2019年9月12日 ファルネーゼ社 ジュリア ショッティ氏
なんと、最初のきっかけは「ペンフォールズ グランジ」だった!ルカマローニ2019で通算9度目の最優秀生産者(第一位)に選出!コストパフォーマンスに優れ、近年最も成功した南イタリアの生産者
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今から25年前の1994年、お金も、畑も、セラーもなかった「3人のドリーマー」がアブルッツォの地でワイナリーとして創業しました。ブドウ栽培農家を一軒一軒廻り、自分達にブドウを売ってくれるようにお願いし、生産者協同組合の醸造設備の一部を借りてスタートしたファルネーゼ。現在は、アブルッツォを中心に、プーリア、カンパーニャ、バジリカータ、シチリア、そしてトスカーナと計6州で、ブティックワイナリーの哲学を持ちながら2400万本の生産量を誇るイタリアを代表するワイナリーに。今回は「3人のドリーマー(カミッロ デ ユリウス氏、ヴァレンティーノ ショッティ氏、フィリッポ バッカラーロ氏)」の一人、ヴレンティーニ ショッティ社長の娘さんで、現在マーケティングマネージャーのジュリア ショッティさんにお話を伺いました。 | ||||||||||
なんと、最初のきっかけは「ペンフォールズ グランジ」だった! |
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私の父であるヴレンティーニ ショッティは、ワイン造りを始めようと考えていた時に、オーストラリアのペンフォールズのワイナリーを訪れました。グランジというトップワインを飲み衝撃を受けます。そしてエノロゴに畑はどこにあるのか訊ねたところ、「自社畑は持ってない。信頼できる契約農家を抱えている。」と言われました。その時に彼はハッとして、広大な自社畑なんてなくても、素晴らしいワインを造ることができると確信したのです。
アブルッツォに戻り、そこから私たちは、南イタリアの小さな農家を1件、1件回り、高品質なブドウを造っている農家に自分たちのためにブドウを造ってくれるように交渉をしていきました。当時ブドウは重さでの買い取りが主流でしたが、私たちは「高品質なブドウであれば2倍の金額で買います。そして、重さではなく、面積に対してお金を払います。」という交渉をしました。そうすることで、農家はその年の収量に左右されることなく安定的にお金がもらえます。また、ストレスのない環境でブドウ造りを行うことで、より高品質なブドウ造りに目を向けるようになったのです。こうして、私たちと農家はWINWINの関係を築いていきました。 |
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偶然、レストランでファルネーゼのワインを飲んだロバート パーカー氏が・・・ |
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こうしてワイン造りをスタートさせたわけですが、当初はモンテプルチアーノ、トレッビアーノ、サンジョヴェーゼの3つのスタンダードワインだけを造っていました。そんな中、イタリアに遊びにきていたロバートパーカー氏がレストランでたまたま私達の「モンテプルチアーノ」を飲んだのです。そして、「こんなに美味しいのに、こんなに安いの?」とファルネーゼのワインを絶賛してくれました。アメリカに戻るとロバートパーカー氏は自身の雑誌に「貨車に詰め込めるだけ買いなさい」という記事を書いてくれました。この記事をきっかけに、当時無名のファルネーゼの名前は世界中に知られることになったのです。 | ||||||||||
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ヒュー ジョンソン氏が突然訪問、レストランで説教・・・「エディツィオーネ」誕生へ |
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次に父から聞いたエディツィオーネの話をさせて頂きますね。イギリスの有名評論家であるヒュージョンソン氏が、ロバートパーカー氏の記事を見て、ある日突然ワイナリーに来てくれたのです。私の父を含む創立者の3人(カミッロ デ ユリウス氏、ヴァレンティーノ ショッティ氏、フィリッポ バッカラーロ氏)はまだ若く、お金も持っていませんでしたが、ヒュージョンソン氏をもてなそうと、オルネッライアやサッシカイアなどの高価なワインを準備し、なけなしのお金をはたいて接待しました。しかし、ヒュージョンソンは、「そんなワイン飲みたくない!国際品種のワインなんてどこでも飲める。この土地ならではの土着品種を使った個性あるワインが飲みたい。」とお説教されてしまいました。(笑)
