2019年10月4日 ファレスコ社 ダニエレ モンタネッリ氏
現代のイタリアワインを牽引!Mr. メルローの異名をとるリッカルドコタレッラと、名門アンティノリのCEO兼醸造責任者で最高級白「チェルヴァロ デッラ サラ」の生みの親レンツォ コタレッラのスーパー醸造家兄弟が1979年に創業し自ら経営するワイナリー「ファレスコ」突撃インタビュー |
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ロバートパーカー、『ガンベロロッソ』で最高評価を受けた「モンティアーノ」で一躍有名になったファレスコは、世界70社に及ぶワイナリーの醸造コンサルタントを務め、Mr. メルローの異名をとるリッカルドと、名門アンティノリのCEO兼醸造責任者で「チェルヴァロ デッラ サラ」の生みの親レツォのスーパー醸造家兄弟が経営する、イタリアを代表するワイナリーです。イタリアワインのスタイルを変えた“イタリアワインルネッサンス”を牽引し、成功を続けるワイナリーの歴史と新たな取り組みについて、30年にわたりコタレッラ兄弟とともに歩んできた営業部長ダニエレ モンタネッリ氏からお話を聞きました。 | ||||||||||
メルロー100%「モンティアーノ1993」がロバートパーカーで96点!続く1994ヴィンテージが『ガンベロロッソ』で最高賞トレビッキエリ!“Mr. メルロー”誕生とともにあるファレスコ成功の始まり |
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ファレスコが世界にその名前を知られるきっかけとなったのが1993年ヴィンテージが初リリースとなるメルロー100%の「モンティアーノ」です。リッカルドは「今までにない、しっかりとした骨格のあるメルローを造る」ことを決め、究極なまでにブドウを厳選し、バリックの新樽で醸造する、という、偉大なメルローを造るための2つのポイントに注力しました。そして、その完成形となる「モンティアーノ」を1993年ヴィンテージで初めてリリースします。
ファレスコを経営すると同時に、リッカルドは1980年代以降から、イタリア各地のワイナリーで醸造コンサルタントもするようになっていました。そのひとつがカンパーニャ州の「モンテヴェトラーノ」です。アリアニコと国際品種ブレンドによるこのワインの出来が非常によかったので、初ヴィンテージの1991年と1992、1993のサンプルをロバートパーカーに送ったところ「南イタリアのサッシカイア!」と絶賛されました。そしてパーカーは醸造を担当したリッカルド コタレッラにも興味を示し、リッカルドのワインをすぐに取り寄せて試飲したのです。その中に「モンティアーノ」もあり、96点という高評価をつけたのです。 そして、2年めとなった1994年ヴィンテージが『ガンベロロッソ』で最高賞トレビッキエリを獲得しました。当時ラツィオ州でトレビッキエリを受賞するワインは他になく、「モンティアーノ」はラツィオ州で唯一のトレビッキエリワインとしてイタリア国内外にその名を知らしめることになりました。 ロバートパーカーとガンベロロッソという重要なワイン評価ガイドで高評価を獲得したことでファレスコの名は世界に知られ、その地位を確かなものにしていきます。リッカルドはMr.メルローと呼ばれるようになりました。 |
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現代のイタリアワインを牽引!イタリアワインのスタイルを変えた「イタリアワインルネッサンス」を起こしたスーパー醸造家兄弟リッカルド&レンツォ コタレッラの凄さ |
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ファレスコは1979年にリッカルドとレンツォがラツィオ州北部のモンテフィアスコーネに設立したワイナリーです。2人の父親も1960年代頃からウンブリアのモンテルビアリオでブドウ栽培とワイン造りをしていましたが、父親達のスタイルとは違うものを2人は目指しました。彼らの目指すスタイルは後に、イタリアワインのスタイルを変えたと言われるようになります。
ファレスコを設立するとき、2人は有名な逸話で知られるラツィオの白「エスト!エスト!!エスト!!!ディ モンテフィアスコーネ」を造りたいと考え、自分たちの畑も何もない状態でモンテフィアスコーネに行ったわけです。そこで、地元の50もの栽培農家達に自分たちが求めるブドウを造ってもらうよう協力を求めました。当時、レストランのワインリストには「白ワイン」「赤ワイン」と載っているだけで、銘柄が記載されているものはほとんどないような時代です。あっても一部の大手ワイナリーのものぐらい。そんな時代ですから、栽培農家達に質の良いブドウ栽培の意識などまずありませんでした。品質を追求するためのグリーンハーベストという2人の考えにはなかなかついてきてくれませんでした。 転機となったのがイタリア中を震撼させた1986年のメタノールスキャンダルです。アルコール度数を高めるためにワインにメタノールを混入し、死者が出た事件です。この不幸な出来事がワイン造りに携わる人間全てに品質への意識を変えさせました。 24時間365日、ワインのことだけを考え働くリッカルド 私は30年以上前にファレスコに入社して以来、ずっと2人の仕事を見ています。ワインを飲まなかった私にこの世界の素晴らしさを教えてくれたのがリッカルドです。彼は24時間、365日、ワインのことだけを考え、働いています。樽からの試飲でリッカルドはそのワインがどのような姿になっていくのがわかります。だから自分がやるべきことがはっきりとわかっているのです。 イタリア国内外で70社を指導するリッカルド。弟レンツォは名門アンティノリでイタリアを代表する白「チェルヴァロ デッラ サラ」を生みだし、名実ともにイタリアを代表するエノロゴへ。この2人の知識と経験が一つになるのがファレスコのワイン
