが、全くブレないボディ構成があり、また数年置いてその変化を楽しみたい、他に並ぶものがない唯一無二の凄みを持ったヴェルディッキオです。イタリア三大ワインガイド最高賞の常連で伊首相官邸でも使用される最高峰ヴェルディッキオ「バルチャーナ」。じっくりと向き合いたい素晴らしい旨みに溢れています。 「ヴェルディッキオは安ワインの代名詞(今でもイタリアでそう思っている人もいる位で)というイメージが強かったブドウですが、私達は素晴らしい品質もった「ヴェルディッキオの素晴らしさを知らめたい」という思いが根底にあります」と話してくれたパトリツィオ氏。サルタレッリ社が造る最高品質のヴェルディッキオ、その素晴らしさに是非触れて見て下さい。 |
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最高品質を貫くヴェルディッキオのスペシャリスト!イタリア三大ワインガイド最高賞の常連「サルタレッリ」
2019/06/04