その言葉に諭された彼らは、4年間研究を重ね、5つの土着品種を使い個性を生かしたワインを造りました。それが、「エディツィオーネ」です。何か名前をつけようという話になり、よく考える時間もなく、誰かが「最初に造ったワインだから、 しばらくしたある日、イギリス人の男性から電話がかかってきて、「エディツィオーネ」というワインはありますか?父はすっかりこのワインのことを忘れていて、「ありません」と返答。その男性は「そんなはずはない。ヒュージョンソンの家で一緒に飲んだ。」と、その話を聞いて思い出した父に「在庫は何本あるんだ?」「全部買いたい」。彼はイギリスのインポーターだったのです。ファーストビンテージの在庫約1000本を全て売りました。その時は売れて大喜び。 そして、コンクールのことなどすっかり忘れていた頃に、突然そのコンクールで金賞をとったという電話が・・・!!主催側から受賞パーティーで使いたいので、ワインを12ケース程送ってくれと言われましたが、在庫は全て売ってしまったたためゼロ・・・。 結局、ワインを買い戻す羽目になり、そのインポーターの一番最初のお客さんになってしまいました。作り話のようですが、本当の話です。 |
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ファルネーゼのこだわりと成功のカギ |
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ファルネーゼはなぜ成功できたのか、そのキーワードは、ブティックワイナリーです。普通、ブティックワイナリーというと、規模の小さなワイナリーを想像されるかも知れません。しかし、我々が言う 「ブティックワイナリー」 は、規模の大小は関係ありません。ひとつひとつの工程に細部までこだわり、丁寧にワイン造りをするワイナリーをそう表現しています。私たちは、自社で広大な畑を購入するかわりに、小さな栽培農家と契約し、彼らが先祖代々受け継いでいる畑でブドウを栽培してもらいます。栽培農家の人々は、自分達の畑を誰より もよく知り、情熱を持ち、まるでブドウを我が子のように大切に育ててくれているのです。 また、最高のワイン造りには、必要な3つのポイントがあると考えています。 1、品質 まず、優れたブドウから優れたワインをつくること。 2、パッケージ お店でワインを買う前に中身を確かめることはできません。そこで真っ先に選んでも らえるような魅力的なラベルや外観は、とても大切です。 3、コストパフォーマンス 品質は高いが価格も高いワイ ンを造るのは、それほど難しいことではありません。しかし、最高の品質でありながら価格がリーズナブルなワインを造るのは大変です。しかし、これが我々の目指すものであり、ファルネーゼのポリシーです。 |
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ファルネーゼ流トスカーナワインに挑戦 |
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ファルネーゼ社は、アブルッツォ、シチリア、プーリア、カンパーニャ、バジリカータに続いて、初めて南イタリアを離れトスカーナに進出をしました。歴史的な名門や、人気ワイナリーの多い激戦区でワインを造るのは私たちにとって一つの挑戦でしたが、「トスカーナでファルネーゼスタイルのコストパフォーマンスの高いワインを造ってほしい」という顧客からの要望もあり、このプロジェクトをスタートさせました。
私たちはロセッティ社と協力しワインを造り始めました。ロセッティ社は、10世紀までさかのぼる非常に古い歴史のある生産者です。昔から質の高いワインを造るワイナリーであるとともに、 トスカーナでもファルネーゼスタイルで高品質のワインを造る。これが私たちのプロジェクトのポリシーです。トスカーナでは熟す前に収穫して、酸味を残すこともありますが、私たちは南イタリアの凝縮感を大切にし、 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
『ルカマローニ』では何度も年間最優秀ワイナリーに選ばれ、コストパフォーマンスの高いワインで、世界中の多くのワイン愛好家たちを魅了してきたファルネーゼ。トスカニーでも累計10万本売り上げた「カサーレヴェッキオ」初め、人気商品が非常に多く、ファルネーゼファンの多さを実感しています。 今回で突撃インタビューは4回目になりますが、年々栽培面積が右肩上がりに増え、会うたびに急成長を遂げているファルネーゼには、いつも驚かされます。 今回は、ファルネーゼの成功の秘訣やトスカーナ進出のお話、今まで聞けなかった裏話等、貴重なお話をたくさん聞かせて頂きました。 中でも、「エディツィオーネ」誕生裏話はストーリ性があって、聞きながらワクワクしてしまいました。高価なワインでもてなそうとしたファルネーゼ創業者の若造3人に、この土地のならではのワインが飲みたいと説教したイギリス有名評論家のヒュージョンソン。大事なのは、評価やブランドではなく、その土地の個性を表現することだという本質を伝えたかったんですね。 そんなヒュージョンソンの助言から誕生した「エディツィオーネ」を今回試飲しましたが、力強くもエレガントな果実味が口いっぱいに広がり、素晴らしい凝縮感。南イタリアの個性を存分に感じられる至極の味わいでした。 普通に飲んでも素晴らしいワインですが、誕生秘話を聞きながら飲む「エディツィオーネ」は、より美味しく特別に感じられました。ぜひ、エピソードを読んで、楽しみながら飲んで頂けたら嬉しいです。 |
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なんと、最初のきっかけは「ペンフォールズ グランジ」だった!コストパフォーマンスに優れ、近年最も成功した南イタリアの生産者 と言われるファルネーゼサクセスストーリー
2019/09/30