チェルヴァロ デッラ サラの成功以降、レンツォは今やアンティノリのCEO兼醸造責任者となり、ティニャネロを始め、アンティノリの錚々たるワインを手掛けています。非常に忙しいリッカルドとレンツォ兄弟ですが、2人にはテレパシーのような結びつきを感じます。昼食に2人でテイスティングをしては意見交換をし、時には激論にもなりますが、最終的にはお互い納得する。彼ら2人の知識と経験が一つになってボトルになるのがファレスコのワインです。これこそがファレスコの強みです。 彼らは非常に仲の良い兄弟ですね。普段から気が合っていて、自宅も、銀行口座も一緒なんですよ(笑)。 |
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1979年「エスト!エスト!!エスト!!!」を造ることから始まったファレスコ。スーパーラツィオ「モンティアーノ」、スーパーウンブリア「マルチリアーノ」の成功。そしてレストラン運営を学ぶ学校「イントレッチ」も開設。さらなる高みを目指す「ファミリアコタレッラ」 |
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1979年に創業したファレスコは、「エスト!エスト!!エスト!!!ディ モンテフィアスコーネ」のリリースに始まり、メルロー100%の「モンティアーノ」、カベルネソーヴィニョンとカベルネフランのブレンド「マルチリアーノ」、さらに「フェレンターノ」と次々とワインを造り出し、成功を続けてきました。そして創業30周年となった2009年ヴィンテージで「トレンタアンニ」を造りました。
ファレスコは今、リッカルドとレンツォの娘たち、ドミンガ、マルタ、エンリカとともに親子2世代で経営を行っています。そして「ファレスコ」から「ファミリアコタレッラ」へと発展させています。
現在、ファレスコの事業は4つの柱があります。ワイン生産として、モンティアーノやマルチリアーノなどのトップキュヴェとなる「コタレッラライン」、エストエストエストやヴィティアーノ、テルースなど日常に楽しめる「ファレスコライン」の2つ。そして、小さな造り手ながらも私たちに感動を与えてくれるワインの輸入事業「リエゾン」。そして4つ目がレストランを運営するための学びの場「イントレッチ」です。 イタリアのレストランは残念ながらまだまだ“おもてなし”のレベルが低いのが現状です。日本の方もイタリアに行ってがっかりすることもあるでしょう。「イントレッチ」は、料理やサービスの技術を学ぶだけでなく、お客様にレストランで素晴らしい経験を味わっていただくためのおもてなし精神を身につけるための学校です。 |
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ラツィオ、ウンブリア、さらに2007年にサグランティーノ。そして2017年には遂にブルネッロ ディ モンタルチーノへ進出! |
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ファレスコのワインはラツィオとウンブリアの州境周辺を中心にワインを造ってきました。現在ワイナリーがあるのはウンブリア州の南部モンテッキオです。リッカルドとレンツォは、地元ウンブリアを代表するワインであるサグランティーノ ディ モンテファルコに対する思いはずっと強く持っていて、モンテファルコでのワイン造りを始めました。2007ヴィンテージに「サグランティーノディモンテファルコRC2」を初リリースしました。
畑は約2ヘクタールなので年間生産本数は最大でも6000本です。条件が厳しい年は収量を落として造っています。このRC2はビジネスではなく、ワインへの情熱のために造っています。だからロッソは造らずに、サグランティーノディモンテファルコだけを造っています。サグランティーノはタンニンが強く、舌をざらざらさせるのが多いのですが、RC2はそれを取り除き、柔らかさを表現しています。角ばったところにやすりをかける感じですね。 ボルゲリに土地を探す中で出会ったモンタルチーノ「レマチョーケ」 レマチョーケとはこのエリアに育つ植物の名前です。植物の根がデザインされたカンティーナのロゴマークにも2人は共感しました。現在リリースしているのは、購入時にストックされていたヴィンテージのものです。2人が醸造を始めたのは2017年からなので、コタレッラ兄弟によるブルネッロはあともうしばらく先のリリースとなります。 ファレスコのワイン造りのポリシーは「常に環境に配慮する」こと。リッカルドは「自然が与えてくれたものを壊さない」ことを大切にし、醸造する過程においてブドウに寄り添うことを常に考えています。それはどの土地でのワイン造りにおいても貫かれています。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
イタリアワインラバーにとって、ファレスコは一度は飲んだことのあるワインだと思います。今回のインタビューの中で、「ファレスコはイタリアワインのスタイルを変えた」という言葉が何回か出されましたが、イタリアワインを身近にし、飲みやすいものだと愛好家に理解させたファレスコの功績は本当に偉大だと実感しました。
ファレスコを設立し、現在も経営しているのはリッカルドコタレッラ氏とレンツォコタレッラ氏という2人の偉大な、“スーパー醸造家兄弟”。かたや世界70社でコンサルタントを務める大人気エノロゴ、かたや歴史的名門アンティノリのCEO兼醸造責任者。この2人がタッグを組んでワインを造っているのですからこれ以上の強みはありません。 ラツィオ、ウンブリア、そしてトスカーナと発展を続けるファレスコ。それぞれの土地と、そこに根付く品種の個性を大切にする姿勢、さらにそれを抜群のコストパフォーマンスで実現するワイナリーポリシー。イタリアワインの楽しさを教えてくれる素晴らしいファレスコのワインをさらに多くの方に飲んで頂ければと思います。 |
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現代のイタリアワインを牽引!“Mr. メルロー”リッカルドコタレッラと、名門アンティノリのCEO兼醸造責任者レンツォ コタレッラのスーパー醸造家兄弟が経営する「ファレスコ」突撃インタビュー
2019/10/23