2021年4月22日 アンペリオ ブッチ氏 Mr. Ampelio Bucci
“ヴェルディッキオの父”!1970年代、無名のヴェルディッキオを世界に広めた第一人者「ヴィッラ ブッチ」突撃インタビュー |
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ヴィッラ ブッチは、1970年代当時、誰も考えたことがなかったヴェルディッキオによる高品質なワインを造ることに成功し、高品質ヴェルディッキオの新たな歴史を作りました。イタリアで有名な白ワインの名醸造家、故ジョルジョ・グライ氏の応援によりブレンド技術を確立し、秀逸なヴェルディッキオとロッソ・ピチェーノを生産しています。『スローワイン』2018で最高賞「ヴィーノスロー」を獲得するなど、現在も多くの評価誌で高い評価を得続ける造り手です。地元マルケ州で偉業を成し遂げてきた当主のアンペリオ・ブッチ氏に、ワイン造りの歴史、こだわりについてオンラインでお話を聞きました。 | ||||||||||
地元マルケ州へ戻り、ヴェルディッキオによる高品質ワインを造ることを決意 |
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ヴィッラ ブッチが本格的にワイン造りに着手したのは1970年です。当初、ヴェルディッキオは美味しく造れないとされ、世間では「ヴェルディッキオは、Zuppa d’acqua(水のスープ)のよう」と揶揄されていました。
ミラノのボッコーニ大学でマーケティングを学び、多くの企業のコンサルティングに携わっていたブッチ氏は、「70年代は、世界各国の消費の様子が変わってきた時代。ファッション、レストラン、様々な業界において変貌を遂げていた。だから、ワインの世界も変わると予測して、当時は全く無名のヴェルディッキオを世界に広めようと決断したのです。」と語ります。そして、当時住んでいたミラノから地元マルケ州に帰省し、ワイン造りに情熱を注ぐようになります。 |
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4代に渡り300年以上も農家を営むブッチ家が見抜くブドウ栽培の本質 |
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マルケ州のモンテカロットで1700年から代々農家を営むブッチ家は350ヘクタールの地を有し、ブドウ以外にも小麦、トウモロコシ、オリーブ等を耕作しています。様々な作物を栽培することで生物多様性が生まれ、害虫被害を最小限に抑えています。その中で、ブドウ畑は合計で31ヘクタールと厳選されており、畑の土壌、傾斜、風向きを入念に調査し、水を溜め込むことができる粘土質土壌があるワインに適した土地のみをブドウ畑として使用しています。
独学でブドウ栽培を始めたブッチ氏ですが、幼少期から農作物に触れていたため、高品質なブドウを造るための本質を捉えていました。どんな農作物に、どのような土壌が向くか、日当たりや方角、風向き等、代々受け継がれてきた土地の価値を知り尽くしており、ブドウ栽培に適した畑が選び抜かれています。「良質な農作物を造る上で化学肥料を使わないことはブッチ家では昔から当たり前でした」と話しています。 ヴィッラ ブッチはアドリア海から40キロ圏内に位置し、北からはロシアからの海風が届き、昼夜の寒暖差が大きいことも高品質なブドウ栽培を可能にしています。あえてブドウ畑は隣接させず点在させ、標高や風向き、方角の異なった特徴を持つ畑から収穫されたブドウを使用することで、ワインに深みと複雑味を与えています。 |
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15~65年の古樹、80歳以上の古樽にこだわる |
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ブッチ氏は、ワイン醸造において古い樹を大切にしています。樹齢15~65年の樹を使用し、特に「リゼルヴァ ヴィッラ ブッチ」は樹齢40年以上の樹のみを使用するこだわりを見せます。古樽は、白ワイン、赤ワインともに熟成時に使用され、これらの樽はなんと約80歳! 樽自体は香りも味もないので、ワインをゆっくり少しずつ酸化させるために使用しています。香りや味のバランスを正しく見極めるために、ヴェルディッキオは畑ごとに違う樽で熟成されます。 |
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ヴィッラ ブッチなしにヴェルディッキオは語れない |
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ヴィッラ ブッチは、ヴェルディッキオの地位を確立させるなど、これまで多くの功績を残してきました。今ではヴィッラ ブッチを追うように、数々の造り手が良質なヴェルディッキオを造るようになり、ヴェルディッキオはイタリア国内における最も重要な白ブドウ品種の一つと言われるまでになりました。また、ヴィッラ ブッチは、『スローワイン』でカタツムリマークを獲得しており、ワインそのものの品質に加え、テロワール、環境、アイデンティティを表現している造り手として高い評価を受けています。
そんなブッチ氏は「私はワイン醸造家ではなく、あくまで農家の人間です」と語ります。そのため、ラベルにある「ヴェルディッキオ」の文字は小さく、「VILLA BUCCI」の文字は非常に大きく記載されています。これは、ヴィッラ ブッチが所有する土地に誇りを持ち、愛情を注いでいる証です。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
インタビューを終えて、「少数レパートリーでないと高品質なものは作れないこと」や「土着品種であるヴェルディッキオは世界に通用する」といった信念を感じました。また、甘いのは嫌いだから甘口ワインは造らないことや、ワインを売る際にアメリカのインポーターから「ボトルにシャルドネと書けばもっと売れるのに」と言われたというエピソードも印象的でした。その土地を愛し、その土地で生まれる農産物を世界へと羽ばたかせていることに、大変誇りを持っているようでした。そんなヴェルディッキオの先駆者であるヴィッラ ブッチが造るヴェルディッキオ、ロッソ ピチェーノをお楽しみください。 | ||||||||||
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“ヴェルディッキオの父”「ヴィッラ ブッチ」突撃インタビュー
2021/05/14